弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役5年に処する。
未決勾留日数中400日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は,静岡県富士市a番地b所在の宗教法人A(以下「教団」という。)の職員であっ
たものであるが,
第1 教団の代表役員をしていた分離前の相被告人A1,教団職員のA2らと共謀の上,平
成6年3月3日ころ,東京都渋谷区c丁目d番e号所在の甲会館において,治療中の長女の
脊髄腫瘍の治癒を願って相談に訪れたV1(当時33歳)に対し,真実は,A1には脊髄腫瘍
の病状等を的確に診断してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないの
に,これがあるように装い,A1において,V1の長女であるV(1)に対し「足裏鑑定」と称する
個人面談を実施した上,A1及びA2において,V1に対し,こもごも「子供が修行を受けてい
ないからまだ結果が出ていないんだ。解脱をやって子供を修行に行かせなさい,そうすれ
ば大丈夫だ。」,「V(1)ちゃんは子供ですから,右脳開発で100万円です。お母さんは以
前に修行に行っていますから,今回は3万円で参加できます。解脱は1本です。1本とは10
00万円です。解脱法納とは,地獄界に落ちている先祖を引き上げるもので,丙村にある解
脱法納館に法納塔を納めることになります。解脱法納館は天に一番近い場所にありますか
ら,法納をすればV(1)ちゃんの病気も大丈夫です。」などと虚構の事実を申し向け,V1を
その旨誤信させて,法納料等合計1103万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,い
ずれも法納料等名下に,同月4日横浜市f町g番地h所在のB1郵便局から現金500万円
を,同月16日同市i区j町k番地l所在のB2郵便局から現金500万円を,同月22日同市m
区n丁目o番所在のB3郵便局から現金103万円をそれぞれ前記甲会館乙本庁宛に振込
送金により交付させ,
第2 A1,教団職員のA3,同A4,同A5らと共謀の上,
 1 平成6年3月3日ころ,前記甲会館において,治療中の妻の癌の治癒を願って相談に
訪れたV2(当時39歳)に対し,真実は,A1には癌の病状等を的確に診断してこれを治癒
させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,
V2の妻であるV(2)に対し「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A3及びA4
において,V2に対し,こもごも「冷たい足だね。観いが下がっていて,マイナスを刻んでいる
ね。この人には天行力が全く通らない。癌が頭まで来ている。このままだと年は越せない。も
う観念して頭を取るしかない。今週頭を取りに行きなさい。頭を取れば大丈夫,癌は治りま
す。また,ご主人も,今は大して苦を刻んでいないがこのままでは苦を刻むことになるから2
人で行きなさい。」,「心配いりませんよ,A1先生は明後日からの4泊5日の修行に行って頭
を取れば癌は治るとおっしゃっているのですからね。大丈夫,修行に行けば必ず癌は治りま
すから,安心して修行を受けてきてください。奥さんだけでなく2人で行きなさい。片方がマ
イナスを刻んでいると,片方が修行を終えても影響して,結局両方とも苦を刻むようになりま
す。V2さん,奥さんの命を助ける修行ですよ。ご夫婦で一緒に受けなければ何にもなりませ
ん。」などと虚構の事実を申し向け,V2をその旨誤信させて,修行代合計300万円の支払
いを要求し,よって,同人を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で現金60万円を交付
させ,さらに,同月4日茨城県p市q町r番s号所在のB4郵便局から現金240万円を前記甲
松濤会館乙本庁A4宛に振込送金により交付させ,
 2 同月9日ころ,静岡県富士市a番地b所在の丙村において,前同様に装い,A1及びA
5において,前記V2に対し,こもごも「あなた方には天声が下りています。夫婦,そしてV2
家の中心が定まっていない。このままでは苦を刻む不安定な生活が続き,心身ともに行き詰
まる。夫婦の生きざまと両家の大掃除をしなさい。V2家の家の中心を東に向けて定め,5代
前からの両家の先祖の生きざま,死にざまを大掃除しなさい。夫婦のすべての問題の原因
とその生きざまも含め,V2家の死にざまの解脱法納をしなさい。」,「家の中心とは,南無天
法地源如来行と書かれた掛け軸です。観いの定めは333万円です。解脱法納とは,A1先
生の手形が押されている額です。観いの定めは1000万円です。また,法説御法行は,般
若天行の写経が1000枚入っているものですが,ご主人と奥さんの両家が別々にやらなけ
れば意味がありませんから,奥さんの実家の分を足してください。観いの定めは100万円で
す。天声に添いなさい。奥さんの癌も,天声に添わなければ再発するでしょう。天声に添っ
て解脱法納をすれば,V2家に病気は寄ってきません。これは天声ですから,添わないとせ
っかく受けた修行が無駄になり,意味がなくなりますから,必ず添わなければなりません。」
などと虚構の事実を申し向け,V2をその旨誤信させて,法納料等合計1433万円の支払い
を要求し,よって,同人を欺いて,いずれも法納料等名下に,同月10日茨城県内所在の郵
便局から現金433万円を,同月14日茨城県内所在の郵便局から現金1000万円をそれぞ
れ前記丙村宛に振込送金により交付させ,
第3 A1,A2,教団職員のA6らと共謀の上,平成6年11月8日ころ,前記甲会館におい
て,夫婦関係を悩み,乳癌の再発を恐れて相談に訪れたV3(当時40歳)に対し,真実は,
A1には癌の病状等を的確に診断してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力
がないのに,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施し
た上,A1,A2及び小針において,こもごも「足の裏が冷やっとしていて,地に足がついてい
ない。このままだと家庭崩壊になるな。子供たちは空中分解するよ。冷たく色つやが悪いの
は,先祖の血の受け継ぎが悪いからだ。既に癌になっとる。修行に行けばすべて良くな
る。」,「4泊5日の人間A1生きざま修行に行きなさいという天声が下りました。V3さんは癌
になっているのだから,修行を受けないと癌は治らない。修行を受ければ,病気も寄せつけ
ないし,人生が180度変わります。」などと虚構の事実を申し向け,V3をその旨誤信させ
て,修行代225万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,そ
の場で現金5万円を交付させ,さらに,同月9日横浜市t区u丁目v番地w所在のB5郵便局
から現金220万円を前記甲会館乙本庁A6宛に振込送金により交付させ,
第4 A1,教団職員のA7らと共謀の上,平成6年11月10日ころ,前記甲会館において,
全身の痛みや家族関係の軋轢に悩んで相談に訪れたV4(当時37歳)に対し,真実は,A
1には病気の有無や体調等を的確に診断してこれを治癒,回復させるための確実な方策を
提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人
面談を実施した上,A1及びA7において,こもごも「汚い足だ。こんな汚い足は見たことがな
い。足の中指が短い。これは短命だ。水子が4体か。毒素がたっぷり溜まっているぞ。このま
まじゃ大病してしまうぞ。腰のところで天行力が止まってしまう。かなり悪いな。5日間の修行
を受けて頭を取らなければ身体の調子は良くなりませんな。修行すれば身体も良くなってす
べてが解決しますぞ。」,「足の中指が短いというのは短命で終わるということ。あなたには毒
素が溜まっている。本当は天行力が頭から足の裏に抜けなければいけない。あなたは4泊5
日の修行に参加して頭を取らなければなりません。頭を取る修行に行けば,天行力は頭か
ら足の先まで抜けるようになり,病気も治り,すべてのことが解決します。」などと虚構の事実
を申し向け,さらに,同年11月下旬ないし同年12月上旬ころ,A7において,福島県喜多
方市x町y番地のV4方に電話をかけて,同女に対し,「今なら125万円で修行を受けること
ができます。」などと申し向け,同女をその旨誤信させて,修行代125万円の支払いを要求
し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,同年12月9日同県会津若松市z丁目a
(1)番b(1)号所在のB6郵便局から現金8万円を,同月19日同郵便局から現金30万円
を,同月20日同県喜多方市c(1)番地所在のB7郵便局から現金80万円をそれぞれ前記
甲会館乙本庁A7宛に振込送金により交付させ,さらに,同月23日ころ前記丙村において7
万円を交付させ(うち6000円は,以前にA1の足裏鑑定を受けるための費用として教団に
