弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役6月に処する。
未決勾留日数中,その刑期に満つるまでの分をその刑に算入する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(犯罪事実)
被告人は,右翼団体Aの構成員であるが,平成15年4月14日午後4時25分
ころ,兵庫県芦屋市a町b番c号にある芦屋市立B中学校正門前路上において,右
翼団体C会会員らとともに,ビラを配布したり,ハンドマイクを用いるなどして街
宣活動を行っていたところ,これを注意するなどした同校警備員のD(当時42
歳)と口論となり,警察官の制止にもかかわらず両者が胸を突き合わせる状態とな
った際,Dに対し,その額に頭突きする暴行を加え,よって,同人に約17日間の
加療を必要とする頭部打撲,頚部捻挫の傷害を負わせた。
(証拠の標目)
 省略
(事実認定の補足説明)
1 弁護人の主張等
弁護人は,被告人の頭がDの頭に当たったことはあるが,被告人には故意がな
く,無罪であると主張し,被告人もこれに沿う供述をするので,以下検討する。
2 検討
(1) 証人D,同E及び同Fの各公判供述を含む関係証拠によれば,芦屋市立B中学
校の警備員Dが,同校正門周辺で同校生徒にビラを配るなどしていたGに注意した
ことに端を発し,Dと,Gに取って代わった被告人との間でもめ始め,互いに胸を
突き合わせるようにして押し合いになったこと,同所で被告人らの警戒に当たって
いた警察官Fがその状況を現認し,危険な状況であると判断して,両者の間に割っ
て入るなどして制止しようとしたが,両者を引き離すことはできず,次第にDが被
告人に押されて後ずさりしていったこと,本件で問題とされている頭突きは,その
とき発生したもので,被告人がDの方に上半身を突き出すようにしていき,被告人
の頭がDのみけん辺りに当たったこと,Dはこの頭突きにより約17日間の加療を
必要とする頭部打撲
,頚部捻挫の傷害を負ったことなどが認められるのであって,これらの事実を総合
すると,被告人が,Dに対して故意に頭突きを加えたものと推認することができ
る。
(2) これに対し,被告人は,捜査段階から公判段階に至るまで一貫して,Dとけん
か状態になったとき,同人と頭同士が当たったが,これは故意にしたものではない
と供述する。
しかしながら,この供述は,上記の頭突きに至るまでの経緯,頭突きの際の被
告人の体勢,Dの傷害の程度等に照らして不自然であり,これを信用することがで
きない。
なお,証人Gの公判供述は,被告人とDの頭部同士が当たった場面を目撃し
ていない上,その内容は格別上記の推認を左右するものではない。
3 まとめ
以上のとおりであるから,判示傷害の事実は,これを優に認めることができ
る。
(累犯前科)
被告人は,平成11年11月15日岡山地方裁判所で,建造物侵入罪により懲役
1年の刑に処せられ,平成12年5月18日その刑の執行を受け終わったものであ
って,この事実は検察事務官作成の前科調書によって認める。
(法令の適用)
被告人の判示所為は刑法204条に該当するところ,所定刑中懲役刑を選択し,
被告人には前記の前科があるので同法56条1項,57条により再犯の加重をした
刑期の範囲内で被告人を懲役6月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中,
その刑期に満つるまでの分をその刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1
項本文により被告人に負担させることとする。
(量刑の理由)
本件は,右翼団体構成員である被告人が,街宣活動中,これを注意するなどした
中学校の警備員に対し,頭突きをして負傷させたという傷害の事案である。
被告人は,右翼活動を行う中で,これまで罰金前科7犯のほか,粗暴犯等の懲役
前科4犯を重ね,いずれも服役したにもかかわらず,前回の刑執行終了からわずか
3年で,これまでと同様の活動中に自制心を欠き安易に本件犯行に及んだものであ
ることからすると,被告人の粗暴性は依然として改善されておらず,反省や謝罪の
態度もみられないことを併せ考えると,被告人の刑事責任を軽くみることはできな
い。
しかしながら,本件は,右翼活動の中で発生したものとはいえ,これまでの被告
人の前科にみられるような計画的で自己の主張を訴えるためには手段を選ばないと
いったようなものではなく,被害者から注意されたことに端を発している点でも,
また,被害者ともみあう中で起こった点でも多分に偶発的なものであること,そし
て,被害者も被告人らに対して挑発的な言動を取っており,これも本件の発生原因
として看過できないこと,また,被害者の傷害の程度も,約17日間の加療を要す
るとはいえ,被害者は,受傷後3日後に初めて診察を受けたもので,それほど重大
とはいえないことからすると,本件の求刑(懲役2年)はいささか重きに失する感
は免れない。もっとも,前記の前科関係に照らすと懲役刑による処断は免れない
が,上記の諸事情を併
せ考慮すると,刑期の点では,主文程度の刑を科することで足りるものと思料し
た。
(求刑・懲役2年)
平成16年1月19日
神戸地方裁判所第4刑事部
裁判長裁判官   笹野明義
裁判官   浦島高広
裁判官   谷口吉伸

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