弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄し、本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人藤田八郎、同藤井剛士、同大橋茹、同入山実の上告理由第二点ならび
に同藤井剛士の上告理由第一点ないし第四点および第六点について。
 原審の認定した事実によれば、訴外D織物株式会社は、かねて、訴外Eをして自
由に他から金融をえさせるため、同訴外人に、本件約束手形八通を金額、満期、振
出日、受取人各白地のまま振り出し交付し、あわせてその白地補充権を与えたとこ
ろ、同訴外人は、第一審判決添付第一目録および第二目録記載のとおり、右手形に
金額、満期、振出日を各記入した上、右手形のうち同第一目録記載の六通について
は被上告人B1を、同第二目録記載の二通については同B2を、それぞれ受取人と
して表示し、訴外Fを介し、同被上告人B2の代理人でもある被上告人B1に右手
形八通を引き渡したが、これと共に、右Eは、当時同人が上告金庫の専務理事(代
表理事)であり、同金庫理事長(代表理事)Gから同人の名義で手形行為をするこ
とを含む同金庫の業務執行一切をする包括的代理権を与えられていたので、右権限
を濫用し、自己の利益を図る目的をもつて、右各手形に同金庫理事長Gの名義を用
いて手形上の保証をなし、被上告人B1は、本件各手形の交付を受けるに際し、右
手形保証がEにおいて自己の利益を図るためにされたことを知らなかつた点につき
過失があつた、というのである。
 右事実関係のもとにおいては、被上告人B1および同人を代理人とする被上告人
B2は、上告人の手形保証について、同人の直接の相手方というべきであるから、
民法九三条但書の規定の類推適用により、右被上告人両名に対しては、上告人が右
手形上の保証人としての責を免れることができると解すべきことは、当裁判所の判
例の趣旨とするところである(最高裁昭和三九年(オ)第一〇二五号同四二年四月
二〇日第一小法廷判決民集二一巻三号六九七頁、昭和四二年(オ)第六〇二号同四
四年四月三日第一小法廷判決民集二三巻四号七三七頁参照)。原判決は、法人の代
表者がその権限を濫用し自己の利益を図るために手形行為をした場合においては、
相手方にこの点につき悪意または重過失のない限り、法人において相手方に対し手
形上の債務の履行を拒絶することができないというが、この見解は、当裁判所の採
らないところである。
 したがつて、原判決中、被上告人B1および同B2の請求を認容すべきものとし、
上告人の右被上告人両名に対する控訴を棄却した部分は、法律の解釈を誤りひいて
理由不備の違法を犯したものというべく、論旨は理由があり、原判決は、まず、こ
の点において破棄を免れない。
 そして、被上告人B3は、同B1に対する所得税の滞納処分として、本件約束手
形のうち一通(第一審判決添付第一目録6記載の手形)の満期後である昭和三六年
三月二三日これを差押えて占有するに至つたことは、原審の確定するところである
が、右事実関係のもとにおいては、被上告人B3は、手形法七七条一項一号、一七
条の規定によつて保護されるべき者ではないから、上告人は、被上告人B1に対し
て有する人的関係に基づく抗弁をもつて、被上告人B3に対抗できるものといわな
ければならない。しかるときは、上告人は、被上告人B1において、Eが自己の利
益を図る目的のもとに権限を濫用して本件手形保証をしたことを知りうべきであつ
た事実を主張立証したのであるから、上告人は、被上告人B3に対しても、右手形
上の保証人としての責を免れるものである。もつとも、被上告人B3が、右差押当
時、右事実を知らなかつたことを主張立証した場合には、民法九四条二項の規定を
類推し、上告人は、善意の第三者である同被上告人に対し、前記民法九三条但書の
類推による本件手形保証の無効を対抗することができないものと解すべきであるが
(最高裁昭和三二年(オ)第三三五号同三五年二月二日第三小法廷判決民集一四巻
一号三六頁、昭和四〇年(オ)第九六九号同四一年一二月二二日第一小法廷判決民
集二〇巻一〇号二一六八頁参照)、記録によつても、同被上告人がその主張立証を
したことを認めることはできないのである。したがつて、原判決中、被上告人B3
の上告人に対する本訴請求をたやすく認容した部分には、この点において、審理不
尽ないし理由不備の違法があるものというべく、論旨は理由がある。そして、被上
告人B3は、原審において民訴法七一条の規定により参加したのであるから、判決
の合一確定の必要上、原判決中、被上告人B3の被上告人B1に対する本訴請求を
認容した部分および被上告人B1の上告人に対する請求を棄却すべきものとした部
分も、また破棄を免れないものといわなければならない。
 よつて、その余の上告理由について判断するまでもなく、原判決を破棄し、本件
を名古屋高等裁判所に差し戻すべく、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一
致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一

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