弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1被告が,公正取引委員会平成○年(判)第○号審判事件について,原告
に対し平成22年3月23日付けでした審決を取り消す。
2訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求の趣旨
主文同旨
第2事案の概要
1原告を含む別紙1被審人目録記載の80社(以下,「被審人80社」とい
う。)は,同目録「本店の所在地」欄記載の地に本店を置き,建設業法の
規定に基づき,「建設業の許可」欄記載のとおり国土交通大臣又は岩手県
知事から建設業の許可を受け,岩手県の区域において建設業を営む者であ
る。
被告は,被審人80社が,岩手県が発注する建築一式工事について,私的独
占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成17年
法律第35号)附則2条の規定によりなお従前の例によることとされる同法に
よる改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁
止法」という。)2条6項に規定する不当な取引制限を行っており,この行為
が同法3条の規定に違反しているとした上で,平成22年3月23日,被審人
80社のうち被審人株式会社P1を除く被審人79社(以下「被審人79社」
という。)については,独占禁止法54条2項が規定する「特に必要があると
き」に該当するとして,不当な取引制限を排除するために必要な措置を命じ,
株式会社P1については,上記の不当な取引制限を排除するために必要な措置
を命ずる必要はないとして,同条3項の規定により,独占禁止法3条の規定に
違反することを確認する審決(以下,「本件審決」という。)をした。
これに対し,原告は,本件審決が認定した原告による不当な取引制限を認め
る実質的証拠はないなどと主張し,本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起
した。
2前提となる事実
(1)本件に関係する建設会社
ア被審人80社
(ア)被審人80社は,それぞれ,別紙1被審人目録記載の「本店の
所在地」欄記載の地に本店を置き,建設業法の規定に基づき,「建
設業の許可」欄記載のとおり国土交通大臣又は岩手県知事から建設
業の許可を受け,岩手県の区域において建設業を営んでいる。(査
第1号証,第295号証)(以下,各被審人については,それぞ
れ,同目録1の各「事業者」欄内のかっこ書きのとおり略称す
る。)。
(イ)被審人P2は,平成15年8月14日まで「株式会社P3」と
の商号であったが,同日,株式会社P4(以下「P4」という。)
を吸収合併するとともに,現商号に変更した。被審人P5は,同年
5月15日まで「P6株式会社」との商号であったが,同日,株式
会社P7を吸収合併するとともに,現商号に変更した。被審人P8
は,平成17年8月1日まで「P9株式会社」との商号であった
が,同日,現商号に変更した。被審人P10は,平成20年9月1
2日まで「P11株式会社」との商号であったが,同日,現商号に
変更した(以下,商号変更前の被審人P10についても「被審人P
10」と表記する。)。(査第1号証,第308号証)
イ被審人以外の会社
(ア)別紙3(別紙2は欠番)記載の5社,別紙4記載の10社及び
別紙5記載の11社(以下,これらの会社と被審人80社を合わせ
て「106社」という。)は,各別紙の「本店の所在地」欄記載の
地に本店を置き,それぞれ,建設業法の規定に基づき岩手県知事か
ら建設業の許可を受け,岩手県の区域において建設業を営み又は営
んでいた。(査第2号証)
(イ)別紙3記載の5社は,平成15年5月31日以降,岩手県から
建築一式工事についてB又はCの等級(以下,それぞれ「B級」,
「C級」という。)に格付けされたことにより,岩手県発注の特定
建築工事の入札に参加していない。(査第23号証)
(ウ)別紙4記載の10社は,同別紙の「期日」欄記載の年月日以降,
「事由」欄記載の事由により,建設業を営んでいない。(査第2号
証)
(エ)別紙5記載の11社は,同別紙の「期日」欄記載の年月日に,
破産手続開始決定を受けた。(査第298号証ないし第301号証,
第309号証ないし第311号証)
(2)岩手県の建築一式工事の発注方法等
ア岩手県が発注する建築一式工事
岩手県は,建設業法に規定する建築一式工事を,工事内容に応じて新築,
増築,改築,改修,改造等の分類を付すなどして発注していた。(査第5
号証,第6号証,第168号証,第169号証)
イ建築一式工事の発注方法
(ア)所管部署等
岩手県は,地方自治法及び同法施行令の規定に基づくほか,同県が制
定した「岩手県会計規則」等の規定に基づき,建築一式工事の発注を行
っていた。(査第6号証,第9号証ないし第11号証)
岩手県は,同県が発注する建築一式工事のうち,本庁,教育委員会事
務局及び警察本部が所管する工事並びに医療局が所管する工事の一部に
ついては本庁において,医療局が所管するその余の工事及び地方振興局
等の出先機関が所管する工事についてはそれぞれの局又は出先機関にお
いて,それぞれ入札事務を行っており,また,それらの契約事務は工事
を所管する各部署においてそれぞれ行っていた。(査第6号証,第12
号証)
(イ)入札参加資格者の登録及び等級区分
岩手県は,「県営建設工事の請負契約に係る指名競争入札及び条件付
一般競争入札参加者の資格及び指名等に関する規程」及び「県営建設工
事の指名競争入札及び条件付一般競争入札に参加しようとする者の指名
競争入札等参加資格基準及び県営建設工事請負資格審査申請書の提出期
日」等に基づき,同県が発注する建築一式工事の指名競争入札,受注希
望型指名競争入札及び条件付一般競争入札への参加を希望する者につい
て客観的事項(経営規模,経営状況等),主観的事項(工事成績評点,
技術等評点,県施策評点等)及び技術者の要件(工事現場ごとに主任技
術者又は監理技術者を専任で配置すること等)の3項目の観点から指名
競争入札等参加資格基準に係る審査を行い,適合すると認める者(以下
「資格者」という。)について,客観的事項の審査結果(経営事項審査
結果)による総合評点に主観的事項の審査結果による評点を合算した総
合点数に基づき,総合点数の高い順に,A級,B級及びC級のいずれか
に格付し,県営建設工事請負資格者名簿(以下「資格者名簿」とい
う。)に登録していた。(査第13号証ないし第17号証)
資格者名簿の有効期間は2会計年度であり,2会計年度経過後翌2会
計年度に係る資格者名簿が作成されるまでの4月1日から5月末日まで
は,前2会計年度の資格者名簿が使用されていた。(査第13号証,第
14号証,第19号証,第20号証)
106社は,遅くとも平成13年4月1日以降(別紙7記載の事業者
にあっては,それぞれ,「期間」欄記載の期間),岩手県が発注する建
築一式工事について,A級に格付されていた。(査第21号証ないし第
23号証)
(ウ)発注方法の種類等
a発注方法の種類
岩手県は,同県が発注する建築一式工事の大部分を,条件付一般競
争入札,受注希望型指名競争入札又は指名競争入札のいずれかの方
法で発注していた。その余は,一般競争入札又は随意契約の方法で
発注していた。(査第24号証,第25号証)
b各発注方法の適用基準
岩手県は,平成13年4月1日から平成16年10月25日まで
の期間(以下,「本件期間」という。)中,設計額が1億円以上,
