弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役8年に処する。
未決勾留日数中1500日をその刑に算入する。
押収してあるD環境センター災害廃棄物搬入承認証(偽造分)150組9
20枚の各偽造部分(平成10年押第163号の47ないし60,72ないし14
4,146ないし208),チャック付きポリ袋入り覚せい剤3袋(同号の4ない
し6),ポリ袋入り覚せい剤1袋(同号の7),チャック付きポリ袋入り大麻草1
袋(同号の8),自動装てん式けん銃1丁(同号の1)及びけん銃実包5発(同号
の2)を没収する。
理由
(犯罪事実)
被告人は,
第1 土木工事業等を事業目的とする有限会社A興業の代表取締役であったもので
あるが,平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震により家屋が倒壊するなど
したり災者に生じた災害廃棄物に関しては,これを神戸市管理の廃棄物処分場であ
る神戸市B区C町D字Ea番にある神戸市環境局D環境センターに搬入するに当た
り,倒壊家屋等の解体撤去請負工事業者がり災者の代理人として神戸市環境局長か
ら同災害廃棄物の処理手数料免除の決定を受けた上で,神戸市環境局災害廃棄物対
策室作成名義の正票及び副票が一対となった「D環境センター災害廃棄物搬入承認
証」(以下「搬入承認証」という。)の交付を受け,その搬入時に,廃棄物処理手
数料徴収担当者に対して搬入承認証を提示し,その正票部分の半券を交付すれば,
上記工事業者の負担
する同災害廃棄物に関する廃棄物処理手数料(以下「処理手数料」という。)が免
除されていたことから,搬入承認証を偽造し,これを廃棄物処理業を営む株式会社
F(以下「F」という。)代表取締役Gに売却して利を図るとともに,同人らをし
て,これを不正に使用させて行使しようと企て,
1 平成8年5月20日ころから同月23日ころまでの間に,行使の目的で,ほ
しいままに,H及びIらと共謀の上,奈良県御所市Jb番地にあるK印刷店ほか2
か所において,事情を知らない印刷仲介業者L及びK印刷店経営者Kらをして,軽
オフセット印刷等の方法により,あらかじめ入手した真正な搬入承認証と同材質よ
うの緑色用紙1万枚に,その表裏が一体になるように,同承認証の不動文字部分と
酷似させた「D環境センター災害廃棄物搬入承認証」の文字並びに「No.」,
「有効期限」,「工事(契約)No.」及び「請負業者名」等の所要の文字を印刷
させた上,別表1(1)欄記載のとおり,同用紙中の59枚の用紙の「No.」欄に
「002581」などの数字を印刷させ,引き続き,同年7月1日ころから同年1
0月1日ころまでの間,
前後6回にわたり,神戸市M区N町c番d号にあるホテルOe号室の上記有限会社
A興業事務所などにおいて,同用紙の各「工事(契約)No.」欄及び各「請負業
者名」欄に「15682○○工業株式会社」などとゴム印等を用いて冒捺するとと
もに,同用紙の各「有効期限」欄に「環境局災害廃棄物対策室8・7・15承認」
などと刻した偽造した丸型デート印を冒捺し,もって,各有効期限欄記載の日時ま
でその使用が可能であるとした神戸市環境局災害廃棄物対策室作成名義の公文書で
ある搬入承認証59枚(平成10年押第163号の47ないし60は,これらが行
使された際に原符が貼付されたもの)の偽造を遂げた上,偽造した同搬入承認証の
売却先であるF従業員Pにおいて,同会社が収集した産業廃棄物等の廃棄物を,上
記地震による倒壊家
屋の解体撤去工事等により生じた災害廃棄物であるかのように偽って上記D環境セ
ンターに搬入するに際し,同表(2)欄記載のとおり,同年7月9日午後3時39分こ
ろから同年10月11日午前11時22分ころまでの間,前後14回にわたり,同
センター手数料徴収ブースにおいて,同市から処理手数料徴収業務の委託を受けた
Q株式会社従業員Rほか5名に対し,情を知らない上記Pをして,上記偽造した搬
入承認証合計59枚をいずれも真正に成立したものであるかのように装って提示さ
せて行使した。
2 同年9月30日ころから同年10月7日ころまでの間に,行使の目的で,ほ
しいままに,H及びIらと共謀の上,上記K印刷店ほか2か所において,事情を知
らないL及びKらをして,前同様の方法により,真正な搬入承認証と同材質ようの
緑色用紙1万枚に,その表裏が一体となるように,前同様の文字を印刷させた上,
別表2(1)欄記載のとおり,同用紙中の377枚の用紙の「No.」欄に「0484
01」などの数字を印刷させ,引き続き,平成9年1月28日ころから同年2月2
4日ころまでの間,前後5回にわたり,上記有限会社A興業事務所などにおいて,
