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平成14年(行ケ)第406号 審決取消請求事件(平成15年8月18日口頭弁
論終結)
          判    決
       原      告   多野造園土木株式会社
       訴訟代理人弁理士   小 野 尚 純
       被      告   株式会社ジエコ
       訴訟代理人弁理士   石 川 泰 男
同          塩 島 利 之
主    文
      原告の請求を棄却する。
      訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
   特許庁が無効2001-35095号事件について平成14年7月2日にし
た審決を取り消す。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯等
   原告は,名称を「組立及び載置式立体駐車場構造体」とする特許第2648
714号の発明(昭和61年4月17日に出願した特願昭61-87089号(以
下「原出願」といい,その発明を「原発明」という。)の一部を平成4年1月17
日に新たな特許出願(特願平4-25970号)としたもの。平成9年5月16日
設定登録)の特許権者である。被告は,平成13年3月6日,本件特許出願の願書
に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に
記載された発明(以下「本件発明」という。)の特許(以下「本件特許」とい
う。)について無効審判の請求をし,特許庁は,同請求を無効2001-3509
5号事件として審理した結果,平成14年7月2日,「特許第2648714号の
請求項1に係る発明についての特許を無効とする。」との審決をし,その謄本は,
同月12日,原告に送達された。
2 本件発明の要旨
   分離自在に組立られ,実質上平坦な表面上に載置される立体駐車場構造体に
して,該表面上に載置される基板と下端が該基板上に固定され実質上鉛直に延びる
柱とを有する複数個の組立要素と,隣接する組立要素の該柱の上端間に連結される
複数個の梁部材とを具備し,該組立要素は,(1) 該柱の上端には90度の角度間隔
をおいて実質上水平に突出する2個の連結部材が配設されている角部用組立要素
と,(2) 該柱の上端には90度の角度間隔をおいて実質上水平に突出する3個の連
結部材が配設されている辺部用組立要素と,(3) 該柱の上端には90度の角度間隔
をおいて実質上水平に突出する4個の連結部材が配設されている中央部用組立要素
とを含んでいる,ことを特徴とする立体駐車場構造体。
 3 審決の理由
   審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,本件発明は,実願昭46-107
041号(実開昭48-62127号)のマイクロフィルム(甲3,以下「刊行
物」という。)に記載された発明(以下「刊行物発明」という。)及び原出願前に
周知の技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本
件特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,同法123条1
項2号に該当し,無効とすべきであるとした。
第3 原告主張の審決取消事由
   審決は,本件発明と刊行物発明の相違点1の判断を誤り(取消事由1),同
じく相違点2の判断を誤った(取消事由2)ものであるから,違法として取消しを
免れない。
 1 取消事由1(相違点1の判断の誤り)
  (1) 審決は,本件発明と刊行物発明の相違点として,「本件発明1(注,本件
発明)の立体構造体は立体駐車場構造体であるのに対し,刊行物1記載の発明
(注,刊行物発明)の立体構造体は立体艇庫構造体である点」(審決謄本5頁第1
段落)を相違点1と認定し,「相違点1に係る構成は,刊行物1記載の発明から当
業者が容易に想到できた事項にすぎない」(同頁(ア)相違点1について)と判断す
るが,誤りである。
  (2) 刊行物に開示されている構造体は,モーターボートを載置収容するための
艇庫であり,自動車のための駐車場ではない。この点に関して,審決は,「立体艇
庫構造体も立体駐車場構造体もともに基本的に柱と梁部材とからなる立体構造体で
あって,所要の重量物を載置する構造体において共通しており,載置される物の重
量の大小によって全く異質の構造体となるものでもない」(審決謄本6頁4-
3(2))と判断する。しかしながら,モーターボートの重量は自動車の重量に比べて
著しく小さく,立体駐車場構造体と立体艇庫構造体とは,全く異種の構造体という
べきである。
    モーターボートは,本体にカウリングを装着し,更にエンジンをも装着し
た最も高重量の状態においても,重量が117.1kgであるから,一人ないし数人で持ち
上げて所要場所に収納することができる。刊行物に開示されている立体組立艇庫構
造体においても,モーターボートを所要場所に持ち上げるための昇降機等は装備さ
れておらず,人手によってモーターボートを持ち上げて所要場所に載置することが