納入した合計13万6000円のうち,同費用超過分の6000円を充当して,不法の利益を得
た。),
第5 A1,教団職員のA8,同A9,教団D支部長のA10らと共謀の上,
 1 平成6年12月6日ころ,前記甲会館において,知的障害者である二女の将来等を案じ
て相談に訪れたV5(当時51歳)に対し,真実は,A1には癌及び知的障害の病状等を的確
に診断してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるよう
に装い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1及びA8において,
こもごも「このままでは胃癌になるぞ。色つやも悪いし,弾力がない。親指が曲がっているの
は先祖からの血の受け継ぎが悪いからだ。今年最後の特訓があるから行って来い。特訓に
行けば180度変われる。」,「今年最後の特訓が12月23日から4泊5日で行われますから,
それに行ってください。特訓に行って頭を取れば,癌が消えますよ。家の中のだれか1人が
頭をもぎ取れば,家族全員が繁栄しますよ。」などと虚構の事実を申し向け,V5をその旨誤
信させて,修行代225万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名
下に,その場で現金1万円を交付させ,さらに,同月7日茨城県つくば市d(1)丁目e(1)番f
(1)号所在のB8郵便局から現金224万円を前記甲会館乙本庁A8宛に振込送金により交
付させ,
 2 同月29日ころ,前記甲会館において,前同様に装い,A1において,V5の二女である
V(5)に対し「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1及びA9において,V5に対
し,こもごも「お母さん,治るのにどうして今まで放っておいた。ちゃんと普通に生活できるよ
うになるのに。特訓に行けば普通の日常生活を送れるようになる。特訓は無理か。じゃあ解
脱がある。解脱をすればしゃべれるようになるし,普通の生活が送れるようになる。」,「天上
界と地獄界というのがあり,V5さんの先祖は地獄界に落ちています。その先祖を天上界に
救ってあげるのを解脱法納といいます。解脱法納の観いの定めは1本,つまり1000万円で
す。V5さんと同じように精神薄弱の子供さんがいて,病院をたらい回しにされていた人がい
たのですが,解脱法納をしたら生活に不自由ないくらいに言葉をしゃべれるようになったと
いうことがありました。大丈夫です。解脱をすれば1年以内に必ず答えが出ます。」などと虚
構の事実を申し向け,V5をその旨誤信させて,解脱法納料1000万円の支払いを要求し,
よって,同女を欺いて,解脱法納料名下に,同月30日ころ前記甲会館において現金1000
万円を交付させ,
第6 A1,教団職員のA11,同A12,A10,教団E支部長のA13らと共謀の上,平成6年1
2月中旬ころ及び平成7年2月11日ころの両日,前記甲会館ほか1か所において,長男の
気管支喘息及び自分の高血圧,リューマチ,老人性白内障等の疾病の治癒等を願って相
談に訪れたV6(当時70歳)に対し,真実は,A1には気管支喘息の病状等を的確に診断し
てこれを治癒させるための確実な方策を提示するなどの能力がないのに,これがあるように
装い,A1において,同女及び同女の長女であるV(6)に対し「足裏鑑定」と称する個人面
談を実施した上,V6に対し,A1,A11,A12,A10及びA13において,こもごも「汚いね
え。お母さんが1番悪い。これだからみんなが悪くなるんだ。足裏を診ればすべて分かる。
頭を取れば家族全員の病気や不安もなくなる。腰から下に天行力が通っていかない。修行
に行って頭を取らなければ駄目だ。修行に行けば,息子さんの病気も治る。」,「お姉さんは
意外ときれいな足をしているねえ。ただ,親指が堅い。このままほうっておくと,くも膜下にな
り死んでしまう。家族みんなで頭を取りなさい。そうすれば人生180度変わり,何もかもうまく
いき,不安も悩みもなくなる。天行力がすうっと入っていかない。修行に行って頭を取らなけ
ればだめだ。」,「お母さんが4泊5日の修行に行って頭を取らないと,お母さん自身の病気
はもちろん息子さんの病気も治りませんよ。それからお姉さん,A1先生が言われたとおり,
このままほうっておきますと,本当にくも膜下で死んでしまいますよ。修行に行って頭を取っ
てくれば,くも膜下にならず,死ななくて済むんですよ。」などと虚構の事実を申し向け,V6
をその旨誤信させて,修行代合計250万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,修
行代名下に,同月13日,茨城県日立市g(1)町h(1)丁目i(1)番j(1)号所在のB9郵便局
から現金250万円を前記甲会館乙本庁A12宛に振込送金により交付させ,
第7 A1,A8,A7,教団F支部長のA14らと共謀の上,平成7年1月14日ころ及び同年1
0月10日ころの両日,前記甲会館ほか1か所において,結婚問題や十二指腸潰瘍による胃
痛に悩んで相談に訪れたV7(当時28歳)に対し,真実は,A1には癌及び十二指腸潰瘍
の病状等を的確に診断してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないの
に,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A
1,A8,A7及びA14において,こもごも「あなたの足の裏はそんなに悪くないな。でも,冷た
いな。このままの生活を送り,このまま苦を刻み続ければ,あなたは胃癌になってしまうぞ。
頭が付いているから,頭を取らなければならない。」,「A1先生は,あなたはこのままだと1,
2年後には胃癌になってしまうと言ってますよ。天声では,1月21日からの修行に参加しな
ければならないと出ています。このまま修行に行かないと,間違いなく胃癌になります。修行
に行けば癌にもならず,今患っている胃の病気も治るんですよ。」,「あなたも直ぐにでも修
行に参加しなくてはいけないのよ。そうすれば病気の心配もなく,恋愛もうまくゆき,将来は
何の心配もなく過ごせるのよ。修行を受ければ180度変われますよ。」などと虚構の事実を
申し向け,V7をその旨誤信させて,修行代126万円の支払いを要求し,よって,同女を欺
いて,いずれも修行代名下に,同年1月14日ころ前記甲会館において現金1万円を交付さ
せ,さらに,同年10月18日東京都港区j(1)町k(1)丁目l(1)番m(1)号n(1)ビル1階所在
のB10郵便局から現金45万円を,同月23日同郵便局から現金50万円を,同月25日同郵
便局から現金30万円をそれぞれ前記甲会館乙本庁宛に振込送金により交付させ,
第8 A1,教団職員であった分離前の相被告人A15,教団職員のA16らと共謀の上,平
成7年1月16日ころ,前記甲会館において,自己の遠位性ミオパチーの治癒を願って相談
に訪れたV8(当時48歳)に対し,真実は,A1には遠位性ミオパチーの病状等を的確に診
断してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装
い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A15及びA16におい
て,こもごも「あなたの足は死んでいる。冷たい。このままでは前の奥さんのようになる。旦那
さんにも巡り合わせが悪い。すぐに頭を取る修行を受けないと悪くなるばかりだ。天行力が
首から下に流れない。このままでは悪くなるばかりだ。すぐに修行を受けなさい。」,「足を治
すには修行を受けて頭を取らなければなりません。修行をして頭を取ってあなたが変われ
ば,すべての悩みが良い方向に変わり,足も治るし,どんな病気も治ります。頭を取る修行
をすれば病気は良くなります。」などと虚構の事実を申し向け,V8をその旨誤信させて,修
行代125万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場
で現金1万円を交付させ,さらに,同月18日東京都板橋区o(1)丁目p(1)番q(1)号所在
のB11郵便局から現金124万円を前記甲会館乙本庁A16宛に振込送金により交付させ,
第9 A1,教団G支部長のA17,教団職員のA18らと共謀の上,平成7年2月11日ころ,
前記甲会館において,母親の老人性痴呆症や父親の大腸癌の治癒を願って相談に訪れ
たV9(当時52歳)に対し,真実は,A1には癌等の病状を的確に診断してこれを治癒させる
ための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,「足裏
鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A17及びA18において,こもごも「天行力が下
まで通らない。腰で止まっている。あなたは確実に子宮癌になるね。良くなるためには,頭を
取ること。そうしないと,親子そろって癌で死ぬことになるよ。修行に行って,頭を取りなさ
い。」,「天声では,2月18日から行われる修行に行くようにとなっています。あなた1人が修
