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平成26年1月21日判決言渡同日原本受領裁判所書記官
平成24年(ワ)第12386号商標権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日平成25年11月1日
判決
原告ディー・エヌ・エー株式会社
訴訟代理人弁護士岩坪哲
同速見禎祥
訴訟代理人弁理士上羽秀敏
補佐人弁理士坂根剛
被告株式会社横浜DeNAベイスターズ
訴訟代理人弁護士上田雅大
同横山経通
主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第第第第1111請求請求請求請求
1被告は,別紙被告標章目録2から20までの標章を,別紙被告商品目録1から3
3までの商品又はこれらの包装に付し,若しくは同標章を付した同商品を販売し,
販売のために展示し,又は電気通信回線を通じて提供してはならない。
2被告は,前項の商品を廃棄せよ。
3被告は,その運営する「横浜DeNAベイスターズ公式オンラインショップ」に
おいて提供される電磁的記録に係る情報から,別紙被告標章目録2から20までの
各標章を削除せよ。
4被告は,原告に対し,1億1000万円及びこれに対する平成24年11月30
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第第第第2222事案事案事案事案のののの概要概要概要概要
本件は,原告が,後記被告標章を使用した後記被告商品を販売等することが,原告
の有する商標権侵害に当たると主張して,被告に対し,商標法36条1項,2項に基
づき,その使用の差止めと侵害の予防に必要な行為を求めるとともに,不法行為に基
づき,原告に生じた損害の賠償及び訴状送達日の翌日から支払済みまでの遅延損害金
の支払を求めた事案である。
1前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)
(1)当事者
ア原告は,衣料雑貨品の企画,製造,販売並びに卸売等を目的とする株式会社
である。
イ被告は,プロ野球の興行等を目的とする株式会社である。
被告は,昭和28年12月16日に設立された株式会社であり,株式会社デ
ィ・エヌ・エー(以下「DeNA社」という。)が,プロ野球球団経営に参入
して被告の親会社になったことに伴い,平成23年12月2日,株式会社横浜
ベイスターズから,現社名に変更された(以下,被告が保有するプロ野球球団
としての横浜DeNAベイスターズを「本件球団」という。)
(2)原告の商標権
原告は,次の各登録商標(以下まとめて「原告商標」といい。個別には「原告
商標1」などという。)の商標権者である。
ア商標登録第3131305号(原告商標1)
出願日平成5年4月30日
登録日平成8年3月29日
指定商品第18類
かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ
商標の構成
イ商標登録第3303820号(原告商標2)
出願日平成5年4月30日
登録日平成9年5月9日
指定商品第25類
エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,ス
カーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッ
カチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘ
ルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト
商標の構成
(3)被告商品の販売等
被告は,インターネット上のウェブサイトで被告が運営する公式オンラインシ
ョップ及び本件球団の本拠地である横浜スタジアム内の店舗において,被告商品
目録記載1から33までの商品(以下「被告商品」といい,個別の商品を「被告
商品1」などという。)に,被告標章目録2から20までの標章(以下総称して
「被告標章」といい,個別の標章を「被告標章2」などという。)のいずれか1
つ又は複数を使用し,又はそ(れら)の標章を付した被告商品を販売あるいは販
売の申出をし,若しくはオンラインショップにおける商品広告に被告標章のいず
れか1つ又は複数の標章を使用した被告商品の写真を掲載し,電気通信回線を通
じて被告商品の販売あるいは販売の申出をしている(甲4,53(枝番を含む))。
(4)被告標章の使用及び指定商品との関係
被告商品1から10まで,26,29から31,33は,原告商標1の指定商
品と同一又は類似であり,被告商品11から25まで,27,28及び32は,
原告商標2の指定商品と同一又は類似である。また,被告商品とそれに使用され
た被告標章との対応関係は,別紙対比表1及び2記載のとおりである(甲4,5,
53,いずれも枝番を含む)。
2争点
(1)原告商標と被告標章とが類似するか
(2)被告標章2,11から14までが,被告の著名な略称を普通に用いられる方法
で表示する標章であるか
(3)原告の商標権行使が権利濫用に当たるか
(4)原告の被った損害額及び差止請求の可否
第第第第3333争点争点争点争点にににに関関関関するするするする当事者当事者当事者当事者のののの主張主張主張主張
1争点(1)(原告商標と被告標章とが類似するか)について
(原告の主張)
(1)原告商標
原告商標は,アルファベットのDNAをゴチック体で表したものであり,「デ
ィーエヌエー」の称呼を生ずる。
(2)被告標章
ア被告標章2
被告標章2は,「横浜DeNAベイスターズ」と間隔を空けずに表されたも
のであるが,取引の迅速が求められる商取引界において「ヨコハマディーエヌ
エーベイスターズ」との16音韻を一気に称呼するには長すぎ,需要者の認識
において,本件球団のオーナー会社がDeNA社であることと相まって,「デ
ィーエヌエー」の称呼を生ずる。
このことは,新聞報道等における試合結果や順位表に,本件球団を指すもの
として,専ら「DeNA」が用いられており,試合のテレビ中継等において,
アナウンサーらがこれを「ディーイーエヌエー」ではなく,「ディーエヌエー」
と称呼していることからも裏付けられる。
したがって,本件商品の需要者であるプロ野球ファンにおいて,被告標章2
からは「ディーエヌエー」の称呼を生ずる。また,該称呼からは,いずれもデ
オキシリボ核酸の観念を生ずる。したがって,原告商標と被告標章2は類似す
る。
仮に,被告標章2が本件球団の観念を生ずるとしても,同時に,本件球団の
オーナー会社であるDeNA社の観念も生じ,DeNA社は「ディーエヌエー」
の称呼のみを生ずるから,上記類似の点は左右されない。