同用紙の各「工事(契約)No.」欄及び各「請負業者名」欄に「56313
(株)△△工務店」などとゴム印等を用いて冒捺するとともに,同用紙の各「有効
期限」欄に「環境局災害
廃棄物対策室9・2・10承認」などと刻した偽造した丸型デート印を冒捺し,も
って,各有効期限欄記載の日時までその使用が可能であるとした神戸市環境局災害
廃棄物対策室作成名義の公文書である搬入承認証377枚(同号の72ないし14
4は,これらが行使された際に原符が貼付されたもの)の偽造を遂げた上,偽造し
た同搬入承認証の売却先であるFの上記Pほか1名において,同会社が収集した産
業廃棄物等の廃棄物を,前同様に偽って上記D環境センターに搬入するに際し,同
表(2)欄記載のとおり,同年1月28日午後2時26分ころから同年3月10日午前
10時38分ころまでの間,前後73回にわたり,同センター手数料徴収ブースに
おいて,上記Q株式会社従業員Sほか12名に対し,情を知らない上記Pほか1名
をして,上記偽造し
た搬入承認証合計377枚をいずれも前同様に装って提示させて行使した。
3 同年3月25日ころから同月28日ころまでの間に,行使の目的で,ほしい
ままに,上記K印刷店ほか2か所において,情を知らないL及びKらをして,前同
様の方法により,真正な搬入承認証と同材質ようの緑色用紙1万枚に,その表裏が
一体となるように,前同様の文字を印刷させた上,別表3(1)欄記載のとおり,同用
紙中の334枚の用紙の「No.」欄に「057096」などの数字を印刷させ,
引き続き,同年3月31日ころから同年5月19日ころまでの間,前後7回にわた
り,上記有限会社A興業事務所などにおいて,同用紙の各「工事(契約)No.」
欄及び各「請負業者名」欄に「45827(株)××建設」などとゴム印等を用い
て冒捺するとともに,同用紙の各「有効期限」欄に「環境局災害廃棄物対策室9・
4・11承認」など
と刻した偽造した丸型デート印を冒捺し,もって,各有効期限欄記載の日時までそ
の使用が可能であるとした神戸市環境局災害廃棄物対策室作成名義の公文書である
搬入承認証334枚(同号の146ないし208は,これらが行使された際に原符
が貼付されたもの)の偽造を遂げた上,偽造した同搬入承認証の売却先であるF従
業員Tほか2名において,同会社が収集した産業廃棄物等の廃棄物を,前同様に偽
って上記D環境センターに搬入するに際し,同表(2)欄記載のとおり,同年4月7日
午前8時55分ころから同年5月28日午後4時28分ころまでの間,前後63回
にわたり,同センター手数料徴収ブースにおいて,上記Q株式会社従業員Uほか1
3名に対し,情を知らない上記Tほか2名をして,上記偽造した搬入承認証合計3
34枚をいずれも前
同様に装って提示させて行使した。
第2 法定の除外事由がないのに,平成10年3月20日ころから同月26日ころ
までの間に,兵庫県下又はその周辺において,フエニルメチルアミノプロパンの塩
類を含有する覚せい剤若干量を自己の身体に摂取し,もって,覚せい剤を使用し
た。
第3 みだりに,同月26日午前10時20分ころ,神戸市M区Vf丁目g番地に
ある仮設V第h住宅i棟j号室の被告人の当時の立ち回り先において,覚せい剤で
あるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩の結晶粉末約0.892グラム(同号の
5及び7はその鑑定残量)及びフエニルメチルアミノプロパンの塩類を含有する覚
せい剤の結晶粉末約1.029グラム(同号の4及び6はその鑑定残量)並びに大
麻草約3.911グラム(同号の8はその鑑定残量)を所持した。
第4 法定の除外事由がないのに,同日午前11時27分ころ,同市同区Vk丁目
l番m号先路上で信号待ちのため停車していた普通乗用自動車(捜査用車両)内に
おいて,口径0.25インチ自動装てん式けん銃1丁(同号の1)を,そのけん銃
に適合する実包6発(同号の2はそのうちの5発であり,うち2発は鑑定のため試
射済み。)と共に携帯して所持した。
第5 覚せい剤取締法違反及び銃砲刀剣類所持等取締法違反被疑事件の被疑者とし
て,同市同区W通n丁目o番p号にある兵庫県警察本部総務部留置管理課男子留置
場に勾留されていたものであるが,同年4月13日午前9時50分ころ,同留置管
理課男子留置場事務室において,被告人に同留置場外である同区内のX医院で診療
を受けさせるため,同留置場から同医院に被告人を護送する職務に従事していた同
警察本部生活安全部銃器対策課勤務の巡査部長Y(当時40歳)を認めるや,同人
が上記被疑事件により被告人を逮捕した上記銃器対策課課員であったことから激高
し,同人に対し,いきなりその右大腿部付近を1回足蹴にする暴行を加え,もっ
