弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人は無罪。
理由
第1公訴事実及び争点
本件起訴状記載第1の公訴事実(要旨)は,「被告人は,平成19年5月2
8日午前7時56分ころから同日午前7時58分ころまでの間,大阪市(以下
略)のA株式会社B線C駅付近から同市(以下略)の同線D駅付近までの間を
走行中の普通電車(以下「本件電車」という。)内において,E(当時17
歳)に対し,着衣の上から右肘をその左乳房に押し付けて触り,もって,公共
の乗物において,人を著しくしゅう恥させ,かつ,人に不安を覚えさせるよう
な方法で,衣服等の上から人の身体に触れた。」(以下「第1事件」とい
う。)というもので,本件起訴状記載第2の公訴事実(要旨)は,「被告人は,
同日午前7時59分ころから同日午前8時1分ころまでの間,前記D駅付近か
ら同市(以下略)の同線F駅付近までの間を走行中の本件電車内において,G
(当時15歳)に対し,その臀部をスカートの上から触った上,スカートをま
くり上げてパンティの上から触り,もって,公共の乗物において,人を著しく
しゅう恥させ,かつ,人に不安を覚えさせるような方法で,衣服等の上から人
の身体に触れた。」(以下「第2事件」という。)というものである。
本件の争点は,①第1事件につきEを被害者とする痴漢被害の有無,②第1
事件の犯人が被告人であるか,③第2事件につきGを被害者とする痴漢被害の
有無,④第2事件の犯人が被告人であるかである。以下,各争点について検討
する。
第2前提事実
関係各証拠によれば,以下の事実が認められる。
1被告人は,平成19年5月28日朝,通勤のため,H駅で同駅を午前7時5
4分発の本件電車先頭車両に乗車した。被告人は,身長175.5センチメー
トルで,本件当時上下黒色のスーツを着用し,絵本を2冊入れた黄色の半透明
のビニール袋を手に持っていた。本件電車は通勤客や通学客のため相当混雑し
ていた。
2Eは,通学のため,B線をI駅とF駅の間で利用していた。
3本件当時,高校1年生であったGは,同日朝,通学のため,D駅で同駅を同
時59分発の本件電車先頭車両に乗車し,先頭寄りの左側ドア付近に立ち,進
行方向に向かって左側を向いていた。Gは,身長165センチメートルで,本
件当時は制服である青色のブラウス,チェック柄のスカートを着用していた。
4被告人は,本件電車がD駅を出発した際には,Gと同じように進行方向に向
かって左側を向き,Gの後ろの位置に立っていた。
5Gは,本件電車が午前8時1分ころF駅に到着した際,被告人に痴漢をされ
たとして被告人をつかみ,付近にいた駅員に被告人が痴漢であることを申し出
た。
6E,G及び被告人は,本件当時同じ本件電車に乗り合わせたというだけで,
それまでは互いに全く面識はなかった。
第3第1事件について(争点①,②について)
1Eの供述の概要
Eは,公判廷において,概ね以下のとおり述べる。
(1)平成19年5月28日朝,高校に通学するため,I駅で本件電車先頭車
両に乗車し,車両先端の運転席とを隔てる壁のすぐ横で,電車の左右から見
て中間の位置に立ち,進行方向に向かって左斜め前方を向いていた。本件電
車は相当混雑しており,乗客同士の体が密着している状態であった。
(2)本件電車がC駅を出発する前か後くらいに,左斜め前に立って進行方向
に向かって左側を向いている男性(以下,単に「男性」という。)の右肘が,
軽く曲がった状態で自分の左胸の中央より少し上の部分に当たっていること
に気付いた。最初は偶然に当たっているとも思ったが,電車の揺れとは関係
なく胸の同じ位置に肘が当たり続け,胸を押す力が徐々に強くなって肘を体
に押し付けてくる感じとなったので,おかしいと思った。
男性の肘が胸に当たっていることに気付いてから2,30秒ほど経ってか
ら,肘が当たっていることを男性に気付かせるため,胸の前で腕を組んだ。
本件電車の中は満員で,男性と体が密着している状態だったので,腕を組ん
だことは男性に伝わったと思う。しかし,男性の肘が胸から離れなかったの
で,組んでいた腕をほどく際に男性の肘に手の甲か腕を当てたが,男性から
痴漢をされているという確信まではなかったので,それ以上強い抵抗はしな
かった。
その後も,男性の肘は胸から離れずにむしろ肘を押し付ける力が強くなる
感じがし,本件電車がD駅に入るくらいまで,胸に肘を押し付けられる状況
