弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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平成29年5月29日宣告
平成26年(わ)第3号業務上過失致死被告事件
主文
被告人Bを罰金70万円に処する。
被告人Bにおいてその罰金を完納することができないときは,金5
000円を1日に換算した期間,同被告人を労役場に留置する。
訴訟費用はこれを5分し,その1を被告人Bの負担とする。
被告人Aは無罪。
理由
(罪となるべき事実)
被告人Bは,z市k部l課に設置され,公募による農村生活ないし自然体験イ
ベント等を開催しているF協議会幹事長であり,かつ,同様の自然体験イベント
等を行っているG倶楽部の実質的な代表補佐の地位にあったものである。被告人
Bは,平成22年7月24日,同協議会事務局と同倶楽部が同日から同月25日
の日程で共同開催した小学3年から中学3年までの児童を対象とする公募による
「Hキャンプ」と称する体験イベント(以下「本件キャンプ」という。)のプログ
ラムの一環として,佐賀県伊万里市a町bc番地d所在の「J」南南東約700
m先のj川において児童らに川遊びをさせる業務に従事していた。本件キャンプ
への参加児童は小学3年から6年までの児童22名であって,その遊泳能力には
個人差があり,予測困難な行動に出るおそれもあった上,川遊び予定場所はj川
の流れに沿った距離にして90mを超え,右に湾曲するなどしている流域であっ
たため,川への入水場所であるスロープから川遊び予定場所の下流域を見渡すこ
とは困難であるばかりか,水深が2mを超える場所があるなどの自然河川であっ
たのであるから,適切な監視態勢や溺れた場合の救助態勢が整わない状態で児童
らを同所及びその付近で遊ばせるなどすれば,児童らがj川に入水し,水流に流
されて深みにはまるなどして溺水する危険があった。被告人Bは,川遊び予定場
所で以前に実施された同様の体験イベントにおける川遊びにスタッフとして参加
した経験などから,そのように溺水する危険があることを知っていた上,本件キ
ャンプの企画・立案段階において,F協議会事務局側担当者と協議する中で,川
遊びに際しては例年どおり本件キャンプに参加する成人スタッフ全員で川遊びを
する児童らが溺水しないように監視することを確認し,同倶楽部に所属する人員
の中から川遊びの監視要員として参加する成人スタッフを募るなどしていた。被
告人Bは,本件キャンプ当日である同月24日,本件川遊びプログラムを開始す
るに際し,成人スタッフらと参加児童22名全員で前記「J」から川遊び予定場
所に移動し,成人スタッフ全員で監視に当たるという予定を変更し,自らは川遊
び場所には移動せず,他の成人スタッフの一部と男子児童ら17名だけを先に川
遊び場所へ移動させることにした。そのような変更をするのであれば,男子児童
らに付き添って川遊び予定場所に移動する成人スタッフに対し,監視,救助態勢
が整うまでは児童らが前記j川に入水しないように監視するよう指示するなどし
て児童らが溺水しないように成人スタッフによる監視態勢を整えた上で上記川遊
びプログラムを開始すべき業務上の注意義務があった。それにもかかわらず,被
告人Bは,これを怠り,男子児童らに付き添って川遊び予定場所に移動する成人
スタッフに対して上記指示をするなどして監視態勢を整えることをしないまま予
定を変更し,他の成人スタッフに指示して他の成人スタッフの一部と男子児童ら
17名だけを先に川遊び場所へ移動させて本件川遊びプログラムを開始した。こ
の過失により,児童らの1人I(当時8歳)をj川に入水させ,同日午後3時5
5分頃,同河川において,同人を溺水させ,よって,同月27日午前9時38分
頃,長崎県大村市ef丁目g番地h所在のi病院において,同人を低酸素性脳症
により死亡させたものである。
(事実認定の補足説明及び被告人Aの無罪の理由)
1当裁判所は,被告人Bに対する予備的訴因は認められるものの,被告人らに
対する主位的訴因及び被告人Aに対する予備的訴因はいずれも認められず,被
告人Aは無罪であると判断したので,その理由を説明する。
2被告人らに対する主位的訴因及び被告人Aに対する予備的訴因
別紙のとおり
3前提事実
関係各証拠によれば,本件の事実経過について,概ね次の事実が認められる。
本件倶楽部は,平成6年頃,伊万里市a町b(以下「b」という。)地区の
活性化等を目的とし,古代米「黒米」の栽培及びこれを原料とした加工品の
開発促進や都市住民との交流を図るためのイベント開催等の事業を行うこと
を目的としてb地区に居住する住民らが構成員となって設立された団体であ
る。本件倶楽部は,当初はz市役所とは関係なく,独自に黒米の栽培,収穫,
料理等を行うイベント「農業体験スクール」などの企画運営を行っていたが,
平成12年頃から,独自の企画のほかに,z市からの打診を受け,z市役所
と連携して様々な企画を催行するようになった。
z市は,平成16年頃から,当時のk部m課n係が所管となって,地産地
消事業の一つとして,都市部の参加者を募り,z市内の農村部で地元の農産
物を収穫してその料理を試食して貰うという「H2」と称する体験イベント等
を各地区の受入れ団体と連携して実施することとし,本件倶楽部と一緒に行
ってきた体験イベントも,その企画の一部として取り込まれることになった。
本件倶楽部は,平成12年頃から,被告人Aが代表者,被告人Bが監査役
に就任していたが,被告人Aが会社勤めのために日中連絡を取りづらいとい
うことから,上記体験イベントの企画立案等に関するz市側の担当者との連
絡や打合せは専らz市役所の隣にあるz市Oに勤務していた被告人Bが内線
電話を使用したり,同市役所を直接訪れたりして行っていた。
Eはz市職員であり,平成17年4月頃から,同市k部m課n係員として,
グリーン・ツーリズム,すなわち,都市部の住民を対象とした農山漁村にお
ける自然,文化,人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動を行う事業等に関
する事務を担当し,z市側の担当者として,本件倶楽部との間で,上記「H2」
に関する企画立案等のやり取りや打合せを全て行っていた。
z市は,平成19年度から,本件倶楽部と共同して,「H2」の夏休み特別企
画として「H1キャンプ」と称する都市部の小学4年から中学3年の児童を
対象にしたb地区における農家への民泊を伴う農村交流を目的とする体験イ
ベントを開催するようになったところ,この体験イベントには,公募に応じ
た小学1年から中学生の児童が参加すると共に本件倶楽部側の被告人Aや被
告人B,z市側のEも主催者側の成人スタッフとして参加して児童らを引率
した。
この体験イベントでは,プログラムの一つとして,伊万里市a町bc番地
d所在のJ(以下「J」という。)南南東約700m先のj川での参加児童ら
