弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被上告人の上告人に対する本訴請求を認容した部分を破棄する。
     前項の部分に関する被上告人の控訴を棄却する。
     訴訟の総費用は、被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人前波實の上告理由第一点について
 原判決は、(1) 上告人は、昭和四七年六月一二日訴外Dに対し自己の経営する
「クラブE」の店舗の賃借権、敷金返還請求権、電話加入権、営業権及び右店舗内
に備え置かれてあつた本件動産を、代金は五〇〇万円、そのうち一〇〇万円を即時
支払い、残金四〇〇万円は毎月二〇万円宛分割して支払う旨の約定で売渡す旨の売
買契約(以下「本件売買契約」という。)を結んだ、(2) しかし、本件売買契約
には、売買の目的である賃借権等及び本件動産の所有権はDが代金を完済するまで
売主である上告人に留保する旨の特約が付されていた、(3) ところが、Dは、昭
和四八年一月二七日未だ右代金を完済していなかつたにもかかわらず被上告人に対
し本件動産を譲渡担保に供する旨を約して、被上告人から三〇〇万円を借り受けた、
(4) その際被上告人は、占有改定により本件動産の占有権を取得したにすぎなか
つた、(5) その後Dは、代金の分割払を怠るようになり、昭和四九年五月九日当
時その未払残代金は一二〇万円にのぼつていたところ、被上告人は、同日上告人に
対し電話で、Dから本件動産を担保にとつている者だがもしDに残債務があれば被
上告人が支払うので知らせてほしいと申し入れ回答を得たので、更に上告人に対し
被上告人がDに右残債務の額を確認してくるまでの間売買の目的である賃借権等及
び本件動産の処分を猶予するよう要請したところ、上告人はこれに応じるかのよう
な態度を示した、(6) しかし上告人は、約束を破れば損害賠償責任を負うという
法的意味を有するような約束をしたものではない、(7) 上告人は、昭和四九年五
月一〇日被上告人になんら通知することなく訴外Fに対し、前記売買の目的である
賃借権等及び本件動産を代金一五〇万円で売渡し、本件動産につきその現実の引渡
を了した。そのため、被上告人がDから残債務額を聞いたうえ同月一六日に上告人
に対しこれを支払う旨申し入れたにもかかわらず、被上告人は本件動産につき譲渡
担保権を取得することができなくなつた、以上の事実を認定したうえ、被上告人は
Dが本件動産につき所有権を取得することを条件として譲渡担保権を取得できる地
位にあつたものでその地位は法律上の保護に価するものであり、上告人が本件動産
等の処分の猶予を求める要請に応じるかのような態度を示しながら、これに反して
処分した行為は権利の濫用であり、不法行為責任を免れず、被上告人に対しその喪
失した譲渡担保権相当の損害を賠償すべきであるとして、被上告人の請求を一部認
容している。
 しかしながら、原審の適法に確定したところによつて上告人と被上告人間の法律
関係をみると、上告人は買主であるDが代金の分割払を怠つたため本件売買契約の
目的である賃借権等及び本件動産を何時でも他に処分することができる権利を有し
ていたのに対し、被上告人は上告人が右の処分をする前に残代金を提供しなければ
上告人に対し本件動産についての譲渡担保権を主張できない立場にあつたことが明
らかであるが、更に原審の認定するところによると、被上告人が上告人に右の処分
を暫く猶予するよう要請したのに対し、上告人はこれに応じるかのような態度を示
したものの、猶予する旨を約束するまでには至らなかつたというのであるから、上
告人と被上告人間の前記の法律関係にはなんらの変更も生じなかつたものといわな
ければならない。したがつて、上告人がその処分をしても、被上告人が上告人の右
の態度に信頼した結果支出した費用につきこれを損害として賠償すべきであるか否
かの問題が生じることはあつても、もともと上告人に対して主張できない譲渡担保
権についてその侵害があつたものということはできないから、被上告人は上告人に
対し譲渡担保権の喪失を損害としてその賠償を請求することはできないものといわ
なければならない。してみれば、原判決中被上告人の本訴請求を認容した部分は、
法令の解釈適用を誤つた違法があることに帰するところ、右違法は原判決に影響を
及ぼすことが明らかであるから、同旨をいう論旨は理由があり、右部分は破棄を免
れない。そして、原審の確定した事実関係のもとにおいては、被上告人の本訴請求
が理由のないものであることは、前記説示に照らして明らかである。したがつて、
被上告人の請求を棄却した第一審判決は正当であり、被上告人の本件控訴は理由が
ないからこれを棄却すべきである。
 よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、八九条の規定に従い、
裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    鹽   野   宜   慶
            裁判官    木   下   忠   良
            裁判官    宮   崎   梧   一
            裁判官    大   橋       進
            裁判官    牧       圭   次

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