以下,イからクまでで述べるとおり,被告標章3ないし20についても,そ
の要部はいずれも「DeNA」であり,「ディーエヌエー」の称呼を生ずるか
ら,同様の類似判断が当てはまる。
イ被告標章3及び10
被告標章3は,アルファベットで,「YOKOHAMA」の文字と,これよ
り大きな字で「DeNA]の文字を間隔をおいて並列させ,更にこれらより大
きな字で「BAYSTARS」の文字を上記「YOKOHAMA」「DeNA」
の下に配して二段書きしたものである。また,被告標章10は,被告標章3を
モノトーンで表したものである。このうち「YOKOHAMA」は単なる地名
であって顕著性を欠くことから,「DeNA」の部分が分離して観察され要部
となる。
ウ被告標章4及び7
被告標章4は,星マークの中央に,「BAYSTARS」の文字をあしらい,
星マークに上から時計回りに巻き付くリボンの上側に「DeNA」の文字を,
下側に「YOKOHAMA」の文字を記したものであり,「DeNA」の文字
を独立させており,該部分が要部となることは明らかである。被告標章7は同
一の構成をモノトーンで表したものである。
エ被告標章5,15及び16
被告標章5,15及び16は,本件球団のマスコットであるスターマンが着
用するユニフォームないしその前面に被告標章3と同様の文字を配したもの
のほか,これを囲んで「YOKOHAMA」「DeNA」「BAYSTARS」
の文字が円形で配されなるものである,円形で配された文字列中「YOKOH
AMA」は単なる地名であり顕著性を欠く上,一連に称呼されるには冗長にす
ぎるものであるから,「DeNA」の部分が独立して要部となる。
エ被告標章6,8及び9
被告標章6,8及び9は,ユニフォームを着用した本件球団のマスコットか
らなるが,これらマスコットのユニフォーム胸部には,被告標章3と同様の文
字が配置されており,結局「DeNA」の部分が独立して要部となる。
ウ被告標章11ないし13
被告標章11ないし13は,「YOKOHAMA」「DeNA」「BAYST
ARS」との英字を,同じ大きさ,同じ字体で,間隔を開けて表記したもので
ある。
これら標章も,一連に称呼するには冗長に過ぎ,「DeNA」と「BAYS
TARS」が同字体であることと相まって,「DeNA」の部分が分離して観
察され,独立して要部となる。
エ被告標章14
被告標章14は,外観につき,上段に小さな「YOKOHAMA」の英字を
アーチ状に配し,それより大きな「DeNA」「BAYSTARS」をそれぞ
れ中段,下段に配したもので,「DeNA」の部分が独立して要部となる。
オ被告標章17
被告標章17は,英字(丸ゴチック体)で,「YOKOHAMA」と「De
NA」の文字を,間隔を空けて配し,下段に上段文字と等間隔で「BAYST
ARS」の文字を配したものであり,「DeNA」の部分が分離して観察され,
独立して要部となる。
カ被告標章18
被告標章18は,右上がりの英字(筆記体)にて,「Yokohama」「D
eNA」「BAYSTARS」の文字を三段に記載しており,「DeNA」の部
分が他の部分から分離して観察され,独立して要部となる。
キ被告標章19
被告標章19は,ロゴ調のフォントで,間隔を空けて「Yokohama」
「DeNA」「BAYSTARS」の文字で構成され,中央に「DeNA」の
文字が配されていることから,「DeNA」の部分が他の部分から分離して観
察され,独立して要部となる。
ク被告標章20
被告標章20は,「横浜」の毛筆調文字と「DeNA」の毛筆調文字が二段
に配されて正方形印鑑による落款様に表現したものであるが,地名である「横
浜」に顕著性はなく,「DeNA」が要部であることは明らかである。
ケまとめ
以上の次第で,被告標章は,いずれも要部が「DeNA」であり,ともに「デ
ィーエヌエー」の称呼及びデオキシリボ核酸の観念を生ずるから,いずれも原
告商標に類似する。
(2)被告の主張に対する反論
ア被告は,本件球団の運営会社であって,設立は,平成23年12月2日であ
る。本件球団の名称については,DeNA社がそのゲームサイトの名称である
「モバゲー」を入れるかどうかについて議論があり,最終的にオーナー会社名
の一部である「ディー・エヌ・エー」をローマ字表記した「DeNA」を挿入
することで決着をみた。それ以前において,被告標章2が,本件球団を示すも
のとして周知されていたはずがない。
そうして,球団名が「横浜DeNAベイスターズ」と決定されたのを受けて,
球団ロゴも,被告標章3から20までのとおり一新され,同被告が運営するシ
ョッピングサイト等において販売される商品等に使用されるに至ったもので
ある。
このように,被告標章による侵害行為以前に,被告商品の出所識別表示とし
て,被告標章2,ないし3から20が,同商品の需要者であるプロ野球ファン
に周知されていたとか著名であったとか評価することはできない。
イ被告の,本件球団の前身である横浜ベイスターズの名称使用の継続性や,平
成23年以前の観客動員数に関する指摘は,被告標章の使用と関係がない。
(被告の主張)
(1)本件球団の,我が国における著名性
ア我が国におけるプロ野球球団の著名性
プロ野球は,第二次世界大戦前から存在し,国民において知らない者はいな
いといっても過言でないほど著名であり,かつ人気のある国民的スポーツであ
る。他のプロスポーツとの観客動員数の対比からみても明らかである。我が国
のプロ野球球団は合計12しか存在せず,そのいずれもが著名である。
イ被告は,プロ野球セントラル・リーグに加盟する6つのプロ野球球団のうち
の一つである本件球団の運営会社である。
本件球団は,横浜を本拠地とするプロ野球球団であり,平成4年に,従前「横
浜大洋ホエールズ」との名称であったのが,「横浜ベイスターズ」に改称され,
その後,19年間,当該名称を使用していた。この間,平成9年から5年連続
でAクラス(リーグ戦績3位以内)を達成し,平成10年にはリーグ優勝,日
本シリーズの優勝も達成したことなどから,「横浜ベイスターズ」は,遅くと
も平成10年には,既に我が国のプロ野球球団として著名になっていた。
ウ横浜ベイスターズから横浜DeNAベイスターズへの改称は,横浜ベイスタ
ーズの球団名のうち「横浜」「ベイスターズ」の名称を残し,「DeNA」とい
う親会社の企業名を加えたのみであり,また,本件球団は,その誕生時に大規
模に報道され,平成23年12月2日の誕生時点において,既に,我が国のプ
ロ野球球団として,不正競争防止法2条1項2号の著名表示といえるほど著名
であった。
(2)DeNA社の,我が国における著名性
アDeNA社は,東京証券取引所第1部上場企業であり,主にeコマース事業,