による川遊びが行われた。この川遊び場所は,川の流れに沿って90mを超
える距離があり,下流方向に向かって右に湾曲する形状になっているため,
入水場所であるスロープから川遊び場所の下流域を見渡すことが困難な状態
になっていた上,下流側には水の流れる岩盤がスライダー状になっている部
分があり,その出口部分から流水が流れ落ちる場所の数m先には水深2mを
超える場所がある流域が続いていた。
この年のH1キャンプの各種プログラムは,基本的には地元団体である本
件倶楽部が中心となり,z市側からスタッフとして参加した者は本件倶楽部
の成人スタッフの指示に従う形で進められた模様であり,中核プログラムの
1つである川遊びについては,食事の後片付け等のため,「J」に残り,後か
ら現場に行ったEを除き,「J」から川遊び場所へは成人スタッフと参加児童
全員で移動し,本件倶楽部の会員であり,救命救急士の資格を有するPが中
心となって堤防の上で全員が準備運動をした上で,監視に当たる成人スタッ
フを各所に配置してから児童らを入水させて行われた。なお,この川遊びの
最中,z市側から参加した職員のQは,児童が溺水する危険を察し,上記ス
ライダー状になった部分の出口付近に立ち,その下流にある深みのある流域
に児童らが立ち入らないように監視していた。
平成20年度も前年に引き続き「H1キャンプ」が行われたところ,小学
2年から中学生の児童約17名がこれに参加し,本件倶楽部側の被告人Aや
被告人B,z市側のEも前年同様成人スタッフとして参加し,児童らを引率
した。このイベントでも,プログラムの1つとして上記と同じ場所で,同
様の方法により川遊びが行われたが,同19年度とは異なり,Qは参加して
おらず,上記のように児童らの足が届かない深みのある流域も川遊びの場所
となった。その場所では,児童らは遊泳したり,数mの高さがある護岸ブロ
ックの上から川面に飛び込んだりするなどしていたが,その周辺には本件倶
楽部の成人スタッフ数名が配置について児童らの行動を監視していた。
平成21年3月30日,グリーンツーリズムに関する事業を推進するため,
z市内の各団体が個々に実施してきたグリーンツーリズム事業の窓口を一本
化し,対外的な受入れなどの仕組みづくりの効率化を図ると共に,z市内の
各団体の連携を深め,地域一体となって同事業に取り組み,その充実を図る
ための官民共同による団体として,F協議会(以下「本件協議会」という。)
が設立され,本件倶楽部も本件協議会の会員となった。
本件協議会の事務処理は,z市k部m課に置かれた事務局によって行われ
ていたが,協議会が行うグリーンツーリズム事業の企画立案等は協議会事務
局と会員が協議して行っていた。
このような中で,平成21年度も,平成19年度及び同20年度に実施さ
れた例に倣ってH1キャンプが企画され,上記同様の川遊びのプログラムも
予定されていたが,天候不順により中止された。
平成22年4月1日,z市の組織改編に伴い,同市k部にl課が新設され
ると共に,同課にzF1係が新設され,これに伴い,本件協議会も同課に移
管されてその事務局も同課内に置かれることになった。
Cは,同日,同課課長に就任するのに伴い本件協議会の事務局長となり,
Dも,同日,同課副課長兼F1係長に就任するのに伴い本件協議会の事務局
員となった。Eも,同日から同課F1係員となり,本件協議会に関する事務,
グリーンツーリズム体験交流の推進に関する事務等に関し主査を務めると共
に本件協議会事務局の事務局員を務めることになった。
このような中で,Eは,同年5月頃までに,本件倶楽部等と調整を進めな
がら,本件キャンプの実施を含む「H2」の平成22年度年間計画案を作成
し,同月14日,本件協議会の幹事会においてその承認を得た。
その後,Eは,被告人Bとの間で,電話で本件キャンプのプログラムの内
容について打合せを行い,被告人Bの提案により,従前行っていたプログラ
ムであるモクズガニ漁は取りやめることにしたが,川遊び(以下「本件川遊
び」という。)を含む従前とほぼ同様の本件キャンプのプログラムを決定し,
同年6月10日頃,これを記載したチラシを添付した「開催伺い」を起案し,
C及びDの決裁を受けた。
なお,Eは,その間の同年5月18日頃,市役所を訪れたb地区のR区長
から,本件キャンプの際に行う川遊びで児童らが溺れたりする可能性がある
ので救助用の浮き輪を用意したらどうかという提案を受け,その後,Cと協
議した上でSの忘れ物の浮き輪を準備することにすると共に,Cの指示によ
り,参加児童への指示を明確に伝えるためにホイッスルを準備することとし
た。
Eと被告人Aや被告人Bは,同年7月7日,b公民館において,上記R区
長と共に本件キャンプについて打合せを行った。その際,Eから被告人Bや
被告人Aらに本件キャンプのプログラムの内容を記載した上記チラシが交付
され,本件キャンプのプログラムの内容について種々話合いがなされたとこ
ろ,被告人Bの提案により,従前行っていたカブトムシ捕りをプログラムか
ら外すことが決まり,本件川遊びに関しては,被告人Bから事前に確認した
川の水量の報告を受けて,例年どおり,被告人両名を含む成人スタッフが全
員で児童らの監視に当たる計画で川遊びを実施することが確認された。
本件協議会が本件キャンプに参加する児童の募集を行ったところ,被害児
童を含む小学3年から6年の児童22名(うち,小学3年は6名,男子児童
17名,女子児童5名)の参加が決まり,Eは被告人Bに対し,同年7月1
5日頃,電話で参加児童が22名であることを伝えた。
また,同月中旬頃までに,本件キャンプに参加する本件協議会側の成人ス
タッフとして,Eのほか,C,D,z市役所k部l課観光係のT及び同課F
1係嘱託職員のUの参加が決まった。
なお,平成19年に実施されたH1キャンプについては,z市からは,m
課課長,担当者であるE及び上記Qなどが,平成20年に実施されたH1キ
ャンプについてはm課課長及びEなどしか参加していなかったが,本件キャ
ンプに関しては,人手が足りないので参加して欲しいというEの求めに応じ
てCの参加が決まり,他の成人スタッフについては,Eの手伝って欲しいと
の依頼や,Cの「l課ができたのでl課みんなで参加しよう」といった提案
を受けて参加が決まったものである。
被告人A及び被告人Bは,平成22年7月21日,本件倶楽部の会員らを
集め,会員らに対し,Eから渡された本件キャンプのパンフレットを配布し
て各プログラムの内容を説明し,本件川遊びの時の監視員を募ったところ,
P,V,W及びXの4名が参加することが決定した。このうち,PとVは過
去に川遊びプログラムに参加したことがあったが,WとXは今回が初めての
参加であったところ,被告人Aと被告人Bは,例年どおりの方法で児童らに
川遊びをさせれば大丈夫などと考えており,上記成人スタッフらに対し「子
供を監視してほしい」などと指示をしたのみであった。
Eは,同年7月22日頃,被告人Bと電話で打合せを行い,本件協議会側
