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平成12年(行ケ)第365号商標登録取消決定取消請求事件(平成12年10月
23日口頭弁論終結)
          判     決
     原      告   ホーユー株式会社
     代表者代表取締役   【A】
     訴訟代理人弁理士   【B】
     同          【C】
     被      告   特許庁長官 【D】
     指定代理人      【E】
     同          【F】
          主     文
    特許庁が異議2000-90221事件について平成12年8月17日に
した決定を取り消す。
    訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた判決
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者の主張
 1 原告
  (1) 特許庁における手続の経緯
    原告は、別添決定謄本写しの末尾「本件商標」欄に記載した構成より成
り、指定商品を商標法施行令別表による第3類「せっけん類、香料類、化粧品、歯
磨き」とする登録第4333644号商標(平成10年11月26日登録出願、平
成11年11月12日設定登録、以下「本件商標」という。)の商標権者である。
    エッチ・ツー・オー・プラス・リミテッド・パートナーシップ(以下「異
議申立人」という。)は、平成12年3月17日、本件商標につき登録異議の申立
てをした。
    特許庁は、同申立てを異議2000-90221事件として審理した上、
平成12年8月17日、結論を「登録第4333644号商標の登録を取り消
す。」とする決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は、同年9月4日
に原告に送達された。
  (2) 本件決定の理由
    別添決定謄本写し記載のとおりである。
  (3) 本件決定取消事由
    本件商標が商標法4条1項10号、11号、15号及び19号に該当し、
その登録は取り消されるべきであるとする異議申立人の登録異議の申立てに対し、
本件決定は、結論では「登録第4333644号商標の登録を取り消す。」としな
がら、その理由中では、本件商標が当該各号に違反して登録されたものではないと
するものであるから、本件決定は、理由を付せず、又は理由に食い違いがあり、違
法として取り消されるべきである。
 2 被告
   原告の主張は全部認める。
第3 当裁判所の判断
 1 原告の主張(1)(特許庁における手続の経緯)及び同(2)(本件決定の理由)
は、当事者間に争いがない。
 2 原告主張の本件決定取消事由について
   前示争いのない本件決定の理由によれば、本件登録異議の申立ての理由は、
①本件商標が、異議申立人の有する登録第4295930号商標(平成8年3月2
6日登録出願、平成11年7月16日設定登録、以下「引用商標」という。)と類
似する商標であって、指定商品も類似するものであり、また、②異議申立人の有す
る引用商標及び商標「H2O PLUS」は、本件商標の登録出願前、異議申立人
の化粧品等を表示するものとして米国及び日本国内において周知、著名であったと
ころ、本件商標は、これらに類似するものであり、本件商標をその指定商品に使用
した場合には、異議申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあり、
さらに、③本件商標は、異議申立人の商標に化体した信用にただ乗りしようとして
採択されたものと考えられ、不正の目的をもって使用をするものであるとして、本
件商標が、商標法4条1項10号、11号、15号及び19号に該当するというも
のである(決定謄本2頁7行目~21行目)。
   これに対し、本件決定は、その理由中において、本件商標と異議申立人の引
用商標及び商標「H2O PLUS」とは、その外観、称呼及び観念のいずれにお
いても非類似の商標であって、本件商標により異議申立人を想起させることはない
から、引用商標及び商標「H2O PLUS」が化粧品に使用され、需要者にある
程度知られていたとしても、本件商標を指定商品に使用した場合に、その商品が異
議申立人又は異議申立人と関係を有する者の業務に係るものであるかのように商品
の出所の混同を生ずるおそれがなく、また、出所表示機能を希釈化させたり、その
名声を毀損させるなど、不正の目的をもって出願されたものとも認められないか
ら、本件商標は、商標法4条1項10号、11号、15号及び19号に違反して登
録されたものではないと判断している(同2頁22行目~3頁13行目)。
   そうすると、本件決定の上記理由に従えば、本件商標の登録を維持する旨の
結論となるべきものであるのに、本件決定は、その結論では、本件商標の登録を取
り消すとしているのであるから、結論と理由との間に食違いがあることは明白であ
り、したがって、本件決定はこの点において違法として取消しを免れない。
 3 よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき
行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第13民事部
裁判長裁判官   篠 原 勝 美
裁判官   石 原 直 樹
裁判官   長 沢 幸 男

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