弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2大阪府公安委員会が控訴人に対して平成17年5月12日付けでしたぱちん
こ屋営業の不許可処分を取り消す。
3被控訴人は,控訴人に対し,634万9465円及びこれに対する平成17
年6月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1事案の要旨
(1)控訴人会社の代表取締役であるAの父が代表取締役を務めるB株式会社
以下Bというは平成7年4月原判決添付別紙物件目録記載1の(「」。),,
土地以下本件土地というにおいてぱちんこ屋等の営業を営む許可を(「」。)
受け,同土地上の建物においてぱちんこ屋営業(以下「本件ぱちんこ屋」と
いう)を営んでいた。。
控訴人は,平成17年1月28日,本件ぱちんこ屋の営業を営む目的で本
件土地及びその地上建物をBから買い受け,同年2月18日,新たに風俗営
業等の規制及び業務の適正化等に関する法律以下風営法という5条(「」。)
1項に基づき,大阪府公安委員会に,ぱちんこ屋営業の許可申請(以下「本
件申請」という)をした。
風営法は,営業所が,良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限
する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める
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地域内にあるときは許可してはならないと規定し同法4条2項2号大阪(),
府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和34年
。「」。),,大阪府条例第6号以下施行条例という2条1項2号は上記地域を
学校教育法1条に規定する学校等や医療法1条の5第1項に規定する病院等
の敷地の周囲おおむね100mの区域以下制限地域というとする旨(「」。)
規定している。
C学園は,本件土地から100m以内の土地を用地として,学校教育法1
条の大学として「仮称)D大学(以下「本件大学」という)を設立する,(」。
ことを計画し,平成17年1月には,開発行為のや宅地造成に関する工事の
,,,許可を受け造成工事が開始され同年3月には建物の建築工事も開始され
同年4月には,文部科学大臣に,本件大学設置認可の申請をしていた。
大阪府公安委員会は上記のような状況の下に本件大学用地が制限地域,,「
に該当し,控訴人申請の営業所がその周辺おおむね100mの区域に所在す
」(「」。)。るためとの理由で不許可処分以下本件不許可処分というをした
控訴人は,そのためやむなく,Bの会社分割を行い,大阪府公安委員会が
これを承認した結果,控訴人は,平成17年6月28日から本件ぱちんこ屋
の営業を行っている。
(2)控訴人は本件不許可処分は違法であるとしてその取消しを求めるとと,,
もに,本件不許可処分によって約1か月半,ぱちんこ屋営業を営むことがで
,,,きず損害を被ったとして被控訴人に対し国家賠償法1条1項に基づいて
逸失利益1705万円及びこれに対する本件不許可処分の日の後である平成
17年6月28日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金
(,,,の支払を求めた事案であるなお損害賠償請求については当審において
控訴の趣旨3のとおり減縮した。。)
(3)本件の争点は①本件不許可処分の取消しの訴えにつき訴えの利益が,,
あるか本件不許可処分の取消請求に係る本案前の争点②本件大学用地(),
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が制限地域に当たるか否か本案の争点③公安委員会の故意又は過失の(),
有無(国家賠償請求に係る本案の争点)の3点であり,控訴人は,②につい
て,施行条例に定める学校に該当するためには,文部科学大臣の大学設置の
認可が不可欠であり,少なくとも客観的に確実であることを要するところ,
本件大学について,そのいずれもが欠けており,その用地が制限地域に該当
しないことは明白であるから,本件不許可処分は違法である等と主張し,①
については,本件不許可処分は上記のような明白な事実について,誤った判
断をしたものであって,その違法性は著しく,このような場合には,本案判
決をし,本件不許可処分によって生じた違法状態を解消するとともに,本件
不許可処分の違法性を明示し,風俗営業の許可等に関する権限を有する公安
委員会の将来における公務執行の公正を担保し,その非違行為を防止すべき
である等と主張した。
(4)原審は①について控訴人は本件ぱちんこ店において適法に風俗営業,,,
であるぱちんこ屋営業を営むことができる法的地位を有しており,本件不許
可処分が他の不利益処分の要件とされているなど他にその取消しを求める法
律上の利益を基礎付ける理由も存しないから,本件不許可処分の取消しを求
める訴えは,その利益を欠くに至ったとして,本件不許可処分取消請求につ
いては,不適法な訴えであるとしてこれを却下し,また,②については,本
件大学の開設に向けた準備状況等から,本件大学用地に本件大学が設置され
ることは社会通念に照らして確実となっているということができるとして,
同用地が制限地域に該当すると判断した。その結果,控訴人の損害賠償請求
についても理由がないとして棄却した。
控訴人は,これを不服として控訴し,原判決の取消と控訴人の請求の全部
認容を求めた。
2争いのない事実等,争点及び当事者の主張は,次に付加するほか,原判決3
頁2行目から15頁9行目までに記載されているとおりであるから,これを引
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用する。
〔控訴人の主張〕
(1)控訴人とBが会社分割という自助努力をした結果本件ぱちんこ店の営業,
を開始することができたのであるが,会社分割に際しては,分割契約書の作