の成人スタッフの役割分担表を作成したことなどを伝え,被告人Bからは本
件倶楽部側から参加する成人スタッフが6,7名であることを確認した上で,
被告人Bに対し,「地元主導でお願いします。」などと伝えた。
E,C及びDは,同年7月23日,z市k部l課において,本件キャンプ
に参加するT及びUと共に,本件キャンプの打合せを行った。なお,祭りに
参加していたDは,10分ほど遅れて出席した。その打合せの中で,Eは,
同人が作成した「危険ポイントは…川遊び中,苔のついた岩を歩いていると
きの転倒や深いところで溺れる可能性があるので目を離さないようにお願い
します」などと注意事項が記載された役割分担表と当日のタイムスケジュー
ルを配布すると共に,本件協議会側の成人スタッフの本件キャンプへの係り
方に関しては,現地では地元の本件倶楽部の成人スタッフが主体となるので
サブ的に動いて欲しいこと,本件川遊びの際には,地元の本件倶楽部の成人
スタッフが監視に就くので,その指示に従って配置に就き,地元の人と一緒
に児童らを見て欲しいこと,Tには滑って下るスライダー状になった場所で
監視について欲しいので水着を持ってきて貰いたいこと,川には車で全員が
行くこと,深みがあって児童が溺れたりする危険があるので,児童から目を
離さないようにして欲しいことなどを伝えた。
本件キャンプは,本件協議会側が参加児童を引率して現地である「J」に
到着するのが遅れたため,同年7月24日午前10時10分頃,予定時刻よ
り約10分遅れで開始された。同日午後のプログラムは,午後1時30分か
ら,班別に分かれた児童らが地元の民家を回って夕食の食材を分けてもらう
「おすそ分け大作戦」,午後3時から,「J」でアイスクリームを食べる「お
やつタイム」,午後3時30分からj川での本件川遊びとなっていたが,「お
すそ分け大作戦」の終了が遅れ,同日午後3時を過ぎてから,「おやつタイム」
となったため,川遊びを開始時刻どおりに始めるのが困難な状況になりつつ
あった。
このような中で,被告人Aは,本件キャンプの前日夜遅くまで夏祭りに参
加し,当日も早朝から本件キャンプの準備である草刈り作業をして睡眠不足
であったため,「J」の事務室で椅子に座って休んでいたところ,いつの間に
か眠ってしまっていた。
被告人Bは,同日午後3時30分過ぎ頃,先にアイスクリームを食べ終わ
った男子児童らが次のプログラムである本件川遊びに気が向き,水着に着替
えたり,走り回ってはしゃいだりし始める一方,女子児童らはまだアイスク
リームを食べており,また,「男子児童らがいるところでは着替えたくない」
などと言い出したため,男子児童らから先に川遊びの場所に連れて行くこと
とし,Pに対し,「J」の玄関付近でDの運転する市役所の車を本件川遊びの
予定場所(以下「本件川遊び場所」という。)まで案内するように指示し,こ
れには全員が乗り切れないので先に男子児童らを連れて行き,Dが車で女子
児童らを迎えに戻る際に迂回路を案内することなどを指示した上,その場に
いたD,T及びUに対しても,先導するPの後を追って,男子児童らを先に
連れて行くよう指示した。
Dは,これを受け,Eに対し,男子児童らを先に連れて行っていいのか尋
ねたところ,Eは本件倶楽部の成人スタッフに確認の上,Dに対し,男子児
童らを先に連れて行き女子児童らを迎えに来るように言った。また,Uも,
Eに対し,なぜ別々に行くのかを尋ねたところ,Eから,女子児童らは事情
があって遅れる旨の説明を受けた。そこで,DはT及びUと共に,男子児童
らをDが運転する10人乗りワゴン車と,Tが運転する8人乗りワゴン車に
分乗させ,Pが運転する車の後を追随して,D運転のワゴン車,T運転のワ
ゴン車の順に「J」を出発し,本件川遊び場所へ向かった。
Cは,その頃,「J」で休んでいたが,気が付くとD運転のワゴン車とT運
転のワゴン車が出発するところであったため,慌てて外に出たところ,その
場にはEとUだけが残っており,EからPが児童らの乗ったワゴン車を先導
しているとの説明を受けた。Cは,男子児童らだけを先に本件川遊び場所に
連れていくという上記やり取りを知らず,誰からも説明を受けなかったため,
児童らと本件倶楽部の成人スタッフは全員,j川に向けて出発したと思い,
Eに準備していた浮き輪が車に積載されていることを確認し,Eからホイッ
スルを受け取った上,待っていたUをその車に乗せ,上記2台のワゴン車の
後を追ってj川へ向かった。
その後,被告人Bは,「J」にまだ被告人Aがいることを確認し,さらに,
本件川遊び場所にあるスライダー状の部分の出口先にある深みの手前に張ろ
うと考えていたロープを自宅から持ってくることを忘れていたため,これを
取りに自宅に戻った。また,Vも,岩場で滑って遊ぶための肥料袋を取りに
自宅に帰った。その一方で,XとWは,j川には向かわず,女子児童らと共
に「J」にとどまっていた。
Dは,本件川遊び場所付近で男子児童らを車から降ろした後,「J」に残し
てきた女子児童5名を連れに行くため,Pの案内でワゴン車を運転してその
場所を後にした。そして,上記2台のワゴン車から降りてその場に残された
被害児童を含む男子児童らは,本件倶楽部側の成人スタッフも,本件協議会
側の成人スタッフも誰一人として川遊びの状況を監視していない状況の下で
j川に入り始めた。
Cは,PやDらに若干遅れて本件川遊び場所に到着し,児童らが川に入っ
ていくのに気付いたが,男子児童らは本件倶楽部の成人スタッフらに引率さ
れていると思っており,自分は浮き輪を膨らませないといけないと考えてい
たため,自動車から浮き輪などを降ろし,入水場所であるスロープ付近でT
及びUと共に浮き輪を膨らませようとし,その途中で児童らの声が聞こえな
くなったことに気づいて下流の方に行ってみたが,本件川遊びをする場所を
確認しただけで,元の場所に戻り再び浮き輪を膨らませようとしていた。
同日午後3時55分頃,被害児童が溺水した。その頃,被告人Bはロープ
を準備して自宅から本件川遊び場所に向かう途中であり,Eは「J」内ある
いはj川に向かう途中で,女子児童らと一緒にビデオ撮影するなどしていた。
また,被告人Aは,「J」で目を覚ました後,マイクロバスを運転して一人で
本件川遊び場所へ向かったが,被告人Aが本件川遊び場所に着いたのは,被
害児童が溺水した後であった。
4主位的訴因の検討
以上の事実経過を前提に,まず,主位的訴因の当否について検討する。
弁護人らも種々指摘しているとおり,主位的訴因に関しては検討すべきが点
が少なからず認められるところであるが,主位的訴因の核心部分である注意義
務及び過失行為の内容如何について検討する。主位的訴因の掲げる注意義務は,
結論的には「児童らが溺水するのを未然に防止すべき注意義務」とされている
ところ,溺水防止の手段・方法としては,大要,ライフジャケットの準備を
要請し,川遊びの際には児童らにライフジャケットを着用させた上,児童らの
