弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成22年11月30日判決言渡
平成22年(行ケ)第10215号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成22年10月26日
判決
原告X
訴訟代理人弁理士伊藤捷雄
訴訟復代理人弁理士田中正平
被告朝霧ヨーグル豚販売協同組合
訴訟代理人弁理士大津洋夫
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が無効2009−890126号事件について,平成22年6月2日
にした審決(「審判請求は成り立たない。」とした部分を除く。)を取り消す。
第2当事者間に争いのない事実
1特許庁における手続の経緯等
原告は,商標登録第4920741号(平成17年3月14日出願,平成1
8年1月13日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。本
件商標は,「ハーブヨーグルトン」の片仮名を標準文字で表記されたものであ
り,その指定商品は別紙指定商品目録1のとおりである。
被告は,平成21年11月20日,以下のとおり主張して,本件商標の登録
を無効にすることを求めて無効審判(無効2009−890126号。以下
「本件無効審判」という。)の請求をした。
すなわち,①本件商標は,登録商標第4722030号(以下「引用商標」
という。引用商標は,平成14年10月10日登録出願,平成15年10月3
1日設定登録され,「ヨーグルトン」の片仮名を標準文字で表記し,その指定
商品は,別紙指定商品目録2のとおりである。)と,商標において類似し,か
つ指定商品(本件商標中の「食用油脂,乳製品」を除く。)において類似する
ので,本件商標中の「食用油脂,乳製品」を除く指定商品について,商標法4
条1項11号に該当する無効理由がある,②本件商標は,商標法4条1項16
号に該当する無効理由があると主張した。
特許庁は,平成22年6月2日,「商標登録第4920741号の指定商品
中「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍果実,肉製品,
加工水産物,加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,
加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ
物,豆,食用たんぱく」についての登録を無効とする。その余の指定商品につ
いての審判請求は成り立たない。」との審決(以下「審決」という。)をし,
その謄本は,同年6月10日,原告に送達された。
2審決の理由
別紙審決書写しのとおりである。要するに,①本件商標の登録は,指定商品
中「食用油脂,乳製品」を除くものについて,商標法4条1項11号に該当す
るものについてされたものである,②本件商標は,指定商品に使用しても商品
の品質について誤認を生ずるおそれがあるとはいえず,商標法4条1項16号
に該当しない,③したがって,その指定商品中「食肉,卵,食用魚介類(生き
ているものを除く。),冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工果実,油揚げ,
凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はス
ープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」について,
商標法46条1項の規定により無効とし,その余の商品については,商標法4
条1項16号に違反して登録されたものではないから,その登録を無効とする
ことはできない,というものである。
第3当事者の主張
1取消事由に係る原告の主張
(1)商標法4条1項11号該当性判断の誤り(取消事由1)
ア審決は,商標法4条1項11号該当性につき,次のとおり判断した。
(ア)本件商標について
本件商標は,「ハーブヨーグルトン」の片仮名よりなり,外観上は,
標準文字により,等間隔にまとまりよく表記されているが,全体が9文
字とやや多く,構成全体から生ずる「ハーブヨーグルトン」の称呼は9
音とやや冗長といえる。「ハーブヨーグルトン」は,特定の意味合いを
もって知られている語とは認められず,また,「ハーブ」は,「薬草,
香味料とする草の総称」を意味する語として,一般に広く知られたもの
ということができる。
上記のことから,本件商標が「ハーブ」と「ヨーグルトン」を結合し
てなるものと理解する場合もあり,本件商標中の「ハーブ」の文字部分
は,自他商品の識別力が無いか又は極めて弱いと認められ,「ヨーグル
トン」の文字部分が自他商品識別力を有する部分というべきである。本
件商標は,各構成部分がそれらを分離して観察することが取引上不自然
であると思われるほど不可分的に結合しているとの被申請人(原告)の
主張は採用できない。