ソーシャルネットワークサービス,ソーシャルゲーム等のソーシャルメディア
事業等の運営を行う会社である。同社の平成24年3月期における資本金は1
03億9600万円,売上高は1457億2900万円である。
同社は,平成11年3月にインターネットオークションサイトの企画・運営
を目的として設立され,設立当初はeコマース事業を中心に展開し,モバイル
オークション,モバイル広告サービス,ソーシャルネットワークサービス,ソ
ーシャルゲームといったサービスを次々にヒットさせ,現在も,国際事業等の
さらなる事業拡大を続けている。
イ同社は,スポーツ事業の振興にも力を入れており,平成23年12月,株式
会社横浜ベイスターズの株式を取得して,我が国の著名なプロ野球球団の一つ
である本件球団のオーナー企業となり,外にも陸上チームを創設するなどして
いる。
ウ同社は,多額の広告宣伝費を支出し,テレビコマーシャルを多数放映し,新
聞,雑誌,書籍等において何度も取り上げられており,その結果,遅くとも東
京証券取引所第1部の上場時点である平成19年12月頃には,既に我が国に
おけるインターネット関連企業として著名になっており,「DeNA」もまた
同社を示すものとして,不正競争防止法2条1項2号の著名表示といえるほど
著名なものとなっていた。
更に平成22年以降のソーシャルゲーム・ブームをはじめとしたソーシャル
メディア事業の拡大により,同社の著名性はより一層顕著なものとなり,被告
の誕生以降は,本件球団のオーナー企業としても著名となっていた。
(3)被告標章と,原告商標との非類似性1(総論及び外観,観念)
ア上記(1)のとおり,被告は,遅くとも平成10年には「横浜ベイスターズ」と
して,一般需要者の間で広く認識されており,「横浜DeNAベイスターズ」
も,平成23年12月2日に横浜ベイスターズから球団名を変更した時点で既
に,我が国に存在する12のプロ野球球団の一つとして,一般需要者の間で広
く認識され,著名となっていた。
したがって,被告標章は,いずれも,一般需要者が直ちにプロ野球球団とし
ての本件球団を想起しうる著名な標章であり,観念上全く類似しない。また,
被告標章は,原告商標と外観上全く類似しない。
イ仮に被告標章の「DeNA」の部分が一般需要者によって分離して認識され,
かつ,「ディーエヌエー」と称呼されたとしても,DeNA社を知らない者が
「DeNA」の文字を見た場合に生ずる称呼は「ディーイーエヌエー」又は「デ
ナ」の称呼であって,「DeNA」から「ディーエヌエー」という称呼が生ず
るのは,DeNA社が著名な企業であることを認識しているからであり,仮に
被告標章が「ディーエヌエー」と称呼されたとしても,被告標章と原告商標の
出所が誤認混同されるとはいえない。
(4)被告標章と,原告商標との非類似性2(称呼各論)
ア被告標章3及び10
被告標章3及び10は,「BAYSTARS」を大きく記載した標章であり,
「ベイスターズ」として称呼され,原告商標と全く類似しない。仮に,「De
NA」の部分が分離して認識された場合であっても類似と言えないことは,前
記(3)イのとおりである。
イ被告標章4及び7
被告標章4及び7もまた,「BAYSTARS」を大きく記載した標章であ
り,称呼において,前記アと同様,類似しない。
ウ被告標章5,15及び16
被告標章5,15及び16もまた,「BAYSTARS」を大きく記載した
標章であり,称呼において,前記アと同様,類似しない。
エ被告標章6,8及び9
被告標章6,8及び9もまた,「BAYSTARS」を大きく記載した標章
であり,称呼において,前記アと同様,類似しない。
オ被告標章11ないし13
被告標章11ないし13は,「YOKOHAMADeNABAYSTA
RS」を一連のものとして記載した標章であり,一般需要者においては,一連
のものとして称呼されるのが通常であるから,被告標章11から13までは,
称呼において,原告商標と全く類似しない。
仮に,「DeNA」の部分が分離して認識された場合であっても類似と言え
ないことは,前記(3)イのとおりである。
カ被告標章14
被告標章14は,「YOKOHAMADeNABAYSTARS」を一
連のものとして記載した標章であり,称呼において,類似しない。
キ被告標章17
被告標章17は,「BAYSTARS」を大きく記載した標章であり,「ベイ
スターズ」として称呼されるから,称呼において原告商標と類似しない。
ク被告標章18
被告標章18は「YokohamaDeNABaystars」を一連
のものとして記載した標章であり,一般需要者においては,一連のものとして
称呼されるから,称呼において原告商標と類似しない。
ケ被告標章19
被告標章19は,「BAYSTARS」を大きく記載した標章であり,「ベイ
スターズ」と称呼されるから,称呼において原告商標と類似しない。
コ被告標章20
被告標章20は,「横浜DeNA」を一連のものとして記載した標章であり,
一般需要者においては,一連のものとして称呼されるのが通常であり,被告標
章20は,原告商標と類似しない。
2争点(2)(被告標章2,11から14までが,被告の著名な略称を普通に用いられ
る方法で表示する標章であるか)について
(被告の主張)
前記1の(被告の主張)において述べたとおり,被告は,一般需要者の間で広く
認識され,著名である。
被告は,自己の略称として,「横浜DeNAベイスターズ」や,「YOKOHAM
ADeNABAYSTARS」を使用しており,これら略称も著名なものとな
っている。したがって,被告標章2及び11ないし14は,被告の著名な略称を普
通に用いられる方法で表示する商標である。
したがって,仮に類似する商標に該当するとしても,商標法26条1項1号に
より,被告標章2及び11から14には,原告の商標権の効力は及ばない。
(原告の主張)
(1)被告標章11ないし14は,全文字をローマ字で記したものであり,被告の名
称を普通に用いられる方法で使用される方法に当たらない。
「横浜DeNAベイスターズ」又は「YOKOHAMADeNABAYS
TARS」が,本件侵害時において被告の著名な略称であったことの証明はない。
侵害行為を積み重ねた結果,著名性を得たという趣旨であれば,このような主張
は正義公平の原則に照らし許されない。
(2)原告は,被告の侵害行為を認識し,平成23年12月20日には,ライセンス
等を含めた協議を申し入れ,平成24年5月7日には被告に対する侵害警告を行
っており,侵害行為の積み重ねによる既成事実化を容認しない措置をとっている。
これらの原告の行動を無視して侵害行為を積み重ねることによって獲得した著名
性に,法的保護を及ぼすべきでない。
3争点(3)(原告の商標権行使が権利濫用に当たるか)について
(被告の主張)