一般競争入札対象額未満の建築一式工事について,条件付一般競争
入札を実施し,設計額が1億円未満の建築一式工事について,指名
競争入札を実施した。ただし,同県は,平成16年1月5日から,
設計額が5000万円以上,1億円未満の建築一式工事について,
受注希望型指名競争入札を導入した。(査第6号証,第24号証)
c設計額による入札参加資格者の分類
岩手県は,本件期間において,建築一式工事の入札参加者を,設
計額が7000万円以上の建築一式工事については原則としてAの
等級(以下「A級」という。)に格付した者(以下「A級建築業
者」という。)のみ,設計額が3500万円以上,7000万円未
満の建築一式工事については原則としてB級に格付した資格者のみ,
設計額が3500万円未満の建築一式工事については原則としてC
級に格付した資格者のみとしていた。(査第26号証ないし第28
号証)
なお,岩手県は,設計額が7000万円未満の建築一式工事であっ
ても,工事の技術的な難度が高いもの,緊急に工事を行う必要のある
ものなど,B級又はC級に格付した者では施工困難と認められる工事
については,A級建築業者のみを指名競争入札及び受注希望型指名競
争入札の参加者として指名していた。(査第28号証)
d指名業者選定の基本方針
岩手県は,県内経済活性化の観点から,建築一式工事の指名競争入
札及び受注希望型指名競争入札に当たり,同県内に本店を置く業者
(以下,「県内業者」という。)が施工可能と認められる工事につい
て,極力,県内業者の中から指名業者を選定することとしていた。
(査第29号証,第30号証)
また,岩手県は,A級建築業者を対象とする建築一式工事の指名競
争入札及び受注希望型指名競争入札に当たり,施工場所を管轄する地
方振興局内及び隣接地方振興局内の資格者に配慮しつつ,全県的視野
に立って,県内一円のA級建築業者の中から指名業者を選定すること
としていた。(査第28号証)
e具体的発注方法
(a)指名競争入札
岩手県は,指名競争入札の方法により建築一式工事を発注する場
合,「県営建設工事の請負契約に係る指名競争入札参加者の指名基
準」に基づき,資格者の中から,施工成績,技術的適性,地理的条
件,手持ち工事量等を総合的に勘案して,原則として10社を入札
参加者として指名していた。(査第28号証,第30号証,第32
号証,第35号証)
なお,予定価格及び指名業者名の入札前の公表は行われなかった。
(査第28号証,第33号証)
(b)受注希望型指名競争入札
岩手県は,受注希望型指名競争入札の方法により建築一式工事を
発注する場合,「受注希望型指名競争入札実施要領」に基づき,個
々の工事ごとに地域要件,施工実績要件といった入札参加資格要件
を設定の上,工事の概要,入札参加資格要件を事前に公表して,入
札参加希望者を募り,入札参加希望者のうち入札参加資格要件を充
足する者の中から,地理的条件を優先しつつ,施工成績,技術的適
性,手持ち工事量等を総合的に勘案して,20社を上限として入札
参加者を指名していた。(査第28号証,第30号証,第31号証,
第35号証)
なお,予定価格及び指名業者名の入札前の公表は行われなかった。
(査第28号証,第33号証)
(c)条件付一般競争入札
岩手県は,条件付一般競争入札の方法により建築一式工事を発注
する場合,県内の施工実績者が少ない工事等を除いて,県内業者の
みを入札に参加させることとし,「県営建設工事の請負契約に係る
条件付一般競争入札の実施手続及び事務処理要領」に基づき,設計
額が1億円以上,5億円未満の建築一式工事については,単独の業
者を対象に発注し,「特定県営建設工事の請負契約に係る競争入札
参加者の資格等に関する規程」及び「特定県営建設工事の請負契約
に係る競争入札参加者の資格等に関する取扱要領」に基づき,大規
模かつ技術的難度の高い工事等でかつ設計額が5億円以上,一般競
争入札対象額未満の建築一式工事については,県内業者のみを構成
員とする特定共同企業体(以下「JV」という。)を対象に発注し
ていた。(査第32号証,第35号証ないし第39号証)
条件付一般競争入札では,その発注金額から,単独物件,JV物
件とも,A級建築業者のみが入札参加資格を有しており,岩手県は,
さらに個々の工事ごとに県内に本店を有すること等の地域要件,施
工実績要件,配置予定技術者資格要件といった入札参加資格要件を
設定の上,対象工事の概要と併せて事前に公告し,入札参加希望者
を募り,条件付一般競争入札参加資格確認申請書を提出した者の中
から入札参加資格要件を充足する者すべてを入札参加者としていた。
(査第32号証,第35号証,第36号証,第39号証)
そして,岩手県は,条件付一般競争入札参加資格確認申請書を提
出した者には,条件付一般競争入札参加資格確認結果通知書により
確認結果を郵送で通知していたが,入札参加者名の入札前の公表は
行っていなかった。(査第32号証,第33号証,第36号証,第
39号証)
なお,岩手県は,条件付一般競争入札に付する工事について,平
成16年10月31日までは,公告において設計額を事前に公表し
ていた。(査第39号証)
また,岩手県は,条件付一般競争入札の執行に当たって,入札参
加者に対し,1回目の入札書に記載した入札金額に係る工事費内訳
書を,入札と同時に提出させていた。(査第36号証,第39号
証)
(エ)再度入札等
岩手県は,指名競争入札及び受注希望型指名競争入札のいずれにお
いても,1回目の入札で予定価格に達しない場合は,原則,2回を限度
として再度入札を実施し,3回目の入札で予定価格に達しない場合は,
指名業者を選定し直して改めて入札を実施する,あるいは,予定価格と
最低入札価格との差が少ない等のときには,一部の入札参加者から見積
書を徴した上で,随意契約に移行することとしていた。(査第28号証,
第41号証)
また,岩手県は,条件付一般競争入札について,1回目の入札で予
定価格に達しない場合は,平成16年10月31日までは,再度入札を
1回実施することとしていた。(査第39号証,第41号証)
(オ)低入札価格調査制度等
岩手県は,低価格による入札に対して次のとおり対処していた。
条件付一般競争入札については,すべて低入札価格調査制度を適用
し,入札の結果,あらかじめ設定した調査基準価格を下回る額で入札し
た者がいる場合は落札者の決定を保留することとし,当該入札額によっ
て契約の内容に適合した履行がなされるか否かを,最低額入札者から順
次調査した上で,履行可能である者を落札者としていた。その際,履行
可能な者がいないときは,調査基準価格以上で入札した者のうち入札額
の一番低い者を落札者としていた。
また,指名競争入札及び受注希望型指名競争入札であらかじめ最低制
限価格を設定した工事については,入札の結果,最低制限価格を下回る
額で入札した者がいる場合は当該入札者を失格とし,最低制限価格以上
で入札した者のうち入札額の一番低い者を落札者としていた。
(査第24号証,第39号証,第41号証,第42号証)
(3)本件に至る経緯
アP12支部P13会
社団法人P14協会(以下「P14協会」という。)の会員のうち岩
手県が発注する建設工事についてA級に格付されている者によって,P1
4協会P13会(以下「P15」という。)が設けられていたところ,
平成6年8月ころまで,その下部組織として,盛岡地方振興局管内に所在
するA級建築業者によって,P14協会P12支部P13会(以下「P
12支部P13会」という。)が設けられていた。
P12支部P13会の会員は,岩手県が指名競争入札の方法により発