が続いた。男性は,胸に押し付けている肘を上下左右に動かしたり,胸から
肘を離して再び押し付けたりすることはなく,左胸の同じ位置にずっと肘を
押し付けていた。
(3)本件電車がD駅に到着すると,青いカッターシャツにチェックの柄の入
ったような制服を着た高校生くらいの女の子(以下,単に「女の子」とい
う。)が先頭車両の最も先頭寄りの左側のドアから乗車してきた。男性は,
他の乗客をかき分けるようにして1メートルほど移動し,その女の子の右斜
め後ろに女の子と同じ方向を向いて立った。
男性が急に移動したので,その女の子にも痴漢をするのではないかと思い,
男性を目で追い,体を動かすなどして乗客のすき間から注視していた。
本件電車がD駅を出発してしばらくしてから,女の子が何度か嫌そうな表
情で右斜め後ろを振り向いて男性の顔をにらむ感じで見たり,自分の臀部の
方に視線をやったりしていた。
(4)本件電車がF駅に到着した際,女の子は,男性の左肩をつかみ,「この
人痴漢です。」などと言って駅員に突き出した。男性は,「違います。違い
ます。」などと言っていた。女の子が男性を駅員に突き出した時点で,私も
その男性から痴漢をされていたという確信を持った。
視力は0.1くらいで,本件当時は裸眼だったが,胸に肘を押し付けてい
た男性をずっと目で追っていたので,駅員に突き出されたのがその男性であ
ることは間違いない。その男性が被告人であることは間違いないと思う。
この日は,遅刻が多かったせいで早めに登校しなければならなかった上,
女の子が男性を駅員に突き出したことで事件は解決すると思ったので,自分
のことについては被害申告をせずに登校した。
(5)事件から1週間も経たないころ,電車の先頭辺りで迷惑行為があったの
で目撃者は駅員に申し出てほしいという内容の車内アナウンスを聞き,カレ
ンダーで確認すると事件があった日の曜日と一致したので,絶対この日のこ
とだと思った。事件が解決せずに女の子が困っているかもしれないと思った
ので,女の子に協力しようと考えて,駅員に言ったが,駅員の態度が悪かっ
たのでこの日はいったんあきらめた。
その後も同様の車内アナウンスが続いたので,やはり申し出る必要がある
と思い,事件から2週間ほど経ったころ,友人に付き添ってもらい,駅員に
事件当日の状況を言いに行った。
2E供述の信用性について
(1)Eは,男性の肘が当たっている状況,腕を組むなどして抵抗した際の状
況などについて,心情を伴いつつ具体的かつ詳細に自らの認識,経験を述べ
ており,弁護人の反対尋問を経てもその供述内容は一貫している。また,そ
の供述態度も真摯である。Eは,本件当日から2週間ほど遅れて自己の痴漢
被害を申告した理由についても,車内アナウンスを聞いて,女の子に協力し
ようと考えて駅員に申し出たなどと述べ,その説明も納得のいくものである
し,何の面識もない女の子(G)のために偽りの被害申告をするとも考え難
い。また,Eにおいて,被告人を陥れるような虚偽供述をする理由は見当た
らないし,男性(被告人)に肘を胸に押し付けられている際には痴漢被害に
遭っているという確信まではなかったとも述べており,敢えて虚偽の痴漢被
害の事実を作出するような姿勢もうかがわれない。そして,Eの供述は,本
件電車がD駅とF駅の間を走行している間に女の子が後ろを振り返ったとす
る点や,F駅で女の子が男性をつかんで駅員に突き出したとする点において,
後述するGの供述とも整合している。
したがって,Eの公判供述は信用できるというべきである。
(2)この点,弁護人は,Eの供述は,①痴漢被害に気付いたのがC駅を出発
する前か後であるのか,事件当日にカーディガンを着ていたか否かなどにつ
いて,正確な記憶がないのは不自然である,②Eは,Gが被告人の左肩をつ
かんで駅員に突き出したと述べるが,Gはそのように供述をしていない,③
Eは両眼で視力が0.1しかなく,本件当時は裸眼であったにもかかわらず,
1メートルほど先のGの表情や着用していた制服のスカートの柄まで供述し
ているのは不自然である,④本件電車は満員状態で,EとGの間には数人の
乗客が立っていたはずであるから,EからGまでの間に視界が開けていたと
は考えられない上,Gの右後ろに被告人が立ち,更にその右後方にEが立っ
ていたことになるのであるから,Eは被告人に遮られてGの様子を見ること
はできなかったはずである,⑤Eは,本件電車がD駅を発車した際,臀部を
