弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人元木守の上告理由第一点について。
 論旨は、原審に判断遺脱の違法があると主張する。
 しかしながら、被上告人が本件賃借店舗の一部をその賃貸人である上告人の同意
を得ないで恣に住居に改造したとの事実を記載した所論の昭和三三年九月三日附上
告人の陳述書は、原審口頭弁論において陳述せられた事迹を認めがたく、その他右
事実の主張せられた形迹を記録上見出し得ない。従つて原審がこの事実につき判断
しなかつたのは当然であり、而も原判決によれば、原審が、本件建物は賃借人であ
る被上告人において店舗並に住居として使用して居り、その中店舗として使用して
居る部分の面積は、六坪を超過しないことを認定して、本件賃貸借については地代
家賃統制令の適用あるものと判断して居ること明かであるから、原審に所論判断遺
脱の違法はない。
 論旨は理由がない。
 同第二点について。
 論旨は、本件家屋が店舗用に建築せられたにも拘らず、賃貸人である上告人の同
意を得ないで賃借人である被上告人において恣にこれを住居に改造したものであつ
て、かゝる場合、地代家賃統制令の適用がないと主張し、原審が同令を適用して居
ることを非難する如くである。
 しかしながら、右主張事実は、原審の認定しない所であつて、かゝる事実を前提
として原判決を非難することは、上告適法の理由とならない。
 論旨は、これを採用し得ない。
 同第三点について。
 論旨は、被上告人が本件建物の賃料として供託した金額は、右統制令による賃料
額に充たないものであるから、右措置につき被上告人に過失があるものとすべきで
あるにも拘らず、原審がこの過失を否定し、右供託に弁済の効力を認め、上告人の
なした本件賃貸借解除の効力を否定したのは、民法五四一条に違反すると主張する。
 原判決によれば、原審は、上告人より被上告人に対し、昭和二六年一二月一日以
降同三一年七月末日に至る本件建物の賃料合計一四三、五六四円の支払を催告した
こと、被上告人より同二六年一二月分の賃料三、〇〇〇円を既に支払つて居つたこ
と、被上告人において、所轄の田川市役所の係員につき本件建物の賃料統制額を調
査した上、右係員の指示した統制額にしたがつて昭和二七年一月一日以降同三一年
七月末日に至る賃料合計一〇〇、六〇一円より同期間の賃料として既に供託してあ
つた合計二九、四四三円を差引いた残額七一、一五八円を弁済のため現実に提供し
たけれども、上告人においてその受領を拒絶したので、催告期間内である同三一年
七月二七日弁済のため供託したこと及び以上合計の支払賃料額は前記統制法令にし
たがつて算出せられる同期間内の賃料統制額より五、二〇六円の不足あることを認
定し、右確定の事実関係に基き、被上告人の本件賃料の提供は、完全な履行の提供
とは必ずしもいえないけれども、法律の専門家でない被上告人に対し、所論統制令
に適合する本件建物の正確な賃料統制額の算出を求めることは、不可能を強制する
に等しく、被上告人としては、前記係員の指示する所を正当と信ずるの外途なく、
被上告人に債務履行の不完全なることにつき故意過失の責任を負担せしめ得ない旨
判断して居る。債務額に僅少な不足のある金額を提供しても、これを無効の履行提
供とすることが却つて信義に反する事情あるときは、その効力を認むべきものであ
ることは、判例の趣旨とする所である。(大正九年(オ)第六六二号同年一二月一
八日大審院判決、録二六輯一九四七頁、昭和八年(オ)第一一六号同九年二月二六
日大審院判決、集一三巻三六六頁、昭和一三年(オ)第一二三号同年六月一一日大
審院判決、集一七巻一二四九頁参照)一〇〇、六〇一円の債務に対し五、二〇六円
を不足する金額を提供したものであり、完全な履行をなすべく可能な限り注意のな
された本件において、原審の判断は相当であるとせねばならない。履行の提供があ
つたとして、上告人に対し本件建物の賃貸借契約解除権を否定した原審に、所論の
違法があるとなし得ない。
 論旨は理由がない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