弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
原判決のうち上告人の敗訴部分を破棄する。
前項の部分につき,本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
理由
上告代理人古田兼裕,同山本大助,同藤本一郎の上告受理申立て理由について
1本件は,上告人運転の自転車と,被上告人Y運転の普通貨物自動車(以下1
「被上告人車」という。)とが交差点において衝突し,上告人が重傷を負った交通
事故(以下「本件事故」という。)について,上告人が,被上告人Yに対し,自1
動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき,上告人が被った人的損害の賠
償を求め,被上告人Yとの間で自動車保険契約を締結していた保険会社である被1
上告人Y(以下「被上告人会社」という。)に対し,同保険契約に基づき,上告2
人と被上告人Yとの間の判決の確定を条件に,同額の保険金の支払を求める事案1
である。
2原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1)本件事故は,平成14年7月7日午前7時50分ころ,兵庫県姫路市内の
国道250号線の交差点において,同交差点東側の横断歩道を北から南に向かって
進行していた上告人(当時12歳)運転の自転車と,上記国道を西から東に向かっ
て進行していた被上告人車とが衝突したというものである。本件事故における上告
人と被上告人Yの過失割合は,いずれも5割である。1
(2)本件事故により,上告人は,脳挫傷,頭部打撲等の傷害を負い,入通院に
よる治療を受けたが,平成15年5月27日,高次脳機能障害等の後遺障害を残し
て症状固定し,同後遺障害により労働能力を100%失った。
(3)本件事故により上告人に発生した人的損害(弁護士費用に係る損害を除
く。)は1億7382万8332円(治療費,将来の介護費,住宅改造費,逸失利
益,慰謝料等の合計)である。
(4)被上告人Yは,本件事故当時,被上告人会社との間で,被上告人Yが被11
上告人車によって第三者に加害を及ぼし損害を生じさせた場合に当該第三者に対し
て負担する法律上の損害賠償責任の額について,被上告人Yと当該第三者との間1
で判決が確定し又は裁判上の和解若しくは書面による合意が成立したときに,当該
第三者が直接被上告人会社に上記金額の支払を請求することができる旨の約定を含
む自動車保険契約を締結していた。
(5)上告人の父であるAは,本件事故当時,B(以下「訴外保険会社」とい
う。)との間で,上告人も補償の対象者に含む人身傷害補償条項(以下「本件傷害
補償条項」という。)のある自動車保険契約(以下「本件保険契約」という。)を
締結していた。本件保険契約においては,本件保険契約に基づく保険金を受領した
者が他人に損害賠償を請求することができる場合には,訴外保険会社は,その損害
に対して支払った保険金の額の限度内で,上記の損害賠償に係る権利を取得する旨
の約定がある。
(6)上告人は,本件傷害補償条項に基づき,訴外保険会社から,本件事故によ
る上告人の人的損害について,567万5693円の保険金(以下「本件傷害保険
金」という。)の支払を受けた。
(7)上告人は,平成16年2月23日,自動車損害賠償責任保険から,本件事
故の損害賠償として3000万円の支払を受けた(以下,これを「本件自賠責保,
険金」という。)。
3原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断して,6368万22
22円及び遅延損害金の支払を求める限度で,上告人の被上告人Yに対する請求1
を認容し,上告人と被上告人Yとの間の判決の確定を条件に上記と同額及び遅延1
損害金の支払を求める限度で,上告人の被上告人会社に対する請求を認容した。
(1)上記2(3)の損害額1億7382万8332円に上告人の過失割合5割によ
る過失相殺をした後の8691万4166円から本件傷害保険金の額である567
万5693円を控除すると,残額は8123万8473円となる。そして,同金額
に対する本件事故の日である平成14年7月7日から本件自賠責保険金が支払われ
た平成16年2月23日までの年5分の割合による遅延損害金は664万3749
円であるから,本件自賠責保険金3000万円については,まず上記遅延損害金に
充当され,残額(2335万6251円)が元本に充当される結果,未てん補の損
害額(弁護士費用に係る損害を除く。)は5788万2222円となる。
上告人は,本件傷害保険金567万5693円のうち被上告人Yに対する損害1
賠償請求に当たって控除することができるのは,同金額に被上告人Yの過失割合1
を乗じた額に限られる旨主張するが,採用することができない。
(2)本件事故と相当因果関係がある弁護士費用に係る損害の額は580万円と
するのが相当である。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
前記事実関係によれば,本件傷害保険金は,上告人の父が訴外保険会社との間で
締結していた本件保険契約の本件傷害補償条項に基づいて上告人に支払われたもの
であるというのであるから,これをもって被上告人Yの上告人に対する損害賠償1
債務の履行と同視することはできない。また,前記事実関係によれば,本件保険契
約においては,本件保険契約に基づく保険金を支払った訴外保険会社は同保険金を
受領した者が他人に対して有する損害賠償請求権を取得する旨のいわゆる代位に関
する約定があるというのであるから,訴外保険会社は,本件傷害保険金の支払によ
って,上告人の被上告人Yに対する損害賠償請求権(以下「本件損害賠償請求1
権」という。)の一部を代位取得する可能性があり,訴外保険会社が代位取得する
限度で上告人は上記損害賠償請求権を失うことになるのであって,本件傷害保険金
の支払によって直ちに本件傷害保険金の金額に相当する本件損害賠償請求権が消滅
するということにはならない。そして,原審が確定した前記事実関係からは,本件
傷害補償条項を含めて本件保険契約の具体的内容等が明らかではないので,上記の
代位の成否及びその範囲について確定することができず,訴外保険会社が本件傷害
保険金の金額に相当する本件損害賠償請求権を当然に代位取得するものと認めるこ
ともできない。
ところが,原審は,本件傷害補償条項を含む本件保険契約の具体的内容等につい
て審理判断することなく,本件損害賠償請求権の額を算定するに当たり,上告人の
損害額から上告人の過失割合による減額をし,その残額から本件傷害保険金の金額
を控除したものである。しかも,上告人は,原審において,本件傷害保険金のうち
被上告人Yの過失割合に対応した金額に相当する本件損害賠償請求権を訴外保険1
会社が代位取得する旨の合意が上告人と訴外保険会社との間で成立している旨主張
していることが記録上明らかであるが,原審は,この合意の有無及び効力について
も何ら審理判断していない。そうすると,原審の判断には,審理不尽の結果,法令
の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず,この違法は判決に影響を及ぼす
ことが明らかである。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決のうち
上告人の敗訴部分は破棄を免れない。そして,上記の点等について更に審理を尽く
させるため,同部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官那須弘平裁判官
田原睦夫裁判官近藤崇晴)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