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       主   文
一 本件控訴をいずれも棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
       事実及び理由
第一 申立て
一 控訴人
 (第一次請求)
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対し、平成九年一二月二六日付け通知に係る却下処分は存
在しないことを確認する。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
 (第二次請求)
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対し、平成九年一二月二六日付け通知に係る却下処分は無
効であることを確認する。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
 (第三次請求)
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対し、平成九年一二月二六日付け通知に係る却下処分を取
り消す。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
 控訴棄却
第二 事案の概要
 事案の概要は、次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決「事実」第三な
いし第五に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、「本件却下決定」
を「「本件却下決定」」にすべて改める。)。
1 原判決四頁七行目の「本件公害調停事件を被告に」を「神奈川県公安委員会
(以下「県公安委」という。)ほか二名を相手方として公害調停申請事件(平成九
年(調)第一号座間市道三〇号線交通騒音等被害防止・損害賠償請求調停申請事
件)(以下「本件公害調停事件」という。)」に、同五頁二行目の「一項に従い」
を「一項の規定に基づき」に各改め、同六行目の末尾に次のとおり加える。
 「(ただし、申請については、硬直的ではなく、柔軟に対応する、こととしてい
た。)」
2 原判決六頁三行目の「第二」から同四行目末尾までを「平成九年一二月二六日
付け通知書(以下「本件通知書」という。)をもって本件公害調停事件における県
公安委に係る申請部分を却下する旨の決定(以下「本件却下決定」という。)を通
知した。」に改める。
3 原判決六頁六行目の「存在しないのであり」を「処分として存在しないもので
あり」に、同一一行目の「規定はない。」から同七頁初行末尾までを「規定はな
く、却下決定を予定していることを窺わせるような規定もない。仮に、民事調停法
に基づく民事調停の申請を却下できるとしても、右法律の特別法である公害紛争処
理法には前記のように却下を予定した実体的、手続的規定は存在せず、民事調停に
準じて却下できると解することは相当
ではなく、右申請を却下できるとの見解は根拠がなくしてなされたものであり、
「本件却下決定」なる処分は存在しない。」に各改める。
4 原判決七頁七行目の「あるとしても」を「あり、公害紛争処理法の解釈として
調停申請を却下できるとしても」に、同九行目の「あるから」を「あり、県公安委
の有する道路交通法四条の権限行使を促し、本件公害の被害を少しでも軽減するこ
とができるのであるから、却下できるのは、不適法であることが一見明らかな極め
て例外的な場合に限られ、本件のような事案においては」に各改め、同行目の「早
急」を削り、同一〇行目の次に、次のとおり加える。
 「また、被控訴人は、いったん事件を調停委員会の調停手続に委ねた以上、その
事件を却下する権限はない。」
5 原判決八頁二行目から同三行目にかけての「告知・聴聞」を「聴聞・弁明」
に、同九行目の「遅れることとなった」を「遅滞し、そのような状態で「本件却下
決定」がなされた。このような場合、調停手続と却下決定は一連のものであり、右
決定も瑕疵を帯び違法なものというべきである」に各改める。
6 原判決九頁七行目の「申請部分を」の次に「後記理由で」を加え、同末行の
「民事調停法」から同一〇頁二行目末尾までを「公害調停の制度は公害紛争処理法
が定めた制度であり、このように公的に設置された制度を利用することは、当事者
にとって利益であるが、法や制度の趣旨に沿わない不適法な申請がされたときは、
その利用を拒否できることは、その趣旨に照らし自明のことである。そして、その
法的根拠については、(1)公害紛争処理法四二条の一三、同条の三三の準用ない
しは類推適用、(2)民事調停法における「申請却下」に関する見解の準用、
(3)制度の趣旨に内在する基本的原理、に求めることができる。」に改める。
7 原判決一〇頁三行目の「また」を「そして」に改め、同一一行目の末尾に「右
の場合には、調停申請が実質的に不適法とされ、当該申請は却下される。」を加え