したがって,本件商標は,構成全体より「ハーブヨーグルトン」の称
呼を生じ,その要部と認められる「ヨーグルトン」の文字部分より「ヨ
ーグルトン」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものと認められる。
(イ)引用商標について
引用商標は,「ヨーグルトン」の片仮名文字を標準文字で表記したも
ので,意味を有しない造語よりなるから,構成文字に相応して「ヨーグ
ルトン」の称呼を生ずるが,特定の観念を有しない。
(ウ)本件商標と引用商標の類否について
本件商標の要部である「ヨーグルトン」の文字部分と引用商標は,外
観上類似し,いずれも「ヨーグルトン」の称呼を生じ,観念については,
両商標はいずれも特定の観念を生じないから比較することができない。
本件商標と引用商標は,称呼を共通にし外観も類似する互いに相紛らわ
しい類似の商標である。
本件商標の指定商品中,「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを
除く。),冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工果実,油揚げ,凍り豆
腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はス
ープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」は,
引用商標の指定商品と同一であるから,本件商標の登録は,その指定商
品中,上記のものについて,商標法4条1項11号に該当するものにさ
れた。
イしかし,審決の判断には誤りがある。すなわち,
(ア)本件商標の一体不可分性
本件商標は,「ハーブヨーグルトン」と片仮名で,同書,同大,同間
隔に表記されていることから,語呂や結合状体もよく,一挙によどみな
く読むことができる。また,「ハーブヨーグルトン」は,特に意味のな
い造語であるが,「ハーブ」と「ヨーグルトン」の結合商標であるとの
観点に立ったとしても,指定商品との関係から,「ハーブ」と「ヨーグ
ルト又はヨーグルト状」の飼料で育てた豚という1つのまとまった観念
を生じさせるものであり,「ヨーグルトン」には自他商品の識別機能は
薄弱であるから,「ハーブ」と「ヨーグルトン」の文字部分に識別力の
軽重の差はない。
したがって,本件商標は一体不可分であり,「ハーブ」と「ヨーグル
トン」に分離して観察しなくてはならない必要性はない。
(イ)本件商標と引用商標の類否
a本件商標の外観,観念,称呼
本件商標は,上記のとおり,一体不可分であり,一挙によどみなく
読むことができるから,「ハーブヨーグルトン」の称呼のみが生じる。
また,「ヨーグルトン」は,多くの人が「ヨーグルト」を連想し,
「トン」は「豚」の音読みであるから,「ヨーグルト,或いは,ヨー
グルト状の発酵飼料を用いて育成した豚」という観念を生じさせるも
のであり,意味のない造語ではない。リキッドフィーディング,発酵
リキッドフィーディングは,ヨーロッパで以前から知られた豚の給餌
方法であり,日本でも,養豚業者や飼料会社のような一般取引者の間
で良く知られ,引用商標出願時に,一般取引業者の間において,この
ような豚の飼育方法があることは周知であった。
b引用商標の外観,観念,称呼
「ヨーグルトン」は,片仮名で同書,同大,同間隔で表記されたも
ので,「ヨーグルトン」の称呼のみを生じる。
また,「ヨーグルトン」は,上記のとおり,「ヨーグルト,或いは,
ヨーグルト状の発酵飼料を用いて育成した豚」という観念を生じさせ
るものであり,意味のない造語ではなく,品質を表示するものであっ
て,自他商品識別力がない商標である。
c類否判断
本件商標を一体不可分として見た場合,本件商標と引用商標は,外
観,観念,称呼において非類似である。
ウ小括
本件商標と引用商標とは類似せず,本件商標は,商標法4条1項11号
に該当しないから,審決の判断は誤りである。
(2)本件無効審判請求の不当性(取消事由2)
「ヨーグルトン」は,以下のとおりの無効理由を有する商標であり,現在
使用していない商標であるから,被告が,これを引用商標として,無効審判
請求をすることは許されない。
まず,引用商標は,商標法3条1項3号にいう品質を表示する標章に当た
るものである。すなわち,引用商標の「ヨーグルトン」という名前の由来は,
ヨーグルト状の飼料を食べさせて育てた豚(トン)であるが,ヨーグルト状
の飼料を与えて豚を飼育する「リキッドフィーディング」は,引用商標の出
願以前に,養豚業者や食肉の卸売業者には広く知られた豚の飼育方法であり,
引用商標に接した養豚業者や食肉の卸売業者などの一般取引者は,直ちにヨ
ーグルト状の飼料を与えて育てた豚,或いは豚肉であると理解する。
また,引用商標の出願前である昭和44年に設立された株式会社ヨーグル
トン乳業という会社が存在し(甲58の1ないし6),同社は,設立当初か
ら「ヨーグルトン」の商標を用いて「乳製品」の製造販売を行っている。乳