て,同人の職務の執行を妨害するとともに,上記暴行により,同人に約10日間の
加療を必要とする右大
腿打撲の傷害を負わせた。
第6 同年5月8日付けで神戸地方裁判所裁判官が発付した被告人に対する第5記
載の公務執行妨害等の容疑の逮捕状により,同月11日午後6時52分ころ,同記
載の兵庫県警察本部3階第5号調室において通常逮捕されたものであるが,引き続
き,同日午後7時10分ころ,同所において,同警察本部生活安全部銃器対策課勤
務の司法警察員警部補Zから同容疑に対する弁解の機会を与えられた際,同人が被
告人の弁解内容を弁解録取書に録取しようとしたことなどに激高し,同人のそばで
同じく勤務していた司法警察員巡査部長甲が所持していた上記逮捕状(同号の3)
をいきなり奪い取り,これを引き裂いて床に破り棄て,もって,公務所の用に供す
る文書を毀棄した。
(証拠の標目)
省略
(事実認定の補足説明)
第1 判示第1の1ないし3の有印公文書偽造,同行使の各事実について
1 弁護人の主張等
弁護人は,被告人が株式会社Fを経営するGに対して,偽造された公文書で
あるD環境センター災害廃棄物搬入承認証(以下「搬入承認証」という。)を譲り
渡したことは争わないが,これは被告人がHから紹介された神戸市環境局の職員か
ら受け取った搬入承認証を,これらが偽造されたものとは知らないまま,Gに譲り
渡したものであって,被告人は搬入承認証の偽造には全く関与しておらず,被告人
は無罪であると主張し,被告人もこれに沿う供述をするので,以下検討する。
2 検討
(1) 被告人から印刷屋や印鑑屋を紹介してくれるように頼まれ,これに協力し
たとするH,Hから依頼されて同人にLを紹介したとするI,Iから搬入承認証の
印刷を依頼されたとするL及びHから印鑑の作成を依頼されたとする乙の公判廷な
いし捜査段階の各供述に加え,Lが経営する株式会社丙から被告人の経営するA興
業にあてた荷物に関する宅配便送り状(平成10年押第163号の356)が存在
すること,ホテルOe号室の有限会社A興業事務所から,同社の通常業務において
使用するとは考えられず,そこから発見されるはずもない「環境局」や「承認」な
どといった印影のゴム印の一部の入った箱入り丸形スタンプ1本(同号の353)
や,行使された偽造搬入承認証(同号の59及び60)の請負業者欄に記載されて
いる「□□建設株式
会社」の印影のゴム印などが入ったゴム印入りケース1箱(同号の354)がそれ
ぞれ発見,押収され,しかも,これらのゴム印の印影は,いずれも偽造搬入承認証
に押印されているものと酷似していること,搬入承認証の印刷代金がA興業名でL
に振込送金されていることを示す「お取引のご案内」と題する書面(同号の36
7)などの関係証拠を総合すると,被告人が本件搬入承認証の偽造を行ったことは
優に認めることができる。
(2) これに対し,弁護人は,上記の供述のうち直接被告人の偽造への関与を裏
付けるものはHの供述しかないところ,Hは自らが偽造に関与したものであるの
に,被告人に責任を転嫁していると主張する。
しかしながら,Hは,自らが判示第1の1及び2の搬入承認証の偽造の過
程に深く関与したことなど自己に不利益な事実を含めて供述する一方,判示第1の
3の3回目の搬入承認証の偽造への関与を否定していることについては,自己が勾
留中であったからであると合理的な理由を明確に述べており,搬入承認証の偽造に
関するすべての責任を被告人に転嫁するような供述態度を取っているわけではない
上,被告人が偽造に関与していることについては,上記の物証等によっても裏付け
られていることからすると,H供述は十分に信用することができる。
また,弁護人は,上記の物証について,A興業あての宅配便送り状がある
からといって,これをHが受け取ることもできるから,被告人にあてられたものと
は限らないとか,A興業で押収されたものについても被告人が知らないままHあた
りが持ち込んだ可能性があるとか,あるいは,A興業名での振込は被告人がHに頼
まれてしたものであるなどと主張する。
しかしながら,これらの主張は,HがA興業の業務等に何ら関係ない人物
であることからすると,それ自体不自然なものである上,こうした主張には格別裏
付けもないのであるから,およそ憶測の域を出ないものとして採用することができ
ない。
3 被告人の弁解について
(1) 被告人は,偽造搬入承認証は,Hの紹介で知った名前の言えない神戸市環
境局職員から入手したものであり,被告人自身は搬入承認証の偽造には全く関与し
ていないなどと弁解する。
(2) しかしながら,被告人は,この神戸市環境局職員について,その氏名はも
とより,その素性や言動に関しても何ら具体的な供述をせず,非常にあいまいな供
述に終始していること,上記2(1)で言及したゴム印等が有限会社A興業の事務所内