仮に被告標章が,原告商標に類似するものであるとしても,被告標章2から20
までは,一般需要者が直ちに被告を表示するものであることを認識できるほど著名
な商標である一方,原告商標は,原告の信用を化体するものでなく,被告各標章を
指定商品に使用しても,原告商標の出所識別機能を害することは全くないから,被
告標章に対して原告商標権を行使することは,権利の濫用に当たり,許されない。
(原告の主張)
被告の主張を争う。
4争点(4)(原告の被った損害額及び差止請求の可否)について
(原告の主張)
(1)差止請求
被告は,上記のとおり,原告の商標権を侵害する被告商品を販売する主体であ
るから,原告は,被告に対し,商標法36条1項,2項に基づく差止め,廃棄を
求める。
(2)損害賠償
被告が平成23年11月から平成24年10月までの間に原告の商標権を侵
害したことにより上げた売上は,少なくとも5億円を下らず,被告はこれによっ
て少なくとも1億円の利益を得た。この利益の額は,原告商標の商標権侵害によ
る損害と推定される。
また,原告は,本訴の提起追行を代理人弁護士,同弁理士に委任し,かつ補佐
人を選任したところ,当該費用は1000万円を下らない。
したがって,原告は,被告の商標権侵害行為により,1億1000万円の損害
を被ったから,被告はこれを賠償すべき義務を負う。
(3)被告の主張に対する反論
商標法が依拠する登録主義の下では,適法に登録された商標権には排他的独占
権が付与され,商標権侵害に対して民事的救済が与えられるのが原則である。そ
うして,被告標章の要部を構成する「ディーエヌエー」の称呼は,被告らの顧客
誘因力の源泉そのものであり,被告らは原告登録商標の顧客吸引力を享受してい
る。
(被告の主張)
(1)差止請求,損害賠償請求とも,争う。
(2)損害賠償請求について
被告標章は,いずれも一般需要者が大きな顧客吸引力を有している一方,原告
商標には知名度及び顧客吸引力が全くなく,商品の売り上げに全く寄与していな
いのであるから,原告に損害は全く発生していない。
したがって,商標法38条2項に基づく請求が認められないのはもちろん,同
3項に基づく請求も認められない。
第第第第4444判断判断判断判断
1原告商標について
(1)外観
原告商標は,アルファベット大文字のDとNとAを縦長太めのゴチック体様の
文字で,横一列に表記するものである。
(2)称呼
原告商標は,アルファベットの各文字の発音どおり読むことにより,「ディー
エヌエー」の称呼を生ずる。
(3)観念
原告の商号を文字化したものと解されるが,原告の商号が著名とまで認めるに
足りる証拠がない反面,細胞内で遺伝情報を司る遺伝子を構成する物質である
「デオキシリボ核酸」を示す略語が「DNA」であることは広く知られているこ
とから,原告商標については,「デオキシリボ核酸」又は遺伝子若しくは遺伝に
関係する物質の略語であるとの観念を生じる。観念について,原告商標の各指定
商品との直接の関連は認められない。
2被告の事業及び被告商品等について(甲4,53(枝番を含む),乙1,29か
ら31まで,43の1から35まで,弁論の全趣旨)
(1)被告,本件球団及びDeNA社の概要
ア被告は,本件球団を運営する株式会社であり,後記の経緯を経て,DeNA
社が,被告の発行済み株式の相当数を保有するオーナー企業となっている。
本件球団は,一般社団法人日本野球機構に加盟する12のプロ野球チームの
うちの1チームとして,セントラル・リーグに属している。また,本件球団は,
横浜スタジアムを本拠地(専用球場)とするが,下位リーグ,独立リーグは別
として,上記12チームのうちに,横浜市,神奈川県を本拠地とする他の球団
は存在しない。
イDeNA社は,平成11年3月に設立された,インターネットを利用した各
種情報処理サービス及び情報提供サービス等を目的とする株式会社であり,そ
の商号は,「株式会社ディー・エヌ・エー」である。
(2)被告及び本件球団の沿革
本件球団は,昭和24年に設立された「株式会社まるは球団」を基礎とし,平
成4年11月,従前の球団名であった「横浜大洋ホエールズ」を,「横浜ベイス
ターズ」に改称し,翌年4月に,被告の名称も「株式会社横浜ベイスターズ」に
変更された。
この変更により,球団名は,オーナー企業の名称が入らないものとなり,報道
等で用いられる試合結果を示すスコアボード等において,本件球団を示す表現と
して「横浜」が用いられることもあった。
(3)DeNA社による本件球団の取得(買収)
平成23年11月当時において,本件球団のオーナー企業は株式会社東京放送
であったが,同年11月4日,同社の保有する被告株式をDeNA社が買い受け
る旨の合意がされ,同年12月1日,DeNA社が一般社団法人日本野球機構に
加盟し,本件球団の名称を「横浜DeNAベイスターズ」とした。
(4)被告商品は,いずれも,本件球団やその所属する選手を応援する趣旨を含む商
品であり,本件球団の公式オンラインショップ,本件球団の本拠地である横浜ス
タジアム内の売店等で扱われることから,その需要者は,本件球団のファンであ
る者か,少なくともプロ野球に関心がある者が中心である。
3被告標章2と原告商標の類否判断
(1)被告標章2の構成
ア外観
被告標章2は,漢字の「横浜」,アルファベットの「DeNA」,カタカナの
「ベイスターズ」を,ゴチック体様の文字で横一列に表記するものであり,後
記(2)のとおり,これを一体として捉えるべきものである。
イ称呼
プロ野球の球団名に,いわゆるオーナー企業の名称が入るのは一般的である
こと,本件球団のオーナー会社であるDeNA社の商号は「株式会社ディー・
エヌ・エー」であることから,被告標章2から直接生じる称呼は,「よこはま
ディーエヌエーベイスターズ」と認められる。後記(2)のとおり,様々な略称
が生じる可能性があることは,この点を左右しない。
ウ観念
後記(2)のとおり,被告標章2は,本件球団を直接観念させる。被告標章2
から「DeNA」の部分のみを抽出し,その外観又は称呼から「デオキシリボ
核酸」ないしそれを表す略語の観念が生じるとは認められない。
エ商標登録
被告標章2の構成部分である「DeNAベイスターズ(標準文字)」につい
ては,かばん類(第18類),被服(第25類)を含む広範囲の指定商品につ
き,商標登録がされた(登録第5585391号(乙53))。
(2)被告標章2の要部に関する原告の主張について
原告は,被告標章2の要部は「DeNA」の部分にあり,その要部と原告商標
を対比すべきであると主張するが,以下に述べるとおり,被告標章2は一体とし
て評価すべきものであり,「DeNA」の部分のみを要部として取り出すことは
できない。
ア被告標章2は,その文字の大きさ等に違いはなく,外観において,特定の部
