弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人松田元市の上告理由第一点第二点について。
 工場抵当法第二条により工場抵当権の効力の及ぶ工場備付動産について即時取得
の効力の及ぶことは工場抵当法第五条第二項の明記するところであつて、同法に基
き工場財団が設定されその財団目録に記載された動産については、同法には民法第
一九二条の適用を妨げない旨明記されているものではないことは所論の通りである。
そして工場財団は一個の不動産と看做され、工場財団に属する動産はその譲渡を禁
止されているのであるが、かゝる動産といえども右財団から分離され第三者に譲渡、
引渡された場合、たとえその処分が不当であつてもその譲渡引渡を受けた第三者に
公然、平穏、善意、無過失の要件が具備するときはこれを保護すべきであるから、
特に工場抵当法にその旨の明文がなくとも民法第一九二条の適用があるものと解す
べきである。
 本件についてみるに、原審が証拠上適法に確定した事実によれば、原判示の顕微
鏡(略称D)附属品附一台は本件工場財団を組成するものであつたこと、E株式会
社は右物件を高額に処分し、売得金を以て再建経営資金に充てたいと考え、債権者
には事後承認を得ることとして、ひそかに買主を物色していたところ、被上告会社
はDの入手を希望し、被上告会社に出入する測定機械商株式会社F商会に照会し、
昭和二五年三月九日同商会に対し本物件を代金二〇三万円で買付註文を発し、同商
会は翌三月一〇日E株式会社より本物件を代金六〇万円で買受ける契約を締結した。
ついで被上告会社は、同商会の本物件引取発送を監督せしめるため、社員を同商会
の社員らと同行せしめたので、同人らは三月一七日本物件の所在するE株式会社G
工場に到り、E株式社会社社長Hに本物件の引渡を要求したところ、たまたま同社
は労働争議中のため、原判示のように関係者において、梱包した本物件上にF商会
の所有なる旨表示した貼札をなしたこと、翌三月一八日工場長Iは原判示の取極め
に従い社長に代り搬出許可を与え、Eの従業員らの協力を得て本物件を貨物自動車
に積込み搬出し、鉄道により神戸へ向け発送し到着後被上告会社に引渡したもので
あつて、本物件は右G工場に備付中E株式会社社長Hにおいて株式会社F商会に売
約し、右三月一八日同商会において引取り、神戸に到着後被上告会社に引渡された
というのである。従つて本物件が本件工場財団から分離せられたことは原審認定事
実から明らかであるから、これについて民法第一九二条の適用を妨げないとした原
審の判断は相当であるといわねばならない。しかして右動産は差押中でない旨の念
書をF商会がとつていること、同商会が従前E株式会社から買受けた他の機械につ
いては何ら問題を生じたことはなかつたこと、E株式会社は本件物件につき担保権
の設定なきことを保障した旨の事実等原審が証拠上認定した事実関係のもとにおい
ては、被上告人に於て登記簿の調査迄しなくても所論過失ありとなし難いとした原
審の判断も亦肯認できる。
 同第三点について。
 所論は結局原審の専権に属する証拠の取捨、事実の認定を非難するものに帰し、
採用できない。
 同第四点について。
 原判決並びにその引用する一審判決が挙示の証拠に基いてなした事実認定は相当
である。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大  助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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