弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士鍛治利一、同江川甚一郎の上告理由第一点について。
 しかし、所論引用の当裁判所判例は、所論(イ)(ロ)(ハ)の事実があるとき
は、他に別段の事情のないかぎり甲が乙の子であるとの事実は証明されたものと認
めても、経験則に違反しないというだけであつて、所論のごとく右の要件を充すも
のでない限り甲が乙の子であると推認することは経験則上許されないとしたもので
はない。従つて、原判決の是認引用した第一審判決が所論摘示のごとく判示したか
らといつて、所論判例と相反する判断をしたものということはできない。しかのみ
ならず、原判決は、鑑定人Dの鑑定の結果を証拠として綜合したものであることそ
の判文に照し明瞭であつて、記録によれば、その鑑定は、同鑑定人がE、B、Aの
写真、指紋、掌紋、足紋等を比較し、且つ、その血液型を検査してなした鑑定であ
つて、その鑑定の結果は、「Bは、その母がEである限りに於てその父がAであつ
て不合理であると言う何等の根拠も見出せません。指紋や掌紋に見られる特徴は母
の特徴より寧ろAの特徴に酷似している点単なる偶然の所産と見るには余り不審過
ぎる位です。目下学説上子の父を断定するに足る法則が明確にされて居りませんの
で之以上の事はお答えの限りではありません。」とあるから、原判決は、所論(イ)
(ロ)の事実のほか、右鑑定にかかる事実をも参酌したものであること明らかであ
る。されば、原判決には、所論の違法は認められない。
 同第二点について。
 しかし、鑑定人Dの鑑定中ABO式血液型に関する鑑定部分が所論のごとく不十
分であつて証拠として採用することが許されないものとしても、記録上明らかなよ
うに同鑑定は、右ABO式血液型のほか、MN式血液型より見、また参考のために
過ぎないがS式血液型より見るもBの父がAであつては不合理であると考えられる
点は何等発見されず、父であつても差支ないとするものであり、その他指紋や掌紋
等から見てBはその母がEである限りにおいてその父がAであつて不合理であると
いう何等の根拠も見出せないというのであるから、所論の点は、鑑定人Dの鑑定の
結果を採用した原審の採証をして判決に影響を及ぼすべき違法を来すものとするこ
とはできない。それ故、所論は採るを得ない。
 同第三点について。
 しかし、証拠の取捨、選択は、原事実審の裁量に属するこというまでもないから
原審がDの鑑定の結果を採用したからといつて、違法であるということはできない。
しかのみならず、原判決の是認引用している第一審判決は、鑑定人Fの鑑定の結果
は必らずしも以上認定に反するものでない旨判示して、鑑定の結果は必らずしも二
者反するものでないことを認めている。されば、この点からいつても所論のごとく
裁判所が更らに進んで鑑定を命じなければならないものとすることはできない。そ
れ故、論旨は採るを得ない。
 同第四点、第五点について。
 しかし、原判示の事実認定は、挙示の証拠で肯認できるし、また、証拠の取捨、
判断は、原事実審の裁量に属するところである。されば、所論は、原審の適法にな
した事実の認定ないし証拠の取捨、判断を非難するに帰し、上告適法の理由として
採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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