行をすれば,両親の病気も良くなりますよ。あなたも癌にならないで済みますよ。」などと虚
構の事実を申し向け,V9をその旨誤信させて,修行代225万円の支払いを要求し,よっ
て,同女を欺いて,修行代名下に,同月17日浦和市r(1)丁目s(1)番t(1)号所在のB12
郵便局から現金225万円を前記甲会館乙本庁G支部A17宛に振込送金により交付させ,
第10 A1,A11らと共謀の上,平成7年2月28日ころ,前記甲会館において,癌の再発を
恐れて相談に訪れたV10(当時34歳)に対し,真実は,A1には癌の病状等を的確に診断
してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装
い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1及びA11において,こ
もごも「かかとが汚いね。このままでは1年以内に癌は再発するよ。あなたが歩いているとこ
ろを子供も歩く,だから子供も同じ癌になる。夫婦で修行に行けば1年で生活が変わる。天
行力が通らない,腰の辺りで止まっている。頭を取らなければだめだね。頭を取れば病気も
もちろんない。大至急頭を取れ,すぐ修行に行け。修行に行けば癌は大丈夫だよ。」,「A1
先生は,このままでは奥さんの癌は1年以内に再発すると言いました。このままでは子供も
癌になります。夫婦で修行に行きなさい。そうすれば癌は再発しないし,本当の赤い糸夫婦
になれますよ。」などと虚構の事実を申し向け,V10をその旨誤信させて,修行代合計250
万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,修行代名下に,同年3月3日北海道千歳
市u(1)町v(1)丁目w(1)番地のx(1)所在のB13郵便局から現金250万円を前記甲会館
乙本庁A19宛に振込送金により交付させ,
第11 A1,A2,教団H支部長のA20らと共謀の上,平成7年3月5日ころ,横浜市y(1)区
z(1)丁目a(2)番地b(2)センターにおいて,胆石症の発病等を恐れて相談に訪れたV11
(当時62歳)に対し,真実は,A1には癌の病状等を的確に診断してこれを治癒させるため
の確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑
定」と称する個人面談を実施した上,A1,A2及びA20において,こもごも「足裏が汚い。相
当血を汚しているね。爪が上向きになっている。これは癌になりかかっている証拠だ。それ
に胆石症がある。普通天行力は10入ったら,10足に抜けるんだが,2.7しか通らない。こ
れはかなり悪い。」,「先生の言うとおり,天行力の通りが悪く,かなり危ない状態です。この
状態をなくすには4泊5日の研修に行って頭を取るしか方法はありません。研修に行って頭
を取らなければ,あなたは癌で死ぬんですよ。頭を取ったおかげで病気が治った人が沢山
います。私の知り合いで,癌で医者から見放された人が治ったんですよ。V11さんも頭を取
ればきっと癌も胆石も治ります。先生の言うとおりにすれば大丈夫,間違いありません。」な
どと虚構の事実を申し向け,V11をその旨誤信させて,修行代225万円の支払いを要求
し,よって,同人を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で現金5000円を交付させ,さら
に,同月9日東京都八王子市c(2)番地のd(2)1階所在のB14郵便局から現金224万500
0円を前記甲会館乙本庁宛に振込送金により交付させ,
第12 A1,A5,A11らと共謀の上,
 1 平成7年3月7日ころ,前記甲会館において,乳癌の再発を恐れて相談に訪れたV12
(当時47歳)に対し,真実は,A1には癌の病状等を的確に診断してこれを治癒させるため
の確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑
定」と称する個人面談を実施した上,A1及びA11において,こもごも「汚い足だ。このまま
だと2か月後にはリンパ癌になる。修行を受ければ癌にならない。天行力が全く通らない。
頭を取らないとだめだ。今すぐ修行しなさい。修行に行けば頭も取れ,癌も治る。」,「修行
は早いほうがいいでしょう。3月11日から4泊5日で富士の丙村で行われます。修行に行け
ばリンパ癌になることはありません。すべての病気や悩みは修行を受けないと良くならない
んですよ。修行に行けば人生が180度変わるんです。」などと虚構の事実を申し向け,V12
をその旨誤信させて,修行代125万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,修行代
名下に,同月8日札幌市e(2)区f(2)丁目g(2)番地h(2)ビル1階所在のB15郵便局から
現金125万円を前記甲会館乙本庁A11宛に振込送金により交付させ,
 2 同年4月中旬ころ,同区i(2)丁目j(2)番k(2)号所在のホテルl(2)において,前同様
に装い,A5及びA11において,V12に対し,こもごも「天声を伝えます。V12家の家の中
心233万円,両家の法説御法行200万円,合計433万円。これをすることで徳を積むことに
なるのです。お金はどのようにしても作ることができるんだから。そうすることがあなたのため
になる。払わないとあなたの望みどおりにならない。今までやってきたことが全部だめにな
る。本当は両方とも大事なものですが,それが無理であれば,家の中心からやりなさい。」な
どと虚構の事実を申し向け,V12をその旨誤信させて,家の中心代233万円の支払いを要
求し,よって,同女を欺いて,家の中心代名下に,同年5月1日同区m(2)丁目n(2)o(2)
所在のB16銀行p(2)支店から現金233万円を静岡県富士市q(2)町r(2)番s(2)号所在
のB17銀行t(2)支店のA名義普通預金口座に振込送金により交付させ,
第13 A1,教団I支部長のA21,教団職員のA22らと共謀の上,平成7年4月3日ころ,前
記甲会館において,治療中の妹の摂食障害の治癒を願って相談に訪れたV13(当時23
歳)に対し,真実は,A1には同女の妹の摂食障害の病状等を的確に判断してこれを治癒さ
せるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,
「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A21及びA22において,こもごも「これ
は冷たい足だな。足の裏に変化がなく,器が小さい。妹さんの病気を治すには,あなたが変
わること。妹さんに観いを向けてやること。」,「先生の面談結果では,妹さんを助けるために
は,あなたが4泊5日の頭を取る修行に参加して頭を取り,あなた自身が変わることだと言っ
ています。子供の病気は親の責任なので,本当はお母さんが修行に行った方がいいんだ
けれども,あなたが修行に行けば,必ず,妹さんの病気は治ります。」などと虚構の事実を申
し向け,V13をその旨誤信させて,修行代125万円の支払いを要求し,よって,同女を欺い
て,いずれも修行代名下に,その場で現金3000円を交付させ,同月4日東京都練馬区u
(2)丁目v(2)番w(2)号x(2)1階所在のB18郵便局から現金35万円を,同月5日東京都
板橋区y(2)丁目z(2)番a(3)号B19郵便局から現金10万円をそれぞれ前記甲会館乙本
庁A22宛に振込送金により交付させ,さらに,同月8日前記丙村において現金79万7000
円を交付させ,
第14 A1,教団職員のA23,教団J支部長のA24らと共謀の上,平成7年4月3日ころ,前
記甲会館において,高血圧症等の治癒を願って相談に訪れたV14(当時65歳)に対し,真
実は,A1には高血圧症の病状等を的確に診断してこれを治癒させるための確実な方策を
提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人
面談を実施した上,A1,A23及びA24において,こもごも「外反母趾ですね。親指が曲が
っている。足の指がそろってない。これは悪いですね。先祖からの生きざま死にざまを引き
ずっています。このままではいつ倒れてもおかしくないな。4泊5日の修行を受けて頭を取り
なさい。修行を受ければあなたの健康上の問題もすべて解決しますよ。」,「修行に行けば
高血圧も治ってしまい,健康の問題などは解決し,すべての問題がなくなります。」,「V14
さんはいつ倒れてもおかしくないんですよ。修行を受ければすべて良くなるから,お金の心
配もいらなくなります。」などと虚構の事実を申し向け,V14をその旨誤信させて,修行代22
5万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で現金1
万円を交付させ,さらに,同月7日千葉県我孫子市b(3)丁目c(3)番d(3)号所在のB19郵
便局から現金224万円を前記甲会館乙本庁A23宛に振込送金により交付させ,
第15 A1,A20,A18らと共謀の上,平成7年4月20日ころ,前記甲会館において,頚部
