弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人副島次郎の上告趣意第一点は憲法三八条三項違反を主張する。原判決は、
検察官の面前において相被告人のした供述を録取した調書のみによつて、犯罪を認
定するも違法でなく、これらの供述に対しては補強証拠の存在を必要としない旨を
判示している。しかし、これは引用判例(判例集六巻一一号一二九八頁以下参照)
の趣旨を誤解したものである。なるほど右供述調書は、原判示のように被告人(A)
との関係においては、刑訴三二一条一項二号の書面として証拠能力を有するけれど
も、共同審理を受けている共同被告人の供述(自白)は、ただそれだけでは完全な
独立の証拠能力を有するものということはできない。(判例集三巻六号七三四頁参
照)従つて補強証拠を必要とすることは所論のいうとおりである。
 しかし、補強証拠は、必ずしも自白の内容そのものを全部に亘り証するに足るも
のであることを要せず、自白の真実性を保障するをもつて足るものというべきであ
る。そして、第一審判決にあげている証拠によつて、右自白の真実性は保障されて
いると認められるから、原判決は結局正当であつて、論旨はとることをえない。
 同第二点は事実誤認、同第三点は量刑不当の主張であつて、いずれも上告適法の
理由に当らない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められ
ない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三〇年九月二九日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    入   江   俊   郎

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