弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役四月及び罰金一〇万円に処する。
     第一審における未決勾留日数中三〇日を右懲役刑に算入する。
     右罰金不完納の場合は被告人を一〇〇日労役場に留置する。
     被告人に対し帆第一一号蒲江丸及び別紙目録記載の附属船具並に押収金
員中一一万七円二銭を没収する。
     被告人に対し金一六万八九七七円七一銭を追徴する。
     訴訟費用中、第一審証人A(第三回)に支給した分は被告人と第一審に
おける相被告人B、同C、同Dの連帯負担とし、第一審証人A(第一、二回)同E、
同F、同G、同H、同I、同J、同K、同L、同M、同N、第一審並びに原審証人
O、原審証人P、同Q、同R並に原審及び当審において国選弁護人に支給した分は
被告人の負担とする。
     本件公訴事実中物価統制令違反の事実について被告人を免訴する。
         理    由
 被告人の弁護人伊藤利夫の上告趣意は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 本件公訴事実中物価統制令違反の事実は昭和二七年政令第一一七号大赦令により
大赦があつたので刑訴四一一条五号四一三条但書三三七条三号により原判決を破棄
し右事実については免訴の言渡をしなければならない。
 よつて原判決の確定した判示第一の所為中関税法違反の点につき同法七六条三一
条一〇四条昭和二四年大蔵省令三六号(犯行後昭和二五年法律第一一七号により刑
の変更があつたが刑法六条により軽い行為時法を適用する)を、貿易等臨時措置令
違反の点につき同令四条一条七条同令施行規則五条昭和二四年外国為替及外国貿易
管理法附則三号を適用し、右両行為は一個の行為で数個の罪名に触れる場合に当る
ので刑法五四条一項前段一〇条により重い関税法違反の刑に従い懲役刑と罰金刑と
を併科しその法定刑期範囲及び罰金額内において被告人を主文第二項の如く量刑処
断し、刑法二一条により主文第三項の如く未決勾留日数を算人し、右罰金不完納の
場合は同法一八条により主文第四項の如くその換科刑を定め、帆第一一号蒲江丸及
び附属船具は本件関税法違反の供用物件で被告人の所有で且犯人の占有に係るもの
であり又押収金員中一一万七円二銭は本件犯行に係る輸入貨物の内押収の中双糖四
〇貫含密糖四九七貫九〇〇匁の換価代金で被告人の所有に係るものであるので、船
舶及び貨物換価代金は関税法八三条一項、附属船具は刑法一九条により没収し判示
輸入中双糖の内一〇八六貫一〇〇匁及び含密糖三六貫は被告人の所有で没収すべき
であるが他に販売して没収ができないので関税法八三条三項によりその原価を主文
第六頃の如く追徴し、訴訟費用については刑訴一八一条一八二条を適用し主文第七
項の如く被告人に負担せしむべきものとする。よつて裁判官全員一致の意見で主文
のとおり判決する。
 検察官 市島成一出席
  昭和二八年三月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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