注する建築一式工事について,入札前に指名業者が「研究会」と称する会
合を開催して話し合うなどして,受注調整を行っていた。
しかし,P12支部P13会は,いわゆる埼玉土曜会事件の摘発を契
機に,P14協会につながる組織のままでは受注調整を続けられないと
して,平成6年8月20日ころに解散した。
平成6年4月ころから解散までの間,P12支部P13会の会長は,
当時の被審人P10の取締役であったP16が務めていた。
(査第43号証ないし第50号証,第58号証,第61号証)
イP17の発足及び役員
(ア)発足
P12支部P13会が解散した後,P16らは,P17を発足させ
ることとした。
その際に,盛岡地方振興局管内のみならず岩手県一円を対象に広く会
員を募ることとし,岩手県内のA級建築業者77社がこれに応じた。
そして,平成6年11月1日付けでP17の会員名簿が作成され,同
月2日,盛岡市所在のα会館において,「第一回の集い」と称する発足
会合が開催された。
(査第46号証,第51号証ないし第58号証,第61号証,第96号
証,第115号証,第116号証,第127号証,第141号証,第1
44号証,第177号証)
(イ)役員
P17は,会員各社の営業責任者級の者で運営され,会長,副会長等
の役員が選任されていたほか,平成11年ころ以降は,岩手県の各地方
振興局の各管轄区域からそれぞれ地区役員が選出されていた。(査第4
6号証,第57号証,第59号証ないし第61号証,第97号証)
P17の会長にはP16が就任し,以後,P16は,平成12年4月
に被審人P10を退社して同年6月に他の会社に籍を置くようになった
後も,引き続き,会長を務めた。(査第51号証,第60号証,第61
号証,第63号証,第65号証ないし第69号証,第99号証,第11
2号証,第113号証)
(ウ)総会の開催
P17は,毎年1回,ほとんどの会員の出席の下,総会を開催し,毎
年度の業務報告,会計報告等を行っていた。(査第63号証ないし第6
9号証,第99号証)
(エ)役員会の開催
P17では,総会の前など必要に応じて,会長,副会長等の役員の出
席の下で役員会が開催されており,会員間における情報交換が行われて
いた。(査第70号証ないし第78号証)
(オ)会員への周知
P17の会員には,必要に応じて「○○」と称する連絡文書等が会長
名で送付されていた。(査第79号証ないし第87号証,第89号証)
(カ)P17への新規加入の方法
P17の会員となるためには,会則において会員2社の推薦が必要と
されていた。
そして,新規に加入した者は,その年の総会で出席会員に紹介される
とともに,総会資料においても「新入会員紹介」等として記載され,既
存会員に対して周知されていた。併せて,総会資料に添付される会員名
簿によって新入会員も既存会員を知ることができるようになっていた。
(査第64号証ないし第69号証,第88号証,第97号証,第99号
証,第111号証)
(キ)岩手県は,P17が同県発注の特定建築工事について受注調整を行
っている疑いがあるとの情報が寄せられたことから,平成14年10月
29日,P17の会長(P16),副会長等から事情聴取をした。
これを受けて,同年11月13日に福祉センターで開催されたP17
の役員会において,同年10月16日に開催された平成14年度の総会
で承認されていたP18への名称変更が確認され,対外的には役員は存
在しないこととされた。
そして,平成14年11月25日付け文書により,P17の各会員に
対し,同年12月1日から会の名称をP18とすることが周知された。
(査第161号証ないし第167号証)
(ク)P17等への加入状況
106社のうち別紙6記載の9社を除く97社は,平成13年4月1
日当時P17の会員であった。
別紙6記載の9社のうち,被審人P2を除く8社は,それぞれ,別紙
6の各「期日」欄記載の期日に開催されたP18等の総会において,出
席会員に紹介され,加入が承認された。
被審人P2は,平成15年8月14日にP4を吸収合併し,同年9月
24日に岩手県から建築一式工事についてA級に格付されて以降,P4
のP18の会員としての地位を引き継いだ。
(査第69号証,第111号証,第112号証,第114号証,第11
8号証,第119号証)
3本件審決が認定した独占禁止法違反となる事実
被審人80社,別紙3記載の5社,別紙4記載の10社及び別紙5記載の1
1社(106社)は,いずれも建設業を営み又は営んでいた者であるが,遅く
とも平成13年4月1日(別紙6記載の事業者にあっては,遅くとも各「期
日」欄記載の年月日ころ)以降,岩手県が,条件付一般競争入札,受注希望型
指名競争入札又は指名競争入札(各入札方法の詳細については前記2の(2)イ
(ウ)eのとおり。)の方法により,A級建築業者のうち県内業者(JVを含
む。)のみを入札参加者として発注する建築一式工事(以下「岩手県発注の特
定建築工事」という。)について,受注価格の低落防止及び受注機会の均等化
を図るため
(1)当該工事について受注を希望する者又は受注を希望するJV(以下まと
めて「受注希望者」という。)は,106社が会員となっていたP17ない
しP18の会長又は地区役員(以下まとめて「P18等世話役」という。)
に対して,その旨を表明し,
ア受注希望者が1名のときは,その者を受注予定者とする
イ受注希望者が複数のときは,「継続性」(主として過去に自社が施工し
た建築物の工事であること),「関連性」(主として過去に自社が施工し
た建築物と関連する建築物の工事であること),「地域性」(主として工
事場所が自社の事務所に近いこと)等の事情を勘案して,受注希望者間の
話合いにより受注予定者を決定する
(2)受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は受注予定
者がその定めた価格で受注できるよう協力する
旨の合意(以下「本件基本合意」という。)の下に,受注予定者を決定し,受
注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,岩手県発
注の特定建築工事の取引分野における競争を実質的に制限していたものである。
(以下,本件基本合意の下に,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できる
ようにしていた行為を「本件違反行為」といい,個別の物件において受注予定
者を決定し受注予定者が受注できるようにする行為を「受注調整」という。)。
4本件の争点
(1)106社が本件違反行為を行ったか否か。(争点(1))
(2)本件違反行為が「競争を実質的に制限」(独占禁止法2条6項)するも
のであったか否か。(争点(2))
(3)本件違反行為についての除斥期間(独占禁止法7条2項ただし書)が経
過したか否か。(争点(3))
(4)被審人らに対して排除措置を命ずることにつき「特に必要があると認め
るとき」(独占禁止法54条2項)に当たるか否か。(争点(4))
5争点についての本件審決の認定及び被告の主張
(1)争点(1)(106社が本件違反行為を行ったか否か)について
アP18等の会長のP16のほか多数の会員の関係者が,P17ないしP
18において,岩手県発注の特定建築工事について,前記3の受注調整の
ルールが存在し,それに従って受注調整が行われていたことを認める内容
の供述をしている(P16〔査第61号証,第153号証〕,被審人P1
9の代表取締役〔査第62号証,第115号証,第142号証〕,被審人
