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平成15年(ネ)第913号 不当利得返還請求控訴事件
平成15年8月26日判決言渡,平成15年7月3日口頭弁論終結
原審・東京地方裁判所平成14年(ワ)第23687号
     判    決
控訴人(原告) A
 訴訟代理人弁護士 真木吉夫
 被控訴人(被告) 株式会社エヌ・ティ・ティ・テレカ
 訴訟代理人弁護士本間崇
復代理人弁護士田中成志
補佐人弁理士蟹田昌之
     主    文
 本件控訴を棄却する。
 控訴費用は控訴人の負担とする。
     事実及び理由
第1 控訴人の求めた裁判
 控訴人は,原判決を取り消すとの判決とともに,原判決事実及び理由欄の「第1
 請求」に記載のとおりの金銭支払命令の判決を求めた。
第2 請求及び事案の概要
 1 控訴人は,本件実用新案権(登録番号・第2150603号,「テレホンカ
ード」,平成11年9月5日存続期間満了)に基づき,存続期間中における被告物
件(原判決別紙被告物件目録記載のテレホンカード)の製造,販売がその侵害に当
たると主張して,被控訴人に対し損害賠償金の支払を請求したのに対し,原判決は
請求を棄却した。
 2 事案の概要は,原判決事実及び理由欄の「第2 事案の概要」に示されてい
るとおりである。
第3 当裁判所の判断
 1 当裁判所も,原判決事実及び理由欄の「第3 当裁判所の判断」に示されて
いるのと同様の理由により,控訴人の本訴請求は理由がないものと判断する。
 2 控訴人は,甲第7号証を新たに提出するが,これは,本件実用新案登録出願
について,拒絶査定を取り消し,本件考案は実用新案登録すべきものとする,とし
た審決写しであり,原審においても乙第20号証として既に提出されていたもので
ある。この審決においては,原判決9頁の「c」において引用されている平成11
年10月28日付け本件考案の出願人の意見書記載を援用して,本件考案の登録出
願は実用新案法5条4項及び5項の要件を満たしていないとはいえないと判断さ
れ,また,本件考案は,指示部をカード本体の直交する2つの中心軸線のそれぞれ
から一側にずれて配置されており,かつ,目の不自由な者がカード本体を電話機に
差し込む際,目の不自由な者の指が触れる位置と限定した点で,原出願考案と相違
する,と判断されている。
 このように,本件考案を登録すべきものとした審決においても,本件考案の構成
要件Cにおける「カード本体の外周縁からカード本体の内方向にくぼん」だ「該指
示部」の意義は,「テレホンカードを側面からみて上下面から厚み方向(表裏方
向)に凹凸状にくぼんだ形状を有する指示部」に限定され,「カードを平面方向か
らみて中心方向にくぼんだ形状を形成した切欠部」や「カード本体に貫通して形成
した穴部」を含まないとした,上記引用の原判決理由を裏付ける判断がされてい
る。上記判断を前提として,本件考案が登録されるに至っていることは明らかであ
る。
 3 その他,控訴人が当審において主張するところは,すべて上記判断を左右す
るものではない。
第4 結論
 よって,本件控訴は棄却されるべきである。
 東京高等裁判所第18民事部
         裁判長裁判官                     
塚   原   朋   一
            裁判官                     
塩   月   秀   平
裁判官                     
古   城   春   実

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