理解される。これに対して,自動車の重量は1000kg程度であり,エンジンを装着し
た状態のモーターボートの重量の約10倍である。自動車の場合には,人手で持ち
上げることは実際上不可能であり,立体駐車場構造体には,本件明細書及び図面に
記載されている実施形態のように自走用斜路又は昇降機が付設される。自動車の重
量がモーターボートの約10倍である事実に照らすと,モーターボートを収納する
ための立体艇庫構造体と自動車を収納するための立体駐車場構造体とは全く異種の
構造体であり,技術分野を異にするものであるということができる。
  (3) 被告は,モーターボートには,重量が軽い競艇用モータボートのみなら
ず,重量が重いクルーザーも含まれると主張するが,刊行物に開示されている立体
艇庫構造体は,競艇用モータボートのような,一人又は数人で持ち上げて一対の艇
受付横桟の艇受上に載置することができる軽量のものと理解される。
 2 取消事由2(相違点2の判断の誤り)
  (1) 審決は,本件発明と刊行物発明の相違点として,「本件発明1(注,本件
発明)の組立要素は,柱の上端には90度の角度間隔をおいて実質上水平に突出す
る4個の連結部材が配設されている中央部用組立要素を含んでいるのに対し,刊行
物1記載の発明(注,刊行物発明)の組立要素は中央部用組立要素を有さない点」
(審決謄本5頁第2段落)を相違点2と認定し,「相違点2に係る構成は,刊行物
1記載の発明から当業者が容易に想到できた事項にすぎない」(同5~6頁(イ)相
違点2について)と判断するが,誤りである。
  (2) 刊行物に開示されている立体艇庫構造体における組立要素は,縦柱の上端
に90度の角度間隔をおいて実質上水平に突出する4個の連結部材が配設されてい
る中央部用組立要素(以下「中央部用組立要素」という。)を含んでいないから,
刊行物に開示されている立体艇庫構造体においては,奥行方向寸法は単一梁の長さ
で1艇分の寸法に制限され,必要に応じ適宜増大させることができない。
    審決は,「柱の上端に90度の角度間隔をおいて実質上水平に突出する4
個の連結部材が配設されている中央部用組立要素を用意し,所定の形状,大きさの
建築構造物とすることは,原出願の出願前に周知の技術的事項」(審決謄本6頁4
-3(2))」であると認定する。しかしながら,審決が引用した刊行物に開示された
技術事項は,いずれも,地中に構築される基礎構造上に半永久的に建造され,寸法
があらかじめ決定されている建築物において,柱と梁とを半永久的に連結するため
に3種の連結部材を選択的に使用するものにすぎない。分離自在に組み立てられ各
組立要素が繰り返し使用され得る立体構造体において,立体構造体の間口方向寸法
と奥行方向寸法とを適宜選定することができるように梁部材によって分離自在に連
結される三種類の組立要素を採用することについては,記載も示唆もない。
    本件発明は,角部用組立要素,辺部用組立要素に加え,中央部組立要素を
採用することにより,分離自在に組み立てられ各組立要素が繰り返し使用され得る
立体構造体において,格別の作用効果を奏する。被告は,原告が主張する上記作用
効果は,本件明細書に記載されていないと主張するが,本件明細書(甲2)には,
本件発明の効果として,「本発明の立体駐車場構造体は,3種類の組立要素,即ち
角部用組立要素,辺部用組立要素及び中央部用組立要素を,梁部材等によって適宜
に連結して所要形状に組立て」(段落【0018】)と記載されており,この記載
及び本件発明の構成に照らすと,原告が主張する上記作用効果は,本件明細書から
予測可能である。
第4 被告の反論
 1 取消事由1(相違点1の判断の誤り)について
  (1) 「モーターボート」とは,「内燃機関を動力とするボート」であり,「ク
ルーザー」とは,「外洋を航海できるように設備を整えた大型のモーターボート又
はヨット」である。一般的に,モーターボートには,重量が軽い競艇用モーターボ
ートのみならず,重量が重いクルーザーも含まれる。刊行物の立体艇庫構造体は,
モーターボートを載置するものであって,競艇用モーターボートを載置するものに
限定されない。
  (2) 原出願の明細書(乙2)には,原発明が,立体駐車場に限定されず,例え
ば倉庫等の他の建造物にも適用することができる(41頁最終段落)と記載されて
いる。そうすると,原発明は,立体艇庫構造体にも適用されるので,分割出願に係
る本件発明の立体駐車場構造体と刊行物の立体艇庫構造体の技術分野が異なるとは
いえない。
  (3) 原告は,本件発明の立体駐車場構造体は,通常,重量が1000kg以上の自動
車を収納するためのものであると主張するが,本件発明の立体駐車場構造体と刊行
物の立体艇庫構造体は,いずれも,基本的に柱と梁とから成る構造体である点にお
いて共通している。載置される物の重量によって柱と梁の太さが異なるとしても,
柱と梁とから成る構造として異なるところはない。
    原告は,刊行物の立体艇庫構造体に載置収納されるモーターボートは,競
艇用のような軽量のものであると主張するが,重量が重いクルーザーを除いたとし
ても,家族用及び釣り用のモーターボートは,比較的小型のものでさえ,その重量