にできたいぼ等を気にして相談に訪れたV15(当時55歳)に対し,真実は,A1にはいぼの
病状等を的確に診断してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,
これがあるように装い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A2
0及びA18において,こもごもV15の頸部のいぼや喉のポリープは癌である旨告げ,「天行
力を通したが,腰で天行力の通りが悪いな。4泊5日の研修に行けば簡単に治る。」,「4泊5
日の研修に行けば,頭が取れて,天行力が足の先まで抜けるようになります。天行力が通る
ようになれば,喉の癌も皮膚癌も治ります。」,「研修に行けば,あなたの気にしているいぼ
は取れるし,喉だってきれいになるのよ。あなたが変わればお孫さんの体だって良くなるの
よ。V15さんが研修を受けなければ,その影響は子供さんやお孫さんにも現れますよ。」な
どと虚構の事実を申し向け,V15をその旨誤信させて,修行代225万円の支払いを要求
し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で現金3000円を交付させ,さら
に,同月21日埼玉県大宮市e(3)番地のf(3)所在のB20郵便局から現金224万7000円
を前記甲会館乙本庁A25宛に振込送金により交付させ,
第16 A1,教団K支部長のA26,教団職員のA27らと共謀の上,平成7年4月29日ころ,
前記甲会館において,痔及び右脇腹の痛みに悩んで相談に訪れたV16(当時60歳)に対
し,真実は,A1には癌及び痔の病状等を的確に診断してこれを治癒させるための確実な
方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑定」と称す
る個人面談を実施した上,A1,A26及びA27において,こもごも「足がだいぶ汚れている
な。この足では,この秋には間違いなく大腸癌だ。富士に行って頭を取らなきゃだめだ。」,
「是非5月13日からの4泊5日の頭を取る修行に行きなさい。頭を取る修行を受ければ,す
べて良くなるんです。今肚をくくって修行に行かなければ,チャンスは2度とないですよ。修
行代が高いからといって,あなたの命に代えられないでしょう。」などと虚構の事実を申し向
け,V16をその旨誤信させて,修行代225万円の支払いを要求し,よって,同人を欺いて,
いずれも修行代名下に,その場で現金5万円を交付させ,さらに,同年5月1日栃木県下都
賀郡g(3)町h(3)番地i(3)所在のB21郵便局から現金220万円を前記甲会館乙本庁A2
7宛に振込送金により交付させ,
第17 A1,A5,A7,教団L支部長のA28らと共謀の上,
 1 平成7年5月23日ころ,前記甲会館において,入院治療中の長女の癌の治癒を願っ
て相談に訪れたV17(当時51歳)に対し,真実は,A1には癌の病状等を的確に診断してこ
れを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1
において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A7及びA28において,こもご
も「足が冷たいね。天行力の通りが悪いね。普通の元気な人は天行力が10通るが,あなた
の場合腰で止まっているね。あなたの場合,癌患者と一緒で5しか通らないね。お腹の中に
しこりがあるな。このままほうっておくとあなたは癌になるよ。娘さんはどこに入院しているの。
そんなところに入院しているのかね。あそこの前を通ると,癌患者が一杯いるね。あんなとこ
ろに入院しているから治らないんだよ。今日から,癌研の方に天行力を流すから。あなたは
頭を取りなさい。修行に行って頭を取りなさい。」,「あなたが修行に参加すれば,娘さんの
病気は治りますよ。」などと虚構の事実を申し向け,V17をその旨誤信させて,修行代225
万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で現金5万
円を交付させ,さらに,同月25日茨城県稲敷郡j(3)町k(3)番地所在のB22郵便局から現
金220万円を前記甲会館乙本庁A7宛に振込送金により交付させ,
 2 同年6月中旬ころ,前記甲会館において,前同様に装い,A5において,V17に対し,
「天声はこのように出ています。533万円を納めなさい。家の中心が233万円,水子供養が
300万円です。家の中心は家を守ってくれます。V17家は100体地獄に落ちているが,70
体まで法説御法行で救えます。残りの30体を救うためには水子供養として300万円必要で
す。天声に従いなさい。天声に従えば,娘さんは必ず良くなりますよ。」などと虚構の事実を
申し向け,V17をその旨誤信させて,家の中心代等合計533万円の支払いを要求し,よっ
て,同女を欺いて,いずれも家の中心代等名下に,同月22日東京都豊島区l(3)丁目m
(3)番n(3)号所在のB23銀行o(3)支店から現金233万円を,同年7月6日同区p(3)丁目
q(3)番r(3)号所在のB24銀行s(3)支店から現金300万円を,それぞれ前記B17銀行t
(2)支店のA名義普通預金口座に振込送金により交付させ,
第18 A1,教団法徳士のA29,教団M支部長のA30らと共謀の上,平成7年6月6日こ
ろ,前記甲会館において,自己の突発性難聴の治癒を願って相談に訪れたV18(当時39
歳)に対し,真実は,A1には突発性難聴の病状等を的確に診断してこれを治癒させるため
の確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑
定」と称する個人面談を実施した上,A1,A29及びA30において,こもごも「天行力を通し
てみたら,あなたの場合は頭までしか通らない。指が曲がっている。これでは耳が聞こえなく
なって当たり前だ。右の耳も悪くなりかけている。このままほうっておけば右耳も聞こえなくな
る。6月10日から修行があるから行ってきなさい。頭を取ればすべてが解決する。」,「研修
に行けば耳は必ず治ります。」などと虚構の事実を申し向け,V18をその旨誤信させて,修
行代225万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場
で現金1万円を交付させ,さらに,同月8日千葉県市川市t(3)丁目u(3)番v(3)号所在の
B25郵便局から現金224万円を前記甲会館乙本庁A25宛に振込送金により交付させ,
第19 A1,A4,A22,教団N支部長のA31らと共謀の上,平成7年6月13日ころ及び同月
28日ころの両日,前記甲会館ほか数か所において,長女の進行性化骨性筋炎の治癒を願
って相談に訪れたV19(当時46歳)に対し,真実は,A1には進行性化骨性筋炎の病状等
を的確に診断してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これが
あるように装い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A4,A22
及びA31において,こもごも「天行力が通っていない。上の方で止まっている。子供に病気
が出るのは親の結婚が赤い糸で結ばれていなかったからだ。修行に行って頭を取りなさ
い。頭を取って天行力を通さなければ,娘さんの病気は良くならない。親が頭を取って変わ
れば,娘さんの病気は必ず良くなる。」,「修行に行って頭を取れば,天行力が通るようにな
って,娘さんの病気も必ず良くなります。」,「修行を受けないとあなたは変わらないし,娘さ
んの状態も変わらないんです。」,「あなた1人では,効果ははっきりと出ないの。娘さんだけ
は絶対修行を受けさせなければいけない。本人が修行すれば,効果は確実になるから。」,
「娘さん自身も修行を受けなければ結果は出ないんですよ。娘さんの修行代は100万円で
す。」などと虚構の事実を申し向け,V19をその旨誤信させて,修行代合計325万円の支
払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,同月13日ころ前記甲会館
において現金1万円を交付させ,同月16日東京都日野市w(3)丁目x(3)番y(3)号B26
郵便局ビル1階所在のB26郵便局から現金224万円を前記甲会館乙本庁A4宛に振込送
金により交付させ,さらに,同月29日同郵便局から現金100万円を東京都渋谷区z(3)町a
(4)番b(4)号c(4)ビル内所在の戊会館乙本庁A4宛に振込送金により交付させ,
第20 A1,教団職員のA32,教団O支部長のA33らと共謀の上,平成7年6月18日ころ,
前記甲会館において,虚弱体質や冷え症に悩んで相談に訪れたV20(当時52歳)に対
し,真実は,A1には癌及び冷え症の病状等を的確に診断してこれを治癒させるための確
実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑定」と
称する個人面談を実施した上,A1,A32及びA33において,こもごも「V20さん,足の裏が