から発見,押収された事実についても,「分からない。」などと述べるだけで,何
ら合理的な弁解をしていないこと,さらに,被告人は,Iのことは全く知らない
し,同人に連絡したこともないなどと供述するが,被告人が所有,使用していたア
ドレス帳(同号の357)内に,「I(印刷)」としてIの連絡先が記載されてい
るところ,被告人は,H関係の人が書いたと思うが,だれの字か分からないなどと
あいまいな供述をするが,その文字がだれの手によるものかはともかく,その記載
が存することから,被
告人とIの間に何らかの関係のあったことがうかがわれるのに,被告人は,この点
についても全く合理的な説明ができないことなどに照らすと,被告人のこの弁解供
述は,不自然,不合理なものであって,上記2(1)の関係証拠と対比して信用するこ
とができない。
4 まとめ
そうすると,判示第1の1ないし3の有印公文書偽造,同行使の各犯罪事実
は,これらを優に認めることができる。
第2 判示第2の覚せい剤取締法違反(自己使用)の事実について
1 弁護人の主張等
弁護人は,被告人は,そもそも覚せい剤を使用した記憶がない上,本件にお
ける強制採尿手続は,令状の呈示がなされておらず,また,採尿用ポリ容器の水洗
いがされていないなど,ずさん極まりないもので明らかに違法であるから,被告人
の尿に関する鑑定結果等の関係証拠は証拠排除されるべきであり,被告人は無罪で
あると主張するので,以下検討する。
2 強制採尿手続の適法性等について
(1) 証人丁の公判廷における供述(以下「丁証言」という。)について
ア 丁証言の概要
本件強制採尿手続に関与した警察官である証人丁は,当公判廷において
おおむね以下のような供述をする。
すなわち,本件強制採尿手続に至るまでに被告人の取調べを担当してい
た警察官戊及び甲の両名が,被告人に尿を任意提出するように説得したが,被告人
がこれに応じなかったので強制採尿の手続を取ることとし,平成10年3月27日
午後5時30分ころ令状の発付を受け,警察本部から己病院に被告人を連れてい
き,午後6時5分ころ同病院に到着した。
同病院の長いすで被告人に尿を任意に提出するよう更に促したが,被告
人が強制採尿してほしいというような意思を示したので,診察室に入れ,戊警部補
が被告人と庚医師に捜索差押許可状を示して確認させた。
しかし,被告人は,強制採尿を始めることを告げられるや激高し,庚医
師に対して大声で脅し文句を言うなどしたため,庚医師に隣室で待機してもらい,
付添いの警察官が金属製ベッドを蹴るなどして暴れる被告人を制圧してから,再度
庚医師を呼んだ。
そして,丁が再び令状を呈示し,採尿用のポリ容器を水洗いして,被告
人に見せてから庚医師に手渡すと,同医師により強制採尿が実施された。
その後,庚医師に封かん紙に署名してもらい,ポリ容器ごと警察本部に
持ち帰った。
イ 丁証言の信用性について
このような丁証言の信用性についてみると,丁証言の内容は採尿場所で
ある己病院の内部の詳細な状況などの細部については客観的事実関係と食い違う点
が若干見られるものの,本件強制採尿手続の経緯,実施状況等の供述の核心的な部
分に関しては具体的かつ詳細であって,その内容自体に特段不自然な点は見られな
いこと,本件強制採尿手続に関与した警察官及び証人庚の各公判供述とも相互に整
合的であることなどから,丁証言は十分信用することができる。
なお,弁護人は,丁証言が,令状を示した状況等につき,戊警察官の検
察官に対する供述調書(検察官請求証拠番号620)と異なっていることから,各警察
官の供述はいずれも信用できないというのであるが,丁証言と戊供述は,被告人や
捜査官らが,己病院に到着後,同病院の診察室に入った直後に,戊警察官が,手錠
をした状態の被告人に令状を示したという根幹部分については一致しているのであ
り,その信用性を疑わせるような事情があるとはいえない。
(2) 本件強制採尿手続の適法性等の検討
上記(1)の信用することができる丁証言を含む関係各証拠を総合すると,本
件強制採尿手続は,被告人が尿の任意提出を頑強に拒む状況下において,裁判官か
ら捜索差押許可状の発付を受け,被告人に対して尿の任意提出に応じるよう更に説
得を続けた上,最終的な手段として,被告人及び強制採尿を担当する庚医師に対し
て令状を呈示してから,医師が医学的に相当な方法により実施したもので,採尿用
ポリ容器は新品である上,丁によって水洗いもされているから,本件強制採尿手続
は適切な法律上の手続を履践し,その実施状況にも何ら問題がないものと認められ
る。
なお,仮に被告人が呈示された捜索差押許可状の内容を十分に確認してい
なかったとしても,被告人が庚医師に対して暴言を吐き,備品を蹴ったりして暴れ
