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平成18年11月29日判決言渡
平成15年(行ウ)第288号損害賠償請求事件(住民訴訟)
判決
主文
1本件訴えのうち,以下の部分をいずれも却下する。
(別表は省略)
(1)別表1に記載された東村山市と被告補助参加人との間の契約に関し,平
成9年度から平成13年度までの契約の締結の全部,別表2(1)から(4)まで
に記載された支出命令及び支出(別表2において「支払い」とされているも
の。以下,主文において「支出」というのはこのことを指す)の全部並び。
に別表2(5)に記載された支出命令及び支出のうち4月分から12月分まで
のものが財務会計法規に違反して違法であることを理由として,被告補助参
加人に対し損害賠償を請求するよう被告に求める部分
(2)別表1に記載された東村山市と被告補助参加人との間の契約に関し,平
成9年度から平成13年度までの契約の締結の全部,別表2(1)から(4)まで
に記載された支出命令の全部及び別表2(5)に記載された支出命令のうち4
月分から12月分までのものが財務会計法規に違反して違法であることを理
由として,Aに対し損害賠償を請求するよう被告に求める部分
(3)別表1に記載された東村山市と被告補助参加人との間の契約に関し,別
表2(1)に記載された支出のうち7月分から3月分までのもの,別表2(2)か
ら(4)までに記載された支出の全部及び別表2(5)に記載された支出のうち4
月分から12月分までのものが財務会計法規に違反して違法であることを理
由として,Bに対し損害賠償を命令するよう被告に求める部分
(4)別表1に記載された東村山市と被告補助参加人との間の契約のうち平成
9年度から平成11年度までのものに関し,その契約の締結の全部及び別表
2(1)から(3)までに記載された支出命令の全部が財務会計法規に違反して違
法であることを理由として,Cに対し損害賠償を命令するよう被告に求める
部分
(5)別表1に記載された東村山市と被告補助参加人との間の契約のうち平成
12年度から平成14年度までのものに関し,平成12年度及び平成13年
度の契約の締結,別表2(4)に記載された支出命令の全部並びに別表2(5)に
記載された支出命令のうち4月分から12月分までのものが財務会計法規に
違反して違法であることを理由として,Dに対し損害賠償を命令するよう被
告に求める部分
(6)別表1に記載された東村山市と被告補助参加人との間の契約に関し,契
約において定められた業務の一部を行わずに委託料を受領したとの被告補助
参加人の東村山市に対する不法行為にA,B,C及びDが加担したことを理
由として,Aに対し損害賠償を請求するよう,並びにB,C及びDに対し損
害賠償を命令するよう被告に求める部分
2原告らのその余の訴えに係る請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告は,A及び被告補助参加人各自に対し,下記の各金員及びこれに対する
平成15年7月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を連帯して支
払うよう請求せよ。

A3億3073万1537円
被告補助参加人2億3430万円
2被告は,B,C及びD各自に対し,下記の各金員及びこれに対する平成15
年7月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の賠償を命令せよ。

B9762万5000円
C1769万5125円
D1002万7238円
第2事案の概要
本件は,原告らが,地方自治法(以下「自治法」という)242条の2第。
1項4号に基づき提起した住民訴訟であり,原告らは,東京都東村山市(以下
「東村山市」又は「市」という)が被告補助参加人(以下「補助参加人」と。
いう)との間で締結したごみ焼却施設の運転管理業務委託契約は自治法23。
4条2項に違反する随意契約であるなどと主張して,被告に対し,①契約締結
当時市長の職にあった者に対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき,
補助参加人に対し,不法行為による損害賠償請求権又は不当利得返還請求権に
基づき,それぞれ,損害額ないし利得額(ただし各自の責任に応じて割り振っ
たもの)及びこれに対する訴状送達の日以降支払済みまで民法所定の年5分の
割合による遅延損害金の連帯支払を請求するよう求め,②市の収入役及び管財
課長の職にあった者に対しては,自治法243条の2第4項に基づき,それぞ
れ,損害額(ただし各自の責任に応じて割り振ったもの)及びこれに対する訴
状送達の日以降支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の賠償
を命ずるよう求めている。
1前提事実((4)のうち訴え提起の事実は当裁判所に顕著であり,それ以外の
事実はいずれも当事者間に争いがない)。
(1)当事者及び補助参加人等
原告らは,平成15年以前から東村山市の住民である。なお,原告Eは,
平成11年5月から平成15年4月まで東村山市の市議会議員であった。
Aは,平成7年4月以来東村山市の市長の職にある。Bは,平成9年8月
から平成15年3月まで市収入役の職にあった。Cは平成9年4月から平成
12年3月まで,Dは平成12年4月から平成15年3月まで,いずれも市
管財課長の職にあった。
補助参加人は,東京都新宿区内に本店を置く株式会社であり「株式会社,
F」が旧商号であったが,平成15年1月10日に現在の商号に変更した。
補助参加人は,全国各地においてごみ焼却施設運転管理業務を行っており,
三多摩地域では,東村山市のほか,柳泉園組合,西多摩衛生組合等から同種
の業務の委託を受けた実績がある。
(2)市と補助参加人との間の契約の締結
ア市は,平成9年度から平成14年度までの間(各年度とも,4月1日に
始まり翌年3月31日に終了する,別表1記載のとおり,各年度ごと。)
に「契約締結日」欄記載の日に「契約金額」欄記載の委託料(消費税,,
を含む)により,補助参加人との間でごみ焼却施設運転管理業務委託契。
約を締結した。これらの契約は,いずれも,市内a町b丁目c番地dに市
が設置する「秋水園ごみ焼却処理施設(以下「本件ごみ焼却施設」とい」
う)の運転管理業務を補助参加人に委託するというものであり,すべて。
随意契約の方法により締結された。その随意契約の方法は,平成9年度か
ら平成13年度までは,契約の相手方を当初から補助参加人1社に絞り込
んで行う「特命随意契約」の方法であったが,平成14年度は,補助参加
人を含めた7社に見積書を提出させた上,最も見積額が低かった補助参加
人を選択する「競争見積もり」の方法であった。
(以下,各年度の契約を特定する必要があるときは「本件平成9年度委託
契約」などといい,総称するときは「本件各委託契約」という)。
イ平成9年度から平成13年度までの本件各委託契約は,夜間と休日の運
転管理業務のみを委託する部分委託であった。すなわち,委託された業務
は,本件ごみ焼却施設の運転,監視及び点検であり,時間は,午後5時か
ら(ただし,土曜日,日曜日及び祝日は午前8時45分から)翌日午前8
時45分までであった。
本件平成14年度委託契約は,昼間も含めた全面委託であり,委託され
,,,た業務は本件ごみ焼却施設の運転管理保守点検修理及び整備であって
時間も全日とされた。
(3)委託料の支出
本件各委託契約に基づき市が補助参加人に対して支払った委託料の具体的
な金額,支出命令及び支出の時期並びに関係する市長その他の職員は,別表
2の(1)から(6)までに記載したとおりである。
(4)住民監査請求と本件訴えの提起
ア原告らは,平成15年2月3日,本件各委託契約に関し違法不当な支出
があるとして,市監査委員に対して住民監査請求をした(以下「本件監査
請求」という。。)
イ市監査委員は,本件監査請求について監査をしたが,同年4月7日,監
査委員の間で合議が整わず監査結果を決定し得なかったとし,これをその
ころ原告らに通知した。
ウ原告らは,同年5月7日,本件訴えを提起した。
2関係法令等の定め
(1)普通地方公共団体の契約の締結は,一般競争入札,指名競争入札,随意
契約又はせり売りの方法によるものとされ(自治法234条1項,随意契)
約は政令で定める場合に該当するときに限りこれによることができる同,,(
条2項。これを受け,地方自治法施行令(以下「施行令」という)16)。
7条の2第1項が,随意契約によることができる場合を挙げている。
このうち,本件に関係するのは同項2号であり,同号は随意契約によるこ
とができる場合として「不動産の買入れ又は借入れ,普通地方公共団体が,
必要とする物品の製造,修理,加工又は納入に使用させるため必要な物品の
売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをすると
き」と規定している。すなわち,本件各委託契約は同号にいう「その他の契
約」に該当するので「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」であ,
る場合に限り,随意契約によることができることになる。
(2)市は,施行令167条の2第1項を受け「東村山市契約事務規則(昭,」
和42年3月31日規則第6号(以下「事務規則」という)において,)。
次のとおり定めている(乙1。)
ア契約担当者等(市長及び別に定めるところにより市長からあらかじめ契
約に関する事務を処理する権限を委任された者)は,予定価格が施行令1
67条の2第1項1号(及び別表第5)の定める金額を超える契約を同項
2号の理由により随意契約として行おうとする場合は,あらかじめ管財課
長に協議しなければならない(事務規則31条の3,2条(3)。)
イ契約担当者等は,随意契約によろうとするときは,契約条項その他見積
もりに必要な事項を示して,なるべく3人以上の者から見積書を徴しなけ
ればならない。ただし,法令により価格の定められている物件を買い入れ
るとき,その他その必要がないと認めるときは,この限りでない(同規則
32条1項。)
3争点(争点についての当事者及び補助参加人の主張は別紙のとおり)
(1)監査請求前置の遵守
原告らは本件訴えについて監査請求を経ているといえるか。すなわち,本
件監査請求と本件訴えとの間に同一性はあるか。
(2)監査請求期間経過の有無
本件監査請求に自治法242条2項の規定は適用されるか。適用される場
合,本件監査請求は同項本文の定める期間内に行われたか。