が900~1000kg程度で,本件発明において載置される自動車の重量として原告が主張
する1000kgと変わらない。
 2 取消事由2(相違点2の判断の誤り)について
  (1) 一般に,実質上鉛直に延びる柱と梁部材の組立構造において,本件発明の
構成である,角部用組立要素,辺部用組立要素及び中央部用組立要素という3種の
組立要素を用意し,これらの組立要素と梁部材とを連結して所定の形状,大きさの
建築構造物とすることは,当業者に周知の技術的事項である。これら建築構造物に
おける柱と梁の接合に関する周知の技術的事項を考慮すると,相違点2に係る本件
発明の構成が当業者にとって刊行物発明から容易に想到し得たとの審決の判断に誤
りはない。
  (2) 原告は,梁部材によって分離自在に連結される組立要素を3種類の組立要
素から構成することによって,本件発明は格別な作用効果を奏すると主張するが,
本件明細書の【作用】及び【発明の効果】の欄には,原告が主張する作用効果は一
切記載されていない。
    また,原告は,間口方向にも奥行方向にも種々の大きさの立体構造体を形
成し得るという作用効果を主張するが,この程度の作用効果は,これら周知の技術
的事項を刊行物発明に適用することによって当然奏する効果であり,格別な作用効
果ということはできない。
第5 当裁判所の判断
 1 取消事由1(相違点1の判断の誤り)について
  (1) 原告は,相違点1に関して,モーターボートの重量が自動車と比べて著し
く軽く,立体駐車場構造体と立体艇庫構造体とは,全く異種の構造体として技術分
野を異にすると主張する。
    しかしながら,本件発明の立体駐車場構造体と刊行物の立体艇庫構造体と
がエンジンを有する乗物の立体載置保管構造体である点で共通していることは明ら
かであり,載置保管するモーターボートと自動車の重量が異なることに対しては,
載置重量に耐えるように柱や梁の強度を確保すれば足り,立体構造体としての構造
に異なるところはないから,技術分野を異にするとはいえない。
  (2) また,原告は,立体駐車場構造体には,本件明細書及び図面に記載されて
いるように,自走用斜路又は昇降機が付設されるが,人手によって持ち上げるモー
ターボートを収納する艇庫構造体の構成から立体駐車場構造体の構成を容易に想到
することはできないと主張するので,この点について判断する。
   ア 本件明細書(甲2)には,本件発明の技術的課題について,「従来の立
体駐車場と比べて相当短期間で且つ安価に,多数の要素を使用して分離自在に組立
られ,土地に固着することなく地表面等の実質上平坦な表面に載置されて使用さ
れ,土地用途の変更等の際には多数の要素に分離して搬出し,他の場所にてそのま
ま再利用することができる,従来の立体駐車場とは概念を全く異にする,新規且つ
優れた組立及び載置式立体駐車場構造体を提供することである。」(段落【000
4】)との記載がある。
     これに対し,刊行物発明の技術的課題について,刊行物(甲3)には,
「従来モーターボートの艇庫は一定の場所に平面的に並設した受台に載置収納する
だけであるのでその収容艇数は少数に限定されており又その場所は可搬できない不
便があった。本考案(注,刊行物発明)は上記の欠点を除去し数対の中間縦柱,側
縦柱及び連結横桟,艇受付横桟を適当場所に可搬して組立て多数のボートを階段的
に収容できる可搬組立式艇庫を提供するものである」(1~2頁「3.考案の詳細な
説明」第1,2段落)と記載されている。
     したがって,両者は,多数の要素を使用して分離自在に組み立てられ,
土地に固着することなく地表面等の実質上平たんな表面に載置されて使用され,土
地用途の変更等の際には多数の要素に分離して搬出し,他の場所でそのまま再利用
することができる立体構造体を提供するという技術的課題において共通している。
   イ 特開昭57-89071号公報(甲4)には,以下の記載がある。
    (ア) 「複数の自動車を載置するため型鋼を組合せた枠体を形成した載置
台と同載置台の四隅を支承する柱体からなり,上記載置台の枠体の各隅部には下方
に突起を突出し,上記柱体の上端には同突起を嵌入する穴もしくは溝を具えた受け
部を形成してなることを特徴とする仮設立体駐車場」(特許請求の範囲)
    (イ) 「本発明は小さい敷地で大きな収容能力をもたせる簡易組立式の仮
設立体駐車場に関するものである。・・・(1)は自動車の載置台で,該載置台(1)は
複数の自動車を載置するためエ字形断面等の型鋼を組合せた枠体(2)を形成し,同枠
体(2)の上面には凹凸を形成した鋼板等の床板(3)を一体的に溶接してなる」(1頁
左欄~右欄「3.発明の詳細な説明」第1,2段落)
    (ウ) 「以上の様な構成により駐車場を仮設する敷地に上記柱体(5)を所定
の間隔をおいて設置するための基礎を布設し,その上に柱体(5)を設置し・・・柱
体(5)上に載置台(1)を載せ所要の広さの駐車場を簡単に構成することができる」
(同頁右欄第2段落)
   ウ 実願昭54-70986号(実開昭55-170353号)のマイクロ
フィルム(甲5)には,「近時,各種事業所等において,その従業員等が通勤に用
いる自動車の駐車スペースの確保に苦慮しているところが多い。・・・この考案
