弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人岡本憲彦の上告理由について
 債権者から物上保証人に対する不動産競売の申立てがされ、執行裁判所のした開
始決定により物上保証人に対して差押えの効力が生じた後、債務者に右決定の正本
が送達された場合には、時効の利益を受けるべき債務者に差押えの通知がされたも
のとして、民法一五五条により、債務者に対して、当該担保権の実行に係る被担保
債権について消滅時効の中断の効力を生ずるが(最高裁昭和四七年(オ)第七二三
号同五〇年一一月二一日第二小法廷判決・民集二九巻一〇号一五三七頁参照)、右
送達が決定の正本を書留郵便に付してされたもの(民事執行法二〇条、民訴法一七
二条参照)であるときは、右正本が郵便に付して発送されたことによってはいまだ
時効中断の効力を生ぜず、右正本の到達によって初めて、債務者に対して消滅時効
の中断の効力を生ずるものと解するのが相当である。けだし、不動産競売の開始決
定の正本の送達が書留郵便に付してされた場合には、民事執行法二〇条において準
用する民訴法一七三条の規定により、右正本の発送の時に送達があったものとみな
されるが、そのような効果は不動産競売の手続上のものにとどまるのであって、実
体法規としての民法一五五条の適用上、差押えが時効の利益を受ける者である債務
者に通知されたというためには、債務者が右正本の到達により当該競売手続の開始
を了知し得る状態に置かれることを要するものというべきであるからである。
 原審の適法に確定したところによれば、上告人は、D建設株式会社に対する求償
債権等を被担保債権とする根抵当権の実行として、物上保証人であるEの所有する
不動産につき競売の申立てをし、執行裁判所は、その開始決定をした上、債務者で
あるD建設に対し、右決定の正本を書留郵便に付して発送したところ、右郵便は、
留置期間満了により執行裁判所に返送されたというのであるから、右開始決定の正
本の発送により、上告人のD建設に対する求償債権の消滅時効が中断したというこ
とはできない。
 ちなみに、論旨がその七項のなお書において言及する「普通郵便で発送した通知
書」について付言するに、右の書面は、いわゆる付郵便送達により手続法上送達の
効力が生じた後、手続の進行を事実上債務者に知らしめるための措置として、普通
郵便をもって連絡するものであって、何らかの法律上の効果を予定したものではな
い。もっとも、その書面の記載内容により、特定の被担保債権につき物上保証人に
対して競売手続が開始されたことを債務者が了知し得るときは、これに伴う実体法
上の効果を認める余地がないとはいえない(原判決の判示するところも、その趣旨
に理解することができよう。)。しかし、本件において担保権は根抵当権であると
ころ、右通知書には被担保債権の表示がなく、その記載内容によって担保権の実行
に係る被担保債権を特定することができないというのであるから、右通知書の送付
をもって民法一五五条にいう通知がされたものということもできない。
 以上と同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。右判断は、所論
引用の判例に抵触するものではなく、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の
見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    尾   崎   行   信
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    大   野   正   男
            裁判官    千   種   秀   夫

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