製品は引用商標の出願時に第29類に分類されていたから引用商標と同一分
類になる。すなわち,「ヨーグルトン」は,株式会社ヨーグルトン乳業の設
立当初から,引用商標の出願日である平成14年10月10日まで,28年
間の使用実績があり,周知性を取得していたものと考えられる。そうすると,
引用商標は,出願時に,他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれのある
商標として,本来,商標法4条1項15号の規定により,商標権を取得でき
なかったものである。しかも,被告は,平成18年10月24日付けの本件
商標に係る登録維持の異議決定後,引用商標の登録日である平成15年10
月31日から5年の除斥期間が経過した平成21年11月20日まで待って
本件無効審判を請求している。
さらに,被告は,引用商標を現在使用していない。
したがって,被告が,「ヨーグルトン」を引用商標として,無効審判請求
に及ぶことは不当である。
2被告の反論
(1)取消事由1(商標法4条1項11号該当性判断の誤り)に対し
本件商標が,商標法4条1項11号に該当するとした審決の判断に誤りは
なく,原告の主張は失当である。すなわち,
ア原告は,本件商標について,「ハーブヨーグルトン」と片仮名で,同じ
大きさ,同一の標準文字により同間隔に表記されているから,一体不可分
のものとして理解されるべきであると主張する。
しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。すなわち,本件商標
の「ハーブ」の文字部分は,食品業界では食品の原材料,家畜の飼料とし
て用いられることがよく知られているから,「ハーブ」と「ヨーグルト
ン」は,不可分的に結合しているとは認められない。
イ原告は,引用商標の「ヨーグルトン」は,ヨーグルト,或いは,ヨーグ
ルト状の発酵飼料を用いて育成した豚という観念を生じさせるものであり,
観念の生じない造語とはいえないと主張する。
しかし,原告の上記主張も,以下のとおり失当である。すなわち,「ヨ
ーグルトン」は,辞書に記載のない用語であり,明確な意味を有しないか
ら,その識別力は強いというべきである。
(2)取消事由2(本件無効審判請求の不当性)に対し
取消事由2は,審決において判断されなかった事項であり,本件訴訟の審
理の対象とされるべきではないから,原告の主張は失当である。
また,引用商標が,商標法3条1項3号にいう品質を表示する標章に該当
するとの原告の主張を前提とするならば,本件商標も,「ハーブ」と「ヨー
グルトン」との組み合わせからなり,同様の理由により,商標法3条1項3
号に該当することになり,登録要件を欠くことになる。
さらに,原告は,①引用商標には,商標法4条1項15号に該当する無効
理由を有する商標であると主張するが,同主張に係る事項は,無効理由に該
当せず,失当であり,②被告が,現在使用していない商標を引用して無効審
判請求をすることは許されないと主張するが,引用商標は,被告において使
用しているから,同主張は失当である(甲35の1ないし5)。
第4当裁判所の判断
当裁判所は,原告の主張する取消事由はいずれも理由がなく,審決に取り消
すべき違法はないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。
1取消事由1(商標法4条1項11号該当性判断の誤り)について
(1)本件商標と引用商標の類否について
ア事実認定
(ア)本件商標の称呼,観念及び外観
本件商標は,「ハーブヨーグルトン」の文字を,同一の大きさ,同一
の間隔で,標準文字(片仮名)により,一連に表記した商標である。
本件商標からは,「ハーブヨーグルトン」の称呼及び外観が生じる。
本件商標からは,以下のとおり,格別の観念は生じない。
本件商標は,一連に記載されているので,何を意味するか不明であり,
仮に「ハーブ」部分と「ヨーグルトン」部分とを分けて理解したとして
も,全体として,固有の意味は生じない。すなわち,同商標中の「ヨー
グルトン」部分は,それ自体に固有の意味を有することのない造語であ
ると理解される。「ヨーグルト」部分に着目するならば,牛乳等に乳酸
菌を加えて発酵させた食品である「ヨーグルト」を連想させ,「トン」
部分は,「豚」や重さの単位である「トン」を連想させるが,一般的に
は,相互に関連のない語の組み合わせであること,2つの語で重複する
「ト」が単一の文字(音)となって用いられることになり,いずれか一
方の意味に関連させて理解した場合には,他の部分が全く意味を有しな
いことになる等の点に照らすならば,「ヨーグルトン」部分は,格別の
観念を生じることのない造語であると理解するのが合理的である。同商
標中の「ハーブ」部分は,草,香味料,薬草そのもの,及び健康食品,
料理に用いられる香草等を指す語と理解され(甲4,5,乙28∼3
0),同部分からは,「香草等を用いた」との観念を生じる可能性があ