るなどしていることからすると,被告人自身が令状の内容を確認する機会を放棄し
たものといえるから,手続全体の適法性に影響を及ぼすものではない。
3 被告人の覚せい剤使用について
覚せい剤のようにその流通,所持,使用等について法令で厳重な取締りがな
されている規制薬物は,人間の体内に自然と摂取されることは通常考えられないの
であるから,被告人の尿から覚せい剤成分が検出されたことに合理的な説明が付く
などの特段の事情が認められない限り,被告人が自らの意思でこれを体内に摂取し
たものと推認することができる。
これを本件についてみると,覚せい剤を体内に摂取した場合に尿中から覚せ
い剤が検出される期間は一般に1週間から10日間程度であることから,被告人の
尿から覚せい剤が検出されている以上,被告人が本件強制採尿手続前約1週間程度
の期間内に,覚せい剤を何らかの方法で自己の身体に摂取して使用したものと推認
することができる。
これに対して,被告人は,覚せい剤の使用の事実について,ただ身に覚えが
ないと弁解するだけで,上記の特段の事情について具体的,合理的な供述を全くし
ておらず,その他公判廷で取り調べた証拠全体を精査しても,特段の事情の存在を
認めるに足りる証拠は全く見当たらない。
そして,警察官辛の公判廷における供述によれば,当時の被告人の立ち回り
先が兵庫県内や岡山県下であった事実が認められ,被告人が兵庫県周辺地域で活動
していた事実が推認できるから,被告人が,本件強制採尿手続前の1週間程度の期
間内に,兵庫県内及びその周辺において覚せい剤を使用した事実が推認できる。
4 まとめ
そうすると,判示第2の覚せい剤自己使用の犯罪事実は,これを優に認める
ことができる。
第3 判示第3の覚せい剤取締法違反,大麻取締法違反(覚せい剤及び大麻草の所
持)の事実について
1 弁護人の主張等
弁護人は,白い花柄模様入りの紙袋(平成10年押第163号の22)内の
ルイ・ヴィトンの茶色セカンドバッグ(同号の21)は被告人のものではなく,そ
の中から発見,押収された覚せい剤(同号の4ないし7)及び大麻草(同号の8)
(以下,これらを併せて「本件覚せい剤等」という。)も被告人が所持していたも
のではなく,被告人は無罪であると主張し,被告人もこれに沿う供述をするので,
以下検討する。
2 本件覚せい剤等の発見,押収状況について
(1) 証人Z,同Y,同壬,同甲及び同丁らの各証言によると,本件覚せい剤等
の発見,押収状況は,おおむね以下のとおりである。
すなわち,平成10年3月26日午前9時55分ころ,癸警部以下11名
の兵庫県警察本部生活安全部銃器対策課の警察官は,被告人に対する銃砲刀剣類所
持等取締法違反の容疑で,被告人の立ち回り先として把握していた神戸市M区Vf
丁目g番地の仮設V第h住宅i棟j号室(以下「本件仮設住宅」という。)に対す
る捜索を開始した。
警察官らが,4畳半に立っていた被告人を座らせて捜索を始めたところ,
被告人は「話がある。けん銃で来たんやろ。それやったら,外のもんが出ても水に
流してくれ。流してくれたら,わしも出すもんは出す。」などと,Z警察官や現場
責任者の癸警部に取引話を持ちかけてきた。Zがその取引話を断ったにもかかわら
ず,被告人は,癸にも同様の取引話を持ちかけ,さらに,遅れて本件仮設住宅に到
着した甲警察官に対しても,「甲ちゃん,聞いてえな。話が分からんやつばかり
や。わしは出す言うたら出すんや,水に流してくれ。」などと言っていた。
壬警察官は,それを聞き,被告人が覚せい剤を所持しているのではないか
と疑い,被告人に「シャブでもあるんか。」と聞いたところ,被告人は「そうや,
その袋の中や。」と言って,押し入れの方を指さしたので,丁警察官が白い花柄模
様の紙袋を取り出し,被告人の前に置いた。
壬が紙袋の中を見ると,黒いバッグと茶色のルイ・ヴィトンのバッグの二
つが入っており,黒いバッグを取り出し,被告人に示して確認したところ,被告人
は「いや,ちゃう。ビトンのバッグや。」と言うので,その黒いバッグを紙袋にし
まい,ヴィトンのバッグを出して被告人に確認すると,被告人は,「そうや。」と
言った。
その後,被告人が,壬からの「見るで。」という問いかけに対し,「勝手
にせえ。」と言うので,チャックを開いて中身を見ると,茶封筒が二つ入ってお
り,その中に覚せい剤ようのものが入ったポリ袋4袋等が在中していた。
簡易鑑定の結果,覚せい剤であることが判明したので,被告人を覚せい剤
取締法違反(所持)の事実で現行犯逮捕し,その際,覚せい剤に関するものを押収
し,その他のものは別の紙袋に入れ,本件仮設住宅で保管しておき,同年4月8日
に押収した。
(2) この本件覚せい剤等の発見,押収状況に関する各証言は,具体的かつ詳細