監視態勢や危険指導の方法,児童らの引率から入水させるまでの手順等の実施
計画を策定し,被告人らを含む成人スタッフに周知すべきであったこと,こ
れをしない場合には川遊びをする範囲を深みのない場所に限定した上,児童ら
の監視態勢や危険指導の方法,児童らの引率から入水させるまでの手順等の実
施計画を策定し,被告人らを含む成人スタッフに周知すべきであったこと,
これもしない場合には川遊びの中止を決定・協議すべきであったこととされ,
これらの手段・方法を採らずに溺水防止の注意義務に違反した過失行為として
もの又は
ものとしては「川遊びの中止について協
議しなかった」こととされていると解される。そこで,以下においては,まず,
に係る点を検討し,その後,に係る点を検討する。
⑴点について
検察官は,本件川遊び場所は大人でも足が届かない程深い場所が広範囲に
わたって存在する危険な場所であり,参加した小学校低学年の児童らが想定
外の行動に出ることが間々あることは経験則上明らかであること,本件キャ
ンプに参加した成人スタッフの過半数は初参加者であり,参加スタッフの中
には川の体験活動の専門家や水難救助の専門的な知識・能力を有している者
はいなかったこと,本件キャンプ開始前にライフジャケットを準備して児童
らに着用させることは可能であったことなどを根拠として,被告人らは,児
童らが溺水するのを未然に防止するため,Eに児童らに着用させるライフジ
ャケットを準備させ,本件川遊びの際にはこれを児童らに着用させることと
し,それができないのであれば,本件川遊びの場所を深みのない場所に限定
した上で,本件川遊びの際の監視態勢,児童らに対する事前の危険指導の方
法,児童らの引率から入水までの手順等を定めた実施計画を策定し,これを
成人スタッフ全員に周知すべきであったなどと主張する。そして,これに沿
う証人Y及び同Zの公判供述などがある。
しかしながら,検察官の主張する過失の訴因構成に賛同することはできな
い。本件における過失を考えるに当たっては,被害児童死亡の時点から時間
軸を遡っていき,死亡に最も近接した時点における具体的な注意義務の内実
如何を検討するのが相当である。
これに従って検討すると,前記認定のとおり,被告人B及び被告人Aは,
Eと協議の上,本件川遊びを例年通りの方法で行うこととし,成人スタッフ
及び児童らが全員で移動して成人スタッフ全員で川遊びをする児童の監視に
当たるということを決めていたことが認められる。本件において予定されて
いた上記のような本件川遊びの実施計画は周到なものではなく,やや漠然と
したものであったことは否めないものの,平成19年度及び同20年度に実
施されたH1キャンプにおいては,いずれも川遊び場所への移動はE以外の
成人スタッフ全員と参加児童全員で行い,参加児童らに準備運動をさせ,成
人スタッフによる監視態勢を採った上で,児童らを入水させており,平成1
9年度は,川遊びの場所は児童らの足が届かない深みの手前までに限定され,
平成20年度は,その深みのある場所も川遊びの場所になり,そこで泳いだ
り,護岸ブロックの上から川面に飛び降りたりする児童もいた。その際,ラ
イフジャケットが準備・着用されていなかったのはもとより,成人スタッフ
の中に水難救助の専門的な教育を受けた者はいなかったものの,成人スタッ
フら数名がその付近に立って監視及び救助態勢を採っており,いずれの川遊
びにおいても児童らが溺水するなどの事故は生じていない。本件川遊び場所
にはスライダー状の部分の出口先に水深の深い箇所があるなど,溺水事故が
発生する相応の危険性があったことは明らかであるが,そこで川遊びをすれ
ば相当高度の確率で溺水事故が発生する程の危険性があったとはいえないと
思われる。もっとも,本件キャンプに参加したのは小学3年の児童が6名,
4年が6名,5年が8名,6年が2名であり,スタッフにおいて児童の体力
や水泳能力等の把握もできていなかったことなどを考慮すると,本件川遊び
を実施するに際しては相応の溺水事故防止策を採っておく必要があったこと
は多言を要しない。そこで,どの程度の溺水事故防止策を採っておく必要が
あったかについて検討するに,参加児童が突然予想のつかない行動に出る蓋
然性があったことなどを考慮しても,その年齢などに照らし,予定していた
例年どおりの監視態勢が採られ,現場に居合わせた成人スタッフから監視・
救助態勢が整う前に入水しないように注意されたり,入水しようとした際に
制止されたりすれば,特段の事情がない限り,その注意や制止を振り切って
まで参加児童が入水するとは考え難い。このような事情に照らせば,被告人
らが平成19年度及び同20年度と同様の監視・救助態勢を採る限り,被害
児童が溺水するといった結果が生じる蓋然性は相当程度低くなっていたと考
えられる。
先に認定したとおり,本件においては,例年どおりの引率手順と監視・救
助態勢を採ることが予定されていた上,本件協議会側においては溺水防止の
ために浮き輪を準備し,これを川遊びの際に使用するものとしていたのであ
り,これらの措置が滞りなくなされてさえいれば,本件の結果発生は十分防
ぐことができたと考えられる。本件溺水事故が発生した原因は,平成19年
度及び同20年度の川遊びの際に採られていた監視態勢すら採られず,成人
スタッフが児童らを引率して集団行動すべきであるのにこれを分散させた結
果,監視する成人スタッフが誰1人としていない状況下で児童らに川遊びを
させたことにほぼ尽きると考えるのが相当であり,ライフジャケットの準備・
着用,川遊びの場所の限定,周到な実施計画の策定・周知がなされなかった
ことがそもそもの原因であったとは認め難く,このような高度な結果回避義
務を被告人両名に負担させることは相当とはいえない。
上記⑶に係る点について
更に,検察官は,被告人らについて,上記のような周到な実施計画の策定・
周知をしないのであれば,本件川遊びのプログラムの開始前に川遊び自体を
中止することを協議すべきであったとも主張する。しかしながら,上記のと
おり,被告人らには上記実施計画の策定・周知義務があったとはいえないか
ら,本件川遊びを中止すべき義務があったとはいえず,これを前提とする協
議すべき義務が存しないのは当然である。また,本件キャンプの開始後,本
件川遊びのプログラム開始までの間に,被告人両名が,周到な実施計画が策
定・周知されていないことが大きな問題であることに気付き,本件川遊びプ
ログラムを中止しなければならないと判断する契機となるような事情の発
生・変更も認められない。検察官の主張は採用することができない。
5予備的訴因について
本件の予備的訴因は,要旨,被告人らには本件キャンプ当日,成人スタッ
フらと共に児童らに付き添って川遊び予定場所に入水するなどして川遊び中
の児童が溺水しないように監視し,児童が溺水した場合には直ちに救助出来
る態勢を採った上で川遊びをさせるプログラムを開始すべき注意義務があっ
たにもかかわらず,その態勢を採らないまま本件川遊びをさせるプログラム