触られるという痴漢被害を受けていたというのであるから,そのような状況
でG及び被告人を注視することができたはずがない,などと主張し,Eはそ
もそも本件電車に乗車していなかったと考えざるを得ず,仮に乗車していた
としても,Gの痴漢被害に乗じて被害申告をしているにすぎず,Eの供述は
信用できないとする。
しかしながら,①については,Eが証言した時には,既に第1事件から1
年近く経っており,日々通学途中に通過しているC駅の発着との先後関係,
自らが着用していた制服の詳細について,あらためて本件当日はどうであっ
たかについて記憶が曖昧となるのもむしろ自然なことである。
②については,後述のとおり,Gは,本件電車から被告人を引き下ろす際
に被告人の手をつかんだと述べているだけで,この供述からだけでは被告人
を駅員に突き出すまでの間に被告人の他の部分をつかんだのか否か,つかん
だとすればどの部分なのかについては明らかになっておらず,Eの供述と直
ちに矛盾するとはいえない。
③については,Eは意識的に注視していたもので,0.1程度の視力でも,
1メートルほどの距離であれば,鮮明ではないとしても顔の表情をある程度
把握することは十分可能であり,Eが女の子が後ろを振り返る動作から嫌そ
うな表情をして男性をにらんでいたとの印象を受けたとしても不自然ではな
い。
④,⑤については,確かに,満員電車の中で1メートルほど離れた距離に
いる人物を観察するに際して他の乗客が視界を遮った可能性があり,また,
自らも臀部に対する痴漢被害を受けていたというのであり,Eがそのことに
気を取られる面があった可能性も否定できないが,前述のとおり,Eは,男
性が女の子にも痴漢をするのではないかと思い,男性を目で追って体を動か
すなどして乗客のすき間から注視していたというのであって,距離も1メー
トルほどにすぎず,肩より上の部分は他の乗客との密着度も低くなるのであ
るから,多少他の乗客に視界が遮られることがあったとしても,Eの位置か
ら2人の様子を視認することは十分可能であったと考えられる。
したがって,弁護人の主張はいずれも採用できない。
3検討
(1)信用できるEの公判供述及び前記前提事実を総合すると,本件電車がC
駅を出発する前後ころからD駅に到着するまでの約2分間,本件電車の先頭
車両内において,Eの左斜め前に立っていた被告人の右肘が軽く曲げられた
状態でEの左胸に当たっていたことが認められる。
問題は,被告人が故意に右肘をEの左胸に当てたのか否かである。Eの上
記供述によれば,被告人が偶然を装って巧妙にEの胸に肘を押し付けたとい
うことも十分に考え得るところであるが,被告人は,Eに肘を押し当てた記
憶もなく,Eの顔や制服にも見覚えがない旨述べている。そこで,以下,こ
の点について検討する。
(2)前記認定事実のとおり,被告人は,本件当時,2冊の絵本が入ったビニ
ール袋を手に持っており,同ビニール袋を右手にぶらさげた場合には右肘は
軽く曲がる状態になるのが自然である。そして,被告人と同程度の身長(1
76センチメートル)の警察官が被告人役となってEの供述に基づいて当時
の状況を再現した写真報告書(甲13)によれば,被告人がEの前に立って
肘を軽く曲げる状態にすればその肘がEの左胸の位置にくることが認められ
る(肘を完全に曲げた場合と,軽く曲げた場合とで,肘の位置自体はさほど
異ならない。)。本件時,本件電車内は相当混雑していたことからすれば,
当然乗客同士の体が密着する状態であったものと認められ,その状態で進行
方向に向かって被告人が左側を向き,Eが左斜め前方を向いて被告人の右斜
め後ろに立っていたことからすれば,被告人が右肘を軽く曲げた状態にした
際に意図せずとも右肘がEの左胸に当たったという可能性は十分に考えられ
る。
Eと被告人の上記位置関係からすると,被告人からはEの姿を見ることは
できないのであるから,被告人としては,自分の肘が右斜め後ろの乗客に触
れているという程度の認識を持つことができたとしても,後方を振り返らぬ
限りその乗客の体のどの部分に自分の肘が当たっているのかを直接確認する
ことはできず,本件電車が相当混雑しており乗客同士の体が密着する状態で
あったことからすると,被告人が,他人に迷惑をかけるような態様で自分の
体が他の乗客に触れていることについて特段意識していなかった可能性は否
定できない。Eの供述からも,被告人が背後を振り返った様子は認められな
