弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     控訴を棄却する。
         理    由
 弁護人伊部栄治の論旨は同弁護人提出の控訴趣意書に記載する通りであるからこ
れを引用する。しかし原判決挙示の証拠によると、判示協同組合所有の種油は法律
上同組合の長である判示Aの占有に属していたものと認めるのが相当であり、たと
い所論Bが右組合の工場主任として直接右物品の保管の責に任じていたとしても、
組合の長として同人を指揮監督する権限を有する前記Aの占有権を否定する理由と
はならないのである。故に原判決が、判示Aを本件物件の占有保管者と認めたのは
正当であり論旨第一点は理由がない。
 <要旨>又、所論親族相盗の規定が適用されるためには被害物件の所有権が犯人に
対し刑法第二百四十四条の親族関係にある者の所有に属することを必要とし
単にその占有に属するのみでは足らないと解すべきであるから、たとい本件物件
が、被告人の父である前記Bの直接占有に属するとしても前記組合の所有である同
物件の窃取行為につき所論親族相盗の規定を適用すべき限りでない。論旨は理由が
ない。
 そこで控訴は理由がないので刑事訴訟法第三百九十六条により主文の通り判決す
る。
 (裁判長判事 吉村国作 判事 小山市次 判事 沢田哲夫)

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