は,特にこのような事情に鑑みて,構築設備費が非常に安価ですみ,しかも必要な
場所に,任意の大きさで必要に応じて簡単に組立てて設備することができ,かつ不
要時には簡単に分解して撤去することができる極めて簡便な駐車用立体階床構造物
を提供しようとするものである」(3頁第2段落~4頁第1段落)と記載されてい
る。
   エ そうすると,上記イ及びウの記載を総合すれば,立体駐車場構造体にお
いて,分離自在に組み立てられ,土地用途の変更等の際には多数の要素に分離して
搬出し,他の場所でそのまま再利用できるようにするという技術的課題は,当業者
にとって,原出願前に周知であったと認められる。
     そして,本件発明の立体駐車場構造体と刊行物の立体艇庫構造体とは,
エンジンを備えた乗物の立体載置保管構造体である点で共通しており,技術分野を
異にするといえないことは上記のとおりであるから,本件発明の立体駐車場構造体
の技術分野における当業者が刊行物に接した場合,上記立体駐車場構造体において
周知の技術的課題を解決するため,刊行物に記載された立体艇庫構造体の構成を立
体駐車場構造体の構成に適用することは,容易に想到し得るものというべきであ
る。
  (3) したがって,審決の相違点1の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由1
は理由がない。
 2 取消事由2(相違点2の判断の誤り)について
  (1) 審決は,相違点2に係る本件発明の構成を採用することが当業者にとって
容易に想到し得たと判断するところ,その根拠として引用した証拠に開示された技
術的事項について,原告は,いずれも,その寸法があらかじめ決定されている建築
物において,柱と梁とを半永久的に連結するために3種の連結部材を選択的に使用
することを開示しているにすぎないと主張する。
  (2) しかしながら,実願昭53-4912号(実開昭54-108509号)
のマイクロフィルム(甲6),実公昭53-51602号公報(甲7)及び特開昭
56-39249号公報(甲8)によれば,一般に,建築構造物において,実質上
鉛直に延びる柱と梁部材の組立構造の場合に,柱の上端に90度の角度間隔をおい
て実質上水平に突出する2個の連結部材が配設されている角部用組立要素と,柱の
上端に90度の角度間隔をおいて実質上水平に突出する3個の連結部材が配設され
ている辺部用組立要素と,柱の上端に90度の角度間隔をおいて実質上水平に突出
する4個の連結部材が配設されている中央部用組立要素との3種の組立要素を用意
し,これらの組立要素と梁部材とを連結して所定の形状,大きさの建築構造物とす
ることは,当業者にとって,原出願前に周知の技術的事項であると認められる。そ
うすると,奥行方向の寸法が単一梁の長さに制限されている刊行物発明に接した当
業者が,奥行方向寸法も任意の寸法にするため,これに上記周知の技術的事項を適
用して中央部用組立要素を付加することは,容易に想到することができたというべ
きである。
  (3) 原告は,上記(2)の周知技術について,寸法があらかじめ決定されている
建築物において柱と梁とを半永久的に連結するため3種の連結部材を選択的に使用
することを開示しているにすぎないと主張する。しかしながら,一般の建築構造物
において,3種の組立要素と梁部材とを連結して所定の形状,大きさの建築構造物
とすることが周知の技術的事項であれば,その周知の技術的事項を刊行物発明に適
用して中央部用組立要素を付加することに阻害事由はなく,半永久的に連結する構
造体に係る技術的事項か,それとも分離自在に組み立てられ各組立要素が繰り返し
使用され得る組立構造体に係る技術的事項かという点は,上記周知の技術的事項を
刊行物発明に適用して中央部用組立要素を付加することについての容易想到性を左
右するほどの事項ではない。
  (4) 原告は,本件発明が中央部組立要素を採用することにより,分離自在に組
み立てられ,各組立要素が繰り返し使用され得る立体構造体において格別の作用効
果を奏すると主張する。しかしながら,原告の主張する本件発明の作用効果は,当
業者が引用例発明の上記周知の技術的事項を適用することにより予測し得る範囲内
のものであり,格別のものということはできない。
  (5) したがって,審決の相違点2の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由2
は理由がない。
 3 以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り
消すべき瑕疵は見当たらない。
   よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のと
おり判決する。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官   篠  原  勝  美
            裁判官   岡  本     岳
            裁判官   長  沢  幸  男

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