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平成24年(受)第1600号損害賠償請求事件
平成26年1月30日第一小法廷判決
主文
1原判決中,遅延損害金の請求に関する部分を破棄す
る。
2前項の部分につき,本件を福岡高等裁判所に差し戻
す。
3上告人らのその余の上告を棄却する。
4前項に関する上告費用は上告人らの負担とする。
理由
第1上告代理人手塚裕之ほかの上告受理申立て理由第4について
1本件は,株式会社Aの株主である被上告人が,同社の取締役であった上告人
らに対し,上告人らの忠実義務違反及び善管注意義務違反により同社が損害を被っ
たと主張して,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。以下同じ。)
267条3項に基づき,連帯して18億8000万円の損害賠償金及びこれに対す
る平成17年6月13日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損
害金を同社に支払うことを求める株主代表訴訟である。なお,被上告人は,同法2
66条1項5号に基づく損害賠償責任を追及するものと解される。
2原審は,遅延損害金の利率について次のとおり判断して,被上告人の請求を
全部認容すべきものとした。
本件は会社関係としての商事事件であることは明らかであるから,損害回復のた
めには商事法定利率の適用が排除されるべきではなく,遅延損害金の利率は年6分
と解するのが相当である。
3しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
商法266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償責任は,取締役が
その任務を懈怠して会社に損害を被らせることによって生ずる債務不履行責任であ
るが,法によってその内容が加重された特殊な責任であって,商行為たる委任契約
上の債務が単にその態様を変じたにすぎないものということはできない(最高裁平
成18年(受)第1074号同20年1月28日第二小法廷判決・民集62巻1号
128頁参照)。そうすると,同号に基づく損害賠償債務は,商行為によって生じ
た債務又はこれに準ずるものと解することはできない。
したがって,商法266条1項5号に基づき取締役が会社に対して支払う損害賠
償金に付すべき遅延損害金の利率は,民法所定の年5分と解するのが相当である。
そうすると,上記遅延損害金の利率を年6分とした原審の判断には,判決に影響
を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由
がある。
第2職権による検討
また,以上に説示したところによれば,商法266条1項5号に基づく取締役の
会社に対する損害賠償債務は,期限の定めのない債務であって,履行の請求を受け
た時に遅滞に陥ると解するのが相当である。
ところが,原審は,上告人らが履行の請求を受けた時について何ら認定説示をす
ることなく,上告人らに対する訴状送達の日の翌日よりも前の日である平成17年
6月13日から遅延損害金を付すべきものとしているのであるから,原審の判断中
この部分にも判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
第3結論
以上の次第であるから,原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令
の違反があり,原判決中,遅延損害金の請求に関する部分は破棄を免れない。そし
て,遅延損害金の起算日について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻
すこととする。
なお,その余の上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において
排除されたので,棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官横田尤孝裁判官櫻井龍子裁判官金築誠志裁判官
白木勇裁判官山浦善樹)

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