を開始した過失があったとするものと解される。
主位的訴因を検討した際に言及したとおり,本件川遊び場所の危険性の程
度,参加した児童の年齢や行動傾向,平成19年度及び同20年度の監視・
救助態勢の実情等に照らし,上記予備的訴因の掲げる注意義務の内容は基本
的に妥当なものとして是認することができる。
ところで,被告人らやC,D及びEは,平成19年度及び同20年度の川
遊びにも参加したか,今回が初めての参加であるかという本件川遊び場所に
関する経験値,これに伴う本件川遊びの危険性に対する認識の程度などが異
なっている上,本件川遊びの企画・立案への関与にも濃淡があることに徴す
ると,上記内容の注意義務が被告人らやC,D及びE全員に均等に課せられ
るかについては,なお慎重に検討する必要があると思われる。
そこで,この過失を誰が課せられるかを検討する前提として,被告人両名,
C,D及びEが本件川遊びにおける成人スタッフとして果たすことが期待さ
れていた役割について検討する。
ア検察官は,本件キャンプは本件協議会と本件倶楽部の「共催」によるも
のであり,被告人Aは本件倶楽部の代表者,被告人Bは実質的に代表を補
佐する立場にあった旨主張し,弁護人らは,本件キャンプは本件協議会の
主催によるものであって,本件倶楽部との共催ではなく,本件倶楽部は本
件協議会の主導の下で行動すべき立場にあった旨主張している。
ところで,予備的訴因は,上記のとおり,本件キャンプ当日において参
加児童の監視・救助態勢を採らないまま本件川遊びのプログラムを開始す
るという過失行為に係る注意義務が問題であるところ,本件川遊びの際の
監視・救助態勢の大枠は事前に定められていたものの,成人スタッフ各人
が本件川遊びの当日,現地においてどのような役割を分担して果たすべき
かなどの細目的事項については定められていなかったことに徴すると,現
場においてこれを適宜決定して指示・指導する者がいることが必須であり,
その者の指示・指導の下で状況に即した具体的な監視・救助態勢が整えら
れることが予定されていたというべきである。従って,ここで問題となる
のは,実質的にみて本件キャンプないし本件川遊びの当日の進行を誰が責
任を持って指示・主導していくべき役割を担っていたのかということであ
り,これは,本件協議会と本件倶楽部との形式的な関係や,各成人スタッ
フの各組織における役職等の地位から離れて,実質的に定められなければ
ならない問題である。
このような視点に立って前記認定の事実経過を検討すると,本件キャン
プに関する両組織の関係について以下の事実が重要であると考えられる。
すなわち,①本件倶楽部は,設立当初は独自のイベントの企画運営を行っ
ていたところ,平成12年頃,z市役所からの打診を受け,一緒にイベン
トを行うようになったこと,②平成16年頃から始まったイベント「H2」
については,z市と各地区の受入れ団体とが連携する形で行われ,市の担
当者と受入れ団体との間で協議をしながらイベント内容の企画立案を行う
一方,参加者の募集や申込みの受付などの事務作業についてはz市又は本
件協議会の事務局が行っていたこと,③そのイベントの一つである「H1
キャンプ」についても,同様に,z市側又は本件協議会側の担当者である
Eと,本件倶楽部の実質的な副代表である被告人Bとの間で打合せを重ね
ながら企画立案をしてきたこと,④平成22年度の本件キャンプの企画立
案についても,本件倶楽部側は被告人Bが担当し,本件協議会側はEが行
ってきたが,プログラムの内容は従前からのプログラムを基礎に被告人B
の提案に従って決まっていったこと,⑤平成19年度及び同20年度のH
1キャンプは,本件倶楽部の成人スタッフが中心となって進められ,川遊
びについても,本件倶楽部のPが中心となって準備運動などを行い,z市
側から参加した成人スタッフは基本的にその指示に従って監視を行うなど,
本件倶楽部が主体となって行っていたこと,本件キャンプの2日前には,
上記のような経緯を前提に,Eから被告人Bに対して「地元主導でお願い
します」などと伝達がされ,本件キャンプに関しても,本件倶楽部が中心
となって行っていくことが確認されたことが認められる。以上によれば,
本件キャンプの企画内容は,基本的には現地の状況をよく知る本件倶楽部
側の担当者である被告人Bが提案したものを本件協議会側担当者のEが受
け入れて作成されたものであり,また,本件キャンプ当日の進行について
も,本件倶楽部の成人スタッフが中心となって進めていくことが予定され
ていたものであるから,本件キャンプの実施については,基本的には被告
人Bを中心とした本件倶楽部側の成人スタッフが主導して行うべき立場に
あったものと考えられる。もっとも,本件協議会側(本件協議会設立前は
z市側)においても,本件以前からH1キャンプの参加募集や申込み等の
事務を担当し,その担当者であったEにおいて,被告人Bと協議をして本
件キャンプを含むキャンプの企画立案を行った上,これに2度参加して川
遊びも行っていたのであるから,本件協議会が単なる参加者の募集,申込
みの受付等の事務作業だけを行う立場にあったとは解されず,本件川遊び
の危険性を含む本件キャンプの全体像を把握し,その企画内容や実施状況
に問題があれば,その変更を促すべき立場にあったと考えるのが相当であ
る。
イそして,各組織内における各成人スタッフの地位についてみると,まず,
本件倶楽部内においては,その形式的な代表者は被告人Aであったものの,
本件キャンプの企画立案は被告人Bが中心となって行っていたものであり,
当日の進行も,基本的には被告人Bが中心となって行われ,被告人Aの指
示で進行していた様子は窺われない。殊に本件川遊びの開始については,
被告人Bが被告人Aに一切相談することがなかったばかりか,「J」の事務
室で居眠りをしていた被告人Aの所在を探そうともしておらず,被告人B
1人の判断で男子児童らのみをまず本件川遊び場所に連れていくことを決
定し,他の成人スタッフにその旨の指示を出し,男子児童らの移動が始ま
ったのであるから,被告人Bが主導的な立場にあり,被告人Aは被告人B
と並んで本件キャンプを主導すべき立場にあったとまではいえず,被告人
Bを補佐する立場にとどまっていたと考えるのが相当である。
ウこれに対し,z市役所内における各成人スタッフの関係についてみると,
まず,Eについては,本件キャンプの企画立案に携わっただけでなく,こ
れまでの参加経験から本件川遊びの危険性をも知っていたのであるから,
本件川遊びを含む本件キャンプの全体像を把握し,その実施状況などに問
題が生じた場合には,これに対処すべき本件協議会側の担当者であったと
考えるのが相当である。実際にもEは,男子児童らのみを川に連れていく
ことになった際,確認及び指示を求めたD及びUに対し,男子児童らを先
に連れていくよう指示し,Cに対しても本件川遊び場所への移動を指示し
ているのであるから,Eは,被告人Bに次いで本件キャンプを主導すべき