P20の専務取締役〔査第116号証,第147号証,第151号証〕,
被審人P21(水沢市)の営業部長〔査第117号証〕,被審人P22の
専務取締役〔P23〕〔査第127号証,第143号証〕,被審人P24
の代表取締役〔査第128号証〕,P25の取締役〔査第129号証〕,
被審人P26の代表取締役〔査第130号証〕,P27の代表取締役〔査
第131号証〕,被審人P10の常務取締役〔P28〕〔査第139号
証〕,被審人P29の専務取締役〔査第140号証〕,被審人P30の代
表取締役〔査第141号証〕,被審人P31の顧問〔査第144号証〕,
P32の社長付〔査第149号証〕,被審人P33の企画副本部長〔査第
150号証〕,P34の代表取締役会長〔査第158号証〕及び被審人P
35の代表取締役〔P36〕〔査第177号証〕)。
イP17ないしP18の関係者から,前記3の受注調整のルールが存在し,
それに従って受注調整が行われていたと考えなければ説明が困難と考えら
れる文書が次のとおり留置されている。
(ア)P17が平成7年2月1日付けで会員向けに発行した「○○」と題
する連絡文書(査第79号証)
「P17発足の当初からP15との関係を懸念する声がありましたが,
昨年末にP37会長と協議いたしまして建築関係についてはP15と相
互に連絡をとりあって,従来通りP17で取扱いをすることを確認いた
しました。二重,三重の危機管理の観点からも別組織のこの会の存在の
重要性があると思いますので・・・諸問題解決の場として活用して頂き
たいと思います。」等の記載がある。
(イ)P17のP16が平成8年8月20日付けで会員向けに発行した
「お願い」と題する連絡文書(査第81号証)
「最近は一般競争,公募型の発注が多くなりましたので混乱をさける
ために,参加希望者は広告日(ママ)を含めて,3日以内にP17事務
局か,P13会に申し込んで下さい。申し込みのない場合は参加希望な
しとして取り扱いすることがありますので御了承下さい。使名競争入札
(ママ)についても,従来通り希望者は指名受日より3日以内に上記関
係に申し込んで下さい。尚,P17でお受けするのは建築工事のみとな
りますので念のため申し添えます。」等の記載がある。
(ウ)P17のP16が同会に入会しようとしていた被審人P38に対し
て平成10年11月25日付けで交付した連絡文書(査第88号証)
「P38(株)代表取締役P39」という宛名が手書きで,その余の部
分はワープロ等で印字されたものであり,その下部には「協議事項及び
申込受付について(建築工事)受付電話番号×××-×××-×
×××(会長直接お受けします)」,「工事希望者は公告日をふくめて
3日以内に申し込んで下さい。特に一般競争及び公募型については申込
のない場合は参加希望なしとして取扱いすることがありますので御了承
下さい。」との記載がある。
(エ)「10周年記念平成16年度P18総会資料」と題する書面(査
第51号証)
会長であるP16の「ご挨拶」として,「P18(P17)創立10
周年の記念すべき年にあたり,一言ご挨拶を申し上げます。」,「平成
5年に中央建設業界を震撼させた事件が発生し,これが私たち地方業界
にも波及することが必至と予測されました。従いまして従来の組織では
対応が困難となり,特に建築関係の混乱を未然に防止するために,・・
・新組織『P17』を立ち上げ,・・・」,「現況は競争面は官主導で
否応なく完璧に実施されておりますが,協調面をいかに構築するかが緊
急な課題であります。協調の原点は『会話』です。・・・会員各位の良
識に期待し,より良い方向を見出して参りたいと思います。」等の記載
がある。
ウ106社は,本件期間中に,岩手県が発注した特定建築工事に該当する
別紙8記載の133物件(以下,個々の物件を別紙8の番号欄記載の番号
に従って「物件1」等といい,まとめて「本件発注物件133物件」とい
う。本件発注物件133物件の工事名,発注方法,公告日・通知日,入札
日,予定価格,落札業者,落札価格,落札率及び入札参加者は,それぞれ
別紙8の各該当欄記載のとおりであり,入札参加者欄記載の「▲」印を付
された業者及び【】で括られた業者についての説明は,同欄冒頭記載の
とおりである。)のうち,118物件を受注しているが,本件発注物件1
33物件のうち,別紙9記載の58物件(以下「58物件」という。)及
び別紙10記載の5物件の合計63物件(以下「63物件」という。)に
ついては,各別紙の各項記載のとおり受注調整が行われていた。(別紙9
及び10の各項掲記の各証拠)
別紙9及び10によれば,63物件についての受注調整は,いずれも,
前記3の方法で行われていたといえる。当該受注調整の方法が,入札参加
者の構成,特定の事業者の参加の有無等によって有意に異なるというよう
な事情は認められない。63物件は,条件付一般競争入札,受注希望型指
名競争入札,指名競争入札のいずれの発注方法も含み,新築工事のみなら
ず改築工事,改修工事,増築工事,解体工事等の多様な種別にわたり,そ
の工事場所も特定の地域に偏ることなく県内全域にわたっている。63物
件は,本件期間中の特定の時期にも偏っていない。
エP17ないしP18においては,必要に応じて役員会が開催され,そこ
で,条件付一般競争入札への対応など,受注調整を継続していくための方
策が検討されており,かかる検討は,平成13年以降も継続されていた。
オP17ないしP18においては,かねてから,役員会で確認された事項
を総会の場において周知させるなどされていたところ,平成13年以降も
毎年,ほとんどの会員の出席の下で総会が開催され,また,会員向けの連
絡文書(その具体的内容の一部は前記イ(ア)及び(イ)のとおり)の送付に
より,受注希望の表明方法,連絡先及び連絡期限についての周知が図られ
ていた。
P17が受注調整を行っているとの情報が岩手県に寄せられ,P16ら
が岩手県の事情聴取を受けたにもかかわらず,P17の関係者は,受注調
整をやめることなく,会の名称変更等の発覚防止のための措置を講じつつ,
その後も引き続き従前同様の受注調整を継続した。
そして,平成15年10月16日に岩手県花巻市所在のP40で開催さ
れた総会及び平成16年10月20日に同市所在のP41で開催された総
会では,従来の会則に代えて,「1.みんなできめたルールを尊重し,人
としての礼節を守り,小異をすてて効率的に柔軟な人間関係の形成をめざ
して英知を結集する場としましょう。」という内容の新たに制定された指
標が総会資料に記載され,総会資料に含まれていた会員名簿の記載も会社
名から個人名に変更されるなどして,引き続き受注調整を継続することが
確認された。総会資料は,欠席者に対しても配布された。
カ以上の諸事情に照らせば,遅くとも平成13年4月1日までに,P18
等の会員間において本件基本合意が成立し,以後,同合意に基づく受注調
整が行われてきたものと認めるのが相当である。
キそして,P17が,P12支部P13会が解散した後,岩手県が指名
競争入札の方法により発注する建築工事一式について,競争を回避して受
注価格の低落を防止するために,事前に受注調整をすることを主たる目的
として設立されたものであること,平成14年10月ころ,岩手県に,P
17が岩手県発注の特定建築工事について受注調整を行っている疑いがあ
るとの情報が寄せられ,P17の会長(P16)や副会長などが岩手県に
よる事情調査を受けたことから,会の名称をP18に変更するなど受注調
整が発覚することを防止する措置が講じられたものの,引き続き従前通り