水ぶくれになっているのは水虫で,ずいぶん汚い足ですね。今まで苦を刻んできましたね。
冷たくて色つやが悪いのは,先祖の血の受け継ぎが悪いからだ。これじゃあ孫ができず,子
孫が絶えてしまう。天行力が首で4,腰で3しか通っていない。このままだと1年以内にあなた
は癌になってほうっておけば死んでしまう。直ぐに頭を取る修行に行きなさい。」,「このまま
だと大変なことになりますよ。とにかく修行に行きなさい。修行を受ければ人生が180度変わ
り,悩んだり苦しんだりすることは一切なくなります。あなたは修行に参加しなければ大変な
ことになりますよ。」などと虚構の事実を申し向け,V20をその旨誤信させて,修行代225万
円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で現金1万円
を交付させ,さらに,同月19日浦和市d(4)丁目e(4)番f(4)号所在のB27郵便局から現
金224万円を前記甲会館乙本庁A32宛に振込送金により交付させ,
第21 A1,A5,教団職員のA34,A33,A12らと共謀の上,
 1 平成7年7月31日ころ,前記甲会館において,腰痛や夫婦関係の軋轢等に悩んで相
談に訪れたV21(当時43歳)に対し,真実は,A1には腰痛及び癌の病状等を的確に診断
してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装
い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A34及びA33におい
て,こもごも「足が冷たいね。夫婦仲が悪いのかね。天行力の通りが悪いね。首が5,腰が
2.7だね。修行を受ければ,これらのことはすべて解決します。」,「あなたは,腰で2.7しか
天行力が通りません。2.5まで下がると癌になるのよ。1日も早く修行を受けなければ,本当
に癌になってしまいますよ。修行に行って頭を取ると腰痛も治るし,癌になることもないです
よ。」などと虚構の事実を申し向け,V21をその旨誤信させて,修行代255万円の支払いを
要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で現金1万円を交付させ,
さらに,同年8月1日埼玉県坂戸市g(4)町h(4)番地i(4)所在のB28郵便局から現金254
万円を前記甲会館乙本庁A34宛に振込送金により交付させ,
 2 同月中旬ころ,埼玉県坂戸市j(4)番地所在の前記V21方において,前同様に装い,
A34及びA12において,V21に対し,こもごも「娘さんを修行に参加させれば,腰痛も治る
し,癌にもならないで済む。娘さんを修行に参加させれば,これから先に娘さんも何ら心配
せずに過ごすことができる。」などと虚構の事実を申し向け,同女をその旨誤信させて,修行
代105万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で
現金1万円を交付させ,さらに,同月21日前記B28郵便局から現金104万円を前記甲会
館乙本庁A12宛に振込送金により交付させ,
 3 同月27日ころ,埼玉県大宮市k(4)町l(4)丁目m(4)番地のn(4)所在のo(4)ホテル
客室において,前同様に装い,A1及びA5において,V21に対し,こもごも「天声に添いな
さい。すべてがよくなります。」,「天声はこのように出ているのよ。V21家は家の中心,解脱
法納をしなさい,支部長になりなさいと出ています。家の中心は233万円,解脱法納は100
0万円です。この天声に添えば,5代前の先祖や水子は地獄界から引き上げられ,あなたの
5代先の子孫まで良い影響があり,すべてが救われ,良い方向に向かいます。V21家の地
獄に落ちている生命体を引き上げることは1000万円を法納すればかないます。しかし,こ
の天声は100万円単位で順次添うことができます。あなたの家は解脱法納として,水子供
養も含めて取りあえず300万円を納めてください。」などと虚構の事実を申し向け,同女をそ
の旨誤信させて,法納料等合計533万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いず
れも法納料等名下に,同年9月1日埼玉県坂戸市p(4)町q(4)番地所在のB29銀行r(4)
支店から現金500万円を前記B17銀行t(2)支店のA名義普通預金口座に振込送金により
交付させ,さらに,同月12日ころV21方において現金33万円を交付させ,
第22 A1,A22,教団職員のA35,同A36,A15,教団P支部長のA37らと共謀の上,
 1 平成7年7月31日ころ,前記甲会館において,治療中の夫の癌の治癒を願って相談に
訪れたV22(当時40歳)に対し,真実は,A1には癌の病状等を的確に診断してこれを治癒
させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において
「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A22及びA37において,こもごも「旦那
が悪くて癌になったのではないよ。あなたのせいで癌になったんだよ。これは急がなくては
ならない。直ぐあなたが修行に行って,頭を取れ。旦那が死んだら,あなたも2,3か月後に
死ぬ。」,「あなたは修行に行かなければだめです。先生も早く修行に行くように言っていま
す。そうすればプラスの波動が2乗3乗になり,ご主人の癌も治って幸せな家庭に戻りま
す。」,「ご主人の癌が治るのは奇跡ではありません。みんな修行に行って,病気が治ってい
るのよ。」などと虚構の事実を申し向け,さらに,同年8月1日ころ,A22において,千葉県市
川市r(4)丁目s(4)番t(4)号のV22方に電話をかけて,同女に対し,「ご主人が死んでも
いいのですか。お金がないからといって,じゃあ,あなたは命で払えますか。お金じゃないで
しょう。大事なのはあなたがご主人のために修行に行くことでしょう。」などと虚構の事実を申
し向け,同女をその旨誤信させて,修行代120万円の支払いを要求し,よって,同女を欺い
て,修行代名下に,同月2日同市u(4)丁目v(4)番w(4)号x(4)1階所在のB30郵便局か
ら現金120万円を前記甲会館乙本庁A25宛に振込送金により交付させ,
 2 同月12日ころ,前記甲会館において,前同様に装い,A1において,V22の夫である
V(22)に「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A15及びA37において,V22
に対し,こもごも「癌は頑固な癌だ。あと3か月の命だ。しかし,修行に参加すれば何とかな
る。早く修行に行きなさい。そうすれば,癌も治り,幸せな家庭に戻る。」,「奥さんがご主人
のために修行に行っただけでは,やはりご主人の癌は治りません。A1先生の言うとおり,ご
主人が修行に行けば,癌は治りますよ。」などと虚構の事実を申し向け,同女をその旨誤信
させて,修行代225万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,修行代名下に,同月1
5日前記B30郵便局から現金225万円を前記甲会館乙本庁A25宛に振込送金により交付
させ,
 3 同月24日ころ,前記丙村において,前同様に装い,A1,A37及びA36において,V2
2に対し,こもごも「あなたの旦那は面談でちょっと見ただけだが,いつ死んでもおかしくな
い。家の中心を立てて,家を盤石とするようにしなさい。天声に添えば,癌は治る。」,「家の
中心を立てて,家を盤石にすることが大事なのよ。天声に添えば,ご主人は治ります。家の
中心代は,233万円だけど。」などと虚構の事実を申し向け,同女をその旨誤信させて,家
の中心代233万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも家の中心代名下
に,同日同所において現金200万円を,同月25日同所において現金33万円をそれぞれ
交付させ,
 4 平成8年1月14日ころ,東京都渋谷区y(4)丁目z(4)番a(5)号所在のb(5)ホテルに
おいて,前同様に装い,A22及びA35において,V22に対し,こもごも「あなたの両親を修
行に参加させなさい。あなたの両親を修行に行かせれば,ご主人に天行力が通る。」,「何
を迷っているんですか。お金よりご主人の命でしょう。」などと虚構の事実を申し向け,さら
に,同月中旬ころ,A35において,V22方に電話をかけて,同女に対し,「お金を払えばご
主人に天行力が通るから,お金を払え。ご主人の癌が治らないのは,天行力が流れないか
らだ。」などと虚構の事実を申し向け,同女をその旨誤信させて,修行代合計250万円の支
払いを要求し,よって,同女を欺いて,修行代名下に,同月18日前記B30郵便局から現金
250万円を前記甲会館乙本庁A22宛に振込送金により交付させ,
第23 A1,A21,教団職員であった分離前の相被告人A25,同A38らと共謀の上,平成7
年8月17日ころ,前記甲会館において,夫の癌の治癒を願うとともに長男の登校拒否を案
じて相談に訪れたV23(当時53歳)に対し,真実は,A1には癌の病状等を的確に診断して
