弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人Aに関する部分および同Bに対する麻薬取締法違反の罪
に関し懲役一年六月に処した部分を破棄する。
     被告人Aの相互銀行法違反の罪に関する部分を札幌高等裁判所に差し戻
す。
     被告人Bについての相互銀行法違反幇助の罪に関する部分の上告を棄却
する。
         理    由
 検察官津田実および弁護人高橋良祐の各上告趣意ならびに弁護人木村暁の上告趣
意第三点について。
 所論にかんがみ職権をもつて判断するに、記録によると、釧路地方裁判所が、昭
和四二年一二月一八日、被告人Aにつき、所得税法違反の事実について有罪と認め
て懲役一年(執行猶予三年)に処す、相互銀行法違反の点については無罪、被告人
Bにつき、麻薬取締法違反の事実について有罪と認めて懲役一年六月に処す、相互
銀行法違反(予備的訴因同法違反幇助)の点については無罪との判決を言い渡した
のに対し、検察官が、同月二六日、右各無罪部分に対して控訴の申立をし、被告人
Aは、控訴の申立をすることなくその申立期間を経過し、同Bはいつたん控訴を申
し立てたが、その後昭和四三年一月一〇日、その控訴を取り下げたことが認められ
る。したがつて、右第一審判決中、被告人Aについての所得税法違反、同Bについ
ての麻薬取締法違反の各罪に関する部分は、控訴申立期間の満了および控訴取下に
より、それぞれ確定し、控訴審たる原裁判所には、これらの罪の部分は係属せず、
第一審において無罪となつた相互銀行法違反の点のみが係属していたのである。し
かるに原裁判所は、第一審判決にかかる事件の全部について審判し、第一審判決の
全部を破棄したうえ、被告人Aを懲役二年(執行猶予三年)に、同Bを懲役一年六
月および罰金一〇万円(一、〇〇〇円を一日に換算した期間労役場留置)に処する
旨の判決をしているのである。そうすると、原判決には、右所得税法違反、麻薬取
締法違反に関する部分について、係属していない事件につき審判をした違法がある
に帰する。ところで原判決は、被告人Aについては、所得税法違反および相互銀行
法違反の各罪につき、これを併合罪として懲役二年(執行猶予三年)の一個の刑を
科しているので、その全体が違法となるのであるが、被告人Bについては、麻薬取
締法違反および相互銀行法違反幇助の各罪につき、これを併合罪として処断してい
るとはいえ、前者の罪については懲役刑を、後者の罪については罰金刑を選択して
いるところからすれば、結局原判決は、前者の罪について懲役一年六月、後者の罪
について罰金一〇万円に処したものであることが明らかであるから、同被告人に関
する原判決中前者の部分に限り違法であることに帰する。そしてこれら違法は判決
に影響があり、その違法部分を破棄しなければ著しく正義に反するものといわなけ
ればならない。したがつて、原判決中右の部分は、所論主張について判断するまで
もなく、刑訴法四一一条一号により破棄を免れない。
 よつて、被告人Aの相互銀行法違反の罪に関する部分は、さらに審理を尽くさせ
るため、刑訴法四一三条本文によりこれを原裁判所に差し戻す。
 被告人Bの相互銀行法違反幇助の点についての検察官の上告は、上告趣意として
何らの主張がなく、したがつてその理由がないことに帰する。
 同被告人の弁護人木村暁の上告趣意第一、二点は、相互銀行法違反幇助の点につ
いての事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条所定の上告理由
にあたらない(被告人Aが起講した本件講は、同被告人が、大蔵大臣の免許を得る
ことなく、自己の営業資金を調達する目的で始めたものであり、その講員の選定も、
その掛金支払能力の有無を基準に同被告人らにおいてしたうえ、個別に交渉して加
入させたもので、特殊の人的あるいは地域的関係によつて選定されたものではなく、
講員ももつぱら同被告人の個人的資力を信頼して他の講員の氏名も知らないままこ
れに加入し、講元である同被告人は、講員に対し、その掛金不払いの場合には自ら
その支払いの責を負うことを約している等原判示のごとき事情のもとでなされたも
のである以上、これは講元と各講員との個別契約による非組合型のものというべき
であり、しかも八回にわたつて反覆継続してなされたものであることをもつてすれ
ば、同被告人の本件所為が、相互銀行法三条一項、二条一項一号、二三条に該当す
ることは明らかであり、被告人Bが、その情を知りながら、掛金の受入れ等帳場の
役割を果してその犯行を容易にさせたものであるとして、同法違反幇助の罪にあた
るとした原判断は、相当である。)。
 よつて、刑訴法四一四条、三九六条により、被告人Bの相互銀行法違反幇助の点
についての検察官および同被告人の上告を棄却し、当審における訴訟費用は刑訴法
一八一条一項但書により同被告人に負担させないことにする。
 以上の理由で裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。
 検察官山本清二郎 公判出席
  昭和四四年一〇月二日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠

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