成・分割承認総会の開催はもとより,官報公告・新聞広告等の債権者保護手
,,続の履践会社分割登記申請等の諸手続を経ることを余儀なくされたうえに
会社分割登記後6か月の間は,債権者等から会社分割無効の訴えを提起され
るリスクを甘受しながら本件ぱちんこ店の営業を継続したものであって,こ
のような多大なリスクを包含して会社分割を行ったことを重視すれば,本件
において控訴人を名宛人とする本件不許可処分による違法状態が解消され,「
ること」という法律上の利益を認めるべきである。
(2)原判決は,制限地域の土地に当たるか否かは「当該施設の種類,規模及,
び特性,当該施設の開設のために必要とされる法令上及び事実上の手続,当
該施設の開設に要する費用等にかんがみ,当該土地に当該施設が設置される
ことが社会通念に照らして確実となっているということができるか否かとい
う観点から合理的に判断すべきであると判示したが原判決が採用した上。」,
記基準は,原審でも主張したとおり曖昧であって,学校等の保護対象施設の
存否に関する実質的な判断基準として到底機能しないうえ,今後,本件同様
の事案において,同業他社らによる当該ぱちんこ店の出店妨害行為や,違法
・不当な立退料請求行為を助長・誘発し(いわゆる「幽霊診療所」に類した
「幽霊大学」問題を起こしかねない,これらを正当化する方便として濫用。)
されるおそれなしとしない問題点を孕んでおり,不当である。
〔被控訴人の反論〕
(1)控訴人が主張する上記(1)の事情は,損害賠償請求の理由になりえても,
現に営業を営むことができる法的地位を有している控訴人が不許可処分の取
消しを求める利益を有することにはならない。
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(2)原判決が制限地域の土地に関して示した上記判断基準は個々の事案に,,
よって事情が異なることも考慮したうえでの一般的判断基準であり,決して
曖昧といわれるものではない社会通念上確実となっているという基準も。「」
厳しいものといえ,それに反する事態(本件でいえば,大学設置の不認可)
の生ずる可能性は極めて少ないし,もし万が一そのような事態が生ずれば,
それに応じた処置(再度の許可申請)をとれば足ることであって,そのこと
をもって,原判決が示す判断基準を変えなければならないことではない。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,原審と同様,控訴人の本件不許可処分取消請求は,その利益を
欠くに至ったもので,不適法な訴えであるとして却下を免れないものと,また
損害賠償請求は理由がないとして棄却すべきものと判断する。その理由は,次
に付加するほかは,原判決15頁10行目から20頁13行目までに記載され
ているとおりであるから,これを引用する。
(1)弁論の全趣旨によれば,控訴人が本件ぱちんこ店の営業を開始するため
に,会社分割という手段を選択し,そのために控訴人主張のような種々の手
続を履践しなければならず,かつ現にこれを履践して会社の分割に至ったこ
とが認められるが,そのような事情は,本件不許可処分の取消しを求める法
律上の利益を基礎付ける理由とはなりえない。そして,控訴人は,引用部分
のとおり,平成17年6月28日,Bから同社の本件ぱちんこ店におけるぱ
ちんこ屋営業を承継し,同日以降,本件ぱちんこ店において適法に風俗営業
であるぱちんこ屋営業を営むことができる法的地位を有しているのであるか
ら,本件不許可処分の取消しを求める利益を欠くに至ったものといわざるを
得ない。
(2)原判決が制限地域の土地に当たるか否かについて示した基準は具体的,,
事情に即応するため一般的・抽象的なものとなっているが,それ自体が曖昧
なものということはできない。
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そして,公安委員会は,C学園が新設しようとした本件大学の設置計画場
所(本件大学用地)について,①開発行為の許可,宅地造成に関する工事
の許可及び建築確認済証の交付などの公的手続の履践,②開設される大学
の専攻科の内容,学生の定員数,設備の規模・内容,③造成工事及び建物
建築工事の進捗状況,④外部に対する開校の紹介,⑤学園の担当者と文
部科学省との事前相談を経たうえでの大学設置認可申請,⑥同事前折衝を
経た大学設置認可申請が認可される見込みの度合い等を総合考慮して,本件
大学用地が大学の用に供されることが客観的に確実とみて,これが制限地域
の土地に該当すると判断したものであるところ,この判断は,原判決の示し
た「当該土地が大学等の用に供することが社会通念に照らして確実となって
いる」との基準からしても正当なものとして是認できるから,本件不許可処
分に違法な点はない。
(3)控訴人は原判決の示した基準は学校等の保護対象施設の存否に関する,,
実質的な判断基準として到底機能しないうえ,今後,本件同様の事案におい
て,同業他社らによる当該ぱちんこ店の出店妨害行為や,違法・不当な立退
料請求行為を助長・誘発し,これらを正当化する方便として濫用されるおそ
れなしとしない問題点を孕んでいるとして,これを非難するが,これらの弊
害ないし問題点は,公安委員会が具体的事案において,事実を適正に認定し
たうえ上記基準を厳格に適用することにより十分防止ないし克服しうるもの
であるから,控訴人の主張は失当である(なお,当審に至っても控訴人から
本件大学の認可処分が取り消されたとか,開校に至らなかったとかの主張,
立証はされていない。。)
2よって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり
判決する。
大阪高等裁判所第14民事部
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裁判長裁判官井垣敏生
裁判官森野俊彦
裁判官小池一利

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