(3)監査請求期間経過の正当な理由の存否
争点(2)において本件監査請求に自治法242条2項の規定が適用され,
かつ同項本文の定める期間を経過していると判断される場合,その期間経過
に正当な理由はあるか。
(4)B,C及びDの賠償命令を受ける適格の有無
B,C及びDは自治法243条の2の定める賠償命令の対象となり得る者
か。
(5)本件各委託契約締結の適法性
本件各委託契約は自治法234条2項,施行令167条の2第1項2号の
規定により許される随意契約か。
(6)委託料支出の適法性
本件各委託契約に基づく委託料の支出のうち,補助参加人が業務完了報告
書を提出していないのに支出されたものとして違法となるものはあるか。
(7)Aの故意又は過失の有無
争点(5)又は(6)において違法性が肯定される場合,そのような違法な契約
締結行為又は支出命令に関し,Aに故意又は過失があったか。
(8)B,C及びDの故意又は重過失の有無
,,争点(4)においてBC及びDが賠償命令の対象になり得る者と判断され
かつ争点(5)又は(6)において違法性が肯定される場合,B,C及びDには賠
償命令発令の根拠となる故意又は重過失があったか。
(9)補助参加人の不法行為の成否及び損害額
補助参加人は,本件各委託契約において定められた業務の一部を行わず,
業務完了報告書も提出していないのに委託料の請求をして市に損害を負わせ
たとの理由で市に対する不法行為責任を負うか。
(10)A,補助参加人,B,C及びD各人の賠償額
争点(5)から(9)までにおいて原告らの主張するA,B,C,D及び補助参
加人の損害賠償責任が一部でも成立すると判断される場合,各人が市に対し
て負うべき賠償額はいくらか。
(11)補助参加人の不当利得の有無及び不当利得額
補助参加人は,本件各委託契約において定められた業務の一部を行ってい
ないにもかかわらず,その分の委託料を受領したものとして市に対する不当
利得返還債務を負うか。負う場合,その額はいくらか。
第3争点に対する判断
1争点(1)(監査請求前置の遵守)について
(1)原告らは,市が以下のAないしCとおりの実体法上の請求権を有してい
るにもかかわらず,それを行使しないことが自治法242条1項の規定する
「財産の管理を怠る事実」になるとして,その是正を図るため,本件監査請
求を経て本件訴えを提起したと主張している。
A自治法234条2項等の法令上の規定に違反して本件各委託契約を締結
し(ただし,本件平成14年度委託契約の締結を除く,これに基づき。)
委託料の支出命令をし,その支出をしたという不法行為及びこの不法行為
に補助参加人が加担したことに基づく市の補助参加人,A,B,C及びD
に対する損害賠償請求権(以下,この請求権不行使に係る「財産の管理を
怠る事実」を「怠る事実A」という)。
B補助参加人が本件各委託契約において定められた業務の一部を行わない
にもかかわらず,それを行ったとして市に委託料を請求しこれを受領した
という不法行為及びこの不法行為にA,B,C及びDが加担したことに基
づく市の補助参加人,A,B,C及びDに対する損害賠償請求権(以下,
この請求権不行使に係る「財産の管理を怠る事実」を「怠る事実B」とい
う)。
C補助参加人が本件各委託契約において定められた業務の一部を行わない
にもかかわらず,それを行ったとして市から委託料の支払を受け不当に利
得したことに基づく市の補助参加人に対する不当利得返還請求権(以下,
この請求権不行使に係る「財産の管理を怠る事実」を「怠る事実C」とい
う)。
これに対し,被告及び補助参加人は,怠る事実Bは本件監査請求の対象に
なっていないし,B,C及びDの行為は怠る事実A及び同Bのいずれの観点
からも本件監査請求の対象となっていないなどと主張する。
「監査請求の対象として何を取り上げるかは,基本的には請求をする住民
の選択に係るものであるが,具体的な監査請求の対象は,当該監査請求にお
いて請求人が何を対象として取り上げたのかを,請求書の記載内容,添付書
面等に照らして客観的,実質的に判断すべきものである(最高裁判所第三」
小法廷平成14年7月2日判決・民集56巻6号1049頁。本件監査請)
,「」(「」求の請求書は東村山市職員措置請求と題する書面以下当初請求書
という)と「住民監査請求追加分」と題する補正のための追加書面(以。,
下「追加請求書」という)の2つの書面からなり,これらに加えて,原告。
,(「」らの主張する怠る事実を証する書面として11通の書面以下証拠書面
という)が監査委員に提出されていた(甲2。そこで,以下,これらの。)
書面に基づき検討する。
(2)怠る事実Aについて
怠る事実Aのうち,A及び補助参加人の不法行為に基づく同人らに対する
損害賠償請求権の不行使が本件監査請求の対象とされたことは,当事者間に
争いがない(ただし,一方で,本件平成14年度委託契約の締結がこの観点
,,から本件監査請求の対象とされていないことも当事者間に争いがなく結局
契約の締結に関しては,対象とされたのは本件各委託契約のうち平成9年度
から平成13年度までのものということになる。。)
被告は,B,C及びDの行為は本件監査請求の対象となっていないと主張
し,確かに,被告の主張のとおり,当初請求書においても,追加請求書にお
,,。,「,いてもBC及びDに対する言及はないしかし住民訴訟においては
その対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について監査請求を経ている
と認められる限り,監査請求において求められた具体的措置の相手方とは異
なる者を相手方として右措置の内容と異なる請求をすることも,許されると
解すべきである(最高裁判所第二小法廷平成10年7月3日判決・裁判集」
民189号1頁)から,本件監査請求の請求書においてB,C及びDに対す
る言及がないことは,同人らに対する損害賠償請求を求める訴えを原告らが
提起することの妨げとはならない。当初請求書には,市と補助参加人との間
の本件ごみ焼却施設運転管理業務委託契約は施行令167条の2第1項2号
の規定する「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当しないと
いう趣旨の記載や,全面委託となった本件平成14年度委託契約の委託料よ
りも部分委託であったそれ以前の年度の本件各委託契約の委託料の方が多額
であるのは不当であるとの趣旨の記載があり,本件各委託契約(ただし,本
件平成14年度委託契約を除く)が違法な随意契約であったため,委託料。
が多額となり,過大な支出を強いられたことを原告らが問題視し,これに対
する必要な措置を講じることを求めていたことが認められる。また,原告ら
は損害賠償請求権の行使を怠る事実を監査請求の対象としていたものの,こ
の請求権は,支出負担行為(契約の締結,支出命令あるいは支出という財)
務会計上の行為が違法であることにより発生する損害賠償請求権であるか
ら,本件監査請求に対する監査委員の監査においては,この請求権の行使を
怠る事実の存否のみでなく,これらの財務会計上の行為が財務会計法規に違
反して違法かどうかも当然に対象となっているというべきである。そして,
,,本件訴訟における原告らの主張によればBは収入役として支出権限を有し
C及びDは管財課長として契約締結権限を有していたというのであるから,
これらの者の財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法かどうかの点
も監査請求を経ているということができる。
したがって,被告の上記主張は採用することができず,怠る事実Aはすべ
て監査請求を経ていると認められる。
(3)怠る事実Bについて
怠る事実Bについては,補助参加人に対する請求とA以下の市の職員に対
する請求とを分けて考える必要がある。
まず,補助参加人に対する請求については,原告らは,当初請求書におい
ては,確かに,怠る事実Bに関する主張をしていたとは認められないが,追
加請求書においては,補助参加人が契約で定められた業務の一部を完了して
いないと主張している(甲2。また,証拠書面のうちの「ごみ焼却炉業務)
管理委託問題」と題する書面(甲1)においては,本件ごみ焼却施設の運転
状況として稼働していない期間が相当長期に及ぶことが指摘されていた具,(
体的な表現は「土・日は,ほとんど稼働されていないと言いうる」とい,。
うものである。これらのことからすれば,原告らは,本件監査請求に当。)
たり,補助参加人が契約で定められた業務の一部を完了していないことを問
題視し,これに対する必要な措置を講じることを求めていたことが認められ
る。したがって,不法行為という言葉こそ用いられていないものの,怠る事
実Bについても原告らは本件監査請求の対象とする趣旨であったといえるか
ら,これについても監査請求を経ていると認められる。
次に,A以下の市の職員に対する請求については,原告らの主張は,これ
らの職員が補助参加人の上記不法行為に加担したことが市に対する不法行為
になるということを前提としている。ところが,当初請求書においても,追
加請求書においても,A,B,C又はDが補助参加人の上記不法行為に加担
するという不法行為をしたという趣旨のことは全く述べられておらず,A以
外については名前や役職すら言及されていない。そして,Aに対しても,少
なくとも怠る事実Bについては,同人が不法行為をしたという観点からの言
及ではない。追加請求書においても,専ら,補助参加人の行為の違法性ない
し不当性のみが問題とされているのである。そうすると,細渕以下の市の職
員が補助参加人の上記不法行為に加担する不法行為をしたという点について
は,本件監査請求の対象にはなっていないといわざるを得ず,上記A以下の
市の職員の不法行為に基づく市の同人らに対する損害賠償請求権の行使を市
が怠っているという事実は,監査請求を経ているとはいえない。
(4)怠る事実Cについて
被告及び補助参加人は,怠る事実Cが監査請求を経ていることを積極的に
争っていない。この点については,当初請求書においては明瞭ではないもの
の,追加請求書においては,補助参加人が契約で定められた業務の一部を完
了していないことを指摘した上「余分に支払った分」を返還すべきである,
という趣旨の記載があり,この記載からは,市が補助参加人に対して不当利
得返還請求をすべきであると原告らが考え,これについて必要な措置を講じ
ることを求めていることが読み取れる。
,。したがって怠る事実Cについても監査請求を経ていることが認められる
(5)まとめ
,,,以上によれば怠る事実A及び同Cについては原告らの主張するとおり
監査請求を経ているといえるが,怠る事実Bについては,補助参加人の不法