分を抽出すべきとする点は見いだせない。
イ称呼,観念の点からみると,まず,被告標章2のうち「ベイスターズ」の部
分は,造語であって特定の意味を有しないから,それ自体,高い識別力を有す
る。
加えて,報道等においてプロ野球球団(チーム)を表現する場合,チームの
愛称だけで表現する場合(例えば,「北海道日本ハムファイターズ」を「ファ
イターズ」と表現する場合)や,オーナー企業の名称,通称等で表現する場合
(例えば「埼玉西武ライオンズ」を「西武」と表現する場合)がみられるほか,
本拠地名で表現する場合(例えば「広島東洋カープ」を「広島」と表現する場
合)があることは,公知の事実である。
これを本件球団についてみると,前記2で認定したとおり,本件球団につい
ては,「横浜ベイスターズ」がその名称として長年にわたり使用された後,オ
ーナー企業を示すものとして「DeNA」が挿入されたのであるから,被告商
品の需要者であるプロ野球に関心のある者が被告標章2に接した場合,文字の
とおりに「よこはまディーエヌエーベイスターズ」と読む場合と,愛称から「ベ
イスターズ」,本拠地を加えて「横浜ベイスターズ」,オーナー企業の名称から
「ディーエヌエー」と様々に略する場合とが考えられるが,そのいずれの場合
であっても,横浜に本拠地を有するプロ野球チームである本件球団が観念され
ると解される。
ウ以上によると,被告標章2を構成する「横浜」,「DeNA」,「ベイスターズ」
については,それぞれが一定の識別力を有するというべきであり,「DeNA」
のみが商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはで
きないから,「DeNA」のみを要部として抽出し,この部分だけを原告の商
標と比較して類否を判断すべき場合には当たらず,原告の主張は採用できない。
エ原告は,「横浜DeNAベイスターズ」の名称となった平成23年12月2
日以前の本件球団の事情を考慮することは相当でないとも主張するが,被告の
名称変更前の法人としての活動が,商標の類否判断に当たって考慮されないと
する理由はなく,また,需要者等の持つプロ野球球団のルーツの知見等が称呼
観念に与える影響を排除すべき理由もないから,主張は失当である。
なお,「横浜(YOKOHAMA)」,「DeNA」「ベイスターズ(BAYST
ARS)」の識別力については,文字の大きさや図柄との結合の点を除き,本項
で述べた内容が,他の被告標章にも当てはまる。
(3)類否判断
上記(1)の認定と前記1の認定とを対比すると,原告商標と被告標章2は,外
観において全く異なるというべきであるし,称呼,観念いずれにおいても一致な
いし類似しないから,両者は類似しないというべきである。
4被告標章3及び10と原告商標の類否判断
(1)被告標章3,10の構成
ア外観
被告標章3と10は,同じ図柄であり,アルファベットの「BAYSTAR
S」(Bの右肩に星をあしらっている)をゴチック体風のロゴ化した文字で横
一列に,かつBの字の高さを他の字より略3分の1分高くとり,その高く取っ
た幅の部分に,アルファベットで「YOKOHAMA」を小さく,「DeNA」
をそれより大きく,ただしBAYSTARSの字より相当小さく配している。
被告標章10は,被告標章3を黒白調にしたものである。
(被告標章3)
イ称呼
被告標章3及び10は,相対的に大きな「BAYSTARS」の部分に着目
すれば「ベイスターズ」の称呼を生じ,文字全体に着目すれば,「よこはまデ
ィーエヌエーベイスターズ」との称呼を生ずる。
ウ観念
被告標章2と同様,被告標章3及び10は,本件球団を直接観念させる。「デ
オキシリボ核酸」ないしそれを表す略語の観念は生じ得ない。
エ商標登録
被告標章3は,被告により,かばん類(第18類),被服(第25類)を含
む広範囲の指定商品につき,商標登録がされた(登録第5574566号(乙
50))。
(2)類否判断
上記の被告標章3及び10と原告商標は,外観において全く異なるというべき
であるし,称呼及び観念のいずれにおいても類似しない。
被告標章3は,その外観上,「BAYSTARS」の文字を相対的にかなり大
きく配置しており,一般需要者の注意は同部分に向けられることに加え,前記3
(2)で述べたところを勘案すると,「DeNA」の部分のみを要部として抽出する
ことはできない。
5被告標章4及び7と原告商標の類否判断
(1)被告標章4及び7について
ア外観
被告標章4及び7は,同じ図柄であり,星形の背景の中央部分に,被告標章
3の「BAYSTARS」部分と同じロゴ文字を配列し,星形の上半部,下半
部にリボン様の帯部を配し,その帯部分の中に,上半部に「DeNA」の文字,
下半部に「YOKOHAMA」の文字を,BAYSTARSの字よりかなり小
さく配している。被告標章4は青を基調とする配色であり,被告標章7はモノ
トーンである。
(被告標章4)
イ称呼
被告標章4及び7は,相対的に大きい「BAYSTARS」の部分に着目す
れば「ベイスターズ」の称呼を生じ,文字の全体に着目すれば,「よこはまデ
ィーエヌエーベイスターズ」との称呼を生ずる。
ウ観念
被告標章2と同様,被告標章4及び7は,本件球団を直接観念させる。「デ
オキシリボ核酸」ないしそれを表す略語の観念は生じ得ない。
エ商標登録
被告標章4は,被告により,かばん類(第18類),被服(第25類)を含
む広範囲の指定商品につき,商標登録がされた(登録第5574567号(乙
51))。
(2)類否判断
被告標章4及び7と原告商標とは,外観において全く異なるというべきである
し,称呼及び観念いずれにおいても類似しない。
被告標章4及び7は,星形の背景と文字とが一体的にデザインされており,そ
の中で,「DeNA」の文字が占める割合は小さく,前記3(2)で述べたところを
考慮すると,「DeNA」の部分のみを要部として抽出することはできないとい
うべきである。
6被告標章5,15及び16と原告商標の類否判断
(1)被告標章5,15及び16について
ア外観
被告標章5は,同心の二重の円の内円内に,本件球団のユニフォームを着用
した擬人化されたマスコット(「スターマン」)が配され,内円と外円の間の帯
状部分の上下に,半円状に,アルファベットにて「YOKOHAMADeN
ABAYSTARS」の文字を配列している。マスコットのユニフォームの
胸部分に,被告標章3が表現されている。
(被告標章5)
被告標章15は,上記マスコットの頭部及び野球のボールが描かれ,その下
に被告標章3と同じロゴにより「YOKOHAMADeNABAYSTA
RS」の文字が配され,かつ,上記マスコットの頭部を囲むように,半円状に
「YOKOHAMADeNABAYSTARS」の文字が配されている。
