弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
AからBに対する別紙目録記載の各土地(以下、「本件各農地」という。)の所有
権移転につき、被告が昭和四二年五月一三日付福島県指令い農振第八八二号をもつ
てした農地法第三条による許可処分は、無効であることを確認する。
訴訟費用は、被告の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の申立
一 請求の趣旨
主文同旨
二 請求の趣旨に対する答弁
(一) 本件訴えを却下する。
(二) 訴訟費用は、原告の負担とする。
第二 当事者の主張
(原告適格について)
一 被告の主張
原告の本件許可処分の無効確認を求める目的は、本件許可処分の無効を前提とし
て、本件各農地の所有権は依然としてAに存することの確認を求めた上で、右Aと
の賃貸借関係に基づく利益または右Aに対し売買契約の交渉を求める利益等を確保
しようとするにあるが、その目的は、現在の法律関係に関する訴えの方法により達
することができるものであるから、本件訴えは、原告適格を欠く不適法な訴えで、
却下を免れない。
二 被告の主張に対する認否
争う。
(本案について)
三 請求の原因
(一) 本件各農地は、今から六〇年程以前は、C所有の原野であつたが、原告の
亡父がこれを右Cから賃借し、爾来開墾につとめて全部を農地となし、父なき後
は、原告が承継して現在まで耕作して来た賃借農耕地である。
(二) ところが、右Cの相続人であるAは、本件各農地をBに売り渡すことと
し、昭和四二年五月一三日付で被告より主文第一項掲記の本件許可処分を受けたう
え、昭和四三年六月一日付売買を原因として同年九月一八日、右Bに対し本件各農
地の所有権移転登記手続をした。
(三) しかし、本件各農地が、右許可処分当時原告の小作地であつたことは、誰
がみても明らかであつた。
(四) よつて、被告の本件許可処分には、農地法第三条第二項第一号に違反する
重大かつ明白な瑕疵があるので、その無効であることの確認を求める。
四 請求の原因に対する認否
請求の原因(一)ないし(三)は、全て認めるが、同(四)を争う。
○ 理由
一 原告適格について
原告が、亡父の代から既に六〇年にわたつて本件各農地を小作して来たことは当事
者間に争いがないので、Aが本件各農地を他に譲渡する場合には、原告は農地法第
三条第二項第一号により、他の者に優先して譲受人となる法的地位を保障されてい
るものであり、したがつて、この地位を無視して他の第一二になされた譲渡につ
き、県知事が農地法第三条の許可処分をしたときは、原告は、この許可処分の無効
確認を求める法律上の利益を有するものといわなければならない。ところで、原告
が右許可処分の無効を前提として、右Aに対し小作権確認訴訟を提起したとして
も、これによつて本件各農地の所有権が同人に帰属することを確定できるものでは
ないし、また右A及び譲受人であるBを共同被告として、本件各農地の所有権が右
Aに存することの確認を訴求するとしても、これは必要的共同訴訟ではないので、
右訴訟によつて本件各農地の所有権の帰属が画一的に確定できる制度的保障はない
というべく、したがつて、いずれも原告に保障された前記法的地位の確保のために
十分とはいい難いのであつて、他に本件紛争の根本的解決をはかれるような現在の
法律関係に関する訴えを考えることもできない。そうとすれば、原告は、本件許可
処分の無効確認訴訟を提起する原告適格を有するものというべきである。
二 本案について
請求の原因(一)ないし(三)は、当事者間に争いがなく、これらの事実によれ
ば、本件許可処分には、農地法第三条第二項第一号に違反する瑕疵があり、この瑕
疵は、重大かつ明白というべきであるから、本件許可処分は、無効であるといわな
ければならない。
よつて、原告の本訴請求は、これを正当として認容すべく、訴訟費用の負担につい
ては、行政事件訴訟法第七条・民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決
する。
(裁判官 佐藤邦夫 岩井康倶 田中信義)
別紙(省略)

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