で不自然な点もない上,相互に符合し,弁護人の反対尋問にも動揺が見られないこ
とに加え,写真撮影報告書(検察官請求証拠番号19)によって認められる本件覚せ
い剤等が発見された際の客観的状態,すなわち,白い花柄模様入りの紙袋(平成1
0年押第163号の22)の中にルイ・ヴィトンの茶色セカンドバッグ(同号の2
1)と黒色バッグが入っており,そのうち茶色セカンドバッグの中に,ポリ袋入り
覚せい剤白色結晶粉末4袋(同号の4ないし7),注射器2本,はさみ1本,ポリ
袋入り大麻草1袋(同号の8)等が在中していることによっても裏付けられている
ことから十分信用することができる。
ちなみに,黒色バッグの中には被告人が使用する糖尿病の薬が入ってお
り,この黒いバッグが被告人のものであることや,花柄模様入りの紙袋の中には被
告人の携帯電話が入っていたことも関係証拠により認められ,この事実自体も特に
争いはない。
(3) 以上検討したとおり,本件覚せい剤等が花柄模様入りの紙袋内のルイ・ヴ
ィトンの茶色セカンドバッグに入っていたことや,被告人がこの本件覚せい剤等の
存在を確定的に認識していたことは明らかである。
3 弁護人の主張について
(1) これに対して,弁護人は,上記の写真撮影報告書に写された状態は,警察
官が,けん銃を捜索するために部屋の中をひっかき回すようにして,かばんや紙袋
の中を取り出すなどした後,その復元の際に誤って被告人の黒色バッグを被告人の
ものではない花柄模様入りの紙袋に戻したことによって生じたものであるから,黒
色バッグが花柄模様入りの紙袋の中に入っていたとしても,その紙袋の中の茶色セ
カンドバッグの中にあった本件覚せい剤等が被告人のものであることとは結びつか
ないと主張し,被告人も,当公判廷において,花柄模様の紙袋も茶色セカンドバッ
グも見たことがなく,自分の黒色バッグはこたつの上にあるのを見ているなどとこ
れに沿う供述をする。
しかしながら,部屋の中のこたつの上に置かれていた黒色バッグを,誤っ
て押し入れの方から出してきた花柄模様入りの紙袋に入っていたものとして復元す
るというのは,いかにも不自然としかいいようがないのであって,この主張は,信
用することができる上記2(1)の各証言と対比して到底採用することができない。
(2) このほか,弁護人は,上記2(1)の各証言は,被告人が,客観的に取引が
できる条件が整っていない上,取引話が成立する余地がなくなってからも,警察官
に取引を何度も持ちかけたとする内容自体,不合理かつ不自然なものであるし,本
件捜索が適式に行われなかったことを組織的に覆い隠し,ずさんな捜索実態を隠ぺ
いし,被告人の本件逮捕を正当化するために作出された虚偽のものであり,信用す
ることができないなどと主張する。
しかしながら,被告人が,けん銃の捜索のために臨場した警察官に対し,
真正けん銃の加重所持罪という重い犯罪事実を告げることによって,これと比して
軽微な覚せい剤等の所持の犯罪事実をなかったことのように取引を持ちかけること
は十分有り得ることであり,特に被告人が以前に前科となった犯罪の捜査の際にも
関与していたことから顔見知りであった警察官に対してこのような取引話を持ちか
けたとしても何ら不自然とはいえない。
4 まとめ
そうすると,判示第3の覚せい剤及び大麻草の所持の犯罪事実は,これを優
に認めることができる。
第4 判示第5の公務執行妨害,傷害の事実について
1 弁護人の主張等
弁護人は,被告人は,警察官Yから挑発的な発言があったので同人の方に寄
っていこうとしたところ,被告人の腰縄をつかんでいた警察官が被告人の行動を制
止しようとして腰縄を後ろに引っ張ったため後ろに転倒し,その際被告人の右足が
前方に出て,Yの太ももに当たったにすぎず,公務の執行を妨害しようという意思
はなく,暴行を加えた事実もないと主張し,被告人もこれに沿う供述をするので,
以下検討する。
2 検討
(1) 証人Yの公判廷における供述(以下「Y証言」という。)
ア 警察官Yは,本件被害状況についておおむね以下のような供述をする。
すなわち,Yは,平成10年4月13日午前9時50分ころ,被告人を
病院に押送するため,兵庫県警察本部留置管理事務室内で,留置場から出場する被
告人を待っていたところ,留置管理課の係員が留置管理事務室と留置場の間のドア
を開けた途端,いきなり被告人から,前蹴りのようにして,被告人の右足でYの右
足太もも外側を蹴られた。被告人から蹴られた後,Yはちょっと後ろに避けたが,
被告人は再度蹴ってきた。しかし,2度目の蹴りはYが右手でさばいたので,右膝
付近をかすっただけだった。蹴った後,被告人は,「何しよんや。何しに来たん
や。」などと鋭い口調で怒鳴っていた。この被告人の暴行によりYは負傷し,初診
