弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
原決定を破棄する。
本件を広島高等裁判所に差し戻す。
理由
抗告人の抗告理由について
1本件は,A(以下「譲渡人」という。)から,譲渡人の相手方に対する金銭
債権を譲り受けたと主張する抗告人が,同債権を被保全権利として,相手方の第三
債務者に対する預金債権につき,仮差押命令の申立て(以下「本件申立て」とい
う。)をした事案である。
2原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1)譲渡人は,平成18年5月17日,相手方との間で,相手方及び相手方の
組合員が実施する外国人研修事業につき,譲渡人が中国人研修生等を日本に派遣等
するために必要な経費の一部を相手方が負担し,相手方が譲渡人に対し,これを送
金して支払う旨の契約を締結した。
(2)抗告人は,弁護士であり,譲渡人から上記契約に基づく債権の回収を依頼
されていたところ,平成20年2月1日,平成19年8月分∼平成20年1月分の
相手方の経費負担額111万円(以下「本件負担金」という。)の支払を求める本
案訴訟の提起や保全命令の申立て等の手続をするために,譲渡人から本件負担金の
支払請求権(以下「本件債権」という。)を譲り受けた。抗告人が本件債権を譲り
受けたのは,譲渡人が日本国内に登記した支店,営業所を持たない外国法人である
ため,その訴訟追行手続上の困難を回避するためであった。
(3)抗告人は,同月8日,本件負担金の支払を求める本案訴訟を提起し,同月
12日,本件申立てをした。
3原審は,次のとおり判断し,被保全権利の疎明がないとして,本件申立てを
却下すべきものとした。
抗告人が本件債権を譲り受けた当時,本件負担金の支払を求める訴訟等は係属し
ていなかったから,本件債権の譲受けが,弁護士法28条に違反する行為であると
はいえない。しかし,弁護士の品位の保持や職務の公正な執行を担保するために弁
護士が係争権利を譲り受けることを禁止した同条の趣旨に照らせば,本件負担金の
支払を求める訴訟等が係属していなかったとしても,本案訴訟の提起や保全命令の
申立てをすることを目的としてされた弁護士による本件債権の譲受けは,特段の事
情がない限り,その私法上の効力が否定されるものというべきであり,本件債権の
譲受けは無効であって,抗告人が本件債権を有しているとはいえない。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
債権の管理又は回収の委託を受けた弁護士が,その手段として本案訴訟の提起や
保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為は,他人間の法的紛争に
介入し,司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われたな
ど,公序良俗に反するような事情があれば格別,仮にこれが弁護士法28条に違反
するものであったとしても,直ちにその私法上の効力が否定されるものではない
(最高裁昭和46年(オ)第819号同49年11月7日第一小法廷判決・裁判集
民事113号137頁参照)。そして,前記事実関係によれば,弁護士である抗告
人は,本件債権の管理又は回収を行うための手段として本案訴訟の提起や本件申立
てをするために本件債権を譲り受けたものであるが,原審の確定した事実のみをも
って,本件債権の譲受けが公序良俗に反するということもできない。
5以上によれば,これと異なる原審の前記判断には,裁判に影響を及ぼすこと
が明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。そし
て,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官宮川光
治の補足意見がある。
裁判官宮川光治の補足意見は,次のとおりである。
事案にかんがみ,弁護士法(以下「法」という。)28条に関連する弁護士倫理
上の問題に関し,付言しておくこととする。
本件のような取立てを目的とする債権譲受行為の私法上の効力が否定されない,
さらには法28条に違反しないとされる場合であっても,その行為は,弁護士倫理
上の評価を受ける。弁護士職務基本規程(平成16年日本弁護士連合会会規第70
号。以下「基本規程」という。)17条は,「弁護士は,係争の目的物を譲り受け
てはならない。」と定めている。基本規程は,日本弁護士連合会が,会規として,
その自治機能に基づいて弁護士がその職務遂行に当たって,自律的に遵守すべき行
為規範・義務規定及び目標として努力すべき職務行動指針を定めたものである。そ
して,基本規程17条は,弁護士の行為規範・義務規定を定めたものであり(基本
規程82条),広く争いがある場合においてその目的物を譲り受ける行為を禁じて
おり,これに違反する行為は,「品位を失うべき非行」(法56条1項)に該当す
るとして,懲戒の対象となり得るものというべきである。もっとも,懲戒判断は,
弁護士の職務の多様性と個別性にかんがみ,事案に即した実質的な判断がなされな
ければならないが(日本弁護士連合会弁護士職務基本規程解説起草検討会『解説
弁護士職務基本規程』135頁),取立てを目的とする債権譲受行為は,債権を譲
り受けなければ,当該権利の実行に当たり支障が存在するなど,行為を正当化する
特段の事情がない限り,「品位を失うべき非行」に該当するものといわなければな
らない。
(裁判長裁判官甲斐中辰夫裁判官涌井紀夫裁判官宮川光治裁判官
櫻井龍子裁判官金築誠志)

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