立場にあったと認めるのが相当である。
また,E以外の成人スタッフについてみると,いずれもH1キャンプに
は初参加であり,参加するに至った経緯も,Eからの手伝いの要請を受け
たり,Cの提案で参加することになったにすぎない。また,本件キャンプ
前日の打合せにおいて,Eから,本件協議会側からの参加スタッフの本件
キャンプへの係り方について,本件倶楽部が主体となるのでその成人スタ
ッフの指示に従うように説明を受け,本件キャンプ当日も,Eからの説明
どおり,本件倶楽部側の成人スタッフの指示に従って行動した上,本件川
遊びプログラムの開始に当たっても,被告人BとEの指示を受けて移動を
始めたものである。このような事情に鑑みれば,E以外の本件協議会側の
参加スタッフは本件キャンプを主導すべき立場にあったとはいえない。
6被告人Bについて
⑴以上を前提として,まず,被告人Bの責任について検討する。
前記認定のとおり,本件キャンプの計画においては,本件川遊びを行う
に当たり,成人スタッフ全員と参加児童ら全員が一緒に本件川遊び場所ま
で移動し,準備運動をして,成人スタッフによる監視態勢を整えた上で,
児童らを入水させる予定となっていた(もっとも,Eは別の用件に従事する
ため,本件川遊びには移動開始当初からではなく途中から参加する予定で
あった。)ところ,本件川遊びプログラム開始の前に,アイスクリームを食
べ終わった男子児童らが川遊びに気が向き,水着に着替えたり,走り回っ
て騒いだりし始めたことなどから,被告人BがPやD,T及びUに対し,
男子児童らを先に連れていくように指示をしたが,その際,女子児童らを
迎えに戻るDとその先導を依頼したP以外の現場に残る成人スタッフに対
し,自分や他の成人スタッフが揃うまで,本件川遊び場所で男子児童らを
待機させておくように指示することなく,男子児童らを本件川遊び場所へ
連れていくように指示した上,自らは川遊び場所へ向かわずに自宅に川遊
び場所の範囲を限定・明示するために使うロープを取りに帰っている。そ
の結果,Dは,Eからも承諾を得た上で,Tと共に男子児童らを2台のワ
ゴン車に乗せ,児童らを本件川遊び場所に連れて行き,到着して男子児童
らを車から降ろした後は,Pと共にそれぞれ車に乗ってその場を離れるこ
とになり,その場に残ったTと続いて到着したC及びUは,本件川遊び場
所に移動するように指示されただけで,本件倶楽部のスタッフらが既に本
件川遊び場所にいるものと思い込み,その三者で浮き輪を膨らませ始める
などし,これらの結果,被害児童は成人スタッフが誰も見ていない状況下
で川に入水し,被害児童が溺水するに至ったものである。以上のような事
実経過からすれば,被害児童が溺水するに至った主要な要因は,被告人B
が全員で移動するという当初の予定を変更して男子児童らのみを本件川遊
び場所に連れていくこととし,成人スタッフが全員揃わない状況でDやT
のみに指示して男子児童らを本件川遊び場所へ連れて行かせたことにある
と認められる。
そして,本件予備的訴因の掲記する被告人Bの業務上の注意義務の内容
は「成人スタッフらと共に児童らに付き添って川遊び予定場所に入水する
などして川遊び中の児童らが溺水しないように監視し,児童らが溺水する
などした場合には直ちに救助できる態勢を採り,児童らの溺水を防止すべ
き」ものとされているところ,被告人Bは,先に説示したとおり本件キャ
ンプ全体やそのプログラムの1つである本件川遊びを主導すべき立場,す
なわち,自らが川遊びをする児童が溺水しないように監視し,溺水した場
合には救助に当たるだけではなく,児童らの溺水を防止するための監視・
救助態勢を採るように他の成人スタッフに指示すべき立場にあったもので
ある。それにもかかわらず,被告人Bは,男子児童らを本件川遊び場所に
出発させた時点において,自分は本件川遊び場所へ直ちには行かなかった
ばかりか,Dは「J」に戻るため,Pはその迂回路の道案内のため,いず
れも男子児童らを本件川遊び場所に連れて行った後,そこを一度離れるこ
とになる指示を行い,本件倶楽部の他の成人スタッフであるV,W及びX
に関しては,その行動を把握していなかったものである。被告人Bにおい
て,男子児童らを先に本件川遊び場所へ出発させるに当たっては,男子児
童らと共に現地に向かう成人スタッフに成人スタッフが揃うまで男子児童
らが川に入水しないように監視しておく旨指示をしなければ,あるいは,
本件倶楽部の他の成人スタッフを男子児童らと一緒に現地に向かわせ,男
子児童らが入水しないように監視しておくよう指示をしなければ,本件川
遊び場所において成人スタッフの監視がない状態が生じ,男子児童らが監
視,救助態勢のない状態で川に入水する可能性があることは十分に予見し
得たと考えられる。従って,被告人Bが上記指示をして本件川遊びプログ
ラムを開始するに当たっては,監視・救助態勢を採って児童の溺水を防止
すべき注意義務の一環として,本件川遊び場所に残る成人スタッフに対し
て男子児童らが入水しないように監視しておくよう指示すべき注意義務,
あるいは,本件倶楽部の成人スタッフに対し,男子児童らと共に川遊び場
所に移動し,その場で男子児童らが入水しないように監視しておくように
指示すべき注意義務があったというべきである。
被告人Bは上記注意義務に反して監視・救助態勢を採らないまま本件川
遊びプログラムを開始したものであり,その結果,被害児童が溺水したの
であるから,被告人Bが本件の責任を負うことは明らかである。
これに対し,被告人Bの弁護人らは,被害児童の溺水は,本件川遊び場
所においてC,T及びUが児童らから目を離したなどの異常な行為によっ
て発生したものであるから,被告人Bの上記行為の危険性が現実化したも
のとはいえず,因果関係が認められないなどと主張する。
しかしながら,前記認定のとおり,被告人Bは,男子児童らを先に連れ
ていくように指示したものの,Cに対しては,何らその計画の変更につい
て伝えていない。そのため,Cは,「J」から本件川遊び場所に移動するに
当たり,計画が変更されて男子児童らだけを先に移動させるということは
知らず,男子児童らだけでなく女子児童らを含めた児童全員が移動したも
のと考えており,また,「J」ではEとUを除き,他の成人スタッフを見て
おらず,既に本件倶楽部の成人スタッフも一緒に移動したものと考えてい
たのであり,本件の証拠上も,本件川遊び場所のスロープ付近において一
緒に浮き輪を膨らませていたTやUから,男子児童らだけが移動したとい
う話や,成人スタッフが現地に着いていないという話を聞いていたという
ような事情も窺われない。また,Cは,浮き輪を膨らませている途中,児
童らが気になり,本件川遊び場所を確認するために一度下流の方に状況を
見に行っており,その際,児童らの状況をきちんと把握せず,元の場所に
戻って再び浮き輪を膨らませる作業に入っているが,上記のとおり,Cは,