の受注調整が行われていたこと,新たにP17ないしP18の会員となる
者は,同会において同建築一式工事についての受注調整が行われているこ
と及びその方法に関する説明を受け,これに賛同した上で,総会の承認を
得ることになっていたこと,その際に,前記イ(ウ)のような受注調整の手
続に関する内容を含む連絡文書が新入会員に交付された事例があること
(前記イ(ウ)の文書の体裁によれば,少なくとも同文書が作成された当時
は,P17において,同文書の宛名部分のみを空白とした定型文書を用意
しておき,新入会員に対して,当該定型文書の宛名部分に宛名を記入した
ものを定型的に交付する,というような運用が行われていたものと推認さ
れる。),実際にP17ないしP18において,本件期間を通じて恒常的
に,P18等世話役も関与する形で受注調整が行われていたこと,前記イ
(ア)及び(イ)のように,受注調整に関する連絡等が,各会員に対して恒常
的に行われていたこと(したがって,受注調整に参加する意思のない者を
入会させることは,部外者に対して自分達が組織的に受注調整をしている
事実を暴露するに等しいこと)も踏まえれば,P17ないしP18等の会
員となった事業者は,特段の事情のない限り,同会が主として受注調整を
行うことを目的とする組織であること,実際に受注調整が行われているこ
と,自社もそれに参加することとなることを,認識していたものと認める
のが相当である。
ク本件合意で考慮される「地域性」,「継続性」,「関連性」のうち,
「地域性」は,主として工事場所が事業者の本店所在地に近いことを意味
するのであり,また,これらの要素に加えて直近の受注高の多寡を勘案し
て話合いが行われていたので,常に過去に施工したという条件を持つ者が
有利であるとは限らず,P18の新規加入者にも受注の可能性があるので,
原告を含むP18の新規加入者にも,本件合意に参加するメリットがある
(本件訴訟における被告の追加主張)。
ケ原告の担当者は,原告がP18の会員となる約半月前に行われた物件1
06の入札において,被審人P42の営業部課長から,受注調整について
の協力を求める連絡を受け,物件106については,実際に,本件合意に
基づく受注調整によって受注予定者となった被審人P42が落札をしてい
る。
コ原告については,P18が主として受注調整を行うことを目的とする組
織であること,実際に受注調整が行われていること,自社もそれに参加す
ることとなることを認識することなくP18に加入していたものとうかが
われる上記特段の事情があるとは認められない。
サ以上によれば,原告を含む106社は,本件基本合意に加わり,本件違
反行為に及んでいたものと認められる。
(2)争点(2)(本件違反行為が「競争を実質的に制限」するものであったか否
か)について
ア本件違反行為は,岩手県発注の特定建築工事の取引分野における競争制
限を目的として開始され,本件期間だけをみても3年半以上にわたって実
質的に継続されている(特に,別紙10記載の5物件において,本件基本
合意に基づく受注調整において受注予定者とされた事業者が最終的に受注
できないというような事態が生じたにもかかわらず,その後も本件基本合
意に基づく受注調整が継続されていることは,本件違反行為が実質的に継
続されていたことを端的に示すものといえる。)。
イ別紙8によれば,本件発注物件133物件における入札参加者の総数は
147社であり,106社は参加者数の約72.1%を占めている。本件
発注物件133物件すべての入札において,106社のいずれかが入札参
加者となっている。そして,106社は,本件発注物件133物件のうち
118物件(88.7%),発注総額(落札金額,税抜き。以下同様。)
約192億円のうち約168億円(87.5%)を受注していた。
ウ本件期間中の岩手県発注の特定建築工事のうち63物件について,実際
に本件基本合意に基づく受注調整が実行されている。また,以下の(ア)な
いし(エ)の諸事情に照らせば,本件受注物件118物件のうち58物件に
含まれない60物件の全部又は大部分においても,本件基本合意に基づく
受注調整が行われたものと推認される。
(ア)60物件のうち,別紙11記載の8物件については,受注予定者を
決定するための「研究会」が開催されている。
(イ)60物件のうち,1回目の入札で落札者が決まらず再入札に至った
ものが10物件(物件18,30,40,49,66,71,76,8
1,90及び115)あるところ,そのすべてにおいて,1回目の入札
の際に最低価格で入札した者がその後の再入札においても引き続き最低
価格で入札して落札している。
(ウ)別紙8によれば,106社の中に,63物件の入札及び60物件の
入札に共に参加したことがある者が95社存在する。60物件のいずれ
においても,上記95社のうち複数の者が入札に参加しており,かつ,
60物件のうち52物件(86.7%)においては,上記95社で入札
参加者の過半を占めている。
(エ)106社のうち被審人P10,同P35,同P22,同P26,同
P42,同P24,同P29,同P20,同P19,同P31,同P2
1(水沢市),同P30,P34,P27,P32及びP25の計16
社については,その担当者が,P17ないしP18において岩手県発注
の建築工事について受注調整を行ってきたことを認める趣旨の供述をし
ているところ,別紙8によれば,60物件のうち46物件の入札におい
ては,上記16社のいずれかが入札参加者となっている。
エ本件違反行為の参加者らが,同行為の対象物件たる岩手県発注の特定建
築工事の入札に本件基本合意に加わっていない者(アウトサイダー)が参
加する可能性があることを,当初から認識していたことは明らかであるが,
それにもかかわらず,前記アのとおり,本件違反行為が,岩手県発注の特
定建築工事の取引分野における競争制限を目的として開始され,約3年半
以上にわたって実質的に継続されているのであるから,本件違反行為の参
加者ら自身が,アウトサイダーの存在を競争制限の決定的な阻害要因とと
らえていなかったことは明らかである。
受注調整の実態をみても,本件違反行為において,アウトサイダーが入
札に参加する場合には,106社の中で受注予定者とされた者が協力要請
を適宜行うこととされていた。実際に,本件発注物件133物件のうち少
なくとも12物件(物件19,32,44,53,57,102,106,
109,124,129,131及び132)についてアウトサイダーへ
の協力要請が行われ,そのうち11物件については,アウトサイダーが当
該要請に応じて協力していた。
受注実績をみても,本件発注物件133物件のうち118物件の物件
(本件受注物件118物件とは異なる。)の入札にアウトサイダーが参加
していたところ,そのうち103件を106社で受注している。
以上によれば,アウトサイダーの存在をもって,本件違反行為による競
争の実質的制限を否定することはできない。
オ以上によれば,本件違反行為は,岩手県発注の特定建築工事の取引分野
における「競争を実質的に制限する」ものであったと認めるのが相当であ
る。
(3)争点(3)(本件違反行為についての除斥期間が経過したか否か)について
前記(1)及び(2)のとおり,本件違反行為及びそれによる競争の実質的制限
は本件期間の全体を通じて維持されており,最終的に「当該行為がなくなっ
た日」(独占禁止法7条2項ただし書)は平成16年10月25日であると
認めるのが相当であるから,除斥期間は経過していない。
