弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
抗告代理人中川紗希の抗告理由について
1本件は,構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権者であ
る相手方が,譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として,担保の目的である養殖
魚の滅失により譲渡担保権設定者である抗告人が取得した共済金請求権の差押えの
申立てをした事案である。
2記録によれば,本件の経緯等は次のとおりである。
(1)抗告人は,魚の養殖業を営んでいたものであり,平成20年12月9日及
び平成21年2月25日,相手方との間で,原々決定別紙1ないし8記載の各養殖
施設(以下「本件養殖施設」という。)及び本件養殖施設内の養殖魚について,相
手方を譲渡担保権者,抗告人を譲渡担保権設定者とし,相手方が抗告人に対して有
する貸金債権を被担保債権とする譲渡担保権設定契約を締結した(以下,同契約に
より設定された譲渡担保権を「本件譲渡担保権」という。)。その設定契約におい
ては,抗告人が本件養殖施設内の養殖魚を通常の営業方法に従って販売できるこ
と,その場合,抗告人は,これと同価値以上の養殖魚を補充することなどが定めら
れていた。
(2)平成21年8月上旬ころ,本件養殖施設内の養殖魚2510匹が赤潮によ
り死滅し,抗告人は,Z共済組合との間で締結していた漁業共済契約に基づき,Z
共済組合に対し,同養殖魚の滅失による損害をてん補するために支払われる共済金
に係る漁業共済金請求権(以下「本件共済金請求権」という。)を取得した。
(3)抗告人は,上記の赤潮被害発生後,相手方から新たな貸付けを受けられな
かったため,同年9月4日,養殖業を廃止した。
(4)相手方は,同年10月23日,本件譲渡担保権の実行として,本件養殖施
設及び本件養殖施設内に残存していた養殖魚を売却し,その売却代金を抗告人に対
する貸金債権に充当した。
(5)相手方は,平成22年1月29日,熊本地方裁判所に対し,上記の充当後
の貸金残債権を被担保債権とし,本件譲渡担保権に基づく物上代位権の行使とし
て,本件共済金請求権の差押えの申立てをした。同年2月3日,熊本地方裁判所
は,同申立てに基づき債権差押命令を発付した。
抗告人は,本件共済金請求権に本件譲渡担保権の効力は及ばないなどとして,上
記命令の取消しを求める執行抗告をした。
3原審は,抗告人が本件共済金請求権を取得したことは通常の営業の範囲を超
えるもので,本件譲渡担保権の効力は本件共済金請求権に及び,相手方は,養殖魚
が滅失した時点以降,本件共済金請求権に対して物上代位権を行使することができ
るとして,抗告人の執行抗告を棄却した。
4構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は,譲渡担保権
者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動
産」という。)の価値を担保として把握するものであるから,その効力は,目的動
産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払わ
れる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも,構成部分
の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は,譲渡担保権設定者が目的
動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから,譲渡担保権設定
者が通常の営業を継続している場合には,目的動産の滅失により上記請求権が発生
したとしても,これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意さ
れているなどの特段の事情がない限り,譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代
位権を行使することは許されないというべきである。
上記事実関係によれば,相手方が本件共済金請求権の差押えを申し立てた時点に
おいては,抗告人は目的動産である本件養殖施設及び本件養殖施設内の養殖魚を用
いた営業を廃止し,これらに対する譲渡担保権が実行されていたというのであっ
て,抗告人において本件譲渡担保権の目的動産を用いた営業を継続する余地はなか
ったというべきであるから,相手方が,本件共済金請求権に対して物上代位権を行
使することができることは明らかである。
そうすると,抗告人の執行抗告を棄却した原審の判断は,結論において是認する
ことができる。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官宮川光治裁判官櫻井龍子裁判官金築誠志裁判官
横田尤孝裁判官白木勇)

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