い。この点,Eは,被告人に肘が胸に当たっていることを伝えようとして,
胸の前で腕を組んだり,組んだ腕をほどいた際に腕を被告人の肘に当てると
いう抵抗をしてはいるが,Eも,その時点では被告人に痴漢をされていると
いう確信まではなかったので,被告人の肘を押しのけるという強い抵抗まで
はしなかったというのであるから,被告人としても,自分の右斜め後ろにい
る乗客が体を動かしたという程度の認識を持っただけで,抵抗をされている
という認識まで持つことができなかったとしても必ずしも不自然ではない。
被告人の肘がEの胸に当たる力が徐々に強くなったという点も,本件電車
の混雑状況からすると,被告人が他の乗客に押されるなどして右斜め後ろの
方向に力がかかったという可能性も考えられるのであって,被告人が意図的
にEの胸に肘を強く押し付けようとしたとまで断ずることはできない。
(3)以上を総合すると,被告人の右肘がEの胸に押し付けられていた客観的
事実は認められるものの,Eの公判供述を前提としても,被告人が自己の右
肘が斜め後ろの乗客の身体に接触しているという程度の認識にとどまり,そ
れが女性客の胸に当たっているという認識までは持つことができなかったと
いう余地があるのであって,そうだとすると,犯行を否認する被告人の前記
供述についても,それが明らかに不合理であるとはいえない。
4まとめ
以上によれば,Eの左胸に被告人の右肘が押し付けられていたことについて,
被告人がそれを認識し認容していた,すなわち故意があったと認めるには合理
的な疑いが残るので,第1事件については,犯罪の証明がないことに帰する。
第4第2事件について
1Gの供述の概要
Gは,公判廷において,概ね以下のとおり述べる。
(1)平成19年5月28日朝,通学のため,D駅で本件電車先頭車両に乗車
し,進行方向に向かって左側一番前のドアから乗り,そのドアの中央付近で,
ドアとの間に乗客を一人はさみ,進行方向に向かって左側を向いて立ってい
た。この時,学校指定のカバンを右肩に掛け,右手には別のカバンを持って
いた。
(2)本件電車がD駅を発車して10秒も経たないうちに,手のひらで臀部の
左側を触られていることに気付いた。最初は偶然に当たっているのかもしれ
ないと思ったが,10秒から15秒間ほど触られ続けたので,痴漢かもしれ
ないと思った。手のひら全体が臀部に当たっている感じだったので,近い場
所から触られていると感じた。
痴漢行為に気付いていることを犯人に伝えるため,左肩の辺りに顔の正面
がくるように首を回して左後ろを見たところ,濃い紺色のスーツを着ている
男性の左腕の肩から肘の辺りを見ることができた。その男性の左腕は私の背
中の中心線よりも少し左側の位置にあり,その左腕が自分の方に向かってま
っすぐに伸びていたので,この男性に触られていると思った。
左側を振り向いても犯人の手の動きが止まらなかったので,今度は右肩の
辺りまで首を回して右後ろを見たところ,左側を振り向いた際に見たのと同
じ紺色のスーツを着た男性が立っており,その男性と目が合った。その男性
が目をそらしたので,これで痴漢行為は止まるだろうと思い,顔を前に向け
た。その際,その男性が右手に黄色い袋を持っているのが目に入った。その
男性の顔は覚えていない。
右側を振り向いた後,むしろ手の動きが激しくなり,手のひらをすぼませ
る感じで臀部の左側全体を揉まれるようになった。スカートの上から揉まれ
ていたが,他の指から離れて,親指と思われる短い指が私の左足の外側にあ
ったので,犯人は左手で私の臀部を触っていると思った。
犯人の手を臀部から引き離そうと思い,顔を正面に向けた状態で,左手を
後ろに回して犯人の手首辺りをつかみ,その手を臀部から引き離して自分の
左太腿よりもやや後ろの位置まで持ってきた。後ろを振り向いて犯人の手を
見ると,黒っぽい紺色のスーツの肘よりも下の部分が見えた。
犯人の手を遠くにやったが,その後,指先をスカートに引っかけるように
してスカートをまくり上げられ,直接太腿を揉まれた。その際,犯人の手首
辺りがパンティに当たったかもしれないが,パンティを触られたという印象
はなかった。
気付いた素振りをして抵抗しても痴漢行為が止まらないので,F駅に着い
てから犯人を捕まえようと思い,その後は抵抗することはしなかった。
(3)本件電車がF駅に到着してドアが開く直前,顔を正面に向けた状態で,
左手を後ろに回して太腿を揉んでいる犯人の手をつかんで本件電車の外に出
