弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各控訴はいずれもこれを棄却する。
         理    由
 本件各控訴の趣意は、それぞれ末尾に添えた各書面記載のとおり判断する。
 被告人A弁護人岡田介一の控訴の趣意第一点について
 現行刑事訴訟法の下においては、検察官、検察事務官又は司法警察職員は刑事訴
訟法第二百二十三条第一項によつて参考人を取り調べることができるけれども、そ
の供述を録取した調書は同法第三百二十六条の規定により、当事者がこれを証拠と
することに同意しない限り、同法第三百二十一条第一項第二号又は第三号の場合に
のみ証拠能力が認められるに過ぎないのである。そして、このことは「刑事被告人
は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ」なければならないとす
る憲法第三十七条第二項前段の精神に則り、直接審理主義、公判中心主義の徹底を
はかつている現行刑事訴訟法の下においては、当然のことといわなければならな
い。しかし、捜査の実際においては、捜査機関の取調に対して真相を供述した参考
人が後日証人として公判廷に喚問された際、被告人側の圧迫を受け、当該公判期日
において前にした供述を翻す場合があり、しかも、その前の供述が犯罪の証明に欠
くことができないものであるときにこれを証拠とすることができないものとするな
らば、ついに有罪判決を為すに由なく適正な国家刑罰権の実現を期することができ
ない場合が予想されるから、現行刑事訴訟法はこの欠陥を補正する意味において、
とくに、刑事訴訟法第二百二十七条を設けたものと解すべきである。しかし、検察
官は同条第一項の規定によつて既に取り調べた証人を再度公判廷において取り調べ
られたい旨を請求することができることは勿論であり、かかる場合証人は公判廷に
おいて、被告人側の圧迫を受け、不本意ながら従前の供述と異なる供述をする虞が
充分であるから、発問者は証人に対し、さきに証人が刑事訴訟法第二百二十七条の
規定に基いて尋問を受けた際作成された尋問調書を読み聞け、もつて従前の供述を
確かめ、或いは整理、釈明する等の方法をとり、証人の供述が前記の如き圧迫によ
る影響を受けないような配慮をすることは、かかる場合、当然許容せらるべき範囲
に属するものと解すべく、これをもつて刑事訴訟法第二百九十五条前段にいわゆる
相当でない尋問であるということはできない。ところで、原審第三回公判調書を見
ると、同公判期日において、検察官は証人Bに対し、所論の尋問を為し、被告人A
原審弁護人岡田介一はこれに対し異議を述べたことが認められるけれども、同調書
によれば、右はさきに同法第二百二十七条の規定に基き証人として尋問を受けた同
証人がその際作成された尋問調書の記載内容と異なる供述を為したので、検察官に
おいて、更に所論の方法によつて同証人に対する尋問を継続したことが明らかであ
るから、かかる尋問を目して同法第二百九十五条前段にいわゆる相当でない尋問で
あるということができない<要旨>ことは当然である。又、同弁護人が右証人の供述
を証拠とすることについて異議の申立をしたことに対し、原裁判所が何等の
決定をしていないことは、前記調書の記載によつて明らかであるけれども、かかる
証拠の採否に関する弁護人の意見は、刑事訴訟法第三百九条第一、二項所定の異議
とは考えられないから、かかる弁護人の陳述に対し、裁判所が決定をしなくても、
これをもつて法令に違反したものということはできない。そして、右公判調書中の
証人Bの供述記載中、原判示に添う部分は筋がとおつていてこれを信用するに足り
るものと認むべきであるから、原判決がこれを本件の罪証に供したことについては
何等違法、不当の廉はないものといわなければならない。即ち、原判決には各所論
の違法はなく、論旨は理由なきものである。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 下村三郎 判事 高野重秋 判事 真野英一)

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