弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被上告人らは、各自、上告人に対し、金五四四、八二二円及びこれに対
する昭和三一年三月一日以降完済に至るまで年六分の割合による金員の支払をせよ。
     訴訟費用は、各審を通じ、被上告人らの連帯負担とする。
         理    由
 本件D定置漁業組合は、定置漁業の経営を目的とする民法上の組合であること、
被上告人ら七名及び原審控訴人Eは右組合の組合員であること(組合員総数二三名)、
本件約束手形二通は、いずれも、同組合が上告人から買受けた製縄代金支払のため
に振出されたものであること、本件各手形はEが同組合組合長理事Eの名義をもつ
て振出したものであること、ならびにEが同組合の組合長として組合を代表して第
三者と取引する権限を有していたことは、本件において原判決の確定するところで
ある。すなわち、本件手形は、組合の代表者が、その権限にもとずき、組合のため
に、その組合代表者名義をもつて振出したものである以上、同組合の組合員は、手
形上、各組合員の氏名が表示された場合と同様、右手形について共同振出人として、
合同してその責を負うものと解するを相当とする(大正一四年五月一二日大審院判
決・民集四巻二五六頁参照)。とすれば、右法理を誤つて被上告人らについて本件
手形上の責任を否定した原判決は違法であつて、本件上告は理由があり、原判決は
破棄を免れないものである。
 そして、本件において、上告人が本訴請求の原因として主張する事実は、すべて、
被上告人らの争わないところであり、被上告人らの抗弁の理由のないことは前段説
明するところによりあきらかであるから、当裁判所は、民訴四〇七条、四〇八条に
より、原判決を破棄して自判すべきものとし、なお、訴訟費用の負担につき同九五
条、八九条、九三条を適用の上、裁判官奥野健一、同山田作之助を除く裁判官全員
の一致をもつて、主文のとおり判決する。
 裁判官奥野健一、同山田作之助の反対意見は次のとおりである。
 手形の顕名主義の原則よりして、手形行為の代理関係は証券面に明らかにされて
おらなければならない。従つて、商法五〇四条は手形行為の代理には適用がなく、
また、旧商法(明治三二年法律第四八号)四三六条が「代理人カ本人ノ為メニスル
コトヲ記載セスシテ手形ニ署名シタルトキハ本人ハ手形上ノ責任ヲ負フコトナシ」
と規定していたこともこの間の理を明らかにしたものであり、改正後の手形法にお
いて、かゝる明文がなくても同一に理解しなければならない。
 法人格を有しない民法上の組合の名称を手形上に表示しても、固よりその表示が
組合の構成員たる各組合員の表示とみることはできないし、また組合長、理事等組
合の業務執行者の表示は各組合員の代理人の表示とみることもできない。してみれ
ば、本件において手形振出人として「D定置漁業組合組合長理事E」という記載は、
前述の如く各組合員の代理人の表示と認めることはできないから、これにより組合
長以外の組合員に手形上の責任を負担せしめることはできない。(もつとも、右組
合長は手形法八条により自ら手形の支払義務を負うけれども、右手形の振出が組合
の業務執行の範囲内であり、その権限に基き為されたものである限り、その支払は
組合の業務執行のため支出した費用として組合財産又は他の組合員から、これが求
償を求めることができる。)
 また、多数説の如く、手形面に顕名されていないものまでが直接手形債務を負担
するものとすれば、その手形が不渡となりたる場合、名が顕はれていないものに対
しても所謂手形不渡処分を為し得るや等の問題を生じ手形取引の実情に適せざる結
果を生ずるものと云はなくてはならない。
 右の理由により原判決は正当であつて本件上告は理由がない。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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