弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士和田正平の上告理由第一点について。
 しかし原判決は証拠により、訴外Dが本件建物及び敷地の売却方を実兄E及びF
に一任したこと及び訴外Gは右Eら立会の下に残代金を右Fに支払いそれと引換に
同人より権利証、Dの署名捺印ある委任状その他登記に必要な書類の交付を受けた
事実を認定し、このような事実関係において、Dが本件建物の譲渡行為に全然無関
係であつたとは認められない旨判示しているのであつて、この認定及び判断は、挙
示の証拠に照し当裁判所にも正当として是認されるから、原判決には所論の如き違
法はない。
 第二点について。
 しかし、借家法七条による賃料増額の請求権は、いわゆる形成権たる性質を有す
るものであるから、その行使の効果として賃料は当然相当額に増額され、争ある場
合の額の確定に関する裁判は、すでに客観的に定まつた増額の範囲を確定するに過
ぎず、そしてその履行期は、客観的に定まつた相当賃料全額につき、その賃貸借の
内容によつて定まるべき時期に到来するというのが従来の判例であつて、(昭和三
二年九月三日第三小法廷判決、集一一巻九号、一四六七頁、昭和一七年一一月一三
日大審院判決、集二一巻九九五頁参照)上告人の引用する大審院明治四〇年七月九
日の判決は、借家法施行前のものであり、本件に適切でない。
 而して原判決は、証拠により、被上告人が昭和二五年七月上告人Aに対して本件
公定賃料の支払を請求したこと、この支払請求は借家法七条による賃料増額の請求
と解されること、及びこの増額請求の額は物価庁告示によつて算出すれば統制賃料
の範囲内で相当額と認められる旨を認定判示しているのであり、この認定判示はそ
の証拠に照し首肯するに足りるから、上告人Aは、それ以後右増額による賃料の支
払義務あること当然であり、且つ本件契約において賃料が毎月末日払の約定であつ
たことは当事者間に争がないのであるから、増額による賃料も毎月末日払であるべ
きものと判断した原判決は当裁判所においてもこれを是認される。さすれば原判決
には所論の如き審理不尽、理由不備、判例違反等の違法はなく、論旨は採用し得な
い。
 第三点について。
 しかし原判決は、昭和二五年七月本件賃料の増額請求があつた事実を証拠によつ
て認定し、同年八月一日以降の増額賃料不払を理由に契約解除の効力を認めたもの
であること判文上明白であるから、所論の如き違法はない。
 第四点、第五点、第六点について。
 借家法一条により建物の所有権取得と同時に当然賃貸借を承継するものであつて、
その承継の通知を要しない旨の原判決の判断並びに被上告人の所為が信義則に反し
ない旨の原判示は、いずれも当裁判所の正当として是認できるところである。され
ば、所論は要するに独自の見解を以て原判決の正当な判断を論難するか、又は、原
審の専権に属する証拠の取捨判断及び自由な事実認定を非難するものに過ぎないか
ら採用しがたい。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    高   木   常   七
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫

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