本件キャンプ当日は,本件倶楽部の成人スタッフの指示を受けるべき立場
にあり,その成人スタッフからの指示は一切なく,むしろ,救助用に用意
した浮き輪を早く膨らませないといけないと考え,それを行っていたので
ある。
同様に本件倶楽部の成人スタッフの指示を受ける立場にあったT及びU
についても,スタッフからの指示は一切なく,むしろ,本件キャンプ実施
において主導的立場にある被告人Bの指示に従って本件川遊び場所に移動
し,他に本件倶楽部の成人スタッフからの指示を一切受けないまま,Cと
共に救助用に用意した浮き輪を膨らませることに没頭していたものである。
結局,C,T及びUの行動は,被告人Bの指示,すなわち,成人スタッ
フ及び児童らに分散行動をさせ,監視・救助態勢を採らないまま本件川遊
びプログラムを開始するという指示によって誘発されたものであり,本件
の被害児童の溺水,死亡という結果は被告人Bの上記行為の危険性が現実
化したものと認められるから,上記行為と結果との間に因果関係があるこ
とは明らかである。
本件川遊びは成人スタッフと参加児童が全員で移動し,被告人Bの指示・
指導の下,成人スタッフ全員で監視・救助態勢を採ることが予定されてい
たものであり,その前提を覆して本件川遊びプログラムを開始した被告人
BがCら3名のみで児童の監視態勢を採ることを期待し,被害児童が溺水
する事故が発生したのはCら3名が児童を放置して監視していなかったか
らであるなどと言い募るのは責任転嫁を図るものと言わざるを得ない。
7被告人Aについて
次に,被告人Aについて検討する。先に検討したとおり,被告人Aは,形
式的には本件倶楽部の代表者の地位にあったものの,本件キャンプや本件川
遊びの指示・指導の面に関しては被告人Bを補佐する立場にあったにとどま
っており,現に本件キャンプ当日,被告人B及びEが男子児童らのみを川遊
び場所に向けて「J」から出発させることを決めるまでの時点において,被
告人Bから何ら相談を受けていない。被告人Aは,監視・救助態勢が整わな
いまま本件川遊びプログラムを開始することに何ら関与しておらず,「J」の
事務室で転寝をしていた被告人Aが目を覚ました時点においては,既に男子
児童らは「J」から本件川遊び場所に移動していたものである。このような
事実経過に鑑みれば,被告人Aが予備的訴因に掲げられたように,「本件川遊
びプログラムを開始した」ものとみることは困難であり,被告人Aの過失責
任を問うことはできない。
(法令の適用)
罰条平成25年法律第86号附則14条により同法による改
正前の刑法211条1項前段
刑種の選択罰金刑を選択
宣告刑の決定罰金70万円
労役場留置刑法18条
訴訟費用の負担刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
本件は,8歳の児童が自然の川の深みで溺れ,その生命を失うに至ったという
事案である。被害児童が受けた恐怖感や肉体的苦痛は甚大なものであったと思料
され,その両親が受けた悲しみも察するに余りあり,本件後7年近くが経過して
いるにも係らず,未だに悲嘆に暮れている。そして,この結果は,被告人Bの軽
はずみというほかない計画の変更により生じたものであって,その過失が結果発
生に与えた影響の程度は小さくない。被告人Bの刑事責任は決して軽いとはいえ
ないものの,本件事案の性質・内容などに照らし,禁錮刑以上の刑を選択すべき
事案であるとは認め難く,主文のとおりの罰金刑に処するのが相当である。
(求刑いずれも罰金100万円)
平成29年6月13日
佐賀地方裁判所刑事部
裁判長裁判官井広幸
裁判官石黒瑠璃
裁判官中里敦は,異動のため,署名押印できない。
裁判長裁判官井広幸
別紙
1被告人らに対する主位的訴因(平成28年11月28日訴因変更請求書記載の
もの)は,次のとおりである。
「Cは,z市k部l課課長であり,同課に設置され,田植え,収穫,調理,民
泊,川遊び等の公募による住民参加型の各種体験イベントを開催するなどの業務
を行うF協議会事務局の事務局長として,同事務局の事務を統轄し,同事務局に
所属する同課職員を指揮監督する業務に従事していたもの,Dは,同課副課長兼
F1係長であり,同協議会の事務局員として,上司の命を受け,同事務局に所属
する同係職員を指揮監督し,同事務局の事務を掌理する業務に従事していたもの,
Eは,同課F1係員であり,同協議会に関する業務の主査兼同協議会の事務局員
として,同協議会の事務を処理する業務に従事していたもの,被告人Aは,同協
議会の副会長であり,田植え,収穫,調理,民泊,川遊び等の公募による住民参
加型の各種体験イベントの開催等の事業を行うG倶楽部の代表として同倶楽部の
会務を統括する業務に従事していたもの,被告人Bは,同協議会の幹事長かつ同
倶楽部の監査役であり,実質的に同倶楽部の代表を補佐し,同倶楽部の会務を掌
理する業務に従事していたものであるが,平成22年7月24日及び同月25日,
前記各種イベントの一環である同事務局と同倶楽部の共同開催に係る「Hキャン
プ」と題する体験イベント(以下「本件キャンプ」という。)のプログラムとして,
佐賀県伊万里市a町bc番地d所在の「J」南南東約700メートル先のj川に
おける川遊びを実施するに当たり,参加児童は本件キャンプへの参加募集に応じ
た小学校3年生から6年生までの児童22名であり,参加児童らの遊泳能力の程
度に差がある上,予測困難な行動に出るおそれがあるほか,川遊び予定場所は同
河川への入水予定場所であるスロープからその下流側約90メートル以上の範囲
に及び,かつ,右に湾曲するなどしているため,前記スロープから川遊び予定場
所全体を見渡すことが困難である上,水深が2メートルを超える場所があるなど
の自然の河川であり,児童らを同所及びその付近で遊ばせるなどすれば,児童ら
が水流に流されて深みにはまるなどして溺水する危険があったところ
第1被告人Aは,川遊び予定場所で以前に実施された同様の体験イベントにお
ける川遊びに成人スタッフとして参加した経験から,同所には水深が深い場所
があり,児童らを同所及びその付近で遊ばせるなどすれば児童らが水流に流さ
れて深みにはまるなどして溺水する危険があることを知っていたのであるから,
被告人B及びEとともに,川遊びをする際の危険性及びその危険を回避するた
めの安全措置に関する情報を収集して,Eらに対し,児童ら及び監視者らに着
用させるライフジャケットを準備するよう要請するとともに,被告人B及びE
と協議をして,川遊びの際には児童ら及び監視者らにライフジャケットを着用
させることとし,仮にライフジャケットを着用させない場合には,深みのない
安全な範囲に川遊び場所を限定することとした上,更に川遊びをする児童らを
監視するための役割分担や人員配置などの監視態勢,児童らに対する事前の危
険指導の方法,児童らを川へ引率して監視態勢下で入水させるまでの手順等も
定めて前記実施計画を策定し,これを被告人2名並びにC,D及びEを含む川
