弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人市村斗鬼三の上告趣意について。
 原審の認定した事実は、被告人はその友人A外三名と共謀の上他家に押入つて強
盗をしょうと企て、脅迫用兇器として被告人は刄渡三三糎余の日本刀一振を携帯し、
Aは匕首一口を携えて、右五名でB方に赴き、訪問客を裝つて同家の家人Cに表入
口を開かせそこから同家の屋内に侵入し、被告人において右Cに対し前示日本刀を
手にしたまま「親爺を出せ」と言いながら詰めより、要求に從わなければ危害を加
えるような態度を示して同人を脅したが、、同人が逃走したのでいずれも逮捕をお
それて逃走し、強盗の目的を遂げなかつたというのである。右の事実によればたと
い被告人等において強取すべき財物の物色を開始しなかつたとはいえ既に強盗の実
行に着手したものであること勿論であり、これを目していまだ強盗の予備に過ぎな
いものということはできない。原審が右の事実を確定し、被告人を強盗未遂罪に問
擬したのは当然である。そして原審の右事実認定は原判決挙示の証拠に照らし、こ
れを肯認するに難くないのであるから、原審の認定しない事実を前提として本件を
強盗の予備に過ぎないと主張する論旨は、結局事実審である原審がその裁量権の範
囲内で適法になした事実の認定を非難するに帰し、上告適法の理由とならない。
 よつて旧刑訴四四六條に從い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官松本武裕関與
  昭和二六年一月二五日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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