ようとしたが,ドアが開いた際に犯人に手を振りほどかれた。
そこで,今度は,片足をホームに降ろして後ろを振り返り,犯人だと思っ
た男性の手をつかんだところ,その男性は,慌てた様子で真後ろ(進行方向
に向かって右側ドアの方向)に逃げようとした。犯人に手を振りほどかれて
からその男性と向き合ってもう一度手をつかむまでの間は3秒くらいであっ
た。自分の左右隣及び左右斜め後ろにいた乗客のことは覚えていないが,触
ることができる範囲内に濃い紺色のスーツを着た人物はその男性一人しかい
なかったので,犯人を間違うことはない。そして,その男性を駅員に突き出
した。駅員に突き出した男性は被告人に間違いない。
2Gを被害者とする痴漢被害の有無(争点③)について
(1)Gの公判供述は,痴漢被害の状況,犯人に痴漢行為を止めさせようとし
て後ろを振り向いたり,犯人の手をつかもうとした際の状況,自身の行動や
これに対応する犯人の手の動きなどについて,具体的かつ詳細に述べられて
いて,弁護人の反対尋問を経ても供述の基本部分は一貫している。また,G
は,本件まで被告人とは面識もなく,本件当日は既に学校に遅刻する状況で
はあったが,痴漢被害を申告すれば更に大幅に遅刻することになる上,警察
での事情聴取等の負担も負うことを考慮すると,Gがそのような負担を負っ
てまであえて虚偽の痴漢被害の申告をするとは考えられない。
したがって,痴漢被害に関するGの公判供述は信用できるというべきであ
る。
(2)これに対し,弁護人は,①Gは,高校に遅刻することが避けられなかっ
たため,虚偽の痴漢被害を申告して遅刻の正当な理由を作出しようとした可
能性がある,②Gは,捜査段階ではスカートをまくり上げられた後にパンテ
ィの上から臀部を触られたと述べていたが,公判廷ではパンティを触られた
印象はなかった旨述べて供述を変遷させているが,パンティを触られたか否
かは重大な関心事であって,単に記憶が薄れたというだけの問題として扱う
ことはできず,Gのパンティの繊維が被告人の手から検出されなかったこと
を後に聞いて供述を変遷させたものである,③被告人が手にしていた黄色の
ビニール袋を見た時点や後ろを振り向いた時の被告人の右肩の位置について
曖昧な供述をしている,④Gは,捜査段階では,スカートの裾の辺りをもそ
もそされたと述べ,スカートの裾をつかまれてスカートをめくられたという
趣旨の供述をしていたが,公判廷では,指先をスカートに引っかけるように
してまくり上げられたと述べて供述を変遷させている,⑤本件電車は満員状
態であり,Gに対する痴漢行為があったとすればこれを目撃した乗客が複数
いるはずであるから,F駅でGが駅員に痴漢被害を申告した際にGに加勢す
る者がいるはずであるのに,そのような者が一人もいないなどとして,Gの
供述は信用できないと主張する。
しかしながら,①については,確かに,Gの供述によれば,通学に要する
時間からして本件当日は学校に遅刻することが避けられない状況にあったこ
とは認められるが,他に遅刻の理由を作出することもできるのであり,無関
係な他人を巻き込んで警察沙汰を引き起こしてまで嘘の痴漢被害を作出する
とは直ちには考え難い。
②については,Gの捜査段階の供述の詳細は必ずしも明らかでないが,G
の供述調書に,パンティの上から臀部を触られたという趣旨の記載があると
しても,スカートに手を入れられて触られたという限度では公判供述と合致
しており,これを聞いた取調官が犯人がパンティの上からGの臀部を触った
ものと理解してその旨の調書を作成し,他方,Gもパンティ内に手を差し入
れられたわけではないことから,調書の細部についてまで確認せずに署名し
たなどの可能性も考えられるのであって,この点のみを捉えて痴漢被害に関
する供述全体の信用性を否定することは相当でない。また,被告人の手から
パンティの繊維が検出されなかったことは,そのことから直ちに本件犯行の
犯人が被告人であることが否定されることにはならないのであって,供述を
変遷させる理由としては根拠に乏しい。
③については,確かに指摘されたGの供述は曖昧ではあるが,黄色いビニ
ール袋を見た時点や振り返った際の肩の高さなどは,本件に関する核心部分
とはいえない。
④についても,Gの捜査段階の供述の詳細は明らかではないが,Gの捜査
段階の供述に「スカートの裾の辺りをもそもそされた」というような記載が
あるとしても,スカートの上部から指先をスカートに引っかけるようにして