行為に基づく同人に対する損害賠償請求権の行使を怠っているという事実に
関しては,監査請求を経ているといえるものの,A以下の市の職員の不法行
為に基づく同人らに対する損害賠償請求権の行使を怠っているという事実に
関しては,監査請求を経ているとはいえない。被告の主張はこの限りにおい
て正当である。
よって,本件訴えのうち,A,B,C及びDが補助参加人の不法行為に加
担するという不法行為をしたことに基づく損害賠償請求権の行使を市が怠っ
ていることを理由に,Aに対しては賠償の請求を,B,C及びDに対して賠
償の命令をすることを被告に求める部分は,その余の点について判断するま
でもなく,監査請求前置を欠き不適法であり,却下を免れない。
2争点(2)(監査請求期間経過の有無)について
上記1のとおり,原告らは怠る事実を本件監査請求の対象としている。怠る
,(「」。)事実については自治法242条2項の規定以下期間制限規定という
による監査請求期間の制限がないのが原則である。しかし,怠る事実を対象と
してされた監査請求であっても,特定の財務会計上の行為が財務会計法規に違
反して違法であるか又はこれが違法であって無効であるからこそ発生する実体
法上の請求権の行使を怠る事実を対象とするものである場合には,当該行為が
違法とされて初めて当該請求権が発生するのであるから,監査委員は当該行為
が違法であるか否かを判断しなければ当該怠る事実の監査を遂げることができ
ないという関係にあり,これを客観的,実質的にみれば,当該行為を対象とす
る監査を求める趣旨を含むものとみざるを得ず,法が監査請求に期間制限を設
けた趣旨を没却しないためには,当該行為のあった日又は終わった日を基準と
して期間制限規定を適用すべきものである(最高裁判所第二小法廷昭和62年
2月20日判決・民集41巻1号122頁参照。しかし,怠る事実について)
は監査請求期間の制限がないのが原則であり,上記のようにその制限が及ぶと
いうべき場合はその例外に当たることにかんがみれば,監査委員が怠る事実の
監査を遂げるためには,特定の財務会計上の行為の存否,内容等について検討
しなければならないとしても,当該行為が財務会計法規に違反して違法である
か否かの判断をしなければならない関係にはない場合には,これをしなければ
ならない関係にある場合と異なり,当該怠る事実を対象としてされた監査請求
は,期間制限規定の趣旨を没却するものとはいえず,これに同規定を適用すべ
きものではない(最高裁判所第三小法廷平成14年7月2日判決・民集56巻
6号1049頁参照。)
以下,これを踏まえて,各怠る事実ごとに検討するが,上記1における判断
を前提にすれば,怠る事実Bについては,補助参加人の行為が不法行為に当た
るとする部分のみを検討すれば足りることになる。
(1)怠る事実Aについて
怠る事実Aは,本件各委託契約につき,契約の締結(支出負担行為(た)
だし,本件平成14年度委託契約を除く,これに基づく支出命令又はそ。)
の支出が自治法234条2項等の財務会計法規に違反して違法であるからこ
そ発生する不法行為に基づく損害賠償請求権の不行使を対象とするものであ
る。したがって,これらを客観的,実質的にみれば,原告らは,監査委員に
対し,上記各財務会計上の行為を対象とする監査を求める趣旨を含むもので
あったとみざるを得ないから,これらの行為のあった日を基準として期間制
限規定を適用すべきである。
そうすると,本件各委託契約のうち平成9年度から平成13年度までのも
のの締結については,別表1にあるとおり,すべて,その契約締結日から本
(),件監査請求の日平成15年2月3日までに1年以上が経過しているから
期間制限規定の定める期間を経過していることになる。
次に,支出命令については,別表2の(5)にあるとおり,本件平成13年
度委託契約の12月分の支出命令が平成14年1月15日であり,これ以前
の支出命令は,すべて支出命令日から本件監査請求の日までに1年以上が経
過しているから,これらの支出命令については期間制限規定の定める期間を
経過していることになる。
支出についても,別表2の(5)にあるとおり,本件平成13年度委託契約
の12月分の支出が平成14年1月25日であり,これ以前の支出は,すべ
て支出日から本件監査請求の日までに1年以上が経過しているから,これら
の支出についても期間制限規定の定める期間を経過していることになる。
なお,繰り返し述べるとおり,怠る事実Aに関しては,本件平成14年度
委託契約の締結が本件監査請求の対象となっていないことは当事者間に争い
がないから,これについては期間制限規定の適用を検討するまでもない。
(2)怠る事実B(ただし,補助参加人の不法行為に係る部分に限る)につ。
いて
怠る事実Bを対象とする本件監査請求のうち,補助参加人に係る部分は,
補助参加人が契約で定められた業務の一部を完了しないで委託料全額を市に
請求し,これを市に支払わせたことは不法行為になるから,これに基づく損
害を賠償させるべきであるにもかかわらず,その請求権の行使を市が怠って
いるという事実を監査請求の対象としている。この怠る事実について監査を
遂げるためには,監査委員は,補助参加人について上記行為が認められ,そ
れが不法行為上違法の評価を受けるものであるかどうか,これにより市に損
害が発生したといえるかどうかなどを確定しさえすれば足りる。そうである
とすれば,当該不法行為の成否につき,A以下の市の職員が当該不法行為に
加担したか否かを問わないものであって,補助参加人に対する損害賠償請求
権は,これらの職員の財務会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であ
るからこそ発生するものではない。したがって,上記監査請求については,
怠る事実についての原則どおり,期間制限規定の制限が及ばないと解すべき
である。
(3)怠る事実Cについて
怠る事実Cについても,上記(2)と同じことがいえる。監査委員は,監査
を遂げるためには,補助参加人が契約に定められた業務の一部を完了してい
ないかどうか,完了していないにもかかわらず委託料の支払を受けたことが
不当利得を構成するものであるかどうか,これにより市に損失が発生したと
いえるかどうかなどを確定しさえすれば足りる。細渕以下の市の職員の財務
会計上の行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かを判断する必要は
ない。したがって,怠る事実Cを対象とする監査請求については,期間制限
規定の制限が及ばないと解すべきである。
(4)まとめ
以上の検討によれば,怠る事実Aについては,本件平成13年度委託契約
にかかわる財務会計上の行為のうち,同年度1月分から3月分までの支出命
令又は支出を違法とする部分,並びに,本件平成14年度委託契約にかかわ
る財務会計上の行為のうち,同年度4月分から12月分までの支出命令又は
支出を違法とする部分(原告らは,本件第6回口頭弁論期日において,本件
監査請求の対象となった財務会計上の行為は,平成14年度12月分の支出
命令及び支出までであると述べた)は,期間制限規定が適用されるものの。
その定める期間を経過していないが,上記以外の財務会計上の行為にはすべ
て期間制限規定が適用され,かつその定める期間を経過している。怠る事実
B(ただし,補助参加人の不法行為に係る部分に限る)及び同Cは,いず。
れも期間制限規定による制限を受けない。
ここまでの検討の結果を整理すると,次のようになる。
ア監査請求を経ていないことが当事者間に争いがないもの
本件平成14年度委託契約の締結に関し,自治法234条2項等の財務
会計法規違反を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る
事実
イ原告らは監査請求を経ていると主張するが,実際には経ていないと認定
されるもの
A,B,C又はDが行った,補助参加人の不法行為に加担するという不
法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実
ウ監査請求を経ているが,期間制限規定が適用され,かつその定める期間
を経過しているもの
平成9年度から平成13年度までの本件各委託契約にかかわる財務会計
上の行為のうち,平成13年度までの契約の締結のすべて並びに平成13
年度12月分以前の支出命令及び支出のすべてに関し,自治法234条2
項等の財務会計法規違反を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の
行使を怠る事実
エ期間制限規定が適用されるが,その定める期間内に監査請求が行われ,
監査を経たもの
本件平成13年度委託契約にかかわる財務会計上の行為のうち,同年度
1月分から3月分までの支出命令及び支出のすべて,並びに,本件平成1
4年度委託契約にかかわる財務会計上の行為のうち,同年度4月分から1
2月分までの支出命令及び支出のすべてに関し,自治法234条2項等の
財務会計法規違反を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を
怠る事実
オ期間制限規定による制限を受けないもの
本件各委託契約に定められた業務の一部を行わずに委託料の支払を受け
たとの補助参加人の不法行為に基づく同人に対する損害賠償請求権及び同
人に対する不当利得返還請求権の行使を怠る事実
3争点(3)(期間経過の正当な理由の存否)について
(1)ここで検討すべきであるのは,上記2(4)のウ,すなわち,監査請求を経
ているが,期間制限規定が適用され,かつその定める期間を経過しているも
のについて,期間経過にもかかわらず監査請求が許される正当な理由(以下
単に「正当な理由」という)があるか否かである。具体的には,本件各委。
託契約にかかわる財務会計上の行為のうち,平成13年度までの契約の締結
のすべて並びに平成13年度12月分以前の支出命令及び支出のすべてにつ
いて検討を要する。
正当な理由があるか否かを検討するに当たっては,普通地方公共団体の住
民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに
足りる程度に財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができなかった否
かをまず判断すべきである。住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても
上記の程度に財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができなかった場
