弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する
     被告人Aを懲役一年六月に
     被告人B同C同Dを各懲役一年に各処する。
     被告人B同Cに対し本裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。
     神戸市葺合警察署司法警察員の押収した生ゴム三百四十一梱包(但し昭
和二十四年二月七日Eの靴製造工場から差押えた二百五十四梱包及び同月十三日F
の倉庫から差押えた八十八梱包中盗難にかかつた一梱包を除いた合計)は被告人
A、同B、同Cから没収し差押不能の生ゴム六十六梱包(但し原先元豚小屋へ運搬
した分)の原価三十七万六千六十八円中その半数の原価十八万八千三十四円を被告
人A、同B、同C、同Dからその残額を被告人A、同B、同Cから追徴する。
     本件密輸入の用に供した船舶G丸及びH丸の価額合計金五十二万四千三
百円を被告人A、同B、同Cから追徴する。
     原審における証人I、同J、同K、同L、同M、同Nに支給した訴訟費
用の六分の一宛を被告人等の各自負担とする。
         理    由
 被告人A、同Bの弁護人岡本徳の控訴趣意第二点にいて。
 しかし原判決挙示の証拠によると、本件密輸入に使用された船舶たるG丸及H丸
の価額は必ずしも算定不能なりとはいゝ難く、かえつて原判示のごとくであること
が認められるし、右は何ら実験則に反する不合理な判定ともいうを得ない。
 論旨はその理由がない。
 同第三点について
 しかし密輸行為自体と押収の有無、能否とは全然別個の観念であるから、いやし
くも本件において原判決挙示の証拠により原判示密輸事実が認定できる以上、右認
定にかかる密輸入生ゴムの数量に対する説明がないからといつて、原判決の違法を
招来するものではない。本論旨もまたその理由がない。
 同第一点について。
 原判決挙示の証拠によると、同被告人等は原判示のごとく、他の被告人等その他
と共謀の上和歌山県日の岬沖合で外国汽船から原判示生ゴムを積取りこれを原判示
場所に陸揚する等の行為を分担実行しており、他にこれを覆するに足る資料がない
のであつて、これらの行為はまさに関税法にいわゆる密輸入の実行行為に外ならな
いから、これをもつて単なる幇助に過ぎない旨の所論はあたらない。
 しかし本件訴訟記録之検討すると、同被告人等に対する原審の科刑は重過ぎると
認められるから、科刑不当の論旨はその理由がある。
 被告人C弁護人平田栄之助、村田定由の控訴趣意第一点について。
 <要旨第一>しかし関税法第八十三条第三項にいわゆる犯人というのは当該密輸入
事件の犯人という趣旨と解すべきであるからいやしくも同被告人が本件
密輸入事件に共謀加担した事実にして存する以上、犯罪行為に供した船舶が没収不
能の場合においてこれが価額を追徴すべきこと当然である。
 <要旨第二>また同条項の追徴は被追徴者数人ある場合において、本来すべて全部
義務を負担すべきものと解するのが相当であるから(大審院昭和三年二
月三日言渡判決参照)いやしくも原判決が当然追徴すべき同被告人から追徴した以
上、その措置は適法であつて、他の共犯者から追徴したかどうかというような他人
の利害に関する原判決の処置を批難することは、右被告人の控訴理由としては適法
ではない。論旨はいずれも採用し難い。
 同第二点について。
 原判決の採用したような鑑定は必ずしも理想的とはいえないが船舶が所在不明な
る以上やむを得ない次善の方法として是認すべきであり、もとより単なる不確定な
推定と同一視するを得ないのみならず、他に右鑑定の結果を不当とすべき資料もな
いから、原判決がこれに基ずき本件G丸及びH丸の船価を認定したのは相当であ
り、これに対する批難はあたらない。
 D弁護人平田栄之助、村田安田の控訴趣意第一点について。
 しかし原判決挙示の証拠によると、原判示第二の(三)の教唆事実を推認ができ
るしこれに牴触する所論同被告人の供述は爾余の証拠にてらし必ずしも真相に合致
するものとは認め難いから、事実誤認の論旨は採用し難い。
 同第二点及び被告人C弁護人平田栄之助、村田安由の控訴趣意第三点について。
 各所論に鑑み記録を精査すると、同被告人等に対する原審の科刑は重過ぎると認
められるから論旨はその理由がある。
 以上の次第であるから、刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十一条第四百条但し
書に従い原判決を破棄し更に裁判をする。
 原判決が証拠により確定した各事実にその摘示した各法令(但し被告人B同Cに
ついては更に刑法第二十五条)を適用し主文のとおり判決をする。
 (裁判長判事 荻野益三郎 判事 佐藤重臣 判事 梶田幸冶)

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