遊びに参加する成人スタッフ全員に周知し,仮に前記実施計画の策定及びその
周知をしない場合には,Cらと協議をして川遊びの中止を決定するなど,児童
らが溺水するのを未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,
過去同様の川遊びプログラムにおいて前記実施計画を策定せずに溺水事故が起
きていなかったことから,前記実施計画を策定する必要はないものと軽信し,
Eらにライフジャケットの準備を要請することも,Eらとともに前記実施計画
を定めることもないまま,漫然と本件キャンプを実施し,本件キャンプ当日で
ある同月24日,自らも本件キャンプの成人スタッフとして参加しながら,川
遊びのプログラム開始前に,被告人Cらと川遊びの中止について協議すること
もしなかった
第2被告人Bは,川遊び予定場所で以前に実施された同様の体験イベントにお
ける川遊びに成人スタッフとして参加した経験から,同所には水深が深い場所
があり,児童らを同所及びその付近で遊ばせるなどすれば児童らが水流に流さ
れて深みにはまるなどして溺水する危険があることを知っていたのであるから,
被告人A及びEとともに,川遊びをする際の危険性及びその危険を回避するた
めの安全措置に関する情報を収集して,Eらに対し,児童ら及び監視者らに着
用させるライフジャケットを準備するよう要請するとともに,被告人A及びE
と協議をして,川遊びの際には児童ら及び監視者らにライフジャケットを着用
させることとし,仮にライフジャケットを着用させない場合には,深みのない
安全な範囲に川遊び場所を限定することとした上,更に川遊びをする児童らを
監視するための役割分担や人員配置などの監視態勢,児童らに対する事前の危
険指導の方法,児童らを川へ引率して監視態勢下で入水させるまでの手順等も
定めて前記実施計画を策定し,これを被告人2名並びにC,D及びEを含む川
遊びに参加する成人スタッフ全員に周知し,仮に前記実施計画の策定及びその
周知をしない場合には,被告人A及びEと川遊びの中止を協議するなど,児童
らが溺水するのを未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,
過去同様の川遊びプログラムにおいて前記実施計画を策定せずに溺水事故が起
きていなかったことから,前記実施計画を策定する必要はないものと軽信し,
Eらにライフジャケットの準備を要請することも,Eらとともに前記実施計画
を定めることもないまま,漫然と本件キャンプを実施し,本件キャンプ当日で
ある同月24日,自らも本件キャンプの成人スタッフとして参加しながら,川
遊びのプログラム開始前に,Eらと川遊びの中止について協議することもしな
かった
各過失の競合により,本件キャンプ当日である同月24日,Dらをして,川遊び
予定場所を具体的に把握しないまま,参加児童22名のうち男児17名のみを前
記「J」駐車場から川遊び予定場所付近へ引率させた上,上記男児らにライフジ
ャケットを着用させず,事前に適切な危険指導をすることもなく,適切な監視態
勢が整っていない状況下で,上記男児らを前記j川に入水させ,同日午後3時5
5分頃,同河川において,同男児らの1人であるI(当時8歳)を溺水させ,よ
って,同月27日午前9時38分頃,長崎県大村市ef丁目g番地h所在のi病
院において,同人を低酸素性脳症により死亡させたものである。」
2被告人Aに対する予備的訴因(平成28年11月28日訴因変更請求書記載の
もの)は次のとおりである。
「Cは,z市k部l課課長であり,同課内に設置され,田植え,収穫,調理,
民泊,川遊び等の公募による住民参加型の各種体験イベントを開催するなどの業
務を行うF協議会事務局の事務局長として,Dは,同課副課長兼F1係長であり,
同協議会の事務局員として,Eは,同課F1係員であり,同協議会に関する業務
の主査兼同協議会の事務局員として,被告人Aは,同協議会の副会長であり,田
植え,収穫,調理,民泊,川遊び等の公募による住民参加型の各種体験イベント
の開催等の事業を行うG倶楽部の代表として,被告人Bは,同協議会の幹事長か
つ同倶楽部の監査役であり,実質的な同倶楽部の代表補佐として,それぞれ,平
成22年7月24日及び同月25日,前記各種イベントの一環である同事務局と
同倶楽部が協働して開催した小学校3年生から中学校3年生までの児童を対象と
する「Hキャンプ」と題する体験イベント(以下「本件キャンプ」という。)のプ
ログラムとして,佐賀県伊万里市a町bc番地d所在の「J」南南東約700メ
ートル先のj川における川遊びを実施する企画を含む本件キャンプを催行する業
務に従事していたものであるが,参加児童は本件キャンプへの参加募集に応じた
小学校3年生から6年生までの児童22名であって,参加児童らの遊泳能力の程
度に差がある上,予測困難な行動に出るおそれがあり,川遊び予定場所は同河川
の流れに沿った距離にして90メートルを超え,右に湾曲するなどしているため,
同河川への入水予定場所であるスロープから川遊び予定場所の下流側を見渡すこ
とは困難である上,水深が2メートルを超える場所があるなどの自然の河川であ
り,児童らを同所及びその付近で遊ばせるなどすれば,児童らが水流に流されて
深みにはまるなどして溺水する危険があったところ,E,被告人A及び被告人B
は,川遊び予定場所で以前に実施された同様の体験イベントにおける川遊びに成
人スタッフとして参加した経験などから,同所には水深が深い場所があり,児童
らを同所及びその付近で遊ばせるなどすれば児童らが水流に流されて深みにはま
るなどして溺水する危険があることを知っており,C及びDは,本件キャンプ前
日に行われた前記l課職員による本件キャンプの打合せにおいて,Eから,川遊
び予定場所は深いところで溺水する危険がある旨の報告を受けたことなどから,
本件キャンプ当日である同月24日,前記川遊び予定場所において,児童らに川
遊びを行わせるに際し,成人スタッフらと共に児童らに付き添って川遊び予定場
所に入水するなどして川遊び中の児童らが溺水しないように監視し,児童らが溺
れるなどした場合には直ちに救助できる態勢を採り,児童らの溺水を防止すべき
業務上の注意義務があるのにそれぞれこれを怠り,いずれの被告人も成人スタッ
フらと共に児童らに付き添って川遊び予定場所に入水するなどして川遊び中の児
童らが溺水しないように監視せず,児童らが溺れるなどした場合には直ちに救助
できる態勢を採らないまま児童らを前記j川に入水させて川遊びをさせるプログ
ラムを開始した過失により,同日午後3時55分頃,同河川において,同児童ら
の1人であるI(当時8歳)を溺水させ,よって,同月27日午前9時38分頃,
長崎県大村市ef丁目g番地h所在のi病院において,同人を低酸素性脳症によ
り死亡させたものである。」
以上

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