これを治癒させるための確実な方策を提示する能力も登校拒否の原因を的確に判断してこ
れを解決するための確実な方策を提示する能力もないのに,これがあるように装い,A1に
おいて,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A38,A25及びA21において,
こもごもV23も腰が癌になっている旨を告げ,「足が汚いね,汚れているね。このままほうっ
ておくと大変なことになる。頭を取るための修行を受けなさい。これさえ受ければすべて解
決する。言われたとおりにやりなさい。」,「修行を受ければあなたとご主人の癌は治ります。
ただ,あなたの足裏は,子供がだめと出ていますから,息子さんも修行させないと登校拒否
は治りませんよ。息子さんはもうすぐ20歳ですね。20歳を過ぎてからでは手遅れになります
よ。修行を受ければ確実に治るし,これから先は家族安泰です。」などと虚構の事実を申し
向け,V23をその旨誤信させて,修行代330万円の支払いを要求し,よって,同女を欺い
て,いずれも修行代名下に,その場で現金1万円を交付させ,さらに,同月18日東京都板
橋区c(5)丁目d(5)番e(5)号所在のB31郵便局から現金329万円を前記甲会館乙本庁
A25宛に振込送金により交付させ,
第24 A1,A9,教団職員のA39,教団Q支部長のA40,教団信者のA41らと共謀の上,
 1 平成7年8月21日ころ,前記甲会館において,慢性関節リューマチ等の悩みで相談に
訪れたV24(当時58歳)に対し,真実はA1にはリューマチの病状等を的確に診断してこれ
を治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1に
おいて,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A9及びA40において,こもごも
「V24家の先祖の根が腐っているな。これは駄目だ。もう心不全で終わりだ。天行力が通ら
ない。癌の人でも腰は2.5なのに,あなたは腰で2.3しかない。健康な人なら天行力は頭
から足裏に抜けていくのに。即,頭を取れ。」,「8月24日からの修行に行きなさい。修行に
行って頭を取ると,健康になって,いい人生が送れますよ。先祖も救われますよ。」,「修行
が終わったら,元気になれますよ。」などと虚構の事実を申し向け,V24をその旨誤信させ
て,修行代225万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,そ
の場で現金5000円を交付させ,さらに,同月22日神戸市f(5)区g(5)町h(5)番i(5)号所
在のB32郵便局から現金224万5000円を前記甲会館乙本庁A42宛に振込送金により交
付させ,
 2 同年9月2日ころ,大阪市j(5)区k(5)丁目l(5)番m(5)号n(5)ビル5号館2階所在の
乙本庁関西支局において,前同様に装い,A41において,V24に対し,家の中心代233
万円,水子供養代100万円,支部長研修費30万円などと書いた紙を示しながら,「天声は
こうなってます。合計363万円を24時間以内に納めなさい。」などと申し向け,さらに,同月
4日ころ及び5日ころの両日,A39及びA40において,神戸市o(5)区p(5)丁目q(5)番r
(5)号s(5)のV24方に電話をかけて,同女に対し,こもごも「A1先生の天声に従わないと,
せっかく修行を受けてやってきたことが無駄になりますよ。天声に従えば,あなたの病気も
治りますよ。」などと虚構の事実を申し向け,同女をその旨誤信させて,家の中心代等合計
363万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,家の中心代等名下に,同月6日神戸
市t(5)区u(5)町v(5)丁目w(5)番x(5)号所在のB33銀行b(6)支店から現金363万円を
前記B17銀行t(2)支店のA名義普通預金口座に振込送金により交付させ,
第25 A1,A35,A36,教団R支部長のA43らと共謀の上,
 1 平成7年9月7日ころ,前記甲会館において,夫の癌の治癒などを願って相談に訪れ
たV25(当時56歳)に対し,真実は,A1には癌の病状等を的確に診断してこれを治癒させ
るための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A1において,「足
裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A35及びA43において,こもごも「色つやの
ない足だね。天行力が足の先まで通っていないから腰痛とか病気になるんだ。このままでは
あなたも癌になりますよ。修行して頭を取れば天行力が通りやすくなります。」,「9月9日か
ら9月13日まで4泊5日の研修がある。この研修に参加して頭を取ればあなたの病気も治る
し,癌にもならない。旦那さんの病気もよくなるんですよ。A1先生の言われたとおりにした方
がよい。研修に行くべきだ。」などと虚構の事実を申し向け,V25をその旨誤信させて,修行
代225万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で
現金5万円を交付させ,さらに,同月8日川崎市y(5)区z(5)町a(6)番b(6)号所在のB34
郵便局から現金220万円を前記甲会館乙本庁A22宛に振込送金により交付させ,
 2 同年10月20日ころ,前記丙村において,前同様に装い,A1,A36及びA43におい
て,V25に対し,こもごも「(夫の癌が早く治ってほしい旨記載されたV25の質問事項につい
て)こんなことを書いているから病気になるんだ。家の中心と解脱法納だ。」,「天声は家の
中心と解脱法納です。家の中心を置いて大掃除をすれば,旦那さんの病気の流れが変わ
ります。V25さんのような境遇の人が何人も助かっています。とにかくA1先生の言われたよ
うに天声に従えば,ご主人の病気はすぐに流れが変わります。家の中心は233万円で,解
脱法納が1000万円です。どれくらいなら出せますか。1000万円用意できないのなら,じゃ
あ700万円ならどうですか。500万円ならどうですか。400万円ならどうですか。」,「A1先生
の天声どおりにやれば,旦那さんの病気の流れも変わる。答えが出るんですから,やってお
いた方がよい。」などと虚構の事実を申し向け,同女をその旨誤信させて,法納料等合計5
83万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,法納料等名下に,同月23日川崎市c
(6)区d(6)町e(6)番地f(6)所在のB35銀行g(6)支店から現金583万円を東京都文京区
h(6)丁目i(6)番j(6)号所在の同銀行k(6)支店のA名義普通預金口座に振込送金により
交付させ,
第26 A1,A5,教団S支部長のA44らと共謀の上,
 1 平成7年10月9日ころ,前記甲会館において,自分の肝臓病と夫の胃癌の治癒を願っ
て相談に訪れたV26(当時61歳)に対し,真実は,A1には肝臓病及び癌等の病状を的確
に診断してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるよう
に装い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1及びA44におい
て,V26に対し,こもごも「足裏の生命力が弱い。C型肝炎も出会いだよ。相当これは薬の
影響を受けている,親指が完全につぶれている。あなたは血液の癌だ。ご主人の後を追っ
て2年くらいで死ぬよ。このままでは命がないよ。天行力の通りが悪く,足裏を診ても生命力
が相当弱くなっている。修行を受ければ頭が取れて,天行力が通りやすい身体になる。直ぐ
にでも修行を受けなさい。」,「私の主人の父親は,日本に3人しかいない肺の難病で,医者
から死ぬと言われていました。父親は,足裏診断でも『いつ死んでもおかしくない。』と言わ
れましたが,4泊5日の頭を取る修行を受けたところ,医者から死ぬと言われていた病気が
本当に治り,今でもぴんぴんしています。あなたやご主人も修行を受ければ,私達家族のよ
うに病気も治って元気になりますよ。」などと虚構の事実を申し向け,V26をその旨誤信させ
て,修行代合計448万円(本来の修行代から内金として支払済みの2万円を控除した額)の
支払いを要求し,よって,同女を欺いて,修行代名下に,同月11日東京都台東区l(6)丁目
m(6)番n(6)号所在のB36郵便局から現金448万円を前記甲会館乙本庁A22宛に振込
送金により交付させ,
 2 同月23日ころ,前記甲会館において,前同様に装い,A5において,V26に対し,「あ
なたには先祖の悪い因縁があり,切開しなければいけません。天声として家の中心を定め
なさい。解脱法納しなさい。天声に添った観いの定めとして663万円を納めなさい。現在の
生きざまの悪さは,先祖の生きざま,死にざまが出ている。天声に添えばすべてが変わり良
くなりますよ。」などと虚構の事実を申し向け,同女をその旨誤信させて,法納料等合計663
