弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中上告人の敗訴部分を破棄し、右部分につき本件を名古屋高等裁
判所へ差し戻す。
         理    由
 上告代理人古沢斐の上告理由について。
 原審は、本件売掛代金債務は、一審被告Dとその父である上告人の両名が、被上
告人との間で、Dおよび上告人の両名を買主として締結した継続的な物品供給契約
に基づいて生じた債務である旨、および上告人は、右債務の時効完成後、その残金
の一部を支払うことによつて本件売掛代金残債務を承認した旨を認定したうえ、本
件売掛代金残債務は、共同買受人であるDおよび上告人において各自連帯して支払
うべきものであり、かつ、上告人において債務を承認した以上、その後右債務につ
いて消滅時効を援用することは、信義則に照らして許されないと判示している。
 しかしながら、共同買受人であつても、その売買代金債務が、常に当然に連帯債
務になるとはかぎらず、分割債務になることもあり、あるいは当事者の意思によつ
て不可分債務になることもあり、また、これが連帯債務になる場合においても、契
約による場合もあれば(原判決の引用する一審判決の事実摘示によれば、被上告人
は、連帯して支払う旨の約定があつた旨主張している。)、商事債務として法律上
連帯債務とされる場合もあるのである。そして、かりにこれが連帯債務とされる場
合においても、事情のいかんによつては、各自の負担部分には差異がありうるので
あつて、民法四三九条が、連帯債務者の一人のために時効が完成した場合に、その
債務者の負担部分については、他の債務者もまたその義務を免れる旨を規定し、他
面、同法四四〇条が、その一人のした時効完成後の債務の承認のごとく四三四条な
いし四三九条に規定された事項以外の事項については、他の債務者に対して効力を
生じない旨を規定していることにかんがみれば、本件において、Dと上告人の各負
担部分のいかんは、上告人の本件残債務の時効消滅の有無またはその範囲を決する
うえにおいて、無視しえない事柄であるといわねばならず、単に債務承認の一事を
もつて、直ちに信義則上本件残債務の全額について消滅時効の援用が許されないと
することはできない。
 しかるに、原判決は、前記のとおり、本件債務の性質について充分に判示すると
ころがなく、その結果、本件債務が何故に上告人およびDの連帯債務となるのか、
また、上告人が右債務の消滅時効を援用することが何故に信義則に反するのかにつ
いても、その理由を明らかにしていないのである。したがつて、原判決は、以上の
点において、連帯債務およびその消滅時効に関する法令の解釈を誤り、ひいて審理
不尽、理由不備の違法を犯したものというべきであり、この違法は、原判決の結論
に影響することが明らかであるから、論旨はこの点において理由があり、原判決中
上告人の敗訴部分は破棄を免れない。そして、右の点についてさらに審理をする必
要があるから、右破棄部分につき本件を原審に差し戻すのが相当である。
 よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠

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