合には,正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,相当の注意力をもっ
て調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ること
ができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって
判断すべきものである(以上につき,最高裁判所第一小法廷平成14年9月
12日判決・民集56巻7号1481頁参照。以下,この観点から検討す)
る。
(2)証拠(掲記のもの)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実を認め
ることができる。
ア本件ごみ焼却施設の運転管理業務は,平成4年度までは市の職員のみが
これに当たっていたが,平成5年度に入って,夜間及び休日の業務を外部
に委託する(部分委託)という方針が採用され,同年6月30日,市と補
助参加人との間において,同年7月1日以降,本件ごみ焼却施設の運転管
理業務のうち夜間及び休日の業務を補助参加人に委託するとの内容の委託
,(,,)。契約が特命随意契約の方式により締結された乙1011丙6の1
契約内容は平成9年度から平成13年度までの本件各委託契約の内容と同
様である。以後,本件平成9年度委託契約が締結されるまで,市は,補助
参加人に対し,特命随意契約の方式により部分委託を続けてきた。すなわ
ち,平成5年7月1日以降,平成14年3月31日まで,同様の方式によ
り,補助参加人との間で随意契約が行われてきた。
イ平成5年度以降平成14年度まで,市の毎年度の予算書には「ごみ焼却
施設運転管理業務委託料」として予算額が計上され,また,市の毎年度の
主要な施策の成果の概要と題する書面決算書の付属書類にはご「」(),「
み焼却施設運転管理業務委託料」として事業費が記載されており(乙2の
1∼10,3の1∼10,12の1・2,13の1・2,市の住民は,)
市立図書館においてこれらを閲覧すれば,本件ごみ焼却施設の運転管理業
務が外部に委託されていることを知ることができた。
平成9年度から平成13年度までの本件各委託契約に関し,各年度ごと
の具体的な閲覧可能日は次のとおりである(乙35ないし50(枝番をす
べて含む。。))
(ア)平成9年度
予算書平成9年3月21日
決算書平成10年12月16日
決算付属書類平成11年3月25日
(イ)平成10年度
予算書平成10年3月19日
決算書及びその付属書類平成11年12月4日
(ウ)平成11年度
予算書平成11年3月25日
決算書及びその付属書類平成12年12月6日
(エ)平成12年度
予算書平成12年3月29日
決算書平成13年12月25日
決算付属書類平成13年12月26日
(オ)平成13年度
予算書平成13年3月29日
決算書及びその付属書類平成14年12月11日
ウ平成5年9月24日に開催された市議会9月定例会において,市の助役
は,本件ごみ焼却施設の運転管理業務のうち夜間及び休日の業務を外部に
委託することにしたこと,自治法234条2項及び施行令167条の2第
1項2号の規定により補助参加人との間で随意契約の方式により委託契約
を締結したこと,その契約内容等について説明をした(乙4の1・2。)
本件ごみ焼却施設の運転管理業務を外部に委託していることについて
は,平成6年3月25日開催の市議会3月定例会,同年12月8日開催の
市議会12月定例会,平成7年3月20日開催の市議会3月定例会におい
ても説明が行われた(乙4の3∼5。)
市議会の会議録は,議会終了後8か月以内に市議会事務局又は市立図書
館で閲覧することが可能となり,上記各議会の会議録についても同様であ
った。
エ市議会議員であった原告Eは,平成11年11月4日開催の決算審査特
別委員会,同月9日開催の同特別委員会,平成12年11月6日開催の決
算特別委員会,平成14年3月14日開催の同特別委員会,同年11月1
日開催の同特別委員会に委員として出席しているが,これらの場において
も,本件ごみ焼却施設の運転管理業務を外部に委託していることの説明が
行われている(乙4の6∼10。また,このうち平成14年3月14日)
開催の予算特別委員会においては,原告Eは,本件ごみ焼却施設運転管理
業務委託料が増額となった経緯について質問をしている(乙4の9。)
オ平成14年11月27日,讀賣新聞及び毎日新聞は,千葉県八千代市長
が,同市と補助参加人との間で随意契約の方式により締結されたごみ焼却
施設運転管理業務委託契約を巡り,補助参加人の前社長から賄賂を受け取
。,ったとの容疑で逮捕される見込みであるとの報道をした同月28日には
両紙とも,八千代市長が上記収賄容疑で,補助参加人の前社長等が贈賄容
疑で,それぞれ逮捕されたとの報道をした(以上につき,甲90の1∼。
5,92)
カ原告Eは,平成14年11月28日の讀賣新聞の上記オの記事を読むな
どして,補助参加人が市との間で締結している本件ごみ焼却施設運転管理
業務委託契約についても徹底して調査をしなければならないと考えるに至
り,同年12月6日,平成5年度から平成14年度までの本件ごみ焼却施
設運転管理業務委託契約に係るすべての文書につき,市の情報公開条例に
基づく公文書公開請求をし,同月20日,その開示を受けた(甲93。)
そして,同じく上記オの記事を読むなどしてこの問題について関心を持つ
に至ったその余の原告らとともに,平成15年2月3日,連名で,上記開
示を受けた文書の中の一部を証拠書面として添付して,本件監査請求をし
た(甲2,95ないし97。)
キ原告Eが上記カにおいて開示を受けた文書の中には,本件平成10年度
委託契約及び本件平成12年度委託契約の各締結に先立ち市内部で作成さ
れた起案書(契約用)が含まれており,ここには,平成5年7月1日以降
特命随意契約の方式により補助参加人に対して本件ごみ焼却施設運転管理
業務を委託している経緯とその理由が記載されている(甲4の1・2。)
ク市の情報公開条例は平成11年7月1日に施行されている(乙33,3
4。)
(3)前記前提事実及び上記(2)で認定した事実に基づき判断する。
ア契約の締結(支出負担行為)について
市と補助参加人との間の本件ごみ焼却施設運転管理業務委託契約は,平
成5年7月1日以降継続している。本件ごみ焼却施設の運転管理業務が外
部に委託されていることは,毎年度の予算書及び決算付属書類を閲覧すれ
ば知ることができた。そして,当初の平成5年の時点におけるこの契約の
締結が特命随意契約の方式によって補助参加人との間で行われたことは,
平成5年9月24日に開催された市議会9月定例会における助役の説明に
よって明らかになっており,この議会の議事録は,議会終了後8か月以内
に閲覧可能となるであるから,遅くとも平成6年5月末ころには,上記助
。,役の説明があった議会の議事録も閲覧可能となったと認められるさらに
平成11年7月1日に市の情報公開条例が施行されており,市の住民は,
同日以降,本件各委託契約にかかわる文書につき,この条例に基づく公開
請求をすることができた。上記(2)カ及びキの事実に照らすと,公開請求
をしてから実際に開示されるまでの期間も,長くても1か月はかかるもの
ではないといえるし,開示がされれば,随意契約で契約を締結するに至っ
た経緯とその理由を知ることができたといえる。
以上の事実を前提に,本争点(争点(3))において検討すべき本件各委
託契約のうち最も遅い本件平成13年度委託契約の締結につき,市の住民
が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる
程度にその存在及び内容を知ることができた時点を確定することとする。
まず,平成13年度の予算書は平成13年3月29日に閲覧が可能である
から,これを見ることにより,本件ごみ焼却施設運転管理業務が外部に委
託されていることを知ることができる。契約の相手方及び契約締結方法に
関しては,平成5年9月24日に開催された市議会9月定例会の会議録は
既にその時点で閲覧可能であるから,これを見ることにより,平成5年当
時本件ごみ焼却施設の運転管理業務の委託を受けたのは補助参加人である
こと及び契約締結が随意契約の方式によるものであることを知ることがで
きる。この事実は,平成13年度における委託契約も随意契約によるもの
ではないかとの疑問を生じさせるものであるということができるから,次
に,市の情報公開条例に基づく公文書公開請求をすることにより,平成1
3年度における委託契約の相手方及びその内容,随意契約であるか否かを
知ることができる。この点について,市の担当職員は,本件平成13年度
委託契約の締結が同年4月1日であったことからすれば,事務処理の都合
,()。上この契約書類の公開は同年6月1日ころになるとしている乙51
以上の点を踏まえると,市の住民が相当の注意力をもって調査を尽くした
とすれば,本件平成13年度委託契約が補助参加人との間で随意契約の方
式により締結されたとの事実は,遅くとも同年6月中には知ることができ
たと認めることができる。そして,本件平成13年度委託契約の委託料は
1億円を超える巨額のものである。自治法234条2項及び施行令167
条の2第1項2号により,委託契約につき随意契約を締結することができ
るのは例外的な場合であるとされていることからすると,このような巨額
の契約につき随意契約の方式をとったということ自体,監査請求をするに
足りる程度の重要な事実ということができる。したがって,市の住民は,
遅くとも平成13年6月末までには,本件平成13年度委託契約の締結に
つき監査請求をするに足りる程度にその存在及び内容を知ることができた
と認められる。
以上の次第で,市の住民である原告らは,相当の注意力をもって調査を
すれば,遅くとも平成13年6月末には,本件平成13年度委託契約の締
結につき監査請求をするに足りる程度にその存在及び内容を知ることがで
きたと認められる。一方,期間制限規定の定める期間の終期は平成14年
4月1日であるから,約9か月もの時間的余裕があり,この期間内に監査
請求をすることを要求しても不当とはいえない。そうすると,期間制限規
定の制限を及ぼすことに問題はなく,この契約の締結を対象とする監査請
求が平成15年2月3日であって期間制限規定の定める期間を経過してい
ることにつき,正当な理由を肯定することはできないというべきである。
このように,本件平成13年度委託契約の締結についてすら正当な理由
はないのであるから,それ以前の平成9年度から平成12年度までの本件
各委託契約の締結に関して監査請求期間を経過したことにつき正当な理由