(被告標章15)
被告標章16は,青い縁取りの円の中央に大きく本件球団のマスコット(ス
ターマン)を右上に,被告標章3のBAYSTARSで用いられるものと同じ
Bの文字を大きく配し,スターマンの周囲に,外周円の左斜め上から始まり,
左横で終わるように,円周に沿って,「YOKOHAMADeNABAY
STARS」の文字が配されている。また,当該スターマンの着用するユニフ
ォームに,被告標章3が配されている。
(被告標章16)
イ称呼
被告標章5,15及び16は,マスコット部分に着目したときには,そのマ
スコットの名称である「スターマン」の称呼を生じ,文字部分に着目したとき
には,被告標章2と同様,「よこはまディーエヌエーベイスターズ」との称呼
を生ずる。
ウ観念
被告標章2と同様,被告標章5,15及び16は,本件球団及びそのマスコ
ットを直接観念させる。「デオキシリボ核酸」ないしそれを表す略語の観念は
生じ得ない。
エ商標登録
上記各被告標章のマスコットは,後記7(1)エのとおり,登録された商標の全
部又は一部である。
(2)類否判断
上記の被告標章5,15及び16と原告商標は,外観において全く異なるとい
うべきであるし,称呼及び観念のいずれの点においても類似しない。
被告標章5,15及び16は,本件球団のマスコットであるスターマンを中心
に,ユニフォーム,文字等と一体にデザインされており,「DeNA」は,YO
KOHAMADeNABAYSTARS」の一連のまとまりの一部にすぎな
い上,当該文字が同標章に占める割合は小さく,「BAYSTARS」の文字が
相対的に大きく配置されており,一般需要者の注意は,これらの部分に向けられ
る。これに加え,前記3(2)で述べた事情も考慮すると,「DeNA」の部分のみ
を要部として抽出することはできないというべきである。
7被告標章6,8及び9と原告商標との類否判断
(1)被告標章6,8及び9について
ア外観
被告標章6は,円内に,本件球団のユニフォームを着用した擬人化されたマ
スコット(「スターマン」)2体が配され,背景に星形が描かれ,円内下部に数
字で「2012」の字が配されている。
上記のスターマンが着用するユニフォームの胸部分に,被告標章3が配され
ている。
(被告標章6)
被告標章8は,上記マスコットであるスターマンの腰部より上を,被告標章
9は,その全身を描いたものであり,当該スターマンの着用するユニフォーム
に,被告標章3が配されている。
(被告標章8)(同9)
イ称呼
被告標章6,8及び9は,マスコット部分に着目したときには,そのマスコ
ットの名称である「スターマン」の称呼を生じる。文字部分に着目したときに
は,被告標章3と同様,「ベイスターズ」又は「よこはまディーエヌエーベイ
スターズ」との称呼を生ずる。
ウ観念
被告標章2と同様,被告標章6,8及び9は,本件球団及びそのマスコット
を直接観念させる。「デオキシリボ核酸」ないしそれを表す略語の観念は生じ
得ない。
エ商標登録
被告標章9は,被告により,かばん類(第18類),被服(第25類)を含
む広範囲の指定商品につき,商標登録がされた(登録第5574567号(乙
39))。
被告標章6,8を構成するスターマンの図柄は,かばん類(第18類),被
服(第25類)を含む広範囲の指定商品につき,商標登録がされた(登録第5
536400号(乙37),同5536401号(乙38))。
(2)類否判断
上記の被告標章6,8及び9と原告商標は,外観において全く異なるというべ
きであるし,称呼及び観念のいずれにおいても類似しない。
被告標章6,8及び9は,本件球団のマスコットであるスターマンを描くもの
であり,文字としては,マスコットが着用するユニフォームの胸部に被告標章3
と同じ物が記されているにすぎないから,さらにその一部に過ぎない「DeNA」
を要部として抽出することはできない。
7被告標章11ないし13と原告商標との類否判断
(1)被告標章11ないし13について
ア外観
被告標章11から13は,アルファベットのゴチック体調の文字で,「YO
KOHAMADeNABAYSTARS」と横一列に記載するものである。
イ称呼
被告標章2と同様,被告標章11ないし13は,「よこはまディーエヌエー
ベイスターズ」との称呼を生ずる。
ウ観念
被告標章2と同様,被告標章11ないし13は,本件球団を直接観念させる。
「デオキシリボ核酸」ないしそれを表す略語の観念は生じ得ない。
(2)類否判断
上記の被告標章11ないし13と原告商標は,外観において全く異なるという
べきであるし,称呼及び観念のいずれにおいても類似しない。
被告標章11ないし13は,「DeNA」の文字は他の字と同じ大きさ,字体
であり,同部分が他と異なる特徴を有するものではない上,前記3(2)で述べた事
情も考慮すると,「DeNA」の部分のみを要部として抽出することはできない
というべきである。
7被告標章14と原告商標との類否判断
(1)被告標章14について
ア外観
被告標章14は,アルファベットのローマン体の文字で,「YOKOHAM
A」をアーチ状に配し,その下に「DeNA」「BAYSTARS」の語を上
下2段に配するものである。
イ称呼
被告標章2と同様,被告標章14は,「よこはまディーエヌエーベイスター
ズ」との称呼を生ずる。
ウ観念
被告標章2と同様,被告標章14は,本件球団を直接観念させる。「デオキ
シリボ核酸」ないしそれを表す略語の観念は生じ得ない。
(2)類否判断
上記の被告標章14と原告商標は,外観において全く異なるというべきである
し,称呼及び観念のいずれにおいても類似しない。
被告標章14は,その外観上,「DeNA」と「BAYSTARS」の文字は
ほぼ同じ大きさであり,同部分が他と異なる特徴を有するものではない上,前記
3(2)で述べた事情も考慮すると,「DeNA」の部分のみを要部として抽出する
ことはできないというべきである。
8被告標章17と原告商標との類否判断
(1)被告標章17について
ア外観
被告標章17は,アルファベットの丸ゴシック体調の文字で,「YOKOH
AMA」「DeNA」の文字を横に並べ,その下に,それより大きな字で「B
AYSTARS」の字を配し,かつその下に三本の横線を字に接するように当
該横幅一杯に配し,Sの右下(前記横線の右端)に星を配するものである。
(被告標章17)
イ称呼
被告標章3と同様,被告標章17は,「ベイスターズ」又は「よこはまディ
ーエヌエーベイスターズ」との称呼を生ずる。
ウ観念
被告標章3と同様,被告標章17は,本件球団を直接観念させる。「デオキ
シリボ核酸」ないしそれを表す略語の観念は生じ得ない。
(2)類否判断
被告標章17と原告商標は,外観において全く異なるというべきであるし,称
