弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1原判決中,建物の区分所有等に関する法律57条に
基づく請求に関する部分を破棄する。
2前項の部分につき,本件を東京高等裁判所に差し戻
す。
3上告人のその余の上告を棄却する。
4前項に関する上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人大坪和敏,同横路俊一の上告受理申立て理由(第1の5を除く。)に
ついて
1本件は,神奈川県藤沢市所在の区分所有建物(以下「本件マンション」とい
う。)の区分所有者である上告人が,同じく本件マンションの区分所有者である被
上告人において,建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)6条1項
所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たる行為を繰り返していると
主張して,法57条又は本件マンションの管理規約に基づき,他の区分所有者の全
員のために,被上告人に対し,上記行為の差止めを求める事案である。
2原審の確定した事実関係及び記録によれば,上告人及び被上告人は,いずれ
も本件マンションの区分所有者であるところ,上告人は,平成21年8月23日,
本件マンションの区分所有者の集会の決議により,被上告人を除く他の区分所有者
の全員のために本件訴訟を提起する区分所有者に指定され,同年10月2日,本件
訴訟を提起したものであり,上告人の主張の要旨は,以下のとおりである。
(1)被上告人は,平成19年頃から,本件マンションの管理組合(以下「本件
管理組合」という。)の役員が修繕積立金を恣意的に運用したなどの記載がある役
員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し,本件マンション付近の電柱に貼付する
などの行為を繰り返し,また,本件マンションの防音工事や防水工事を受注した各
業者に対し,趣旨不明の文書を送付し,工事の辞退を求める電話をかけるなどし
て,その業務を妨害するなど,第1審判決の「事実及び理由」第2の1(2)記載の
行為(以下「本件各行為」という。)を続けている。
(2)被上告人は,本件管理組合における本件マンションの管理に関する決定内
容につき,集会の場で意見を述べることもないまま,正当な理由なくこれを問題視
して,本件各行為に及んでいるのであり,本件各行為は,本件管理組合の役員らに
対する単なる個人攻撃にとどまらず,それにより,集会で正当に決議された本件マ
ンションの防音工事等の円滑な進行が妨げられ,また,本件管理組合の役員に就任
しようとする者がいなくなり,本件管理組合の運営が困難になる事態が招来される
などしているのであって,本件マンションの管理又は使用に関し区分所有者の共同
の利益に反する行為であり,これが違法であることも明らかである。
3原審は,仮に,被上告人が本件各行為に及んでおり,それによって本件マン
ションの関係者や本件管理組合の取引先が迷惑を被っているとしても,本件各行為
は,騒音,振動,悪臭の発散等のように建物の管理又は使用に関わるものではな
く,被害を受けたとする者それぞれが差止請求又は損害賠償請求等の手段を講ずれ
ば足りるのであるから,これが法6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反す
る行為」に当たらないことは,上告人の主張自体から明らかであり,上告人が法5
7条に規定する他の区分所有者の全員のためにその差止めを請求することはできな
いと判断して,上告人の請求を棄却すべきものとした。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
法57条に基づく差止め等の請求については,マンション内部の不正を指摘し是
正を求める者の言動を多数の名において封じるなど,少数者の言動の自由を必要以
上に制約することにならないよう,その要件を満たしているか否かを判断するに当
たって慎重な配慮が必要であることはいうまでもないものの,マンションの区分所
有者が,業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を
配布し,マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為
は,それが単なる特定の個人に対するひぼう中傷等の域を超えるもので,それによ
り管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又
は使用が阻害される場合には,法6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反す
る行為」に当たるとみる余地があるというべきである。
これを本件についてみると,上告人が,被上告人による本件各行為は,本件管理
組合の役員らに対する単なる個人攻撃にとどまらず,それにより本件管理組合の業
務の遂行や運営に支障が生じているなどと主張していることは,前記のとおりであ
る。それにもかかわらず,被上告人が本件各行為に及んでいるか,また,それによ
り本件マンションの正常な管理又は使用が阻害されているかなどの点について審理
判断することなく,法57条に基づく本件請求を棄却すべきものとした原審の判断
には,法6条1項の解釈を誤った違法があり,この違法が判決に影響を及ぼすこと
は明らかである。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,上告人の
請求が法57条の要件を満たしているか否かにつき更に審理を尽くさせるため,本
件を原審に差し戻すこととする。
なお,その余の上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において
排除されたので,棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官那須弘平裁判官田原睦夫裁判官岡部喜代子裁判官
大谷剛彦裁判官寺田逸郎)

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