弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     被告人A、同Bの本件控訴を棄却する。
     原判決中被告人C、同D、同E、同Fに関する部分を破乗する。
     被告人C、同D、同E、同Fを各懲役三月及び罰金一万円に処する。
     右被告人等に対してはいずれも本裁判確定の日から五年間右懲役刑の執
行を猶予する。
     右被告人等が右罰金を完納することができないときは金二百五十円を一
日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。
     押収に係るさばの換価金一万三千二円は被告人等からこれを没収する。
         理    由
 被告人A、C、D、E、F弁護人鶴田英夫及び被告人B弁護人牟田真の控訴の趣
意は何れも各弁護人が提出した控訴趣意書記載の通りであるからここにこれを引用
する。
 鶴田弁護人控訴趣意第一点について。
 原判決は司法警察官作成の現行犯人逮捕手続書のみによつて直ちに犯罪事実を認
めたのではなく同手続書の記載によつて認められる「被告人等が他の被告人等と共
に昭和二十五年四月二日上県郡a村大字b沖合海上で漁獲物を積載航行中漁業法違
反の現行犯人として逮捕された事実」を他の原判決摘示の差押調書及び司法警察
官、検察官の被告人等に対する訊問調書等と綜合して犯罪事実を認定しているもの
と解すべく、右認定事実を被告人等の自白の補強証拠とすることは何等妨げるとと
ろではないから原判決の採証の方法は何等違法ではなく、論旨は理由がない。
 同上第二点について。
 記録に編綴してある現行犯人逮捕手続書の記載内容を精査すれば、同書面は当事
者に於て証拠とすることに同意したものであるから刑事訴訟法第三百二十六条によ
り犯罪事実そのものを証明する資料に供し得る証拠書類たり得るものと認められる
のみならず同書面四の部分も単なる意見の記述ではなく司法警察官が実況を見分し
た状況を記載したものであるから犯罪事実認定の資料とするに何等妨げのないもの
である。論旨は理由がない。
 同上第三点について。
 水産動植物の蕃殖保護をはかることは、水産業のために必要なことであるから、
これを濫獲し又はこれが蕃殖を妨げるような手段でこれを採捕することは公共の福
祉の要請として当然である。漁業法が爆発物又は有毒物<要旨>を使用して水産動植
物を採捕するのを禁止したのは右の趣に出たのである。そこで漁業法第六十八条
は、水産動植物を採捕する目的で爆発物を使用し採捕の方法を講じた以上実
際にこれを採捕したと否とを問わず同法違反の犯罪を構成するものと解する。そう
してこのような禁止の効果を確実にし取締を徹底させるためには右のような採捕の
行為を禁止するのみならず、この禁止を犯して採捕した水産動植物を所持すること
をも禁止し処罰する必要がある。そこで漁業法第七十条は他人が水産動植物採捕の
目的で爆発物を使用したため浮んできた魚類を採捕所持することをも禁止する趣旨
と解すべきである。かかる場合は、本犯を利せず腐敗すべき資源の利用になるとい
う見方もあるがこれを全体として高い立場から見ればかかる行為をも禁止すること
により初めて完全に水産動植物の蕃殖保護という公共の福祉をはかることができる
のである、原判決は漁業法第六十八条第七十条を叙上のように解釈し被告人等が判
示日時場所に於て何人かが採捕の目的で爆発物を使用したため死んで浮んださば
(数量省略)をその事情を知り乍ら採捕所持したものと判示したもので原判決挙示
の証拠によれば右事実は優にこれを認め得るから論旨のような違法はない。
 同上第四点及び牟田弁護人の控訴趣意について。
 記録を精査し所論の事情を考慮するとき被告人A同Bについては原判決の科刑は
不当といえないから論旨は理由なく、刑事訴訟法第三百九十六条に則り本件控訴を
棄却すべきであるが、被管人C、D、E、Fについては原審の科刑は重きに過ぎ量
刑不当と認められるので同被告人等に関する部分については刑事訴訟法第三百九十
七条に則り原判決を破棄すべきものとする。そして当裁判所は本件記録及び原裁判
所に於て取調べた証拠により直ちに判決することができるものと認められるので刑
事訴訟法第四百条但書しより次のように自判する。
 原判決の認定した事実に法律を適用すると同被告人等の判示所為は漁業法第七十
条第百三十八条第六号直該当し同法第百四十二条に則り懲役刑及び罰金刑を併科し
その刑期並に罰金の範囲内で同被告人等を主文第三項の刑に処し刑法第二十五条、
第十八条、漁業法第百四十条に則り主文第四、五、六項の通り定める。
 よつて主文の通り判決する。
 (裁判長判事 筒井義彦 判事 安東勝 判事 池田惟一)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