弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人沢田竹治郎、同秋山賢蔵、同矢内原泉の上告理由第一ないし第四点に
ついて。
 原審の確定した事実関係によると、昭和二八年四月二四日に行なわれた参議院全
国選出議員五〇名(任期六年)および同補欠議員(任期三年)の合併選挙に際し、
上告人A1は日本社会党から、同A2およびA3は日本自由党から、同A4および
A5は緑風会からそれぞれ公認されて立候補し、上告人A3およびA2は通常議員
に、その余の上告人らは補欠議員に当選した。ところが、右選挙に際して、佐野市
選挙管理委員会は、公職選挙法一七三条(昭和三一年法律第一六三号による改正前
のもの)および一七四条(同二九年法律第二〇七号による改正前のもの)の定めに
従い、同年四月一四日から前記選挙当日まで同市内二一箇所に設けられた投票所の
入口その他公衆の見やすい場所に全候補者の氏名および党派別の掲示をしたが、右
掲示には、同選挙管理委員会の職員の過失により、日本社会党から公認されて立候
補した訴外Dの党派を日本共産党とする誤記があつた。そこで、訴外Dは右選挙の
うち佐野市における選挙を無効とする旨の訴を提起したところ、最高裁判所は、昭
和二九年九月二四日、右訴につき、右掲示の誤記は公職選挙法一七三条の規定に違
反し、かつ選挙の結果に異動を及ぼす虞があるものとして、「本件参議院全国選出
議員選挙のうち佐野市における選挙を無効とする。但し、右選挙における当選人五
三名のうち訴外Eおよび上告人らを除いた四七名は、その当選を失わない」旨の判
決を言い渡し、上告人らは当選を失つた。その結果、昭和二九年一〇月七日、佐野
市において再選挙が行なわれ、上告人A5は落選したが、その余の上告人らはそれ
ぞれ通常議員または補欠議員に当選した、というのであり、本訴における上告人ら
の主張は、上告人らは、右選挙において、いずれもいつたんその当選人になりなが
ら前記掲示の誤記によつて選挙が無効とされたために、再選挙のための選挙運動費
用の支出を余儀なくされ、また選挙無効の訴が提起された後、再選挙の結果が判明
するまでの間に多大の精神的苦痛を被り、また、上告人A5は、右のように選挙が
無効となることがなければ議員の資格を失わず、歳費の支給を受けることができた
のに、選挙が無効となつたためこれを受けることができず、原判示のような損害を
被つたが、右は、いずれも前記佐野市選挙管理委員会の職員の過失による党派別掲
示の誤記に起因するものとして、被上告人に対しその賠償を求める、というにある。
 ところで、上告人らの所論損害が佐野市選挙管理委員会職員の過失によるDの所
属党派の誤記に起因するということは、その誤記がなかつたならば上告人らが前示
合併選挙における当選を失うことがなかつたにかかわらず、誤記があつたため当選
を失つたことにより、所論損害を生じたというに帰着するのであるから、上告人ら
の本訴請求は、Dの所属党派の誤記という瑕疵のない選挙が行なわれたと仮定した
場合にも上告人らが当選し得たであろうことを前提とするものと解すべきである。
しかるに、ある候補者の所属党派の誤記は、当該候補者のみならず、他の候補者に
とつても、不利な影響を及ぼす可能性がある反面、有利な影響を及ぼす可能性もま
た多分に存するのであつて、前示誤記が佐野市における各候補者の得票数に及ぼし
た具体的影響を判別し、誤記のなかつた場合における各候補者の得票数を想定して
上告人らが当選し得たか否かを判定することは、不可能に属するといわなければな
らない。したがつて、上告人らの本訴請求は、前示前提を欠くといわざるを得ない
から全部失当として棄却を免れない。原判決は、その理由を異にするけれども、上
告人らの請求を棄却すべきものとした結論において正当であり、論旨は理由なきに
帰する。
 よつて、民訴法四〇一条に従い本件上告を棄却すべきものとし、訴訟費用につき
民訴法九五条、八九条、九三条を適用し、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決
する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一

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