弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄し、本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の確定するところによれ
ば、本件土地はもと上告人の所有に属していたが、茨城県新治郡a農地委員会(そ
の後b村農業委員会となる。)は、昭和二三年六月九日自作農創設特別措置法に基
づき本件土地について同年七月二日を買収期日と定めて買収計画を樹立し、茨城県
知事は、右買収計画に基づく買収令書の交付に代えて昭和二四年八月二三日付県報
に買収令書記載事項を公示して買収処分をしたこと、その後、上告人は、この処分
の効力を争い、右知事を相手方として水戸地方裁判所に対し農地買収無効確認の訴
を提起したところ、同裁判所は、昭和三二年四月九日買収令書の交付に代えて公告
をしたことに違法があり、その瑕疵は重大かつ明白なものであるとの理由で、右買
収処分が無効であることを確認する旨の判決を言い渡し、その頃同判決は確定した
こと、その後、同知事は、農地法施行法二条一項一号、自作農創設特別措置法六条
五項により当初の買収計画に基づき同年六月一八日上告人に対しあらたな買収令書
を交付したこと、以上の事実が認められるというのである。
 そして、原審は、同日の買収令書の交付によつて本件土地についての買収処分が
有効に成立していることを理由として、上告人の本訴請求を理由がないものと判示
しているのである。
 しかしながら、職権によつて判断するに、買収令書の交付に代わる公告に瑕疵が
あつても、すでに、その買収処分を起因とする表見的な法律関係が形成されている
場合においては、その後、右公告の瑕疵を補正するために行なわれた買収令書の交
付の効力は、その交付が著しく遅滞して行なわれたとしても、そのことだけでは、
否定されないと解されるが(最高裁昭和四三年(行ツ)第一三〇号同四七年六月二
〇日第三小法廷判決)、その補正のための買収令書の交付が、右公告による買収処
分の無効を確認する判決が確定したのちにされたものであるときは、もはや、右令
書の交付によつて買収処分が有効になされたものと認めることはできないものと解
するのが相当である。
 けだし、無効確認訴訟の係属中に当該処分の瑕疵を補正することなく原告勝訴の
判決を確定させた行政庁に、なお、その補正をする余地を認めるとすれば、右判決
の確定によつて自己の権利関係を安定させることができたものとする原告の期待を
裏切る結果となり、公平の見地からみて相当ではなく、また、本件のように行政事
件訴訟特例法のもとにおける行政処分の無効確認判決は、第三者に対しても効力を
有するものと解すべきこと(最高裁昭和三八年(オ)第四三一号同四二年三月一四
日第三小法廷判決・民集二一巻二号三一二頁参照)からすれば、公告の瑕疵の補正
により安定を図るべき前示のような表見的法律関係は、右判決の確定によつて覆さ
れ、補正によつて保護しようとする基盤を失うに至つたと解されるからである。
 これを本件についてみるに、前記の事実関係のもとにおいては、茨城県知事が昭
和三二年六月一八日にした買収令書の交付は、買収処分の無効を確認する判決が確
定したのちにされたものであることが明らかであるから、その効力を是認すること
ができないものといわなければならない。これと異なる判断をした原判決には法令
の解釈適用を誤つた違法があり、その違法が判決に影響を及ぼすこと明らかである
から、諭旨につき判断をするまでもなく、原判決は破棄を免れないが、さらに、上
告人の本訴請求原因事実が認められるか否かについて審理を尽くさせる必要がある
ので、本件を原審に差し戻すのを相当とする。
 よつて、民訴法四〇七条一項の規定に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり
判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    関   根   小   郷
            裁判官    天   野   武   一

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