(4)争点(4)(被審人らに対して排除措置を命ずることにつき「特に必要があ
ると認めるとき」に当たるか否か)について
ア独占禁止法54条2項は,既に違反行為がなくなっているが,違反行為
の結果が残存しており競争秩序の回復が不十分である場合,違反行為が将
来繰り返されるおそれがある場合などには,なお違反行為の排除を命ずる
必要があることから,このような場合を「特に必要があると認めるとき」
として排除措置を命ずべきものとしたものと解される。
イ被審人らを含むP17ないしP18の会員らは,岩手県発注の特定建築
工事について,受注価格の低落防止及び受注機会の均等化を図ることによ
って利益を得る目的で,本件違反行為を開始し又はこれに参加し,本件期
間中,3年半以上の長期間にわたって本件違反行為を継続していた。その
間,上記会員らは,実際に受注調整を行い,そのうち相当数の事例におい
て,受注予定者を決定してその者に受注させることに成功した。
ウ岩手県は,平成12年2月1日以降,入札の透明性及び公平性確保の観
点から,条件付一般競争入札を導入するなどの入札制度改革を行ったが,
P17の会員らは,その導入に先立って臨時役員会を開催し,条件付一般
競争入札の方法による発注の場合の受注予定者の決定方法について協議す
るなど,上記制度改革への具体的な対応策を講じた上で,その後も,条件
付一般競争入札に係る物件も含めて本件違反行為を継続した。
エ岩手県は,同県発注の特定建築工事についてP17が受注調整を行って
いるとの情報を受け,平成14年10月29日に,P16らに対する事情
聴取を行った。しかしながら,P17の会員らは,本件違反行為をやめる
ことなく,会の名称を変更し,本件違反行為の発覚を防ぐために対外的に
役員が存在しないこととするなど対応策を講じた上で,その後も本件違反
行為を継続した。
オ本件違反行為の取りやめは,公正取引委員会が本件違反行為に関する立
入検査を実施して審査を開始したという外部的要因によるものであり,被
審人らの自発的意思に基づくものではない。
カ本件違反行為終了後に入札が行われた101物件のすべてにおいて,1
06社から別紙3記載の5社及び別紙4記載の10社を除いた91社のう
ちの84社のいずれかが入札に参加しており,そのうち100物件におい
て,同84社のいずれか複数の者が入札に参加している。上記101物件
において,入札に参加したアウトサイダーの総数は31社であり,本件期
間における当該総数(46社)より減少している。そして,上記91社は,
上記101物件のうち87物件(86.1%),発注総額約142億87
39万円のうち約122億459万円(85.47%)を受注している。
(査第277号証,第278号証,第284号証,第285号証,第30
4号証,第305号証)
以上によれば,現在に至るまで,岩手県発注の特定建築工事の取引分野
における被審人らの地位等に大きな変化はない。
キ本件違反行為終了後,岩手県において入札制度の変更が行われており,
具体的には,ほとんどの工事が条件付一般競争入札の方法により発注され
るようになり,また,一部の工事について,いわゆる総合評価落札方式が
試行されている。
しかしながら,本件違反行為において,条件付一般競争入札の方法によ
り発注される建築一式工事も恒常的に受注調整の対象とされており,総合
評価落札方式はいまだ試行段階にあり,当面の間,建築一式工事の適用対
象はわずかに留まる。
ク以上のような諸事情に照らせば,被審人らについては,本件違反行為と
同様の行為を繰り返すおそれがあり,独占禁止法54条2項に規定する
「特に必要があると認めるとき」に該当すると認められる。
6争点についての原告の主張
(1)争点(1)(106社が本件違反行為を行ったか否か)について
ア中途参加者に関する主張立証について
独占禁止法3条後段所定の不当な取引制限の主要事実は,共同して事業
活動を相互に拘束するような合意を行うことであり,入札談合でいえば,
受注予定者を決定するような内容の合意を行うことが主要事実となるとこ
ろ,競争入札における受注予定者の決定では,協定当時者間に輪番制その
他何らかの利益を受ける互恵関係が明らかにされなければ,合意は成立し
ない。
そして,基本合意に途中から参加したものについては,上記のような互
恵関係についてのルールの説明を受け,それを承認した上基本合意に参加
したことが証明されなければならないが,本件では,その点の主張立証が
されていない。
上記の合意の形成過程の主張立証がされない以上,最低限,個別物件
(原告に関しては物件112の1件のみ)の受注調整の具体的状況から本
件基本合意の内容が推認できるように主張立証することが不可欠となるは
ずであるが,本件ではそのような主張立証もされていない。
イアウトサイダーの存在と基本合意の立証の不存在
岩手県発注の特定建築工事の入札参加者数は147社であり,そのうち
41社はアウトサイダーである。本件受注物件118物件のうち,実に8
7.2%に相当する103物件についてアウトサイダーが参加しているが,
アウトサイダーが入札に参加しているということは,そのアウトサイダー
が1社でも任意に入札しさえすれば,106社で基本合意があったとして
も受注予定者が落札することはできない。まして,アウトサイダーが複数
参加していれば,基本合意を維持することは更に困難になるはずである。
106社は,アウトサイダーがどのように行動するかは予測できないの
だから,上記のような基本合意に実効性があるはずがない。建設工事では,
種々の要因により落札の意思なく入札するのはよくあることであり,結果
論では判断できない。
ウ原告が受けた説明等
原告が,P18への入会の際に本件合意の説明を受けるとすれば,それ
を受けるのは原告代表者しかあり得ないが,同人は,そのような説明を受
けたことはない。
また,仮に物件106について原告の従業員が被審人P42から入札価
格の連絡を受けたことがあったとしても,同物件の入札参加者には被告が
アウトサイダーと主張する事業者が7社含まれており,上記連絡を受けた
ことをもって,そもそもP18等が受注調整の組織であるとの認識に至る
とは考えにくい。団体への加入を前提とすることなく,個別物件で希望す
る会社が意思表明してくることはあり得る。物件106は,入札が成立せ
ず,被審人P42とアウトサイダー2社との見積り合わせによって同被審
人が受注しているのであり,この段階では原告は,当事者となっていない。
また,原告には,平成15年10月16日のP18の総会で違反行為を
継続することが確認されたとの認識はない。
(2)争点(2)(本件違反行為が「競争を実質的に制限」(独占禁止法2条6
項)するものであったか否か)について
本件受注物件118物件のうち103物件においてアウトサイダーが入札
に参加していたのであり,本件基本合意が競争の実質的制限をもたらす危険
性を有するとはいえない。
本件において被告が主張する市場は多数のアウトサイダーが参加する市場
である。加えて,58物件のうち物件17,53,75,98,130,1
33等については,アウトサイダーの協力を得られず,アウトサイダーの失
格,くじ引き等の偶然の事情によって106社が受注したものである。また,
60物件のうち物件4,14,28,91,97,107,109,119,
120,122,127等についても,低価格入札調査,くじ引き等によっ
て106社が受注したものである。
第4当裁判所の判断
1原告が本件違反行為を行ったかについて
(1)本件審決は,①P17は,P12支部P13会の解散後,岩手県が指
