弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決および第一審判決を破棄する。
     被告人は無罪。
         理    由
 弁護人岡崎赫生の上告趣意について。
 論旨は、原判決が、被告人に業務上過失致死の責任ありとしたのは、本件同様、
左折に際し、車両を十分に道路左端に寄せなかつた事案について、運転者の過失を
否定した東京高等裁判所昭和三八年(う)第二二一号同年七月一七日判決(東京高
等裁判所判決時報一四巻七号一二八頁)および大阪高等裁判所昭和三七年(う)第
一三六九号同三八年四月一〇日判決と相反する判断をしたものであるというのであ
る。
 よつて調査すると、第一審判決および原判決の認定判示するところによれば、被
告人は、普通貨物自動車を運転して幅員約八・五メートルの国道を西進し、本件交
差点で左折南進するに際し、同交差点の約三〇メートル手前から左折の合図をして
徐行したが、左折進入しようとする町道の幅員が狭く、かつ、鋭角をなしているた
め、道路左端に車両を寄せることが技術的に困難なので、やむなく、自車の左側面
と道路左端との間に二メートル余の間隔をおいて進行した。そして同交差点の手前
で、赤信号によつて瞬時停止したのち、信号が青になるや、後写鏡を見ただけで左
折南進を開始したため、後方から西進して来て、被告人車の左側を追い抜いて直進
しようとした被害者運転の自動二輪車の前部右側を自車左側面に接触させ、その運
転の自由を失わせて転倒させ、脳内出血等によつて収容された病院において死亡さ
せたというのである。
 ところで、論旨の引用する各判例は、本件同様、道路交通法規所定の左折の合図
をしかつ徐行をしたが、自車の左側と道路左端との間にある程度の間隔をおいたま
ま左折を開始したため、その間をすり抜けて直進しようとした自動二輪車がこれと
接触し、死亡ないし傷害の結果が生じたという事案について、左折開始前に後写鏡
を注視したが、後続車が見えなかつたため左折を開始したのであるから、左折に際
しての注意義務は尽くしているものというべきであり、後写鏡による視界の外にあ
つた後続車両が、急に先行車の左側に出て直進しようとしてこれと衝突した場合に
まで業務上過失致死傷の責任を負わせるべきではないとしている。そうすると、本
件被告人に業務上過失致死の責任ありとした原判決は、右各判例と相反する判断を
しているものといわなければならない。
 そして、本件のように、技術的に道路左端に寄つて進行することが困難なため、
他の車両が自己の車両と道路左端との中間に入りこむおそれがある場合にも、道路
交通法規所定の左折の合図をし、かつ、できる限り道路の左側に寄つて徐行をし、
更に後写鏡を見て後続車両の有無を確認したうえ左折を開始すれば足り、それ以上
に、たとえば、車両の右側にある運転席を離れて車体の左側に寄り、その側窓から
首を出す等して左後方のいわゆる死角にある他車両の有無を確認するまでの義務が
あるとは解せられないから、前記各判例は、なお維持すべきものであつて、これを
変更する必要を認めない。
 そうすると、原判決は、右各判例と相反する判断をし、その結果、被告事件が罪
とならないのにこれを有罪とした第一審判決を是認したものであつて、この違法は
判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決および第
一審判決は、刑訴法四〇五条三号、四一〇条一項本文により破棄を免れない。
 よつて、同法四一三条但書により直ちに判決することとし、同法四一四条、四〇
四条、三三六条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 岡嵜格 公判出席
  昭和四五年三月三一日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    関   根   小   郷

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