スカートをめくった場合でも,スカートの裾をまくり上げられるに従って,
動くはずであるから,必ずしも矛盾する表現とはいえない。しかも,Gは,
スカートをまくり上げられる状況を直接目撃したわけではなく,体感した犯
人の手の動きから受けた印象を供述しているのであるから,捜査段階と表現
が幾分異なってくるということはあり得ないことでないし,スカートをまく
り上げられたという点では一貫しているのであって,この点も,痴漢被害に
関する供述全体の信用性に影響を与えるものではない。
⑤については,Gは,本件電車内では声は一切あげておらず,短時間の犯
行である上,本件電車が相当混雑していたことからすれば,周囲の乗客が不
審に思ったことがあったとしても,痴漢行為そのものを見ずに終わることは
あり得ることであるし,仮に痴漢行為の目撃者がいたとしても,関わり合い
を持ちたくないとして敢えて名乗り出ないことは十分に考えられるから,目
撃者が名乗り出ないことをもって,Gの供述の信用性を損なう論拠とするこ
とはできない。
したがって,弁護人の上記主張は採用できない。
(3)以上のとおり,痴漢被害に関するGの供述は信用することができ,Gは
同人が供述する内容の痴漢被害を受けたものと認められる。
3Gに痴漢行為をした犯人が被告人であるか否か(争点④)について
(1)そこで,次に,痴漢犯人は被告人であるとGが識別,特定している点に
ついて,さらに検討する。
ア前述のとおり,Gの供述は基本的に信用することができるものであるが,
Gは,被告人による痴漢行為自体を直接目撃したわけではなく,手を後ろ
に回してつかんだ犯人の手もその後放しているのであり,視認できた限り
の周囲の状況や触られた際の感触等から推測して述べている部分も少なか
らず存する。したがって,Gの供述から犯人を被告人と特定するについて
は,慎重な検討が必要である。
イまず,Gは,犯人を被告人と特定した理由として,犯人に手のひらで臀
部の左側を触られている際に左後ろを見たところ,濃い紺色のスーツを着
ている男性の左腕がGの背中の中心線よりも少し左側の位置にあり,その
腕の肩から肘の辺りがGの方に向かって真っ直ぐに伸びているのが見えた
ので,この男性に触られていると思ったと述べている。前提事実のとおり,
被告人は,本件当時,黒色のスーツを着用し,本件電車がD駅を発車する
際には,Gと同じように進行方向に向かって左側を向いており,G及びE
の供述(Gは,前述したところに加え,振り返ったときに,後ろに立って
る人が右手を自分の太腿の横に置いているのが見える位置にあったと述べ,
Eは,右斜め後ろに被告人が位置していたとする。)からは,Gの右斜め
後ろに立っていたものと認められる。そして,Gが左後ろを振り向いた際
に見た濃い紺色のスーツを着た男性の左腕とは被告人の左腕のことと考え
られ,その腕がGの方に向かって真っ直ぐに伸びていたということは,被
告人と犯人とを結びつける有力な事情になり得るようにも思われる。しか
し,Gの供述によれば,被告人の左腕はGの背中の中心線付近(中心線よ
りも少し左側の位置)にあったというのであるから,Gが後ろを振り返っ
たとしても,Gが視認できる範囲は限られており,実際にも左腕の肘より
上の部分を見ただけであって,Gが被告人の左腕がGの方に向かって真っ
直ぐに伸びているという印象を受けたのは事実であるとしても,被告人の
左腕の状態が正確に述べられているかという点についてはなお疑問の余地
がある。
ウ次に,Gは,臀部の左側全体を揉まれている際,他の指から離れている
短い指すなわち親指がGの足の外側にあったので,左手で痴漢行為をされ
ていると思ったと述べているところ,犯人が左手で痴漢行為をしていたと
いうことになれば,Gの右斜め後ろに立っていた被告人が左手でGの臀部
左側を触りやすい位置にいたということになり,この点も犯人と被告人を
結びつける事情になり得ることになる。しかし,Gは臀部を揉む手が左手
であることを直接見て確認したわけではなく,臀部に受けた感触からその
ように感じたというものであって,親指と他の指とを果たして明確に識別
できたか否かについて疑義がないわけではない上,例えば,右手の人差し
指が上にくるようにして犯人がその右手でGの臀部左側を揉んだ場合にも,
親指はGの左足の外側に位置することになるのであるから,親指の位置だ
けから痴漢行為をしている犯人の手を左手と断定することは困難である。