名競争入札の方法により発注する建築工事一式について,競争を回避して受
注価格の低落を防止するために事前に受注調整をすることを主たる目的とし
て設立されたものであり,平成14年10月ころ,P17が岩手県発注の特
定建築工事について受注調整を行っている疑いがあるとの情報が同県に寄せ
られ,P17の会長(P16)や副会長などが同県による事情調査を受けた
ことから,会の名称をP18に変更するなど受注調整の発覚を防止する措置
が講じられたものの,引き続き従前どおりの受注調整が行われており,P1
7とP18は,実質的に同一の組織であると評価することができること,②
新たにP17ないしP18の会員となる者(P18においては会社代表者
等の個人が会員となることとされている(査第51号証,第114号証)が,
以下,会社を会員として記述することがある。)は,これらの組織において
岩手県発注の建築一式工事についての受注調整が行われていること及びその
方法に関する説明を受け,これに賛同した上で,総会の承認を得ることにな
っていたこと,③P17への入会の際に,受注調整の手続に関する内容を
含む連絡文書が新入会員に交付された事例があること,④P17からは,
各会員に対して受注調整に関する連絡等が恒常的に行われていたため,受注
調整に参加する意思のない者を入会させることは,部外者に対して自分たち
が組織的に受注調整をしている事実を暴露するに等しいこと,⑤平成15
年度及び平成16年度のP18の総会では,従来の会則に代えて「1.みん
なで決めたルールを尊重し,人としての礼節を守り,小異を捨てて効率的に
柔軟な人間関係の形成を目指して英知を結集する場としましょう。」という
内容の新たに制定された指標が総会資料に掲載されるなどして,引き続き受
注調整を継続することが確認され,上記の資料は総会の欠席者にも配布され
たこと,以上の事実から,P17ないしP18の会員となった事業者は,特
段の事情がない限り,P17ないしP18が,主として受注調整を行うこと
を目的とする組織であって,この組織において実際に受注調整が行われてお
り,自社がこれに参加することを認識していたと認めることができるとして
いる。さらに,本件審決は,上記の各事実に加えて,⑥原告がP18の会
員となる約半月前に行われた物件106の入札において,原告の担当者が被
審人P42の営業部課長から受注調整について協力を求める連絡を受け,物
件106については,実際に,本件基本合意に基づく受注調整によって受注
予定者となった被審人P42が落札をしていることが認められるので,原告
は,P18の会員になるに当たって,本件基本合意について説明を受けたか,
あるいは,直接説明を受けなかったとしても,P18において受注調整が行
われており,自社がこれに参加することを認識してP18に入会したと認め
ることができると判断している。
また,被告は,本件訴訟において,本件基本合意で考慮される「地域性」,
「継続性」,「関連性」のうち,「地域性」は,主として工事場所が事業者
の本店所在地に近いことを意味するのであり,また,これらの要素に加えて
直近の受注高の多寡を勘案して話合いが行われていたので,過去に施工した
という条件を持つ者が常に有利であるとは限らず,P18の新規加入者にも
受注の可能性があるので,原告を含むP18の新規加入者にも,本件基本合
意に参加するメリットがあると主張する。
(2)しかし,上記②(入会前の説明)の事実に沿う証拠として本件審決が挙
げる証拠のうち,査第64ないし第69号証及び第99号証のP17の各総
会資料には,会員になろうとする者に対して,上記のような説明がされたこ
とをうかがわせる具体的な記載はない。また,査第111号証のP16の供
述調書には,「新たに会員になられた方には,あらかじめ推薦者からP17
又はP18における会の活動内容についての説明があり,そして会の目的に
賛同していただいた上で,入会を承認しているのはいうまでもないことで
す。」との記載はあるものの,新たに会員となる者に対して,推薦者から,
P17又はP18において岩手県発注の建築一式工事についての受注調整が
行われていること及びその方法に関する具体的な説明がされることになって
いたとの記載はなく,査第96号証のP16の供述調書にも,そのような記
載はない。まして,原告代表者がP18に入会するに当たり,上記のような
説明を受けたことを直接証する証拠は全くない。
次に,上記③(入会の際の連絡文書の交付)の事実に沿う証拠として本
件審決が挙げる査第88号証の連絡文書には,受注調整の手続に関する内容
が記載されており,「P38(株)代表取締役P39」という宛名が手書き
で,その余の部分がワープロ等で印字されており,このような文書の体裁か
らすれば,上記の連絡文書が作成された平成10年11月当時には,P17
において,宛名部分のみを空白にした上記内容の連絡文書の定型用紙を備え
ておき,新入会員に対して,当該定型用紙に宛名を記入したものをその都度
渡すという運用が行われていたことを推認することはできるものの,P16
らが岩手県から事情聴取を受け,P17からP18に名称が変更された平成
14年11月ころ以降にも上記のような連絡文書が新入会員一般に交付され
ていたこと,さらには,平成15年10月に入会した原告にこれが交付され
たことについて実質的な証拠はない。
また,上記④(受注調整参加の意思がない者を入会させる危険性)の主
張の前提である受注調整に関する連絡の事実に沿う証拠として本件審決が挙
げる平成7年2月1日付けの「○○」と題する連絡文書(査第79号証)に
は,P17が受注調整の業務を行っていることをうかがわせる記載がされて
いるものの,県により事情聴取がされ,会の名称がP18に変更された平成
14年11月ころ以降にも,会員向けに上記のような連絡文書が発行されて
いたことを認めることができる実質的な証拠はない。他方,後記のとおり,
少なくとも原告がP18に入会した平成15年ころには,受注予定者からア
ウトサイダーに対する協力要請も行われていた反面,会員の中にも個別の案
件において受注調整に応じない者もいる状態であったことが認められるから,
P18に入会する時点において本件基本合意に基づく受注調整の存在を認識
していない事業者がいたとしても,このことが本件基本合意に基づく受注調
整が露見する危険性を増大させるとまで認めることはできない。
また,上記⑤(受注調整継続の確認)の事実に沿う証拠として本件審決が
挙げる査第51号証,第114号証のP18の総会資料には,上記のとお
りの指標が記載されており,査第158号証のP43(被審人P34代表取
締役)の供述調書には,上記の指標の「みんなで決めたルール」が本件基本
合意を示すものである旨の供述が記載されているものの,上記の各総会資料
にも,P43の供述調書にも,平成15年度及び平成16年度のP18の総
会の場で,P18の役員から,上記の指標の意味内容についての説明がされ
たことをうかがわせる記載はない。
他方,証拠(査第46号証,第128号証,第140号証,第142号
証,第150号証,第177号証)によれば,平成12年にP16が岩手県
内における有力な建設業者であった被審人P10を退職した以降は,それ以
前に比べて,P17ないしP18の開催する旅行会などの行事への参加者が
それ以前に比べて少なくなっていたこと,平成13,14年ころ以降は,公
共工事の減少の影響もあり,本件基本合意に基づく受注希望者間での調整が
つかない案件や,個別の案件において受注調整自体に応じない会員も出てき
