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平成一二年(ワ)第九五五一号著作権販売差止請求事件
(口頭弁論終結の日 平成一二年九月五日)
        判    決
原           告     A
右訴訟代理人弁護士伊   東   大   祐
同                 向   井   千   景
同坂   井   大   輔
被           告     静アート株式会社
右代表者代表取締役     B
右訴訟代理人弁護士     西   村   國   彦
同                 町   田   弘   香
同木   下   直   樹
同松   井   清   隆
同泊       昌   之
同松   村   昌   人
同蓮   見   和   也
同松   尾   慎   祐
同上   田   直   樹
同久   保   健 一 郎
同望   月   賢   司
 主文
一 被告は、別紙物件目録記載の絵画を販売してはならない。
二 訴訟費用は、被告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求の趣旨
  主文と同旨
第二 当事者の主張
 一 請求原因
1(一) 原告は、株式会社講談社発行の月刊少女漫画雑誌「なかよし」の昭和
五〇年四月号から同五四年三月号までに連載された漫画「キャンディ・キャンデ
ィ」(以下「本件漫画作品」という。)のストーリー原稿を作成した者である。
(二) 被告は、絵画・美術品の販売を目的とする株式会社である。
2 本件漫画作品は、原告が、ストーリー、登場人物のせりふ等を書き下ろ
し、それに従ってC(以下「C」という。)が、漫画に仕上げることによって完成
されたものであるから、原告作成の原作を原著作物とする二次的著作物である。
3 本件漫画作品の登場人物を描いた別紙物件目録記載の絵画(以下「本件絵
画」という。)は、本件漫画作品の主人公キャンディを初めとする別紙物件目録の
登場人物目録記載の各登場人物を描いたものであり、本件漫画作品における主人公
キャンディを初めとする各登場人物の絵を複製又は翻案したものである。
4 被告は、平成一一年一〇月ころから、本件絵画の展示・販売会を開催し
た。すなわち被告は、平成一二年一月一四日から同月一七日、アクトシティ浜松に
おいて、「こんにちは『キャンディ・キャンディ』C展」を開催し、また、同年二
月には、広島県立広島産業会館において、「こんにちは『キャンディ・キャンデ
ィ』C展」を開催し、各展示・販売会において、本件絵画を展示・販売した。
5 被告は、今後も本件絵画を販売し、原告が本件漫画作品について有する複
製権又は翻案権を侵害するおそれがある。
6 よって、原告は、被告に対し、本件漫画作品について、これを二次的著作
物としその原作を原著作物とする原著作者としての著作権(複製権又は翻案権)に
基づき、本件絵画を販売することの禁止を求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1(一)、(二)は認める。請求原因4については、そのうち、被告
が、平成一二年二月に、広島県立広島産業会館において、「こんにちは『キャンデ
ィ・キャンディ』C展」を開催し、同展示・販売会において、本件絵画を展示・販
売した事実は、争うことを明らかにせず、その余の事実を認める。
2 請求原因2、3、5は否認ないし争う。
第三 当裁判所の判断
一 請求原因1(一)、(二)及び4は、当事者間に争いがない(ただし、請求原因
4のうち、被告が、平成一二年二月に、広島県立広島産業会館において、「こんに
ちは『キャンディ・キャンディ』C展」を開催し、同展示・販売会において、本件
絵画を展示・販売したとの点は、被告において争うことを明らかにしないから、自
白したものとみなす。)。
 二 請求原因2について
 請求原因1(一)(原告が、株式会社講談社発行の月刊少女漫画雑誌「なかよ
し」の昭和五〇年四月号から同五四年三月号までに連載された本件漫画作品のスト
ーリー原稿を作成した者である事実)は当事者間に争いがないところ、証拠(甲第
一号証、第二号証)及び弁論の全趣旨によれば、本件漫画作品は、当初から、原告
が作成した原作原稿をCが漫画化するものとして株式会社講談社発行の月刊少女漫
画雑誌「なかよし」編集部によって企画され、実際にも連載の各回ごとに原告が小
説の形式で原作原稿を作成し、これに基づいてCがコマ割り、作画等の作業を行う
という手順で制作が行われたものであることが認められる。右事実によれば、本件
漫画作品は、原告の創作に係る原作原稿という著作物を翻案することによって創作
された二次的著作物に当たるというべきである。
三 請求原因3について
 証拠(甲第五ないし第九号証)及び弁論の全趣旨によれば、キャンディを初
めとする別紙登場人物目録記載の各人物は、いずれも本件漫画作品において描かれ
ている登場人物であって、本件絵画はこれらの登場人物を描いた絵画であることが
認められる。これによれば、本件絵画は、本件漫画作品における主人公キャンディ
を初めとする登場人物の絵を複製又は翻案したものというべきである。
四 請求原因5について
 前記二及び三に認定したところによれば、被告が本件絵画を販売すること
は、原告が本件漫画作品について原著作者として有する複製権又は翻案権を侵害す
ることになるというべきところ、証拠(甲第三号証)及び弁論の全趣旨に、請求原
因4(被告が、本件絵画を展示・販売した事実)を併せ考慮すると、被告が今後も
本件絵画を販売するおそれがあると認められる。
五 以上によれば、請求原因1ないし5がいずれも認められるから、本件漫画作
品について、これを二次的著作物としその原作を原著作物とする原著作者として原
告の有する著作権(複製権又は翻案権)に基づき、本件絵画を販売することの禁止
を求める原告の請求は、理由がある。
六 よって、主文のとおり判決する。
 東京地方裁判所民事第四六部
       裁判長裁判官  三   村   量   一
      裁判官 和 久 田   道   雄
      裁判官 田   中   孝   一
(別紙)物件目録登場人物目録

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