弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 弁護人小松久雄同岡野富士松共同の控訴趣意は本件記録中の同弁護人等連署の擦
訴趣意書記載のとおり「但し論旨第二の一の内(共同被告人の一人が他の被告人に
付ての証人能力ありや否やは疑問であるが云々之を採用したのは違法である)との
記載部分は撤回せられた」であるから茲にこれを引用する。
 論旨第一の二について。
 <要旨>被告人の容貌、体格が事実認定の資料となる場合は視覚の作用による認識
の対象として人の身体の状態そのものが証拠となるのであるから検証物たる
一種の物的証拠であることは所論のとおりであつてかような証拠物の取調方法は刑
事訴訟法第三〇六条の規定によりこれを訴訟関係人に示すこと即ち訴訟関係人が当
該物の状態を直接認識し得る状態におくことであるところ現に公判廷に出頭した被
告人の容貌体格の如きは訴訟関係人においていずれも当然認識している事柄である
からこれを証拠に採用する場合であつても特に認識せしめる為に示すことを要しな
いものと解すべきである。従つて論旨は理由がない。
 論旨第一の一及び三について。
 原判決がその判示第二事実の証拠として挙示する各証拠を精査綜合して考察する
ときは原審相被告人Aの供述中いわゆるBなる者は所論に摘録するようにこれを否
定する供述部分があるに拘らずなお被告人Bを指称するに外ならないこと従つて被
告人が右A等の協力を求めて原判示第二のように密輸入に係る生ゴムの陸揚場所を
借受け以て原審相被告人C等の生ゴム密輸入行為を容易ならしめた事実か認められ
るのであつて原判決に所論の審理不尽乃至事実誤認の不法あることなく論旨はいず
れも失当である。
 論旨第二の二について
 しかし、原審第七回公判において原審相被告人等の検察官に対する供述調書中被
告人に関する証言的部分の証拠調に関して弁護人から申立てられた異議については
原審裁判所において即時これを却下する旨の裁判を為した上証拠調をしたことが原
審第七回公判調書(記録二四六丁以下)の記載によつて明白であるから原審の訴訟
手続上所論の法令連反なく論旨は理由がない。
 論旨第二の三について。
 凡そ共犯者の犯罪は相互に他人の行為と自己の行為との不可分的関係において一
個の犯罪を形成するものであるから共犯者の当該犯罪に関する供述は互に自己の犯
罪の内容として他人の行為に言及することは当外の事理に属しかような場合に共犯
者申の犯罪事実に関する供述から同乙に関するいわゆる証言的部分を識別して切離
すことは殆ど不可能であるのを常とする。原審において弁護人の異議甲立により検
察官が証拠調の請求をした税関官吏の質問調書及び司法警察員作成の供述調書その
他から被告人Bに関する証言的部分を撤回する旨述べたことは原審第七回公判調書
により認められるところであるが右被告人Bに関する証言的部分とは各個の証拠書
類の内具体的に果して何れの部分を指称するかは記録上判然しないばかりでなく原
審において弁護人として右の異議を申立てた当審弁護人岡野富士松は異議によつて
撤回せられた部分を他と識別して具体的に指ホするを得さる旨現に陳述するもので
あるから単に被告人に関する証言的部分をりみ抽象的に表現するも具体的に調書の
如何なる部分であるかを特定し得ないような証拠についてり異議申立が法律上許さ
るべきか否か頗る疑問であつて前示の共犯関係についてり証拠に関する特性と相俟
ち所論の証拠書類が検察官からその侭提出せられたからとて訴訟手続に関する法規
に背反するものと為し難く論旨は現実を顧みずして空論を弄ぶものと認める外なく
到底排斥を免れない。
 論旨第二の一について。
 原判決摘示第三の事実はこれが証拠として挙示するものを綜合して検討すれば優
に認められるところであつて記録を仔細に取調べ弁護人援用の証拠を参酌して考え
ても原審が事実の認定を誤つたかとの疑念を抱かしめるに足る資料は見出せず、所
論は弁護人独自の観点から原審が職権によつて行つた証拠判断を非議し事実誤認の
不法ありと独断するものであつて本論旨も亦理由がない。
 よつて刑事訴訟法第三九六条に則り主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 富田仲次郎 判事 棚木靱雄 判事 入江菊之助)

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