がないことは明らかである。なお,原告Eは,平成11年5月以降市議会
議員であり,一般の住民と比較すればより容易に調査を行うことができる
立場にあったといえるが,一般の住民について上記のことがいえる以上,
原告Eについて取り立てて検討を加える必要はない。
イ支出命令及び支出について
支出命令及び支出についても,上記アで述べたことが妥当する。本件平
成13年度委託契約に基づく委託料の支払につき,期間制限規定の定める
期間を超えるもののうち最も新しいものは同年度12月分であり,その支
出命令は平成14年1月15日,支出は同月25日である。市の情報公開
条例に基づく情報公開請求をすれば,これらの財務会計上の行為につき,
遅くともこれより1か月程度経過した平成14年2月末までにはその存在
及び内容を知ることができたと認められるから,期間制限規定の定める期
間の終期である平成15年1月15日あるいは同月25日までには十分な
時間的余裕がある。そうであるとすれば,期間制限規定の定める期間内に
監査請求をすることを要求しても不当とはいえないから,期間制限を及ぼ
すことに問題はなく,これらの財務会計上の行為を対象とする監査請求が
期間制限規定の定める期間を経過している場合,正当な理由を肯定するこ
とはできない。そうである以上,平成13年度11月分以前の支出命令及
び支出について正当な理由がないことは明らかである。結局,平成9年度
から平成13年度までの本件各委託契約に基づく支出命令及び支出のう
ち,平成13年度12月分以前のもののすべてに関して,監査請求期間を
経過したことにつき,正当な理由を肯定することはできず,期間制限規定
の定める期間を徒過することにより監査請求は不適法になると解すべきで
ある。
ウまとめ
結論として,本件各委託契約にかかわる財務会計上の行為のうち,平成
13年度までの契約の締結のすべて並びに平成13年度12月分以前の支
出命令及び支出のすべてに関して,監査請求期間を経過したことにつき,
正当な理由があるとはいえないから,本件訴えのうち,これらの財務会計
上の行為が自治法234条2項等の財務会計法規に違反して違法であるこ
とを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実を前提
とする部分は,監査請求期間を徒過してから監査請求がされたものとして
不適法であり,その余の点について判断するまでもなく却下を免れない。
4争点(4)(B,C及びDの賠償命令を受ける適格の有無)について
原告らは,B,C及びDは自治法243条の2第1項の賠償命令の対象にな
,,。り得る市の職員であると主張するのに対し被告はこれを争うので検討する
(1)Bについて
Bは市の収入役の職にあった者である(前記前提事実(1)。公金の支出)
は,支出負担行為及び支出命令がされた上で,支出がされることによって行
われるものであり,このうち支出は,市においては収入役の権限事項である
(,)。,,自治法170条2項1号232条の4第1項したがって収入役は
自治法243条の2第1項3号に掲げる行為をする権限を有する職員である
から,同項に基づく賠償命令の対象になり得る。すなわち,Bは同賠償命令
の対象になり得る職員である。
(2)C及びDについて
C及びDは市の管財課長の職にあった者である(前記前提事実(1)。上)
記(1)のとおり,支出は収入役の権限事項である一方,契約の締結等の支出
(,負担行為及び支出命令は市長の権限事項である自治法149条2号・6号
232条の4第1項。そこで,C及びDが自治法243条の2第1項に規)
定する賠償命令の対象になり得る地位にあったか否かを判断するに当たって
は,市の管財課長が市長又は収入役の「権限に属する事務を直接補助する職
員で普通地方公共団体の規則で指定したもの」に該当するか否かの観点から
検討を加える必要がある。
市においては,事務規則64条及び別表第2において,契約事務の円滑か
つ統一的処理を行うためとして,契約事務所管責任者,監督職員等の基準と
なる一般的分掌が定められている(乙1。これによれば,本件各委託契約)
については,その契約金額に従い,市長が契約担当者(締結権者)であり,
管財課長は,契約事務所管責任者である総務部長の補佐役であるとともに,
入札事務所管責任者とされる。そして,実際に,本件平成10年度委託契約
及び本件平成12年度委託契約の各締結に先立ち市の内部で作成された起案
書(契約用)をみると,押印欄として「契約担当課長」という欄があり,そ
こには「C」という押印がされていて,これは当時管財課長であったCの押
印であると推認されるから(甲4の1・2,本件各委託契約に関し,管財)
課長であったC又はDは,契約事務の処理につき事務規則64条及び別表第
2において定められたとおりの役割を果たしていたと認められる。そうする
と,本件各委託契約について,管財課長は,市長の権限に属する契約事務を
直接補助する職員で市の規則で指定したものということができるから,自治
,。,法243条の2第1項1号に基づき賠償命令の対象になり得るすなわち
C及びDは,いずれも,同賠償命令の対象になり得る職員である。
5争点(5)(本件各委託契約締結の適法性)について
争点(3)において検討したとおり,平成9年度から平成13年度までの本件
各委託契約の締結が自治法234条2項等の財務会計法規に違反して違法であ
ることを前提とする監査請求は,期間制限規定の定める期間を経過しており,
正当な理由も認められない。したがって,本件訴えのうちこの点に係る請求に
関する部分は,その余の点について判断するまでもなく不適法であって却下を
免れない。また,本件平成14年度委託契約の締結が財務会計法規に違反して
違法であるとの主張はない。よって,本件各委託契約締結の適法性について判
断する必要はない。
6争点(6)(委託料支出の適法性)について
原告らは,本件各委託契約に基づく支出命令及び支出が違法となる理由とし
て,その前提となる契約の締結,すなわち本件各委託契約のうち平成9年度か
ら平成13年度までのものの締結が自治法234条2項等の財務会計法規に違
反して違法であることを挙げるほか,補助参加人から業務完了報告書が提出さ
れず,完了検査を経ていないにもかかわらず,委託料の支出をしたこと自体が
財務会計法規に違反して違法であることを挙げる。ここまでの検討によると,
いずれの場合も,ここで判断の対象となるのは,適法な監査請求を経ていると
認められるもの,すなわち,本件平成13年度委託契約に基づく支出命令及び
支出のうち1月分から3月分までのもの並びに本件平成14年度委託契約に基
づく支出命令及び支出のうち4月分から12月分までのもののみであるから,
この部分に限って判断する。
原告らの主張のうち,まず,本件平成13年度委託契約の締結が違法である
ことを根拠とするものについては,前記のとおり,本件平成13年度委託契約
の締結が自治法234条2項等の財務会計法規に違反することを理由とする監
査請求は期間徒過により不適法であるから,この契約締結が違法であることを
前提とした判断をすることは許されない。したがって,この契約締結の違法を
理由として平成13年度1月分から3月分までの支出命令及び支出の違法をい
うこともまたできないというべきである。よって,これらの財務会計上の行為
が違法であるということはできないから,この点に関する原告らの請求は棄却
せざるを得ない。
補助参加人から業務完了報告書が提出されず,完了検査を経ていないにもか
かわらず,委託料の支出をしたことが財務会計法規に違反して違法であるとの
主張については,後記8(争点(9))において判断するとおり,原告らの主張
する事実は認められず,したがって,財務会計法規違反も認められない。よっ
て,この点に関する原告らの請求も棄却せざるを得ない。
7争点(7)(Aの故意又は過失の有無)及び争点(8)(B,C及びDの故意又は
重過失の有無)について
本件訴えのうち,A,B,C及びDに対する請求ないし賠償命令を被告に求
める部分は,既に検討したところにより,不適法として却下となるか,財務会
計上の行為に違法があるとはいえないとして請求棄却となるかのいずれかであ
る。したがって,これらの者の故意,過失ないし重過失について検討する必要
はない。
8争点(9)(補助参加人の不法行為の成否及び損害額)及び争点(10)(A,補
助参加人,B,C及びD各人の賠償額)について
(1)前記前提事実,証拠(掲記のもの)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以
下の事実を認めることができる。
ア本件各委託契約の契約書及び契約約款によれば,その契約内容はいずれ
も次のとおりである(甲5,乙10,丙6の1∼16。)
(ア)補助参加人は,契約で定められた委託料をもって履行期間内(各年
度とも4月1日から翌年3月31日まで)に本件ごみ焼却施設運転管理
業務を完了しなければならない(1条。)
(イ)補助参加人は,委託業務を完了したときは,遅滞なく市に対して業
務完了報告書を提出しなければならない(9条1項。市は,この業務)
完了報告書を受理したときは,その日から10日以内に当該委託業務の
完了の検査を行わなければならない(同条2項。)
(ウ)検査に合格しないときは,市は1回に限り日時を指定して手直しを
求めることができ,この場合,手直しの検査に合格したときをもって委
託業務を完了したものとする(10条。)
(エ)契約金額は,完了検査に合格した後補助参加人の請求により30日
以内に支払をする(13条1項本文。)
イ上記アの各契約書の前提となっている業務委託仕様書によれば,補助参
加人は,
運転操作上問題が生じた場合,直ちに市に報告し協議しなければ
ならない,
業務を遂行するに当たり支障が生じたとき及び機械機器等の設備
の管理上異常が認められたときは,敏速に市に連絡し,その指示を
受けなければならない,
業務従事者は毎日各種業務日報を市に提出する,
市は,必要があると認めるときは,補助参加人に対し業務の実施
状況について調査をし,又は報告を求めることができる,
補助参加人は,異常又は事故が発生したときは,敏速に市に連絡
しその指示を受けるとともに,その状況を記した書類を市に提出す
る,
などとされており,補助参加人は,日常の業務の細かい事項についてまで
市の監督に服するものとされている(甲7の1∼6,乙10,丙5,6の
1∼16。)
,,「」,「」,「」,ウ補助参加人は毎日運転日誌クレーン作業日誌運転記録
「共通項目・電気関係記録「機器点検項目1及び同2「1・2号炉」,」,
」「」(「」。)運転記録及び炉別ごみ投入量計測記録以下作業日誌等という
