弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破毀する。
     本件を札幌高等裁判所函館支部に差戻す。
         理    由
 札幌高等検察庁函館支部検察官佐藤豁の上告趣意について。
 本件の公判請求書には、第一の事実として、「被告人は職場抛棄を煽動する目的
で昭和二十三年八月二十二日午後四時三十分頃北海道山越郡c町所在国鉄長万部機
関区長Aの看守する建造物たるa詰所に故なく侵入したものである」と記載されて
いるが、原審に於て、検事は、右の第一事実に基いて公訴事実を陳述し、後所謂論
告に於て、右の事実中「a詰所」とあるのは、「b詰所」の誤記であるから訂正す
る旨を述べたこと原判決によつて明かである。これに対して原判決は、「被告人は、
昭和二十三年八月二十二日午前十一時過頃右機関区a詰所へ赴き更に同日午後四時
半頃右a詰所より約六十間へだたる同機関区b詰所え赴いた事実が明白であるから
本件公訴事実は、右二つの事実の内いずれかを対象としたものと思はれるけれども
果してそのいずれを起訴したものか、公判請求書の記載によつては確定し得ない。
しかして右の如く同一日に午前にa詰所へ赴いた甲事実と午后にb詰所へ赴いた乙
事実とあつて、公判請求書記載事実の時間の点を訂正すれば甲事実となり、場所の
点を訂正すれば乙事実となるというが如き場合に於て、しかも一件記録上時間場所
のいずれの点を誤記したものか明白でない場合にあつては、公判廷における釈明に
よつてこの点に関する公判請求書の記載を訂正することは許されないと解すべきで
ある。」と判示したのである。しかし公判請求書記載の事実と誤記として訂正され
た事実とを比照してみると、被告人も罪名も犯行の日時も凡て同じであつて、唯犯
罪の場所がa詰所でなくてそれより僅かに六十間隔たるb詰所と訂正されたに過ぎ
ない。而もその二つの建物は、同一人の看守する同一機関区構内に存在し、且つ同
一人の看守に属するものである。してみれば右の訂正によつて犯罪事実の同一性は
失はれていないことが明らかである。このように事実の同一性が害されない限り、
検察官が公判廷に於て口頭を以て公判請求書記載の事実を補正し得るものと解すべ
きことは、所論の通りであつて、原判決のように右の訂正を許されないものと解す
べき理由はない。この点に於て原判決は、刑事訴訟手続に関する法律の解釈を誤つ
たものである。
 右の理由により本件公訴事実は、検事が口頭によつて訂正した通り、被告人が前
記b詰所に故なく侵入したという事実であるから、原審は右の事実につき審判すべ
きであつたにも拘わらず、このことを為さず、原判決は単に、「被告人が右場所(
公判請求書記載の場所、即ちa詰所)に侵入したという事実を認むべき証拠は存在
しない」とのみ判示するに止まつて、無罪を言い渡したのは、所論のように、審判
の請求を受けた事件につき判決を為さない違法を犯したものである。よつて論旨は
理由があり、原判決は破毀を免れない。右の違法は、事実の確定に影響を及ぼすべ
きものと認められるから旧刑訴第四四七条、第四四八条の二、刑訴施行法第二条に
より主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 長谷川瀏関与
  昭和二五年一月一〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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