るが,「ヨーグルトン」部分が格別の観念を生じないことから,本件商
標全体が,一連に記載されており,何を意味するか不明であることに照
らすならば,本件商標全体として格別の観念を生じることはないという
べきである。
(イ)引用商標の称呼,観念及び外観
引用商標は,「ヨーグルトン」の文字を,同一の大きさ,同一の間隔
で,標準文字(片仮名)により,一連に表記した商標である。
引用商標からは,「ヨーグルトン」の称呼及び外観が生じる。
引用商標からは,以下のとおり,格別の観念は生じない。「ヨーグル
トン」は,それ自体に固有の意味を有することのない造語であると理解
される。「ヨーグルト」部分に着目するならば,牛乳等に乳酸菌を加え
て発酵させた食品である「ヨーグルト」を連想させ,「トン」部分に着
目するならば,「豚」や重さの単位である「トン」を連想させるが,一
般的には,相互に関連のない語の組み合わせであること,2つの語で重
複する「ト」が単一の文字(音)となり,いずれか一方の意味に関連す
るように理解した場合には,他の部分が全く意味を有しないことになる
等の点に照らすならば,「ヨーグルトン」は,格別の観念を生じること
のない造語であると理解するのが合理的である。したがって,「ヨーグ
ルトン」の語の識別力は,決して弱いものとはいえず,むしろ強く保護
されてしかるべきである。
(ウ)取引の実情
原告は,昭和51年ころから,埼玉県深谷市において,井田ファーム
と称して養豚業を営み,平成15年1月ころから,食品残渣を利用して
豚にヨーグルト状の飼料を与える「発酵リキッドフィーディングシステ
ム」を用いた養豚を始めた。原告は,発酵リキッドの各原料の発酵時に
穀物配合飼料の発酵タンクへ,ハーブの一種であるオレガノを含む液を
混入させることにより,乳酸菌の多い液体ヨーグルト状を呈した,異臭
を発しない,発酵リキッドを飼料として用いた。原告は,本件商標の設
定登録を得た平成18年1月13日に先立つ,平成17年1月ころから,
埼玉県に本社のある株式会社小林畜産を通じて,ハーブ入り発酵リキッ
ド飼料を用いた豚肉を「ハーブヨーグルトン」の名称で販売してきた。
ところで,豚にヨーグルト状の飼料を与えて豚を育成させる給餌方法
(リキッドフィーディング,発酵リキッドフィーディング)は,豚の成
育に好影響を与え,疾病を減少させ,飼料のコストを抑制させるなどの
利点があるとして,ヨーロッパでは以前から行われ,日本でも,平成1
3年の食品リサイクル法の施行,平成15年の農林水産省食品リサイク
ルモデル緊急整備事業等に伴い,全国の養豚業者や給餌機器の製造販売
業者等の間に周知されるようになっている。
一方,被告は,平成15年2月に,乳酸菌発酵飼料を用いた豚の共同
購入,共同加工,販売などを行なう目的で設立された協同組合である。
富士宮市,富士市,沼津市の食肉卸業者5社及び養豚事業者が,乳酸菌
発酵飼料を用いた豚の普及を図るため,試食会などを開催したり,大学
と連携して安全性や品質を保証するためのシステムの導入を進める等の
活動を行っている。被告の販売に係る豚を取り扱う店は,富士宮市,富
士市,沼津市及びその近郊に所在するスーパーを含む10数店舗であり,
豚肉,ハム,ソーセージ等が販売されている。被告は,引用商標のほか,
「朝霧ヨーグル豚」,「ヨーグル豚」の商標を登録しており,豚肉,肉
製品の販売,宣伝,広告等に使用している。商品の包装容器に貼付する
ラベルには「朝霧ヨーグル豚」が使用されることが多いが,ホームペー
ジの広告記事等には引用商標や「ヨーグル豚」も用いられている。(以
上,甲26,35の1ないし6,36,38,42,48の1ないし5,
60の1ないし10,61の1,2及び弁論の全趣旨)
イ判断
本件商標と引用商標とは,いずれも,それぞれも文字を同一の大きさ,
同一の間隔で,標準文字(片仮名)により,一連に表記した商標である。
本件商標からは,「ハーブヨーグルトン」の称呼を生じるが,特定の観
念を生じるとまではいえず,また,外観における特徴もない。また,引用
商標から「ヨーグルトン」との称呼を生じるが,特定の観念を生じるとま
ではいえず,また,外観における特徴もない。
本件商標と引用商標を対比すると,本件商標を構成する9文字中の6文
字からなる「ヨーグルトン」部分において共通する。そして,引用商標
「ヨーグルトン」は,前記のとおり造語であることから,指定商品の取引
にあたっては,強く認識され,記憶される称呼というべきである。したが
って,引用商標は,称呼の観点からも,出所識別力は強い。これに対し,
本件商標中の「ハーブ」は,9文字中3文字であり,ヨーグルトンと称さ
れる商品の中で,ハーブに関係する特徴を備えたものという付加的な表示
と理解され,さほど重視されることはないというべきであるから,両商標
は,称呼及び外観において類似するということができ,両商標とも特定の
観念を生じることはないから,観念における相違はなく,両商標は,全体
として類似すると解すべきである。
この点,原告は,我が国で,養豚業者や飼料会社のような一般取引業者