により業務内容を詳細に記録して市に報告し,市はこれをもって本件各委
託契約により作成が義務付けられた業務完了報告書として扱っていた。全
面委託となった平成14年度においては,作業日誌等とは別に「月例報告
書」も提出されるようになった。
,,「」市環境部は毎月委託料を支出する際作業日誌等をもとに検査調書
を作成し,収入役に提出していた。
(以上につき,甲69,70,73,75,乙6の1∼12,7の1∼1
3,11,15の1∼12,28の1∼4,29の1∼3)
エ市は,補助参加人に対し,本件各委託契約の委託料を,契約どおりの金
額で契約どおり毎月分割して支払った。
(2)上記(1)の認定事実によれば,本件各委託契約につき,補助参加人は日常
の業務の細かい事項についてまで市の監督に服する立場にあり,毎日の業務
の状況につき作業日誌等を市に提出し,他方,市環境部も毎月委託料の支出
をする際に「検査調書」を作成していたのであるから,補助参加人の業務内
容が契約どおりのものであるのかどうかは日々市によって確認されていたも
のということができる。そして,市は,契約どおりに委託料を支払っている
のであるから,これらの事実関係によれば,補助参加人は契約に定められた
とおりの業務を完遂したものと推認することができる。
原告らは,補助参加人が業務完了報告書を提出しておらず,市の側も完了
検査をしていないから補助参加人はすべきことをしていないと主張する。し
かし,業務完了報告書の提出や完了検査が契約上要求されるのは,補助参加
人が契約で定められたとおりの業務を遂行していることを確認するためであ
るから,これが確認できるのであれば「業務完了報告書」と題する書類の,
提出や「完了検査」と称する検査が必ず行わなければならない理由はない。
要は,補助参加人が市の監督の下に定められた業務を遂行することであり,
これが確保されているのであれば,書類の名目や検査の名称が多少異なって
いても,契約に反することにはならない。補助参加人は,作業日誌等を毎日
市に提出し,市の側も,この書類で確認するほか,毎月委託料の支出の際に
は「検査調書」を作成して業務状況を確認していたのであるから,契約上必
要なことはすべて行われていたものということができる。原告らの上記主張
は採用することができない。
原告らはまた,補助参加人の作業従事者のうち,本件ごみ焼却施設での作
業に従事しているはずの者が,書類上,他のごみ焼却施設での作業にも従事
していることとされていることがあったなどとも主張する(原告らのいう二
重契約。しかし,証拠(乙25,27,28の1∼4,29の1∼3)に)
,,よれば本件ごみ焼却施設での作業に従事する者として市に届けられた者は
実際にそのとおりに作業に従事したことが認められるから,補助参加人が業
務の履行を怠ったということはない。
原告らは,本件ごみ焼却施設は土曜日,日曜日に稼働しないなど,稼働日
数が短すぎるという趣旨の主張もする。しかし,証拠(乙14,16の1∼
8)によれば,本件ごみ焼却施設は,年末年始及び点検整備が行われる短い
期間を除いて毎日稼働していたことが認められるから,この原告らの主張も
採用することができない。
以上によると,補助参加人が,本件各委託契約につき,契約によって定め
られた業務の一部を行わなかったとの事実を認めることはできないから,そ
の余の点について判断するまでもなく,原告らの主張する補助参加人の不法
行為は成立しない(争点(9)。)
(3)上述のとおり,原告らの主張する補助参加人の不法行為は成立せず,ま
た,A以下の市の職員の不法行為については監査請求の対象となっていない
から,各人の賠償額について判断する必要はない(争点(10)。)
9争点(11)(補助参加人の不当利得の有無及び不当利得額)について
原告らが補助参加人の不当利得が成立するとして主張する事実関係は,補助
。,参加人の不法行為が成立するとして主張する事実関係と同じであるすなわち
補助参加人は,契約で定められた業務の一部を行っていないにもかかわらず契
約で定められた委託料全額を受領しているから,不当利得が成立するというの
である。
この事実関係については,争点(9)について検討したとおり(上記8)であ
り,補助参加人が契約で定められた業務の一部を行っていないという事実を認
めることはできず,契約で定められたとおりの業務を遂行していたことが推認
できる。よって,補助参加人が法律上の原因なく利得しているということはで
きず,その余の点について判断するまでもなく原告らの主張は理由がない。
10結論
以上の各争点に対する判断を前提として,本件訴えにおける原告らの請求に
対する当裁判所の判断を整理すると,次のようになる。
(1)補助参加人に対する請求を被告に求める部分は,本件各委託契約のうち
平成9年度から平成13年度までの契約の締結並びにこれに基づく委託料の
支出命令及び支出のうち平成13年度12月分までのものが財務会計法規に
違反して違法であることを前提とするものは,いずれも訴えを不適法として
却下すべきである。その余の部分はいずれも請求を棄却すべきである。
(2)Aに対する請求並びにB及びDに対する賠償命令を被告に求める部分の
うち,
ア本件各委託契約のうち平成9年度から平成13年度までの契約の締結並
びにこれに基づく委託料の支出命令及び支出のうち平成13年度12月分
までのものが財務会計法規に違反して違法であることを前提とするもの
イ本件各委託契約において定められた業務の一部を行わずに委託料の支払
を受けたとの補助参加人の不法行為に上記Aらが加担する不法行為をした
ことを前提とするもの
は,いずれも訴えを不適法として却下すべきである。
その余の部分は,いずれも請求を棄却すべきである。
(3)Cに対する賠償命令を被告に求める部分は,いずれも訴えを不適法とし
て却下すべきである。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第2部
裁判長裁判官大門匡
裁判官関口剛弘
裁判官倉地康弘
(別紙)
争点についての当事者及び補助参加人の主張
第1争点(1)(監査請求前置の遵守)について
1原告らの主張
(1)本件監査請求と本件訴えは実質的には同一の内容である。被告の主張に
対しては次のとおり反論する。
(2)本件監査請求は,その中の「住民監査請求追加分」と題する書面におい
て,業務が完了していないにもかかわらず補助参加人に対して支払われた委
託料の返還請求をすべきであるとしており,この部分も対象となっている。
(3)住民は,監査請求において求めた具体的措置の相手方と同一の者を相手
方として住民訴訟を提起しなければならないわけではない。原告らは,本件
監査請求において,最終的な責任の所在は市長にあると考えてそのほかの職
員に対する措置を求めなかっただけであり,その内容からして,B,C及び
Dに対する請求に係る訴えも監査請求を経ているということができる。
(4)本件監査請求においては,本件平成14年度委託契約についても契約解
除及びこれを前提とした補助参加人への損害賠償請求を求めているし,委託
料のうち補助参加人が業務をしていなかった分の返還請求も求めている。す
なわち,本件監査請求の監査請求書の記載からすれば,本件平成14年度委
託契約を解除するか否か,契約を解除して残る期間についての委託料を請求
するか否か,部分委託であった平成13年度までの本件各委託契約と全面委
託となった本件平成14年度委託契約の金額を比較し,余分に支出した分を
返還するか否かを判断するために,本件平成14年度委託契約も対象として
いた。
2被告及び補助参加人の主張
(1)本件監査請求においては「補助参加人が仕事をしていないにもかかわ,
らず委託料が支払われたのは不法行為に該当する」との主張はされておら。
ず,この主張に基づく請求に係る訴えは,監査請求を経ていないものとして
不適法である。
(2)本件監査請求は市長(A)以外の職員の行為を対象としていないので,
中村,宮下及び久野に対する請求に係る訴えは,監査請求を経ていないもの
として不適法である。
(3)本件平成14年度委託契約は本件監査請求の対象となっていない。すな
わち,本件監査請求においては,本件平成14年度委託契約が違法との主張
は全くなく,かえって,それ以前の年度とは異なり平成14年度は指名競争
入札が行われたとの認識を示した上(実際は,指名競争入札ではなく競争見
積もりによる随意契約であったが,指名競争入札となったために委託料が)
安くなったとし,これを正しい契約締結の在り方として評価しているのであ
るから,本件平成14年度委託契約は本件監査請求において違法な随意契約
であるとはされておらず,監査請求の対象となっていないのである。
原告らは,本件平成14年度委託契約についても契約解除と損害賠償を求
めていたと主張するが,本件監査請求における契約解除と損害賠償請求の理
由は,本件訴えにおける契約解除と損害賠償請求の理由,すなわち補助参加
人が業務の一部を完了していないという理由とは根本的に異なり,補助参加
人の前社長が贈賄容疑で逮捕されたから契約解除等をせよというものであっ
た。したがって,本件訴えと同一内容の監査請求があったということはでき
ない。
第2争点(2)(監査請求期間経過の有無)について
1原告らの主張
(1)本件監査請求は,自治法242条1項にいう「怠る事実」を対象とする
ものであるから,同条2項の規定は適用されない。すなわち,本件監査請求
は,後記争点(9)において原告らが主張する市の補助参加人に対する不法行
為に基づく損害賠償請求権あるいは後記争点(11)において原告らが主張する
市の補助参加人に対する不当利得返還請求権の行使を市が怠っていることを
監査請求の対象としていたのである。
(2)仮に本件監査請求に自治法242条2項の規定が適用されるとしても,
本件平成14年度委託契約の締結及び本件平成13年度委託契約の1月分以
降の委託料の支出に関しては,それぞれの財務会計行為のあった日から本件
監査請求まで1年が経過していないので,同項の期間は遵守されている。
2被告及び補助参加人の主張
(1)本件訴えは,随意契約の締結という財務会計上の行為が違法であること
に基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事
実とする監査請求を前提とするものであるから,本件各委託契約の締結日を
基準として自治法242条2項の規定を適用すべきである。
(2)本件監査請求のうち,平成9年度から平成13年度までの本件各委託契
約についての監査請求は,各契約締結日から1年を経過した後にされたもの
であり,本件訴えのうちこれを前提とする部分はすべて不適法である。
