弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を原裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人鶴田常道の陳述した控訴の趣意は同人提出の同趣意書に記載の通りである
から茲に之を引用する。
 同一人が同時に異る場所において販売の目的を以て猥褻文書を所持する場合、こ
れを一個の所持と認むべきや将又右場所の数と同数の所持と認むべきやは専ら当該
刑罰法規の立法の趣旨に照らし目的論的観点に立ち社会通念に待つて之を決すべき
である。
 <要旨>本件に付之を観るに被告人の自宅は福岡市a町b番地であるが同時に同市
c町に露店を開き日々自宅から同所に出張し自宅から持参した猥褻文書を同
所で販売していたものである。かゝる場合自宅における猥褻文書の所持も、同露店
における所持も、その場所こそ異れ販売の目的を以てする猥褻文書所持罪の立法の
趣旨を考量し社会通念に従い目的論的観点に立ちて解するときは一個の所持であつ
て二個の所持に非ずと断ずるを相当とする。
 然らば原判決(第二、三参照)が昭和二十六年七月十六日頃右露店にあつた猥褻
文書に対する所持と同日右自宅にあつた同文書に対する所持とを別個の二個の所持
と解し併合罪として処理したのは違法だと言わねばならない。
 又数個の猥褻文書を同時に所持する場合においても一個の所持罪が成立するだけ
であつて文書の個数に応ずる数個の所持罪が成立する謂れなきは勿論、又凡そ所持
罪は一定の継続する状態を以て処罰の対象とするものであるから時間的関係におい
て継続する所持の状態を検察官又は裁判官において恣意に区分し法的処理をなすこ
とは許されない。
 今本件に付之を観るに原判決判示第二、三によれば右所持の日は押収の日である
昭和二十六年七月十六日頃となつては居るが右判示の法的効力が同日と時間的に継
続する所持全般に及ぶこと前示理論により極めて明白である。しかして記録(特に
被告人の検察官に対する第二回供述調書)によれば原判決第一の文書中「こたつ」
「女そして女」「深夜の矯声」「萩の露」の如きは判示の日時である昭和二十六年
七月二日以前に判示第二、三中同題名の文書と共に他から仕入れ被告人において販
売の目的を以て引続き所持していたものと解するのが相当だと思われる。果して然
らば右の文書に関する限りその所持に付二回処罰せらるる結果となり原判決はこの
点においても違法があると言わねばならぬ。
 右の違法は事実誤認に基くものであれ法令の解釈の誤りに基くものであれ判決に
影響を及ぼす性質のものであること明白であつて原判決はこの点において到底破棄
を免れない。論旨は全部理由がある。
 よつて刑事訴訟法第三百九十七条、第四百条本文に則り主文の通り判決する。
 (裁判長判事 谷本寛 判事 藤井亮 判事 川井立夫)

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