万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,法納料等名下に同月25日千葉県館山市o
(6)番地所在のB37銀行p(6)支店から現金663万円を前記B35銀行k(6)支店のA名義
普通預金口座に振込送金により交付させ,
第27 A1,A36,A38,教団T支部長のA45らと共謀の上,
 1 平成7年10月12日ころ,東京都港区q(6)丁目r(6)番s(6)号所在のt(6)ホテル別館
において,長女の心臓の痛みの原因等について相談に訪れたV27(当時38歳)に対し,
真実は,A38には同長女の心臓の痛みの原因等を的確に診断してこれを治癒させるため
の確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A38において,V27に
「足裏診断」と称する個人面談を実施した上,A38及びA45の両名において,こもごも「両
方の親指からみると,あなたの父方は短命に終わってますね。あなたが生きざまを変えてい
かなければならない。あなたが変わればすべてが変わり,家族も良くなります。家族の中で1
番初めに天に出会えたあなたに,あなたの汚れきった一家の掃除をしていく役目がある。と
にかく頭を取ってきなさい。」,「V27さんが研修に行って生きざまを変えないと,短命な家
系を断ち切れず,息子さんにもそのまま降りかかってくるわよ。あなたが研修に行けば,あな
たの生きざまが変わり,あなたが変わればすべてが変わり,家族も良くなります。短命の家
系からも絶対に抜けられます。」,「あなたは娘さんに観いを向けているのだから,娘さんを
研修に参加させなさい。親子で頭を取ることによって,娘さんの病気は必ず治ります。」など
と虚構の事実を申し向け,V27をその旨誤信させて,修行代合計225万円の支払いを要求
し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,同月13日東京都新宿区u(6)丁目v
(6)番w(6)号x(6)ビル1階所在のB38郵便局から現金145万円を,同月19日東京都田
無市y(6)丁目z(6)番a(7)号所在のB39郵便局から現金80万円をそれぞれ前記甲会館
乙本庁A46宛に振込送金により交付させ,
 2 同月24日,前記甲会館等において,V27に対し,真実は,A1には前記長女の心臓
の痛みの原因等を的確に診断してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力が
ないのに,これがあるように装い,A36及びA45において,A1の伝える天声と称して,「家
の中心233」,「法説行100」などと書いた紙を示しながら,こもごも「これがあなたの天声で
す。」,「V27さんはこれだけ頑張ってやったのに,天声に添わなかったら,娘さんの病気の
ことや短命な家系を断ち切るために一生懸命やり遂げた研修がすべて無駄になるから,借
金してでもお金を作った方がいいよ。」などと虚構の事実を申し向け,V27をその旨誤信さ
せて,法納料等合計333万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも法納料
等名下に,同月26日東京都新宿区b(7)丁目c(7)番d(7)号e(7)ビル所在のB40銀行f
(7)支店から現金100万円を,同年11月24日同支店から現金233万円をそれぞれ前記B
35銀行k(6)支店のA名義普通預金口座に振込送金により交付させ,
第28 A1,教団職員のA47,A36,教団U支部長のA48らと共謀の上,
 1 平成7年11月7日ころ,前記甲会館において,自己の腰痛及び夫の狭心症の治癒を
願って相談に訪れたV28(当時53歳)に対し,真実は,A1には癌の病状等を的確に診断
してこれを治癒させるための確実な方策を提示する能力がないのに,これがあるように装
い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A1,A47及びA48におい
て,こもごも「いつ癌になってもおかしくない。でも,頭を取れば大丈夫ですよ。頭を取りまし
ょう。」,「修行に行けば,頭を取ることができます。そうすれば,あなたを含めて周りの人がす
べて良い方向に向かい,悩みは解消されます。癌にならずに済みます。ご主人の病気も良
くなります。」などと虚構の事実を申し向け,V28をその旨誤信させて,修行代合計350万
円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,修行代名下に,同月8日大阪府枚方市g(7)
町h(7)丁目i(7)番j(7)号所在のB41郵便局から現金350万円を前記甲会館乙本庁A39
宛に振込送金により交付させ,
 2 同月17日,大阪市j(5)区k(5)丁目l(5)番m(5)号n(5)ビル5号館2階所在の乙本
庁関西支局において,V28に対し,前同様に装い,A36において,「あなたへの天声は,
家の中心と解脱法納です。あなたは癌にならなくて済みますし,ご主人の病気も良くなりま
す。天声に添えば,すべて良くなります。ここでやめたら,今までのことが全部無駄になりま
すよ。家の中心は233万円。解脱法納は300万円。」などと虚構の事実を申し向け,V28を
その旨誤信させて,法納料等合計533万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,い
ずれも法納料等名下に,同月24日大阪府枚方市k(7)町l(7)番m(7)号所在のB42銀行
n(7)支店から現金333万円を,同月28日同支店から現金175万円を,同月29日同支店
から現金25万円をそれぞれ前記B35銀行k(6)支店A名義普通預金口座に振込送金によ
り交付させ,
第29 A1,A9,A2,教団職員のA49らと共謀の上,平成8年7月30日ころ,前記戊会館
において,乳癌の再発や借金の悩みなどについて相談に訪れたV29(当時46歳)に対し,
真実は,A2には癌の病状等を的確に診断してこれを治癒させるための確実な方策を提示
する能力がないのに,これがあるように装い,A2において,「足裏診断」と称する個人面談
を実施した上,A9,A2及びA49において,こもごも「このままでは癌も再発する。家族もば
らばらになる。先祖の悪い生きざまが出ている。A1A1の生きざま修行を受けなければだめ
です。修行に参加して頭を取れば,人生が変わり,問題はすべて解決します。こんなことが
できるのは,この世にA1先生ただ1人です。」,「修行すれば,必ずどんな人でも頭が取れ
ます。修行を受ければ頭が取れて癌の再発を防げ,その上,人生が変わり,借金までなくな
るのです。」などと虚構の事実を申し向け,V29をその旨誤信させて,修行代225万円の支
払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修行代名下に,その場で現金4000円を交
付させ,さらに,同月31日茨城県北相馬郡o(7)町p(7)丁目q(7)番地r(7)所在のB43郵
便局から現金224万6000円を前記甲会館乙本庁A35宛に振込送金により交付させ,
第30 A1,A17,A38,教団職員のA50らと共謀の上,平成8年8月13日ころ,前記戊会
館において,子育てや対人関係の悩みについて相談に訪れたV30(当時37歳)に対し,
真実は,A38には同女の子供の自殺等を的確に予測してこれを確実に回避するための方
策を提示する能力がないのに,これがあるように装い,A38において,「足裏診断」と称する
個人面談を実施した上,A38,A17及びA50において,こもごも「こんな汚い足の裏見たこ
とない。小指の付け根が黒ずんでいる。小指は子供を表している。あなたの子供は短命に
終わる,いつまで生きられるかわからない。上の子は不良になるし,いじめっ子になる。下の
子はいじめられっ子になり,自殺する。」,「あなたには,『8月17日から研修に行きなさい。』
という天声が出ています。研修に行って頭を取れば,A38先生から言われたことは全部解
決できます。誰でも一生に1度は受ける研修で,その時期は天声で示されるから,その天声
に従わないとチャンスがなくなってしまう。」,「あなたが研修に行って頭を取らなければ,あ
なたの子供も救われないし,先祖も救われない。」などと虚構の事実を申し向け,V30をそ
の旨誤信させて,修行代225万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いずれも修
行代名下に,その場で現金2万円を,同日同所において現金140万円を,同月14日ころ
浦和市s(7)丁目t(7)番u(7)号所在のB44郵便局前路上において現金27万円をそれぞ
れ交付させ,
第31 A1,A50,A17らと共謀の上,平成9年2月19日ころ,前記甲会館において,自己
が病弱であることなどを悩み相談に訪れたV31(当時30歳)に対し,真実は,A1には人の
健康状態等を的確に診断してこれを改善させるための確実な方策を提示する能力がない
のに,これがあるように装い,A1において,「足裏鑑定」と称する個人面談を実施した上,A
1,A50及びA17において,こもごも「冷たい足をしてるな。研修を受けなければならない。