(3)自治法242条2項の期間の始期につき,契約締結日だけでなく支出命
令日又は支出日も基準にし得るとしても,本件平成13年度委託契約の12
月分の委託料は平成14年1月25日に支出されているので,本件監査請求
のうち,これ以前の月の分の委託料の支出及び支出命令についての監査請求
は,各支出命令日及び各支出日から1年を経過した後にされたものであり,
本件訴えのうちこれらを前提とする部分はすべて不適法である。
第3争点(3)(監査請求期間経過の正当な理由の存否)について
1原告らの主張
(1)市の平成9年度から平成13年度までの各予算書,決算書,決算付属書
類や議会議事録の資料は,一般の閲覧に供されてはいたものの,これらを閲
覧しただけでは,本件各委託契約が違法な随意契約として締結されたか否か
の判断をすることはできない。
(2)市と補助参加人の間の契約が随意契約であることは平成5年9月24日
の市議会議事録に記載されているが,一般住民がこれを調査するのは容易な
ことではないし,随意契約であるということのみが分かったとしても,それ
だけでは,監査請求をするための情報としては不十分である。
(3)市議会議員であった原告Eは,市の監査委員による「平成11年度の環
境部における財務に関する事務の執行の定期監査」の結果報告書(平成12
年配布)に「随意契約方式選定について認識に欠ける起案書が多く見受け,
られたのは,極めて遺憾である」などの指摘があるのを読み,平成12年。
9月の市議会において契約案件についての一般質問をしたが,2000件を
超える市の随意契約の中から補助参加人のかかわるものを選び出すようなこ
とはできなかった。また,平成14年3月14日の市の予算特別委員会でご
み焼却施設運転管理業務委託料の件で質問をしたことはあるが,ここで質問
したのは,前年度(平成13年度)に比して委託料が増額されていたことに
関するものにすぎない。
(4)本件各委託契約が違法な随意契約であることを原告らが疑うことができ
るようになったのは,補助参加人の前社長から賄賂を受け取った容疑で千葉
県八千代市長が警察の取調べを受けることになったとの報道がされた平成1
4年11月27日以降である。すなわち,原告らは,この報道を受けて,補
助参加人と市との間の契約にも問題があるのではないかと考え,ことに原告
,「」Eは随意契約方式選定について認識に欠ける起案書が多く見受けられた
との上記(3)に掲げた報告書の指摘を思い出して,調査を始め,同年12月
1日ころ,本件各委託契約が随意契約として締結されたことを知った。市の
一般住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに
足りる程度に財務会計行為の存在及び内容を知ることができたのはこの時点
である。それから65日後の平成15年2月3日にされた本件監査請求は,
相当な期間内に行われているといえるので,監査請求期間経過の正当な理由
がある。
(5)被告及び補助参加人の主張を前提にしても,本件平成13年度委託契約
に基づく平成13年度各月の支出についての決算は平成14年11月に行わ
れるのであり,同月以降にならなければ一般市民としては市がどのような業
者に対しどのような内容の契約に基づき支出をしたのかが分からないのであ
るから,この決算書を閲覧することができた時を基準にして正当な理由を判
断すべきである。
2被告及び補助参加人の主張
(1)原告らが本件各委託契約に関心を持ったのは,八千代市長と補助参加人
前社長の贈収賄事件の新聞報道がきっかけであり,原告らは,この贈収賄事
件を契機として,市におけるごみ焼却施設運転管理業務委託契約に関心を持
ち,情報公開によって調査をする中でたまたま随意契約を問題視するように
なったのであるから,上記新聞報道を相当期間判定の基準日にすることはで
きない。
(2)市の予算書,決算書,決算付属書類にはごみ焼却施設運転管理業務委託
料の記載があり,これらの文書は市立図書館で閲覧が可能であり,原告らは
これらを閲覧することにより本件各委託契約の存在及び委託料を知ることが
できた。
各年度ごとの具体的な閲覧可能日は次のとおりであった。
ア平成9年度
予算書平成9年3月21日
決算書平成10年12月16日
決算付属書類平成11年3月25日
イ平成10年度
予算書平成10年3月19日
決算書及びその付属書類平成11年12月4日
ウ平成11年度
予算書平成11年3月25日
決算書及びその付属書類平成12年12月6日
エ平成12年度
予算書平成12年3月29日
決算書平成13年12月25日
決算付属書類平成13年12月26日
オ平成13年度
予算書平成13年3月29日
決算書及びその付属書類平成14年12月11日
(3)市助役らは,本件ごみ焼却施設に関する補助参加人との間の委託契約の
内容について同市議会で説明をしており(随意契約であることについては,
平成5年9月24日の議会で助役からの説明があった,市議会議事録は,。)
議会事務局又は市立図書館で,議会終了後遅くとも8か月以内に閲覧が可能
である。
(4)随意契約であることその他本件各委託契約の内容については,委託契約
書及び起案書を情報公開制度により閲覧することが可能である。すなわち,
平成11年7月1日から市の情報公開条例が施行されており,本件平成9年
度委託契約から本件平成11年度委託契約までの各契約書及び起案書は,同
日以降公開請求をすることにより閲覧が可能であった。また,本件平成12
年度委託契約については平成12年6月1日以降,本件平成13年度委託契
約については平成13年6月1日以降,それぞれ公開請求をすることにより
閲覧が可能となっていた。
したがって,原告らは,公開請求をして契約書等を閲覧することにより,
本件各委託契約の存在及び内容を知ることができたのである。
(5)原告Eは,平成11年5月1日から平成15年4月20日まで市議会議
員であり,決算特別委員会の委員であったから,平成10年度,平成11年
度の決算額を知ることができた。市がごみ焼却施設運転管理業務を毎年委託
していることは,議員であれば予算書から当然知ることができる。
第4争点(4)(B,C及びDの賠償命令を受ける適格の有無)について
1原告らの主張
市における支出の権限は収入役にあるから,収入役であったBは,本件各委
託契約に基づく委託料につき,契約の締結(支出負担行為)が法令及び予算に
違反せず,かつ契約内容に従った履行があったことを確認した上でなければ支
出をすることができないが,Bは,契約の締結が違法であり,また業務報告書
が提出されず,完了検査を経ていないにもかかわらず,支出をした。したがっ
てBはこれらの支出について責任を負う。
管財課長であったC及びDは,本件各委託契約締結の権限を被告から内部委
任されていた。したがって,契約の締結(支出負担行為)についての責任は,
市長の職にあるAのほか,管財課長の職にあったC及びDにもある。
2被告の主張
本件各委託契約の契約担当者は市長であり,収入役及び管財課長は契約締結
権限を有しないので,被告は,本件各委託契約の締結が違法であることを理由
として,B,C及びDに対して賠償の命令をすることはできない。
なお,管財課長は,本件各委託契約の契約事務所管責任者ではあるが,事務
規則の定める契約担当者(締結権者)ではなく,契約締結権限の委任を受けて
もいない。本件各委託契約はいずれも金額が1億円を超えるものであり,管財
課長が契約担当者となったり権限の委任を受けることはあり得ないのである。
第5争点(5)(本件各委託契約締結の適法性)について
1被告及び補助参加人の主張
(1)本件各委託契約のうち,平成13年度までのものの契約締結は,自治法
234条2項,施行令167条の2第1項2号の規定する「その性質又は目
的が競争入札に適しないもの」に該当し,適法である。その理由は次のとお
りである。
ア市は,それまで市が実施していた本件ごみ焼却施設の運転管理業務の一
(),部平日の午後5時から翌日の午前8時45分までと土日祝日の全日を
平成5年7月以降,民間に委託することにした。部分委託という勤務の特
殊性に対応できる業者は,三多摩地域では補助参加人1社のみであり,ま
た,同社は本件ごみ焼却施設につき試運転業務及び指導業務を行った実績
があったことから,市は同社と随意契約を締結した。なお,本件ごみ焼却
施設を設計,施工した日本鋼管株式会社にも打診したが,部分委託は問題
があるとして断られた経緯がある。
イ平成6年度以降も,三多摩地域で部分委託が可能な業者が補助参加人1
社のみという状況に変化はなかった。
,,,,ウごみ焼却施設の運転業務は迅速性継続性安定的遂行が重要であり
当該施設の運転経験,熟練度,燃焼技術が必要とされる。運転を誤って有
害物質を飛散させるリスクを回避すべき必要性も高い。この点も,平成6
年度以降補助参加人との間で随意契約を締結した理由である。本件各委託
契約の期間中,機器の故障等の報告はあったが,老朽化した施設が24時
間稼働していることを考慮するならばやむを得ないところであり,補助参
加人の人為的ミスで大規模に施設を破損させたものや,人身事故,あるい
は有害物質により大気汚染を引き起こしたなどの例はない。
なお,原告らは,3人以上の者から見積書を徴求していない点で事務規則
32条1項に違反するとも主張するが,市が補助参加人1社との間で特命随
意契約の方式により契約を締結したのは,上記の各理由に基づき,同項の規
定する「その他その必要がないと認めるとき」に該当すると判断したためで
あるから,原告らの指摘は当たらない。
(2)本件平成14年度委託契約は,随意契約ではあるが,7社参加による競
争見積もり中最低の価格を提示した補助参加人との間で締結したのであっ
て,原告らも指摘するとおり,その実質は指名競争入札が行われたのと同じ
であり,何ら問題はない。なお,平成14年度において特命随意契約とせず
競争見積もりをしたのは,この年度から部分委託をやめ全面委託に切り替え
たからである。
(3)部分委託であった本件平成13年度委託契約までの委託料の決定につい
ては,補助参加人から参考見積もりを徴し,これを検証した結果を基に予算
要求を行い,予算確定後,参考見積もりの内容を再度検証して予定価格を決
定し,補助参加人から徴した契約見積もりと予定価格調書を照合して契約価
格を決定するという手続を経ていた。補助参加人からは毎年度委託料値上げ
の要望があったが,市の財政事情が厳しいことを説明し,逆に委託料の減額
を要請するなどの交渉を行っていた。
2原告らの主張
(1)本件各委託契約のうち平成9年度から平成13年度までのものは,自治
