弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人荒井素佐夫、同山本孝の上告理由第四点について。
 本件記録によれば、被上告人らの本訴請求は、被上告人らが共同して本件土地を
訴外Dから買い受けてその所有権を取得したが、都合により上告人名義に所有権移
転登記を経由したもので、その登記は実体関係に合致しないものであるとの理由で、
上告人に対し本件土地の共有権の確認および右登記の抹消登記手続に代えて所有権
移転登記手続を求めるものであるところ、被上告人Bは、本件第一審係属中に本訴
を取り下げる旨の昭和三七年九月一〇日付書面を提出し、上告人がその取下げに同
意する旨の同月一一日付書面を提出していることが明らかである。
 そして、原審は、被上告人Bのした右訴の取下げは無効であると判示していると
ころ、論旨は、要するに、被上告人らの提起した本件訴訟は、通常の共同訴訟であ
つて、被上告人Bの取下げによつて、同人と上告人との間の訴訟は終了したものと
いうべく、原判決には民訴法六二条の解釈適用を誤つた違法があるというのである。
 思うに、一個の物を共有する数名の者全員が、共同原告となり、いわゆる共有権
(数人が共同して有する一個の所有権)に基づき、その共有権を争う第三者を相手
方として、共有権の確認を求めているときは、その訴訟の形態はいわゆる固有必要
的共同訴訟と解するのが相当である(大審院大正一一年(オ)第八二一号同一三年
五月一九日判決、民集三巻二一一頁参照)。けだし、この場合には、共有者全員の
有する一個の所有権そのものが紛争の対象となつているのであつて、共有者全員が
共同して訴訟追行権を有し、その紛争の解決いかんについては共有者全員が法律上
利害関係を有するから、その判決による解決は全員に矛盾なくなされることが要請
され、かつ、紛争の合理的解決をはかるべき訴訟制度のたてまえからするも、共有
者全員につき合一に確定する必要があるというべきだからである。また、これと同
様に、一個の不動産を共有する数名の者全員が、共同原告となつて、共有権に基づ
き所有権移転登記手続を求めているときは、その訴訟の形態も固有必要的共同訴訟
と解するのが相当であり(大審院大正一一年(オ)第二五六号同年七月一〇日判決、
民集一巻三八六頁参照)、その移転登記請求が真正な所有名義の回復の目的に出た
ものであつたとしても、その理は異ならない。
 それゆえ、このような訴訟の係属中に共同原告の一人が訴の取下げをしても、そ
の取下げは効力を生じないものというべきである。これと同趣旨の原判決に所論の
違法はなく、所論引用の判例は、いずれも本件と事案を異にして適切ではない。し
たがつて、論旨は採用することができない。
 同第一点、第二点、第三点一ないし三について。
 本件土地は被上告人両名が訴外Dから買い受けてその所有権を取得したものであ
り、単に所有権移転登記を経由するに際して便宜上上告人名義を用いたにすぎない
旨の原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙
示の証拠関係に照らして肯認するに足り、原判決に所論の違法は認められない。論
旨は、ひつきよう、原審の認定にそわない事実をも合わせ主張して原判決の認定判
断を非難するか、または、原判決を正解しないでその判断を非難するにすぎず、採
用することができない。
 同第三点四について。
 原判決は、本件土地の所有権の帰属を証拠によつて適法に認定判断しているので
あるから、もはや登記の推定力を問題とする余地のないことは明らかである。した
がつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    藤   林   益   三
            裁判官    下   田   武   三
            裁判官    岸       盛   一

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