を入れて3回通院し,4月末ころ治癒した。
イ このY証言の信用性についてみると,Y証言の内容は,右大腿打撲とい
う同人の負傷の程度,状況に合致していること,Yは被告人を病院に押送する任務
に当たっていたものであり,被告人の動静を注視していたのであるから,本件のよ
うな瞬間的な暴行であったとしても,その認識は正確であるといえること,現場を
目撃していた警察官3名の公判廷における各供述の内容と相互に合理的に符合して
いることなどから,Y証言は信用することができる。
(2) 上記(1)のY証言を含む関係各証拠から認められる状況に加え,Yの負傷
状況,程度を総合すると,被告人が,自らを病院に押送するという公務に従事して
いた警察官であるYに対して,意図的に1回足蹴にする暴行を加えた事実が認めら
れる。
また,被告人がこのような暴行に及んだ動機について,被告人と銃器対策
課の警察官の関係が良好ではなかったこと,被告人が,暴行直後に「何しよんや。
何しに来たんや。」などと怒鳴っていたことなどの事情を総合すると,被告人が,
それまでの捜査の経過から好印象を持っていなかった被害者ら銃器対策課員に対し
て激高したためであったと推認できる。
3 被告人の弁解について
(1) これに対して,被告人は,当公判廷において,Yを蹴ったことはなく,Y
に向かっていこうとしたとき,腰縄を後ろに引かれたために後ろによろめき,その
際,被告人の足がYに当たっただけであるなどと弁解する。
(2) しかしながら,被告人の上記の弁解供述は,腰縄を後ろに引かれたから足
が前に出て,それがYの右足に当たったというその内容自体不自然であるばかり
か,被告人の供述するように後ろに引かれた拍子にたまたま足が当たっただけで
は,診断書(検察官請求証拠番号59)及び写真撮影報告書(同番号60)から認めら
れるようなYの負傷が生ずるとは考えにくいこと,また,そもそも,前記Y証言
は,被告人が2回蹴ってきたというもので,被告人の弁解はこれと相反しているこ
となどから,信用することができない。
よって,被告人の弁解供述に依拠する弁護人の主張は採用することができ
ない。
4 まとめ
そうすると,判示第5の公務執行妨害,傷害の犯罪事実は,これを優に認め
ることができる。
第5 結論
以上のとおりであるから,結局,判示第1の1ないし3,第2,第3及び第
5の各犯罪事実は,これらを優に認定することができる。
(累犯前科)
被告人は,平成4年3月13日神戸地方裁判所で,銃砲刀剣類所持等取締法違
反,火薬類取締法違反の各罪により懲役3年4月の刑に処せられ,平成7年1月1
3日その刑の執行を受け終わったものであって,この事実は検察事務官作成の前科
調書(検察官請求証拠番号77)によって認める。
(法令の適用)
被告人の判示第1の1ないし3の各所為のうち有印公文書を偽造した点はいずれ
も刑法155条1項(判示第1の1及び2については,いずれも更に同法60条)
に,偽造有印公文書を行使した点は同法158条1項,155条1項(判示第1の
1及び2については,いずれも更に同法60条)に,判示第2の所為は覚せい剤取
締法41条の3第1項1号,19条に,判示第3の所為のうち覚せい剤を所持した
点は同法41条の2第1項に,大麻草を所持した点は大麻取締法24条の2第1項
に,判示第4の所為は平成14年法律第88号(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関
する法律)附則26条による改正前の銃砲刀剣類所持等取締法31条の3第2項,
1項,3条1項に,判示第5の所為のうち公務執行妨害の点は刑法95条1項に,
傷害の点は同法20
4条に,判示第6の所為は同法258条にそれぞれ該当するところ,判示第1の1
ないし3の各有印公文書偽造と偽造有印公文書行使との間にはいずれも手段結果の
関係があるので,同法54条1項後段,10条により1罪として,いずれも犯情の
重い有印公文書偽造罪の刑で処断し,判示第3及び判示第5はいずれも1個の行為
が2個の罪名に触れる場合であるから,いずれも同法54条1項前段,10条によ
り1罪として,判示第3については重い覚せい剤所持罪の刑で,判示第5について
は重い傷害罪について定めた懲役刑でそれぞれ処断し,被告人には前記の前科があ
るので同法56条1項,57条により判示各罪の刑についてそれぞれ再犯の加重
(判示第4の罪の刑については同法14条の制限に従う。)をし,以上は同法45
条前段の併合罪である
から,同法47条本文,10条により最も重い判示第4の罪の刑に同法14条の制
限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役8年に処し,同法21条を適