法234条2項及び施行令167条の2に違反する違法な随意契約である
(本件平成14年度委託契約は,随意契約ではあるが,実質競争入札と同じ
であるから,契約締結に違法はない。その理由は次のとおりである。。)
ア被告が本件ごみ焼却施設の運転管理業務委託契約を補助参加人との間で
初めて締結したのは平成5年度であり,以後毎年度契約をしている。そし
て,平成5年度から平成13年度までは夜間と休日のみの部分委託であっ
た。これにつき,被告は,平成5年当時,部分委託という勤務の特殊性に
対応できる業者は,三多摩地域では補助参加人1社のみであり,平成6年
以降もその状況に変わりがなかったと主張するが,この主張に合理的な根
拠はない。
まず,補助参加人自体が全国展開を図っており,他の業者も全国展開を
図っているのだから,殊更三多摩地域という限定をする理由がない。
三多摩地域においても,西多摩衛生組合(青梅市,福生市,羽村市,瑞
穂町)では,遅くとも平成10年には,東村山市と同様に部分委託の形態
であっても,競争入札で契約の締結が行われている。
被告は,平成5年の時点で日本鋼管株式会社に打診したが断られたとす
るが,それ以外の業者には問い合わせをしていないし,もちろん,入札の
呼び掛けもしていない。平成6年以降も,他の業者に確認することなく,
漫然と補助参加人との間で随意契約を続けているのであり,ずさんな行政
処理といわざるを得ない。
イ被告はまた,本件ごみ焼却施設の運転管理業務にとっては迅速性,継続
性及び安定的遂行が重要であり,運転経験や熟練度,燃焼技術が必要であ
ることも,補助参加人と随意契約を締結した理由として挙げる。
しかし,本件平成14年度委託契約の締結に先立ち,補助参加人のほか
に焼却炉メーカー系列のサービス会社6社から見積もりを取っていること
からも分かるとおり,補助参加人以外にも運転技術を有する企業は存在す
るのであり,かつ,これらの焼却炉メーカー系列のサービス会社は,補助
参加人が運転管理業務を行う前から運転管理業務を行っているのである。
したがって,運転技術は補助参加人を選択する理由にはなり得ない。
さらに,補助参加人は,本件ごみ焼却施設の運転管理業務の過程で事故
を5件も起こしており,市自身も,補助参加人の技術力に対しては低い評
価をしていたのであるから,補助参加人の技術力は随意契約の理由になら
ない。
(2)随意契約とした結果,本件各委託契約は委託料の金額が過大となり,自
治法2条14項,地方財政法4条1項にも違反することとなった。
現に,平成9年度から平成12年度までの本件各委託契約における委託料
は,契約内容が部分委託であったにもかかわらず,全面委託となった本件平
成14年度委託契約の委託料よりも多額だったのである。
また,本件各委託契約は,事務規則32条1項本文の規定する見積書の徴
求をしていない点でも違法であり,事務規則31条,13条の規定する予定
価格の定め方にも不適正なところがあった。
第6争点(6)(委託料支出の適法性)について
1被告及び補助参加人の主張
補助参加人は,毎日「運転日誌「クレーン作業日誌「運転記録「共,」,」,」,
通項目・電気関係記録機器点検項目1・21・2号炉運転記録炉」,「」,「」,「
別ごみ投入量計測記録(以下「作業日誌等」という)により業務内容を詳」。
細に記録して市に報告し,市はこれをもって業務完了報告書としていた。全面
委託となった平成14年度においては,作業日誌等とは別に「月例報告書」も
提出するようになった。
市の本件ごみ焼却施設担当者は,作業日誌等に加え,頻繁に制御室に行き,
作業状況を日々検査していたし,市環境部は,毎月委託料を支出する際,作業
日誌等を基に「検査調書」を作成し,収入役に提出していた。
このように,補助参加人は,その業務の内容を毎日市に報告し,かつ,委託
料の支払の前に市から完了検査を受けていた。これを前提として支出をしたの
であるから,支出命令及び支出は適法である。
2原告らの主張
争点(5)において主張したとおり本件各委託契約の締結は違法であるし,契
約の締結自体が違法でないとしても,これらの契約に基づく委託料の支出には
次のとおりの違法がある。すなわち,本件各委託契約においては,補助参加人
から業務完了報告書を受領し,業務完了検査をした後に委託料を支払うことと
なっているが,実際には,補助参加人から業務完了報告書が提出されず,完了
検査を経ていないにもかかわらず委託料の支出がされており,これは違法な支
出である。
第7争点(7)(Aの故意又は過失の有無)について
1原告らの主張
(1)本件各委託契約の締結(支出負担行為)について
市長は本件各委託契約の契約担当者である。
契約担当者は,随意契約を締結する場合,競争入札の可能性の調査・検討
を行う義務がある。平成5年に被告と補助参加人が本件ごみ焼却施設の運転
管理業務委託契約を締結するに当たり,環境部が起案した起案書には「この
条件で受託できる会社は補助参加人1社である。他社では希望するところが
ない」などと記載されていたが,争点(5)に関する原告らの主張において。
も述べたとおり,これは事実に反する。細渕は「他社では希望するところ,
がない」との点について「どのように調べたのか」と聞きさえすればよ。,。
かったにもかかわらず,これを怠った重大な過失により,補助参加人との間
で随意契約を締結することとなった。
(2)支出命令について
本件各委託契約においては,業務完了報告書を補助参加人が市に提出し,
その検査を経て支出を行うこととなっていた。補助参加人が業務完了報告書
を提出しなかったにもかかわらず,Aは,その提出を確認するといった基本
的なことを怠り,重大な過失により,市長として支出命令をした。
2被告の主張
原告らの主張は争う。
第8争点(8)(B,C及びDの故意又は重過失の有無)について
1原告らの主張
(1)本件各委託契約の締結(支出負担行為)について
管財課長は,市長と並び,本件各委託契約の契約担当者である。
争点(7)においてAについて主張したのと同様,C及びDは,調査・検討
を怠った重大な過失により,補助参加人との間で随意契約を締結することと
なった。
また,事務規則31条,13条3項に基づき,管財課長は予定価格を定め
なければならないが,C及びDは重大な過失により業界内の事情や価格を調
べることを怠り,予定価格を定めずに契約締結をした。
(2)支出について
本件各委託契約においては,業務完了報告書を補助参加人が市に提出し,
その検査を経て支出を行うこととなっていた。補助参加人が業務完了報告書
を提出しなかったにもかかわらず,収入役であったBは,委託料を支出する
に当たり,その提出を確認するといった基本的なことを怠り,重大な過失に
より支出をした。
2被告の主張
原告らの主張は争う。
第9争点(9)(補助参加人の不法行為の成否及び損害額)について
1原告らの主張
補助参加人は,本件各委託契約につき,契約で定められた人数の人員を投入
,,,することなく業務を行うなど契約に定められた業務の一部を行わずさらに
業務完了報告書も提出せず,完了検査も受けないで,市に対して委託料の支払
を請求してこれを受領するという不法行為をした。
2被告及び補助参加人の主張
原告らの主張する不法行為の成立は争う。
業務完了報告書を作成,提出せず,完了検査を受けていなかったとの原告ら
の主張に関しては,争点(6)に関する被告及び補助参加人の主張において主張
したとおりである。
第10争点(10)(A,補助参加人,B,C及びD各人の賠償額)について
1原告らの主張
市に生じた損害は,違法な随意契約を締結したために委託料が過大となった
結果生じた損害と,補助参加人が契約に定められた業務の一部を行わないとい
う不法行為をした結果生じた損害とに分かれる。
(1)違法な随意契約の締結による損害
違法な随意契約の締結による損害の額は,競争入札をして契約を締結して
いた場合に決まったであろう委託料と,実際の委託料との差額であり,本件
各委託契約のうち平成9年度から平成13年度までのものについて生じてい
る。競争入札をした場合に想定される委託料としては,第1に,近隣の狭山
市及び西多摩衛生組合における同種の契約を参考にした。この場合には別表
3の1(1)の表に記載したとおりである。市長のAはこの全期間について責
任を負い,管財課長であったC及びDは,それぞれの担当年度について責任
を負う。その責任の重さと給与の額に応じて賠償額を割り振って算定したも
のである。第2に,狭山市及び西多摩衛生組合における同種の契約との比較
が妥当でないとしても,本件平成14年度委託契約は実質的には競争入札と
同様にして委託料が決定されたから,これを参考にすることができるのであ
って,この場合は別表3の1(2)の表に記載したとおりである。各人につい
ての賠償額の割り振りは同1(1)の表と同様である。
(2)補助参加人が契約に定められた業務の一部を行わなかった不法行為によ
る損害
補助参加人の不法行為による損害の額は,補助参加人が実際に行った業務
に対して支払われたであろう委託料と,実際に支払われた委託料との差額で
ある。本件ごみ焼却施設の焼却炉の稼働日数を基にこれを算出したのが別表
3の2(1)の表である。このうち,補助参加人の欄の数字が損害の全体の額
であるが,A及びBもこれについて賠償義務を負う。ただし,上記(1)の場
合と同様,A及びBについては,その責任の重さと給与の額に応じて賠償額
を割り振って算定したものである。
次に,補助参加人の負うべき賠償額について,より控えめな計算をしたも
のが別表3の2(2)の表である。この表のうち,上欄は,焼却炉の稼働日数
を基に算出した損害額であり,下欄は,合計19人で勤務するといいながら
実際には18人で勤務したことによる損害額である。
(本件訴えにおいてA,補助参加人,B,C及びDに対して被告が請求すべき
金額として原告らが主張している金額,すなわち前記第1の「請求」欄の金
,。額は別表3の1(2)の表の金額と同2(1)の表の金額を合計したものである
原告らは,この金額の範囲内において請求が認容されるべきであると主張し
ている)。
2被告及び補助参加人の主張
原告らの主張は争う。
第11争点(11)(補助参加人の不当利得の有無及び不当利得額)について
1原告らの主張
補助参加人は,本件各委託契約につき,契約に定められた業務の一部を行っ
ていないのに,その分の対価を受領し,市の損失のもとに不当に利得した。こ
の不当利得の金額は,争点(10)において原告らが主張した補助参加人の損害賠
償額と同じである。
2被告及び補助参加人の主張
原告らの主張は争う。

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