の間において,リキッドフィーディング,発酵リキッドフィーディングに
よる豚の飼育方法があることは周知であったことに照らすと,「ヨーグル
トン」の語は,「ヨーグルト,或いは,ヨーグルト状の発酵飼料を用いて
育成した豚」という観念を生じさせ,「ヨーグルトン」部分の識別力は弱
いと主張する。
しかし,本件全証拠によるも,出願時及び査定時において,本件商標又
は引用商標に接する食肉,肉製品の需要者の間において,発酵リキッドフ
ィーディングに関する知識を有していたこと,及び「ヨーグルトン」の語
について,発酵リキッドフィーディングを用いて飼育した豚であると広く
理解されていたことを認めることはできない。したがって,本件商標の
「ヨーグルトン」部分は,発酵リキッドフィーディングを用いて飼育した
豚を指す普通名詞であるから,特徴的な部分ではなく,本件商標の「ハー
ブ」部分のみが特徴的な部分であるとする原告の主張は,採用できない。
(2)小括
以上のとおりであり,本件商標は,その指定商品中の「食用油脂,乳製
品」について,引用商標の指定商品とは非類似であるが,前記以外の指定商
品については,引用商標の指定商品と同一又は類似であるから,本件商標の
登録は,その指定商品中,「食用油脂,乳製品」を除くものについて,商標
法4条1項11号に該当するとした審決の判断に誤りはなく,原告の主張は
採用できない。
2取消事由2(本件無効審判請求の不当性)について
原告は,「引用商標は,商標法3条1項3号にいう品質を表示する標章に当
たるものであること,出願時に他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれの
ある商標として,本来,商標法4条1項15号の規定により,商標権を取得で
きなかったものであり,しかも,被告は,本件商標に係る登録維持の異議決定
後,引用商標の登録日である平成15年10月31日から5年の除斥期間が経
過した平成21年11月20日に本件無効審判を請求していること,被告は現
在,引用商標を使用していないことから,被告がこれを引用商標として,無効
審判請求に及ぶことは不当である。」と主張する。
上記主張は,本件無効審判の手続において審理の対象とされなかった事項で
あり,特段の事情のない限り,本件訴訟において,審決の固有の取消事由とし
て主張することができないというべきであり,本件において,取消訴訟におい
て,そのような主張を判断することが正当であるとする特段の事情はない。
のみならず,原告の主張は,①引用商標の「ヨーグルトン」は,上記1のと
おり,格別の観念を生じない造語であるから,品質を表示する標章であるとは
いえず,また,②無効審判請求の除斥期間が経過した後に,自己の有する登録
商標を引用商標として,商標法4条1項11号所定の無効審判請求を行うこと
が不当であるとする根拠はない。
よって,原告の主張は採用できない。
3小括
以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。原告は,その他
縷々主張するが,いずれも採用の限りでない。
なお,原告は,平成22年9月30日に本件商標登録の指定商品の一部を放
棄したとして,商標権の一部抹消登録申請書を提出したものであるが,そのこ
とは審決の結論に影響を与えるものではないから,上記の判断は左右されない。
第5結論
よって,原告の請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判
決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官
飯村敏明
裁判官
齊木教朗
裁判官
武宮英子
別紙
指定商品目録1
第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),
冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,
豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりか
け,なめ物,豆,食用たんぱく」
ただし,原告は,上記指定商品中「食用油脂,乳製品,食肉(ハーブの粉を混ぜ合
わせたヨーグルト状の発酵飼料で育てた豚肉を除く。),肉製品(ハーブの粉を混
ぜ合わせたヨーグルト状の発酵飼料で育てた豚肉の肉製品を除く。)」については,
平成22年9月30日に放棄したとして,商標権の一部抹消登録申請書を提出した。
(甲73)
指定商品目録2
第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果
実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,
豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,
ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