研修を受けて頭を取りなさい。」,「法師様が言われたように修行に行けば,根こそぎ変わり
ます。汚れている血もきれいになります。修行を受ければ,あなたの5代前までの人たちも救
われます。もちろん,あなたの体も治り,丈夫になります。」などと虚構の事実を申し向け,V
31をその旨誤信させて,修行代225万円の支払いを要求し,よって,同女を欺いて,いず
れも修行代名下に,同月20日埼玉県大宮市v(7)番w(7)号所在のB45郵便局から現金6
5万円を,同日同市x(7)番y(7)号所在のB46郵便局から現金50万円をそれぞれ前記甲
会館乙本庁A51宛に振込送金により交付させ,さらに,同月21日ころ浦和市z(7)丁目a
(8)番b(8)号所在のc(8)駅付近路上において現金110万円を交付させたものである。
(証拠の標目)
 略
(事実認定の補足説明について)
1 犯意について
  弁護人は,犯意の存在を争っていないが,被告人は,罪状認否において本件各公訴事
実を認める旨述べていたものの,その後の被告人質問において,詐欺の犯意を否定するか
のような供述をしているので,念のため,この点に関する事実認定につき補足して説明す
る。
  確かに,関係各証拠によれば,被告人は,本件各犯行の実行行為には直接関与してい
なかったことが認められ,したがって,被告人は,本件各犯行の具体的状況について詳しく
は認識していなかったものと推認できる。
  しかしながら,他方,関係各証拠によれば,(1)教団では,宣伝本を読んで相談に訪れ
た者に対して,まず足裏鑑定や足裏診断(以下「足裏鑑定等」という。)を通じて教団主催の
修行への参加を決意させて,高額の修行代を徴収し,さらに,修行終了後においても,A1
の伝える「天声」と称して,法納料等名下に多額の金員を納めさせるという,一連のシステム
が本件各犯行当時既に確立していたこと,(2)被告人は,その長期間にわたる教団活動を
通じて,同システムについては十分に理解していたこと,(3)教団では,天仕全員が出席を
義務づけられる「天仕合礼」という集会が定期的に開催され,そこでは,A1から教団の運営
等に関する指示が伝えられたり,教団内の各部署から様々な活動報告がされたりしていた
が,その際,A1は,しばしば,虚言を弄してでも修行参加者を増やすよう指示しており,被
告人も,天仕の1人として「天仕合礼」に常々出席し,A1の指示を受けていたこと,(4)修行
の中には,修行生に新たな参加者を勧誘させる「天の行」と呼ばれるものがあったが,被告
人は,A1の指示により,これによる勧誘者数を伸ばすための方策を練っていたことなどの
各事実が認められる。これらの事実によれば,本件各犯行当時,教団全体において,虚言
を弄してでも修行参加者を多数獲得して修行代,法納料等を納めさせる旨謀議がなされて
おり,被告人もその趣旨を理解した上でこれに加わっていたものと認めることができる。
  この点につき,被告人自身,捜査段階では,天声はA1が自身の気まぐれや思いつきな
どを話していたに過ぎないものであると分かっていたなどと供述しているところ,その内容
は,被告人自身がA1に提案した事柄をA1が天声が出たなどと言って発表したことなどから
天声の虚偽性を確信するに至ったという経緯等につき,具体的かつ詳細に述べるものであ
り,特段不自然な点や不合理な点も見られず,その信用性は高い。
  これに対し,被告人は,公判において,当時はA1の天声や天行力を疑うことはできなか
ったなどと述べているけれども,他方で,足裏鑑定等を信用していなかったことやA1が突然
天声が出ないなどと言い出した際に不信感を抱いたことを肯定するなどしており,捜査段階
における供述に比してその信用性は低いといわざるを得ない。
  以上によれば,本件各犯行当時,被告人が詐欺の犯意を有していたことは優に認定で
きる。
2 正犯性について
  弁護人は,本件各犯行当時,被告人は,常にA1ら教団幹部の指揮を受けて特訓を指
導するに過ぎない従属的,追随的立場に立たされていたなどと述べ,被告人の犯行は幇助
犯である旨主張する。
  しかしながら,本件各犯行は,いずれも,前に述べた一連のシステムの下で敢行された
ものであるところ,被告人は,昭和61年に同システムの根幹ともいうべき修行を司る「般若
塾」の塾長に就任して以降,修行全般を統轄してきたものであり,本件全体を通じて重要不
可欠な役割を担っていたといえる。しかも,修行においては,参加者らに対し,「天の行」と
称して新たな修行参加者を勧誘させるほか,過酷な精神的,肉体的疲労を伴う課題を強い
てその判断能力を低下させ,修行終了後の天声に従いやすくしていたのであって,間接的
であるとはいえ,教団の組織的詐欺行為に積極的に加担していたと見ることができる。そし
て,被告人は,修行を終えた者がその後の天声に従って法納料等を納めたり,修行生が勧
誘してきた新たな参加者が修行代を払い込んだりすれば教団が多額の利益を得ることを認
識しながら,このような活動に日々継続的に従事して教団から収入を得ていたものである。
以上の事情に加え,前述のとおり,被告人が修行参加者獲得に向けた謀議に参加してい
たことなども併せ考えると,被告人は,A1をはじめとする共犯者らと共同して実行する意思
を持って,本件各犯行を自己の犯罪として行ったものと認められる。したがって,被告人の
加担の程度は,単なる幇助の域を超え,共同正犯と評価すべきであるから,弁護人の前記
主張は採用できない。
(法令の適用)
 略
(量刑の理由)
1 本件は,教団の幹部であった被告人が,A1ら共犯者と共謀の上,31名の被害者から修
行代ないし法納料等名下に合計1億4921万円の金員を詐取したとされる事案である。被
告人は,前記のとおり,犯意を否定するかのような供述をする点もあるが,公判廷において
取り調べられた関係各証拠によれば,被告人が判示の各犯行に及んだ事実を優に認める
ことができる。
2 本件各犯行の態様は,宣伝本を読んで教団に興味を持った被害者らが,深刻な悩みの
解消を求めて教団を訪れた機会に,足裏鑑定等と称する個人面談を実施して被害者の抱
いている不安をことさらに増幅させる一方,教団主催の修行に参加すれば問題はすべて解
決するなどと虚言を弄して勧誘し,その旨決意させて,高額の修行代を徴収するというもの
であり,うち11件においては,更に修行終了後に天声と称して法納料等を提示し,天声に
従わなければ修行がすべて無駄になるなどと重ねて虚言を弄して,高額の金員を納めさせ
ている。窮状にある被害者らの動揺しやすい心理に乗じた犯行であり,犯情悪質といわざる
を得ない。また,本件は,教団職員らが各自の役割をそれぞれ果たすことによって敢行され
た計画的かつ組織的な犯行である。さらに,被害金額は,判示事実のとおりそれぞれに高
額であって,財産的被害自体軽視し得ない上,悩みの解消に結びつかないまま大金を失っ
た被害者らの精神的痛手も大きく,その被害感情がいずれも厳しいのは十分理解すること
ができる。
3 被告人は,本件各犯行の実行行為に直接は関与していなかったものの,長年にわたり
責任者として修行全般を統轄してきたものであり,修行が本件各犯行のいずれにおいても
不可欠の意義を有していたことに鑑みると,本件全体を通じて被告人が果たした役割は相
当に重要なものであったというべきである。そして,被告人は,その職務を遂行する過程で,
前述のとおり,参加者の判断能力を低下させて修行終了後の天声に従わせやすくするとい
う目的の下にかなりの精神的,肉体的疲労を伴う修行を実施し,また,新たな修行参加者を
勧誘させる行の実績向上に努めるなど,教団の組織的詐欺行為に積極的に加担していた
といえる。さらに,被告人は,教団に対する強制捜査の実施に備え,内部文書を廃棄するな
ど罪証隠滅工作にも及んでおり,犯行後の情状もよくない。しかも,本件各犯行によって前
述のとおりの深刻な被害が生じているにもかかわらず,被告人は,現在に至るまで何ら慰藉
の措置を講じていない。これらの事情に加え,被告人が教団において中枢に近い立場にあ
ったことなどに照らせば,被告人の刑事責任は重いといわなければならない。
4 しかしながら,他方,被告人は,公判廷で,本件各被害を生じさせたこと自体については
反省の態度を示した上,社会復帰後は教団と決別して真面目に働く旨述べている。被告人
の妻も,公判廷に情状証人として出廷の上,被告人のために証言しているところである。そ
して,被告人自身も,本件各被害者と同様に,偶然読んだ宣伝本を契機に修行に参加し,
教団職員となったものであるが,この間,教団から多額の利益を得ていた反面,教団におけ
る活動費などとして少なからぬ金員を教団のために支出していたという事情も認められる。
さらに,被告人には前科前歴がない。これらは,被告人のために斟酌し得る事情である。
5 そこで,これらの諸事情を総合考慮し,主文のとおり量刑する(求刑-懲役6年)。
平成13年12月12日
東京地方裁判所刑事第10部
        裁判長裁判官   池 田 修
裁判官   植 村 幹 男
裁判官   鈴 木 わかな

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