エそして,Gは,臀部を揉んでいる犯人の手首辺りをつかんで引き離した
際に,犯人の黒っぽい紺色のスーツの肘よりも下の部分が見えたと述べて
おり,被告人も本件当時黒い上下のスーツを着ていたのであるから,この
点も被告人と犯人とを結びつける事情となり得る。しかし,紺色や黒色の
スーツはごくありふれたものである上,本件当時は通勤時間帯であってス
ーツを着たサラリーマンが本件電車内にも複数乗車していたと考えられ,
Gの周囲に被告人以外に黒色や紺色のスーツを着た男性がいた可能性を排
除することは困難である。この点,Gは,本件電車がF駅に到着した際,
犯人と思われる濃い紺色のスーツを着た被告人を捕まえたが,Gに触るこ
とができる範囲内に濃い紺色のスーツを着た人物は一人しかいなかったの
で犯人を間違うことはないと述べる。しかし,本件電車の混雑状況からし
てGの視認できる範囲は限られていたと考えられるし,G自身,左右隣や
左右斜め後ろにどのような人物がいたのか覚えていないとも述べていると
ころであり,犯人であると疑っていた被告人以外の人物の服装やその動静
をGがどの程度認識できたかも疑問が残る。そうすると,Gに痴漢行為を
することができる範囲内に,被告人以外に紺色や黒色のスーツを着た人物
がいなかったものと断定することはできず,被告人が黒色のスーツを着て
いたとはいえ,そのことだけから被告人が犯人であると絞り込むことはで
きない。
オまた,Gは,臀部左側を触られるという痴漢被害を受けている際に右後
ろを振り向いたが,その際,犯人と思われる男性と目が合ったと述べてい
る。Gと被告人の位置関係からすると,Gが目を合わせたという男性は被
告人と考えるのが自然であるが,被告人が犯人とすれば,Gの動きを意識
していたはずであり,振り返ったGと目が合ったのであれば,その時点で
Gに自分が犯人であることを気付かれたという認識を持ち,その後の犯行
の継続を躊躇するのが普通のように思われる。しかるに,その後も犯人は
Gの臀部の左側全体を揉み,さらにGに手をつかまれた後も,スカートの
中に手を入れて太腿を揉むというように痴漢行為を悪質化させている。一
概にはいえないとしても,被告人が真実犯人であるとすれば,ずいぶん大
胆な犯行であり,いささか不自然の感が否めない。
カなお,Gは,F駅で被告人を捕まえようとした際,被告人があわてた様
子で真後ろ(進行方向に向かって右側ドアの方向)に逃げようとしたと述
べる。しかし,被告人が述べるように,F駅に到着した際,自分は鶴橋駅
まで乗車するので運転席側に少し移動して他の乗客が下車するスペースを
あけようとしたとすれば,被告人を犯人と認識していたGが,被告人が逃
げようとしていると思いこんだ可能性も否定できないのであって,被告人
がGにつかまれた際に逃げようとしたとまで断ずることはできない。
キ以上に検討した点を総合すると,被告人が犯人であるとGが判断したこ
とには相応の根拠があるとは思われるものの,Gは,いったんつかんだ犯
人の手を握持し続けていたものではなく,Eも別の犯人から臀部に対する
痴漢被害を受けていたとする本件電車先頭車両の状況にも照らすと,Gの
供述だけからは,Gの左斜め後ろにいた人物が痴漢行為をした可能性や,
被告人の後方にいた人物が被告人の身体の左側から手を伸ばして痴漢行為
をした可能性を排除することはできず,被告人と犯人との同一性について
は合理的な疑いが残るというべきである。
なお,検察官は,本件当時,被告人が本の入った黄色い袋を手に持って
おり,Gの供述によれば,痴漢できそうな場所に立っていた人物も右手に
黄色い袋を持っていたというのであるから,この点からも,Gが犯人とし
て認めた人物が被告人であったことが裏付けられると主張するが,前にも
触れたように,黄色い袋を見た時点に関するGの供述には,やや曖昧な部
分が残る。
(2)Eの供述について
Eは,前記のとおり,本件電車がD駅に到着した際,被告人が乗客をかき
わけてGの後ろに移動したので,Gにも痴漢をすると思った,Gは何度か嫌
そうな表情で右斜め後ろを振り向いて男性の顔をにらむ感じで見たり,自分
の臀部の方に視線をやったりしていたなどと述べている。
しかしながら,Eは,Gが現に痴漢被害に遭い,その痴漢の犯人を被告人
と疑って行動しているところを見たにとどまっており,Eの供述は,Gの背
後でGに対して痴漢行為をしている人物がいたことを裏付けるとしても,被