る。
第三 当裁判所の判断
一 当裁判所も、控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由
は、次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決「理由」説示に記載のとおり
であるから、これを引用する。
1 原判決一一頁九行目の「の存在」を「が通知されたこと」に、同一二頁三行目
の「文書の内容は」を「文書は」に、同四行目の「いうのであり」を「いう内容で

り」に、同八行目の「明らか、」から同九行目末尾までを「明らかである。」に、
同一〇行目冒頭から「本件却下決定が」までを「控訴人は、「本件却下決定」は」
に各改める。
2 原判決一二頁一一行目の「欠き」から同末行の末尾までを「欠き不存在であ
り、また、そうでなくとも無効若しくは取り消すべきものである旨主張する。」
に、同一三頁二行目の前の「決定」を「「本件却下決定」」に、同行目の後の「決
定」を「「同決定」」に各改める。
3 原判決一三頁六行目の「外形上は」を「前記」に、同九行目の「本件申請がさ
れたので」を「本件申請を受け」に各改め、同一〇行目の「相手方ら」の次に
「(県、市、県公安委)」を、同一四頁初行の「ところ、」の次に「県公安委に対
する申請について適法かどうかにつき疑問を持ったが、」を各加え、同四行目から
同五行目にかけての「相手方」を「相手方ら」に、同八行目の「従い」を「基づ
き」に各改め、同一五頁六行目の「意見を」の次に「被控訴人に」を、同一六頁二
行目の「本件通知書」の前に「被控訴人会長の名義で」を各加える。
4 原判決一六頁四行目の「あるから、」の次に「被控訴人が実質的に判断し、そ
れを控訴人を含む本件申請人に通知したものであり、」を加え、同五行目の「形」
から同行目末尾までを「形ばかりのものとはいえない。」に改める。
5 原判決一六頁八行目冒頭から同九行目の「というのは、」までを削り、同一一
行目の「四項により」から同一七頁初行末尾までを「四項の規定に基づくものと解
せられるから、まず、「本件却下決定」が「行政庁の処分」といえるか否かについ
て検討する。」に改める。
6 原判決一九頁二行目の「調停」から同三行目の「号)」までを「あっせん、調
停及び仲裁を行うほか、同法の定めるところにより、審査会の権限に属させられた
事項を行うこととされている(一四条一号、二号)」に改め、同八行目の「したが
って、」の次に「都道府県の公害審査会は公害紛争処理法に設置根拠を有し、同法
に基づく権限を与えられた独立行政機関であり、また、」を加え、同末行冒頭から
同二〇頁初行末尾までを削り、同二二頁四行目の「なんら規定されていない」から
同二三頁七行目末尾までを「不適法な公害調停申請の扱いについては直接明文の規
定がなく、申請を却下することができるか否かは専ら解釈に委ねられていると解せ
られるから、却下された場合の争い方もその解
釈に委ねられていると解するのが相当であるところ、前記のように公害調停申請却
下の処分が「行政庁の処分」に当たると解される上、後記のように同法上の一定の
処分については、明文上行政事件訴訟法による訴えの提起を制限しているのに、右
申請却下処分についての右のような制限規定が存しない以上、右却下処分は行政事
件訴訟法に基づき争うことができると解するのが相当である。公害紛争処理法四六
条の二の規定は、右判断を左右するものではない。」に改める。
7 原判決二三頁九行目の冒頭に「右によれば、」を加え、同一〇行目から同一一
行目にかけての「処分権者」から同行目の「ともかく、」までを「前示のように」
に改め、同行目の「該当し」の次に「(処分権者、その根拠法規等については後記
説示のとおりである。)」を加え、同二三頁末行の「解する」から同二四頁四行目
末尾までを「解すべきところ、前記のような実質と処分性を有する「本件却下決
定」の不存在確認請求(第一次請求)は適法であるが、前示のとおり理由がな
い。」に改める。
8 原判決二四頁九行目、同末行及び同二五頁二行目の「不適法な」を「不適法で
その欠陥を補正することができない」に、同四行目の「あるが」を「あり」に、同
五行目の「これでは、不適法な」を「不適法でその欠陥を補正することができな
い」に、同六行目の「民事調停」から同八行目の「不適法な」までを「公害調停制
度に内在する制約として、公害紛争処理法の解釈として不適法でその欠陥を補正す
ることができず、的確な調停が望み得ないような場合には当該」に各改める。
9 原判決二五頁一一行目の「公害調停」から同二六頁三行目末尾までを次のとお
り改める。「公害調停においては、調停内容は調停を求める事項に必ずしも限定さ
れるわけでもなく、双方当事者が柔軟に話し合い、弾力的に対応することにより、
債務名義にならないいわゆる「紳士条項」「精神条項」で合意に達する場合があ
り、調停を求める事項が、一見、不適法でその欠陥を補正することができないよう
に見える場合であっても、調停手続を重ねることにより、事案に則した妥当な調停
が成立することもあることから、一般法である民事調停法と同様に明文で却下の規