呼及び観念のいずれにおいても類似しない。
被告標章17は,文字,横線,星が一体としてデザインされているが,「De
NA」の文字が同標章に占める割合は小さく,一般需要者の注意は,相対的に大
きい「BAYSTARS」の部分に向けられることに加え,前記3(2)で述べた
事情も考慮すると,「DeNA」の部分のみを要部として抽出することはできな
いというべきである。
9被告標章18と原告商標との類否判断
(1)被告標章18について
ア外観
被告標章18は,アルファベットの筆記体調の文字で,「YOKOHAMA」,
「DeNA」,「BAYSTARS」の文字を三段に分けて記載するものである。
イ称呼
被告標章2と同様,被告標章18は,「よこはまディーエヌエーベイスター
ズ」との称呼を生ずる。
ウ観念
被告標章2と同様,被告標章18は,本件球団を直接観念させる。「デオキ
シリボ核酸」ないしそれを表す略語の観念は生じ得ない。
(2)類否判断
被告標章18と原告商標は,外観において全く異なるというべきであるし,称
呼及び観念のいずれにおいても類似しない。
被告標章18は,三段に分けた文字が同種の字体で構成されており,その中で,
「DeNA」の文字は他の字と同じ大きさであり,同部分が他と異なる特徴を有
するものではない上,同部分に向けられることに加え,前記3(2)で述べた事情
も考慮すると,「DeNA」の部分のみを要部として抽出することはできないと
いうべきである。
10被告標章19と原告商標との類否判断
(1)被告標章19について
ア外観
被告標章19は,アルファベットのローマン体(太字)の文字で,「YOK
OHAMA」「DeNA」「BAYSTARS」の文字を一列で記載するもので
ある。「BAYSTARS」の字が他の部分より大きくなっている。
イ称呼
被告標章3と同様,被告標章19は,「ベイスターズ」又は「よこはまディ
ーエヌエーベイスターズ」との称呼を生ずる。
ウ観念
被告標章2と同様,被告標章19は,本件球団を直接観念させる。「デオキ
シリボ核酸」ないしそれを表す略語の観念は生じ得ない。
(2)類否判断
被告標章19と原告商標は,外観において全く異なるというべきであるし,称
呼及び観念のいずれにおいても類似しない。
被告標章19は,その外観上,「DeNA」の文字が占める割合は小さく,需
要者の注意は,相対的に大きい「BAYSTARS」の部分に向けられることに
加え,前記3(2)で述べた事情も考慮すると,「DeNA」の部分のみを要部とし
て抽出することはできないというべきである。
11被告標章20と原告商標との類否判断
(1)被告標章20について
ア外観
被告標章20は,印章(落款)を想起させるデザインで,その印影を構成す
る文字として,「横浜」,「DeNA」の文字が赤地に白抜き文字で配されてい
る。
同標章は,落款様に構成されていることから明らかなとおり,毛筆体の巨大
な揮毫である「勝」に添えられるものであり,かつ,同標章の上には,同標章
と同程度の大きさで,「YOKOHAMADeNABAYSTARS(2
013)」の英文字が付記されている(甲53の5)。
したがって,被告標章20の外観の判断にあたっては,原告が主張する被告
標章20のみを取り上げることはできず,その上にある英文字と一体に観察す
べきである。
イ称呼
被告標章20を単独でみた場合,同標章は,「よこはまディーエヌエー」と
の称呼を生ずるが,英文字一体でみた場合,「よこはまディーエヌエーベイス
ターズ」の称呼を生ずる。
ウ観念
被告標章20は,本件球団を直接観念させる。「デオキシリボ核酸」ないし
それを表す略語の観念は生じ得ない。
(2)類否判断
被告標章20は,上記のとおり,英文字と一体で使用されているから,同標章
それ自体としての使用(商標的使用)行為は認められないが,仮に,被告標章2
0のみに着目したとしても,上記のとおり,外観,称呼及び観念のいずれも類似
しない。
被告標章20は,その外観上,「DeNA」の文字は「横浜」と同じ大きさ,
字体であり,同部分が他と異なる特徴を有するものではなく,英文字と一体で評
価すべきことに加え,前記3(2)で述べた事情も考慮すると,「DeNA」の部分
のみを要部として抽出することはできないというべきである。
12まとめ
上記の検討によると,被告標章2ないし20は,いずれも原告商標と類似しない。
第第第第5555結論結論結論結論
以上の次第で,その余の争点を判断するまでもなく,原告の主張は,いずれも理由
がないから,これを棄却することとする。
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官谷有恒
裁判官松阿彌隆
裁判官松川充康
(別紙)
被告標章目録
2横浜横浜横浜横浜DeNADeNADeNADeNAベイスターズベイスターズベイスターズベイスターズ







10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
(別紙)
被告商品目録
1ミニボストンバッグ
2スタジアムバッグ
3キャリーバッグ
4リバーシブルバッグ
5キャンバストートバッグ
6マルチトートバッグ
7レジャートートバッグ
8リュック巾着
9スウェットCポーチ
10耳かき
11エプロン
12ニットグローブ
13タオルマフラー(ブルー)
14タオルマフラー(ピンク)
15ネックタオル
16選手タオルマフラー
17スターマンプリントキャップ
18スターマンワッペンキャップ
19キャンプキャップ
20コットンキャップ
21リストバンド(ネイビー)
22リストバンド(ホワイト)
23ヘルメット
24ネックウォーマー
25スヌーピータオルマフラー
26スヌーピートートバッグ
27横浜DeNAベイスターズ×綾波レイタオルマフラー
28横浜DeNAベイスターズ×式波・アスカ・ラングレータオルマフラー
29PansonWorksトートバッグ
30PansonWorksミニトートバッグ
31選手ミニトートバッグ
32タオルマフラー(DB.スターマン)
33キャンパストートバック『勝』
(別紙)
対比表1
注:被告横浜DeNAを被告と読み替える。
かばん類ミニボストンバッグ(1)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章3(2Ⅲ①)
甲4-1 p.2~3
スタジアムバッグ(2)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章3(2Ⅲ①)
甲4-2 p.2~3
キャリーバッグ(3)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章4(2Ⅲ①)
甲4-3 p.2~3
