弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴をいずれも棄却する。
     控訴費用は控訴人らの負担とする。
         事    実
 控訴人ら代理人は、「原判決中控訴人ら勝訴部分を除きその余を取り消す。被控
訴人らの請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」
との判決を求め被控訴人ら代理人は控訴棄却の判決を求めた。
 当事者双方の事実上の主張ならびに証拠の関係は、つぎに付加するほか原判決事
実摘示と同一であるからこれを引用する。
 控訴人(A)代理人は、当審においてつぎのとおり陳述した。
 一 本件事故は、不可抗力により発生したものである。即ち事故現場の道路は幅
員八米で両端各一米は歩道で中央部がコンクリート舗装された車道である。本件加
害車輌は進行方向左側端から一、二三米の地点で左前方フエンダー部分を被害者健
司に接触させた。右健司は右接触の直前まで右歩道部分を歩行していたもので、本
件加害車と平行して進行していた単車が右歩道に乗入れたため、事故発生地点に突
然飛び出したものである。このような健司の行為は、単車との接触をさけるために
なされたものであると考えられるが、客観的には、自殺の目的で車輌に飛込んだ行
為と全く変わりはない。かかる情況において車輌運転者に飛び出した歩行者との接
触を避けさせる義務を課することは不可能を強いるものに他ならず、何人もこれを
防止することはできない。したがつて、本件事故は不可抗力により発生したもの
で、控訴人Aにはなんら過失なく責任は認められない。
 二 生命の侵害の場合、死亡者本人の慰藉料請求権は認むべきでないから、これ
があることを前提とする請求は失当である。
 立証として、被控訴人ら代理人は、甲第二四、二五号証を提出し、乙第七ないし
第一一号証の成立を認め、控訴人四谷自動車観光株式会社代理人は、乙第七ないし
第一一号証を提出し、当審における控訴会社代表者B本人尋問の結果を援用し、控
訴人両名代理人は、甲第二四、二五号証の成立を認めた。
         理    由
 <要旨> 当裁判所は、被控訴人らの本訴請求について、つぎに付加するほか、原
判決と同一理由により、原審において認定した限度において理由あるものと
認めるから、この点に関する原判決の理由をすべて引用する。
 成立に争いのない乙第七ないし第一一号証および当審における控訴会社代表者B
本人尋問の結果も右認定を左右するものではない。
 一 控訴人Aは、本件事故は不可抗力によるものと主張するが、これを認めるに
足る証拠なく、前示のとおり、本件事故は、控訴人Aの過失に基づくものであるか
ら、右主張は採用しない。
 二 控訴人Aは、生命の侵害の場合、死亡者に慰藉料請求権はないと主張する
が、生命の侵害のあつた揚合、その死亡者に財産上の損害が即時に発生すると同様
に、死亡者の精神的損害も即時生ずるものと解すべきであるから、右主張は採用で
きない。
 三 農業収益は、農地とこれに加えられる労力により収益があけられるものであ
るから、前示認定のとおり、必ずしも亡健司の労力が将来これに加えられると推認
できない本件においては、農業収益について、亡健司の得べかりし利益の喪失を認
めることはできない。
 四 なお、一言付言する。いわゆるトライブクラブ方式による自家用車の貸渡業
を営む者も、その保有車を運行の用に供して営利をはかるものである点においては
タクシー業を営む者との間に逕庭はない。前者は保有車を貸与することによつて利
をはかるものであつて、後者のごとく保有車を自ら運行することによつて利をはか
るものではない意味において保有車の運行によつて利をはかるものではないという
のは、皮相の見解であつて当裁判所の採用しないところである。けだし、自動車は
性質上当然に運行の用に供するためのものであつて、を貸与するのは他人をしてこ
れを運行せしめるためであり、したがつて、保有車の貸渡しを業とすることは保有
車を運行の用に供することを業とすることとその実質においてなんらの差異はない
からである。それ故に、ひとしく保有車を運行の用に供して利を収めながら前者は
いわゆる保有者責任を負わず、後者のみがこれを負担するというのは、本来均衡を
失し妥当な解決策ではない。いわゆる報償責任の原則からいうもはたまた危険責任
の原則からいうも、前者を後者と区別すべきなんらの根拠もないのである。
 自賠法第三条にいわゆる保有者責任を負担する者は、保有車の運行につき支配力
を及ぼしうる場合に限ると解せられ、これを根拠としてドライブクラブ方式による
自家用車の貸渡業者はその借受人の運行につき支配力を及ぼしえないから、借受人
の惹起した自動車事故については責任を負わないとする見解がある。しかし、はた
してそうであろうか。確に、ドライブクラブにあつては自動車を運行する者は貸渡
業者の一応の支配外にある契約関係の当事者であつて、タクシー業におけるがごと
く保有者の使用人ではない。しかし、不法行為責任を論ずる場合には、たんに法形
式の外形にしたがつて事を決するのは正当ではなく、その実質に応じて妥当な解決
をはかるべきものと考える。たとえば、元請業者が下請業者に自己の保有トラツク
をすべて貸与して工事を施行せしめ、下請業者の使用人がそのトラツクにより自動
車事故を惹き起こしたとせよ。この場合法形式上は元請業者の支配外にある貸借契
約の当事者である下請業者の惹起した事故であるから、元請業者はこれにつき責任
を負わないというのは一応の論である。しかし、事故を惹き起こしたトラツクは元
請業者の保有車であり、これを下請業者が運行の用に供したのは、ひつきようする
ところ元請業者の事業遂行のため元請業者の意思によりこれを運行の用として供給
されたからである。保有者の事業のためその意思にもとづき保有車を運行の用に供
した場合、その運行者がたまたま貸与を受けた者だからといつて、その運行が保有
者の支配の埒外に逸出するものというべきではあるまい。この場合はあたかも賃貸
人がなお賃貸物につき間接占有を有すると同様に、保有車の運行につき支配力を有
するものと解すべきものと考えるのである。すなわち、この場合は、法形式上は保
有者の支配外にある者による運行ではあるけれども、不法行為責任の面においては
保有者の機関による運行と同視すべきであると考える。あるいは、この場合は現実
に運行を担当する借受人を選任する点において運行につき支配力を及ぼすと考えて
もよいかも知れない。いずれにせよ、保有者は運行につき支配力を有すると解すべ
きものと思うのである。ドライブクラブの場合も全くこれと同様である。貸渡業者
はその意思により保有車を運行の用に供し、借受人は客観的には貸渡業者の事業遂
行のためその保有車を運行するのである。
 この場合外形上は貸渡業者の自家用車が走行するのであつて、借受人の保有車が
走行するのではない。しかも、その走行は貸渡業者の意思によりその利益のために
なされている。このよ弓な関係の下でなお法形式にこだわり、借受人は賃貸借契約
の当事者であつて貸渡業者の支配外にあるとして、借受人の惹起した自動車事故に
つき貸渡業者はその責を負わないとするのは、決して社会関係を妥当に規律すべき
法の精神に適うものとは考えられない。
 よつて、被控訴人らの本訴請求は、原判決認定の限度において正当であつて、本
件控訴は理由がないから、これを棄却すべく、控訴費用の負担について、民事訴訟
法第九五条第八九条第九三条の規定を適用して主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 長谷部茂吉 裁判官 岡田辰雄 裁判官 舘忠彦)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