用して未決勾留日数中1500日をその刑に算入し,押収してあるD環境センター
災害廃棄物搬入承認証(偽造分)150組920枚(平成10年押第163号の4
7ないし60,72ないし144,146ないし208)の各偽造部分は,判示第
1の1ないし3の各偽造有印公文書行使の犯罪行為を組成した物で,何人の所有を
も許さない物であるから,同法19条1項1号,2項本文を適用して,チャック付
きポリ袋入り覚せい剤3袋(同号の4ないし6)及びポリ袋入り覚せい剤1袋(同
号の7)は,判示第3の覚せい剤所持罪に係る覚せい剤で犯人である被告人の所有
するものであるから
,覚せい剤取締法41条の8第1項本文により,チャック付きポリ袋入り大麻草1
袋(同号の8)は,判示第3の大麻草所持罪に係る大麻草で犯人である被告人の所
有するものであるから,大麻取締法24条の5第1項本文により,自動装てん式け
ん銃1丁(同号の1)及びけん銃実包5発(同号の2)は判示第4のけん銃加重所
持の犯罪行為を組成した物で被告人以外の者に属しないから,刑法19条1項1
号,2項本文を適用して,それぞれ没収し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項
ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
1 事案の概要
本件は,被告人が,震災廃棄物を無料で廃棄物処分場に搬入することができる
公文書である搬入承認証を偽造,行使したという有印公文書偽造,同行使の事実
(判示第1の1ないし3),覚せい剤の自己使用の事実(判示第2),覚せい剤及
び大麻草の所持の事実(判示第3),けん銃1丁をこれに適合する実包6発と共に
携帯して所持したというけん銃加重所持の事実(判示第4),護送担当者を足蹴に
して傷害を負わせた公務執行妨害,傷害の事実(判示第5)並びに逮捕後の弁解録
取時に警察官から逮捕状を奪い取って破り棄てたという公用文書毀棄の事実(判示
第6)からなる事案である。
2 量刑上考慮した事情
被告人は,実包6発を装てんした真正けん銃1丁をいつでも発射可能な状態で
隠匿,携帯して所持し,覚せい剤所持の現行犯人として逮捕された後,警察署に連
行されるまでの捜査用車両内でこれらを取り出して手にしたものであり,同車内で
天井に向けて1発が現実に発射され,同車両の天井を貫通していることからも,本
件けん銃等の所持態様は極めて危険なものであり,その犯情は特に悪質である。
そして,搬入承認証の偽造,行使事件は,周到な計画性がうかがわれる上,起
訴されているだけでも770枚もの多数の偽造搬入承認証を現実に行使し,これに
よって神戸市に多額の損害を生じさせ,自らは,偽造した極めて多数の搬入承認証
を知人の産廃業者に有償で譲渡して相当高額の不正な利益を上げていること,被告
人が所持していた覚せい剤や大麻草も少量とはいえない上,自らも覚せい剤を使用
しているのであって,被告人に覚せい剤取締法違反による同種前科が2犯認められ
ることから,被告人の違法薬物,ことに覚せい剤に対する常習性,親和性にはかな
り根深いものがあるといわざるを得ないこと,さらに,公務執行妨害,傷害及び公
用文書毀棄の各事案は,いずれも職務に従事中の警察官に対する反抗的な姿勢を現
したもので,被告人
の粗暴な性格をうかがわせる態様であることなど,いずれもその犯情は芳しくな
い。
加えて,被告人には,これまでに上記の覚せい剤前科の外,判示第4の犯行と
同類型の武器等製造法違反,銃砲刀剣類所持等取締法違反等(けん銃や実包の所
持,けん銃製造)の前科3犯を含む前科多数を有し,その罪種も強姦,覚せい剤取
締法違反などと多岐に渡り,これまでに相当期間服役したにもかかわらず,またも
や本件各犯行に及んだもので,被告人の規範意識の鈍麻は甚だしいといわざるを得
ず,ことに銃器犯罪,薬物犯罪に対する規範意識は欠如しているといっても過言で
はない。
のみならず,被告人は,5年以上の長期間にわたる公判において,複数の事件
について不合理な弁解に終始し,当公判廷においても反省の弁を全く述べていな
い。
3 結論
上記の諸般の事情を総合して考慮すると,被告人の刑事責任は重いといわなけ
ればならず,被告人が糖尿病にり患していることなど,弁護人が主張する被告人の
ために酌むべき事情を十分斟酌しても,主文の刑を免れない。
(求刑・懲役10年並びに覚せい剤,大麻草,自動装てん式けん銃1丁,実包5発
及び偽造搬入承認証の偽造部分の各没収)
平成16年2月2日
神戸地方裁判所第4刑事部
裁判長裁判官   笹野明義
裁判官   浦島高広
裁判官   谷口吉伸
(別表1ないし3は省略)

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