リバーシブルバッグ(4)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
甲4-4p.2
キャンバストートバッグ(5)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章5(2Ⅲ①)
甲4-5 p.3~4
マルチトートバッグ(6)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
甲4-6 p.2~3
レジャートートバッグ(7)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章6
甲4-7 p.3
甲5写真2
スヌーピートートバッグ(26)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章3(2Ⅲ①)
甲4-26 p.2~3
袋物リュック巾着(8)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章7(2Ⅲ①)
甲4-8 p.3~4
携帯用化粧道
具入れ
スウェットCポーチ(9)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章8(2Ⅲ①)
被告標章4(2Ⅲ①)
甲4-9 p.1、3
甲5写真3、4
耳かき(10)
(類似群コード21F01)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章3(2Ⅲ①)
被告標章9(2Ⅲ①)
甲4-10 p.3~4
エプロンエプロン(11)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章4(2Ⅲ①)
甲4-11 p.3~4
手袋ニットグローブ(12)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章10(2Ⅲ①)
甲4-12 p.3
甲5写真6
マフラータオルマフラー(ブ
ルー)(13)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章11(2Ⅲ①)
甲4-13 p.3~4
タオルマフラー(ピンク)(14)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章12(2Ⅲ①)
甲4-14 p.3~4
ネックタオル(15)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章11(2Ⅲ①)
甲4-15 p.3~4
選手タオルマフラー(16)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章13(2Ⅲ①)
甲4-16 p.3~4
スヌーピータオルマフラー
(25)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章3(2Ⅲ①)
甲4-25 p.2~3
横浜DeNAベイスターズ×
綾波レイタオルマフラー
(27)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章3(2Ⅲ①)
甲4-27 p.2~3
横浜DeNAベイスターズ×
式波・アスカ・ラングレータ
オルマフラー(28)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章3(2Ⅲ①)
甲4-28 p.2~3
帽子スターマンプリントキャップ
(17)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章4(2Ⅲ①)
甲4-17 p.8
スターマンワッペンキャッ
プ(18)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章3(2Ⅲ①)
甲4-18 p.3~4
キャンプキャップ(19)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章14(2Ⅲ①)
甲4-19 p.3~4
コットンキャップ(20)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章11(2Ⅲ①)
甲4-20 p.2~3
甲5写真8
バンドリストバンド(ネイビー)(21)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章15(2Ⅲ①)
甲4-21 p.3~4
リストバンド(ホワイ
ト)(22)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章16(2Ⅲ①)
甲4-22 p.2~3
甲5写真9
ヘルメットヘルメット(23)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
被告標章7(2Ⅲ⑧)
甲4-23 p.2
甲5写真10
えり巻きネックウォーマー(24)
被告標章2(2Ⅲ⑧)
甲4-24 p.1
原告商標2
被告横浜DeNAによる被告標章の使用形態
(商品名末尾括弧内は別紙目録被告商品2の枝番。商標法2条3項各号の使用態様及び証拠を付記)
原告商標1
指定商品
対比表2
指定商品被告商品使用標章
原告商標1マフラー
被告商品32タオルマフラー(スターマ
ン)(甲53の4)
被告標章19
原告商標2かばん類
被告商品29PansonWorksト
ートバッグ(甲53の1)
被告標章17
原告商標2かばん類
被告商品30PansonWorksミ
ニトートバッグ(甲53の2)
被告標章17
原告商標2かばん類
被告商品31選手ミニトートバッグ(甲5
3の3)
被告標章18
原告商標2かばん類
被告商品33キャンパストートバック『勝』
(甲53の5)
被告標章20

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〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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71期修習生 72期修習生 求人
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職種 事務職
時給 当社規定による
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シフトは週40時間以上
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