ていたことが認められる。
以上の点を考慮すれば,本件審決が挙げる証拠によって,上記①のとお
り,P17が受注調整をすることを主たる目的として設立されたものであり,
P16が,岩手県から事情聴取を受けた後も,会の名称をP18に変更する
など受注調整が発覚することを防止する措置を講じて,受注調整を継続しよ
うとしていたこと,また,P17の時代に,新入会員に対して受注調整の手
続を説明する連絡文書が定型的に交付され,また,各会員に対して受注調整
に関する連絡文書が発行されていたことが認められるとしても,これらの事
実によって,原告がP18に入会した平成15年10月ころにも,同様のこ
とが行われていたと推認することはできない。また,平成15年度及び平成
16年度のP18の総会に記載された指標についても,その文言は抽象的な
ものであり,新たにP18に入会した会員にとっては,その文言を読んだだ
けで,そこに記載された「みんなで決めたルール」が本件基本合意を指すも
のであると理解することは困難である。
そうすると,P18の役員ないし会員から,原告に対して,P18にお
ける受注調整に関する具体的な説明がされたことを示す直接の証拠がない本
件においては,原告が,P18の入会に当たって,受注調整に関する説明を
受けたことについての実質的な証拠は存在しないというべきである。
(3)他方,証拠(査甲第139号証,140号証,144号証,148号証,
149号証,150号証,151号所,158号証,177号証,審P44
1号証,P45代表者)によれば,本件基本合意では,「継続性」(主とし
て過去の自社が施工した建物の工事であること),「関連性」(主として過
去の自社が施工した建築物と関連する建築物の工事であること。)及び「地
域性」(主として工事場所が事務所に近いこと。)等の要素を勘案して,受
注希望者間の話合いにより受注予定者を決定することになっていたが,受注
予定者の決定については,特に「継続性」及び「関連性」が重視されていた
こと,原告の過去10年間における全体の完成工事高の平均の中で建築工事
の占める割合は5パーセントに過ぎず,とび土工・解体・その他工事が約6
0パーセントを占めており,また過去10年間の平均受注高のうち官公庁の
工事の占める割合は約20パーセントに過ぎず,下請工事が61.1パーセ
ントを占めることが認められる。
したがって,新たにP18に加入する原告にとっては,本件基本合意に参
加することによって岩手県が発注する建築一式工事を受注できる可能性がそ
れほど高くなるとはいえないのに対し,上記の原告の主な事業の内容からす
れば,岩手県内の有力な建設会社が多数会員となっているP18に入会する
ことによって,これらの建設会社から下請けの仕事を受注する機会が増える
と考えることには合理性がある。そして,P17やP18においては,懇親
会を伴う総会のほか,旅行会等も実施されていたことが認められる(査第5
1号証,第114号証)から,平成14年10月に他社の役員から岩手県内
の有力な建設会社の大部分が会員となっている親睦会としてP17の紹介を
受け,他の会員と交流することによる上記のようなメリットを期待してP1
8に入会することとしたという原告代表者の供述が不自然なものといえない。
(4)また,本件審決の認定によれば,アウトサイダーが入札に参加する場合
には,106社の中で受注予定者とされた事業者が協力要請を行うこととな
っており,実際に,少なくとも12件(物件19,32,44,53,57,
102,106,109,124,129,131,132)でアウトサイ
ダーへの協力要請が行われており,また,物件106の入札では,被審人P
42の入札価格が予定価格に達しなかったため入札が不調に終わり,被審人
P42とアウトサイダー2社との見積り合わせが実施されて,被審人P42
が受注することになったというのであるから(別紙9(48)),たとえ,原告
の担当者が,物件106の入札において,被審人P42の営業部課長から受
注調整についての協力を求める連絡を受けていたとしても,その連絡が,受
注を希望する会社からの入札の際の一般的な要請と受け止め(本件審決も,
この時点では原告もアウトサイダーとの位置づけであったとしている。),
これを,P18を主体とする受注調整と認識しなかったとしても不自然とは
いえない。
以上の事実関係を前提とすれば,本件審決が挙げる証拠によって,原告
がP18の会員となる約半月前に行われた物件106の入札において,原告
の担当者が,被審人P42の営業部課長から受注調整についての協力を求め
る連絡を受けた事実が認められるとしても,この事実によって,原告が,P
18において実際に受注調整が行われており,自社がこれに参加することを
認識してP18に入会したとの事実を認めることができる実質的な証拠があ
るということはできない。
(5)さらに,原告が,P18に入会した後に唯一参加した物件112の入札
についてみると,別紙8記載のとおり,落札率は98.39パーセントと極
めて高率であって,何らかの受注調整が行われたことが推認されなくはない。
しかし,上記入札に参加した事業者の担当者の供述等,受注調整に関する具
体的証拠は全くなく,また,入札に参加した10社のうち半数の5社はアウ
トサイダーであるから,原告が物件112の入札に参加した事実をもって,
原告が,P18において実際に本件基本合意に基づく受注調整が行われてい
たことを認識していたとの事実を認めることができる実質的な証拠があると
いうこともできない。
(6)以上のとおり,原告代表者が,P18の会員になるに当たって,本件基
本合意について説明を受けたことなど,P18において受注調整が行われて
いることを認識していたことを直接証する実質的証拠はなく,また,P18
に入会したこと自体から上記認識を推認することについては,これを妨げる
事情が認められ,上記推認を基礎づけるに足りる実質的証拠もないというべ
きである。
したがって,本件審決が挙げる証拠によって,平成13年4月1日以前
の時点で,P17ないしP18の会員間において本件基本合意が成立し,こ
れに基づく受注調整が行われており,平成16年10月26日の被告による
立入り調査までこの受注調整が継続して行われていたことが認められるとし
ても,上記の受注調整が行われていた期間中の平成15年10月16日にP
18に入会し,同年11月19日を入札日とする物件112の入札に参加し
た原告に,本件基本合意による受注調整が行われていたことの認識があった
ことについての実質的証拠がないのであるから,原告のP18への入会及び
物件112の入札への参加が,独占禁止法2条6項に規定する不当な取引制
限として,同法3条の規定に違反するということはできない。
2結論
以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告に対して,
独占禁止法3条の規定に違反する事実があったことを前提に不当な取引制限
を排除するために必要な措置を命じた本件審決は,その前提を欠くものであ
って取消しを免れない。
よって,本件審決の取消しを求める原告の請求は理由があるから認容し,
主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第3特別部
裁判長裁判官鈴木健太
裁判官比佐和枝
裁判官中山幾次郎
裁判官栗原壯太
裁判官吉田徹

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