弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役六月に処する。
     但し弐年間右刑の執行を猶予する。
     原審の訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の理由は末尾添付の控訴趣意書の通りである。
 第二点について、
 原判決は本件業務妨害の公訴事実について、、被告人は工場内モーター室におい
て勝手に同室配電盤に設置のスヰツチA3、5、B1、2、3、及びモーターに設
置のA12、4、B4の各スヰツチを切り折柄運転中のモーターを停止せしめ織機
三二〇台の運転を止め因て一時操業を不能に陷れたと云う事実を認めながら、当時
配電室には何人も存せず従て被告人は他人の意思を制圧するが如き行動を用いて前
記行為を為したものとは認め<要旨>られないと説明して被告人の行為は罪とならな
いと断じていることは所論の通りである。しかし当審の検証調書によれば同
工場における配電の設備は同室に設置のスヰツチを切ればモーターが停止し織機の
運転が止る仕掛けとなつているのであるから、織機の運転停止は被告人のスヰツチ
切断なる行為が必然的に発生せしめた状態換言すれば被告人の行為の延長に外なら
ないのである。そして被告人の行為により発生した織機の運転停止なる状態は操業
中の工場従業員の自由意思を制圧する勢力に当ることは極めて明白である。蓋し、
操業中の工場従業員は操業に従事していること自体によつて、操業を継続する自由
意思を表明しているものに外ならないのであつて被告人の行為は明らかに右自由意
思の遂行を制圧し、業務妨害罪を構成するものと云わねばならないのである。結局
原判決は法律の解釈を誤り、犯罪を構成する事実について無罪を言渡したものであ
つて、この点において破棄を免れないのである。論旨は理由がある。
 第一点について。
 論旨は住居侵入罪について量刑不当を主張するのであるが、これと業務妨害罪と
は互に手段結果の関係にあるからこれを後に一の牽連犯として処断量刑する場合に
考慮するであろう。
 以上説明した理由により原判決を破棄し、直ちに判決することができると認め、
刑事訴訟法第三百九十七条第四百条但書に従い次の通り判決する。
 被告人は元岸和田市a町所在A株式会社B工場の工員であつたが、昭和二十五年
十一月十二日同工場を解雇せられたものであるところ、同月二十三日午後一時十分
頃同工揚守衛C等の制止もきかず表門から故なく同工場内に侵入し同モーター室に
おいて勝手に同室配電盤に設置のスヰツチA3、5、B1、2、3、及びモーター
に設置のA12、4、B4の各スヰツチを切り折柄運転中のモーターを停止せしめ
織機三二〇台の運転を止め因て一時操業を不能の状態に陥れ以て右工場の業務を妨
害したものである。
 右事実は
 一、 原審第二回公判調書中証人D、同Cの供述記載
 二、 E、F、Gの権察官に対する各第一回供述調書の記載
 三、 D作成の被害顛末書の記載
 四、 当審の検証調書の記載
 を綜合してこれを認める。
 法律に照すと被告人の判示所為中住居侵入の点は刑法第百三十条罰金等臨時措置
法第三条第二条に業務妨害の点は刑法第二百三十四条罰金等臨時措置法第三条第二
条に該当し、以上は互に手段結果の関係にあるから、刑法第五十四条第一項後段第
十条により重い後者の刑に従い、所定刑中懲役刑を選択して被告人を懲役六月に処
し、同法第二十五条により二年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用の負担については
刑事訴訟法第百八十一条に従い主文の通り判決する。
 (裁判長判事 斎藤朔郎 判事 松本杢三 判事 網田覚一)

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