告人がGに対して実際に痴漢行為を行ったところを見ているわけではないか
ら,直ちにEの供述が被告人を犯人と認定する根拠となるものではない。
(3)被告人の供述について
ア被告人は,第2事件に関して,捜査段階及び公判廷において,概ね以下
のとおり述べる。
本件電車がD駅に到着した後,3,4名の乗客が下車し,前に少しスペ
ースができたので,自分の左肩に顎を乗せてきていた専門学校生風の男か
ら逃れるためにも前のスペースに1歩ほど移動し,Gの右斜め後ろに立っ
た。気がつくと専門学校生風の男は,私の左横にいた。本件電車がF駅に
到着するまでの間,後ろを振り返ったGと目が合ったことも,Gに手首を
つかまれたりしたこともない。黄色いビニール袋は左手に何度か持ち替え
たと思うが,ビニール袋を持っていないときは,左手はズボンのポケット
の辺りに手のひらをつけ,手の甲を外側に向けていた。Gの臀部を触るな
どの痴漢行為はしていない。本件電車がF駅に到着するまでの間は,進行
方向に向かって左側のドアの方向を向いていた。本件電車がF駅に到着し
た際,自分は鶴橋駅まで乗車するので運転席側に少し寄って他の乗客が下
車するスペースをあけようとした。その時,左手に何か引っかかるような
感触があり,Gにスーツの左袖口をつかまれていることがわかった。ただ
びっくりしたが,Gが一生懸命引っ張るので,とりあえずホームに降りて
話を聞こうと思ってホームに降りたところ,Gから「痴漢です。」と言わ
れて駅員に引き渡された。
イこれに対し,Gは,前記のとおり,本件電車がD駅を出発してF駅に到
着するまでの間,Gは左右の後方を振り返り,右後ろを見た際に被告人と
目が合ったと述べている。被告人がGの右斜め後ろに立っていたというの
であれば,被告人がGの左右に首を振ったり,後方を覗こうとする動作に
ついて気付かなかったというのはいささか不自然なように思われる。また,
被告人が,何度かビニール袋を持ち替える余裕があったというのであれば,
その間にGの臀部付近を視認できた可能性があるにもかかわらず,周りの
人がGから手首をつかまれるとか,手を離そうとして動いている動作に何
ら気付かなかったとしている点も疑問なしとはしない。
しかしながら,これらは,いずれも短時間の出来事であり,被告人が気
付かなかったことがあり得ないとまではいえない上,いずれにしても,こ
れらの点は犯行への関与を否認する供述の信用性を減ずる要素にとどまる
もので,これを直ちに被告人が痴漢犯人であることを積極的に根拠付ける
重要な間接事実として評価することは相当ではない。
ウ検察官は,被告人の供述によれば,Gの左斜め後ろに黄色のシャツを着
た専門学校生風の男がいたことになるが,Gはそのような人物の存在につ
いて述べておらず,また,Gのすぐ後ろに立って紺色系のスーツを着用し
ているのは被告人だけということになり,Gの臀部のやや左側を左手で触
れる人物は被告人以外にあり得ないと主張する。この点,確かに,Gが専
門学校生風の男について述べていないことからすれば,被告人の上記供述
には疑義がないではない。しかしながら,前述のとおり,紺色系スーツを
着た人物を犯人と認識していたGが,それ以外の人物を注視していなかっ
た可能性はあるし,また,前述のとおり,Gの臀部を触ったのが左手であ
ったと断じることはできず,被告人以外の人物が被告人の体の左側から痴
漢行為をした可能性も排除できないところである。
エしてみると,被告人の供述には,いくらか不自然な点が見受けられ,直
ちに全面的に信用し得るものではないとしても,本件犯行への関与を否認
する趣旨では一貫しており,その信用性を全面的に排斥することはできな
い。
4まとめ
以上のとおり,Gの供述は,被害事実に関する部分は信用性が肯定されるが,
犯人が被告人であるとする部分についてはなお疑問が残り,他に被告人を犯人
と認めるに足りる確たる証拠もない以上,第2事件についても,合理的な疑い
を容れない程度の立証はなされておらず,犯罪の証明がないことに帰する。
第5結語
よって,刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをすることと
し,主文のとおり判決する。
(求刑懲役6月)
平成20年9月16日
大阪地方裁判所第5刑事部
中川博之裁判長裁判官
仁藤佳海裁判官
山下隼人裁判官

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