定を置くことなく、不適法でその欠陥を補正することができない場合に申請を却下
できることを前提に、現実にどのような場合、何時の時点で却下するかは、解釈と
運用に任せたもの
と解するのが相当である。」
10 原判決二六頁五行目の「されているが」を「されているが(同法四二条の一
三)、前示のように」に、同七行目の「調停委員会の」を「調停事務を所掌し(同
法一四条一号)、その」に、同行目から同八行目にかけての「権限がある」から同
九行目末尾までを「権限があり、右権限の行使は、公害審査会が事件を調停委員会
の調停に付した場合にも妨げられないものと解するのが相当である。」に各改め
る。
11 原判決二六頁末行の「どうか」から同二七頁初行末尾までを「どうかにつき
判断する。」に、同一一行目の「私権」を「権利義務の帰属」に、同行目の「有す
る者」から同末行の「調停」までを「有する者を予定していると解される(調停」
に、同二八頁六行目の「解される」から同八行目末尾までを「解される。)。」
に、同二九頁初行の冒頭から同二行目末尾までを「そうすると、後記のように、被
控訴人が審理、調停の必要上県公安委の関与を求めたり、又は県公安委が自ら当事
者として関与を求めるなどの特段の事情のない限り、県公安委を相手方とする県公
安委に係る公害調停の申請は、不適法である。」に各改める。
12 原判決二九頁末行の「調停に任意的に参加し」を「調停手続に当事者とし
て」に改め、同三〇頁初行の「関与する」の次に「余地のある」を加え、同行目の
「とどまる。」から同一一行目末尾までを「とどまるものであり、調停が当事者間
の合意により成立するものであることを考えると、調停による話合いが当初から期
待できない行政機関を当事者として調停することは意味のないことであり、公害紛
争処理法上予定していないといわざるを得ず、そのような場合、当該調停手続を進
行させるか、欠陥を補正することができない不適法なものとして却下するかは、調
停委員会の意見を聞いた上で被控訴人の裁量にゆだねられていると解するのが相当
である。そして、前記三1(四)のように県公安委が本件第一調停期日で本案前の
申立として公害紛争処理法三六条に基づく調停をしない決定を求めた本件におい
て、被控訴人が本件調停申請は却下したことは、右裁量権を逸脱した違法なものと
までとはいえず、控訴人の主張は採用できない。」に改める。
13 原判決三一頁三行目の「及び」から同五行目の「措くが、」までを「の規定
が適用されると解するとしても、甲第一三号証、乙第三号証及び」に改め、同八行
目の「三1(四)
」の前に「前記」を加え、同一〇行目の「(本件申請人)」を「控訴人ら本件申請
人」に改め、同一一行目の「原告」の次に「ら本件申請人」を、同一一行目から同
末行にかけての「意見書に対し、」の次に「公害紛争処理法の趣旨、目的からみて
本件調停において「当事者適格」を論ずることは意味がないこと、また、本件調停
の相手方として県公安委が適切であり、県公安委は当事者適格を有することを内容
とする」を各加え、同三二頁二行目の「行われた」を「なされ、平成九年一二月二
六日ころに控訴人に通知された」に改める。
14 原判決三二頁三行目の「によれば」を「及び本件は調停手続における処分で
あり、双方当事者は調停期日に出頭し、意見を述べる機会が与えられていることに
照らせば、本件においては行政手続法に規定する「予定される不利益処分に内容」
等事前に控訴人に書面で通知されていないが、実質的にこれをみれば」に、同三行
目の「告知・聴聞」を「同行政手続法に規定する聴聞・弁明」に、同一〇行目の
「論難するようである」を「主張する」に、同一一行目の「しかしながら」を「本
件においては、前記のように不利益処分の内容等は事前に通知されていないが」
に、同三三頁初行の「である。しかも」を「であり」に、同五行目の「自己」から
同行目の「得ていたから」までを「、客観的にみて本件不利益処分である「本件却
下決定」につき事前に自己の意見を述べる機会を得ていたのであるから」に各改め
る。
15 原判決三三頁同一〇行目の「そうはしなかった」を「前記三1で認定した経
緯で「本件決定」をした」に、同末行の「瑕疵」から同三四頁三行目の「当初か
ら」までを「当然に瑕疵を帯びるいわれはなく」に、同八行目の「本件手続」から
同末行末尾までを「本件手続に遅滞があったかどうかは別として、「本件決定」に
控訴人が主張するような瑕疵があったものとは認められない。」に各改める。二 
以上の次第であるから、控訴人の本件請求はいずれも理由がなく、本件控訴は理由
がないから、これを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟
法六七条一項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第八民事部
裁判長裁判官 筧康生
裁判官 満田忠彦
裁判官 鶴岡稔彦

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