弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を唐津簡易裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人夏秋武樹の控訴趣意は同人の提出した控訴趣意書記載のとおりであるから
これを引用する。
 第一点について。
 物品税法において物品の「製造場から移出するときの価格」とは直ちにその販売
価格そのものをいうのではない。
 物品税は物品の取引に対して課税する取引高税ではなくいわゆる物税として一定
の客観的価値を有する物品に対して一定の税負担を負わせることを目的とするもの
であるから、その課税標準も個々の販売行為の際の販売価格そのままではなくして
そのものの有する客観的価値によらねばならない。法が販売価格としないで製造場
から移出するときの価格と規定して販売と直接の関係を有しないものとしているの
は移出するときの客観的価値、即ち時価をもつて課税標準とする趣旨に外ならな
い。従つて販売価格が時価を正当に反映していると認められるときは販売価格がそ
のまま課税標準たる移出価格となるが、そうでないときは適正な時価を算出してそ
れによらなければならない。
 <要旨第一>しかもこの価格は製造者の立場において販売される場合の時価即ち製
造業者販売価格としての時価をいうから製造者が小売をしたときにおい
ては小売口銭相当額を控除して製造者販売価格としての時価を求めなければならな
い。そこで以上の観点から本件記録を精査するに原判決は本件家具類「原審は総て
物品税法第一条第一種丁類六六号の課税物件としているが昭和二十三年七月七日法
律第百七号による改正前たる同年七月六日以前の分は物品税法第一条第一種丙類七
十六(昭和二十一年八月三十日法律第十四号)に該当する」の移出価格を何れも被
告人が販売した価格そのままの額にしたがつているのであるが、被告人の販売をし
た各個の売買の数量や販売先その他の原審に現われた証拠からみて右販売は被告人
が小売をしたものであつて、製造販売をしたものでないことが認められるのに小売
価格と製造業者売渡価格との差額を控除せず小売販売価格そのままを移出価格とし
たことが認められる。しからば原判決は法律の解釈を誤つた結果事実を誤認したも
のというべく論旨は理由がある。
 第三点について。
 原判決は第九の事実につき「製造販売したのに所定の帳簿に記載せずこれに対す
る税額四千三百八十四円六<要旨第二>十一銭逋脱を図つた」と認定しているのであ
るけれども逋脱犯は詐偽その他の不正行為を要件としているのであるか
ら単に所定の帳簿に記載しなかつたという不作為だけで他に積極的な不正手段を伴
わないのに直ちに逋脱罪が成立したものとなすべきではない。所定の帳簿に記載し
ないとか所定の申告をしないとかの場合には法が秩序犯として別個に処罰規定を置
いているところからみてもそれ等帳簿の不記載、単純不申告と云う不作為について
は之を脱税犯として処罰し得ないものといわなければならない。
 したがつていわゆる脱税犯は常に詐偽その他の不正手段が積極的に行われた場合
に限るものといわねばならない。記録を精査するも被告人は伝票を作成したが帳簿
に記帳しなかつたというだけで二重帳簿を作成したとかその他帳簿伝票の破棄隠匿
とか、収税官吏に対する虚偽の答弁その他の積極的な行為に出たものと認める証拠
もない。然し前叙の如く他にそれ等の積極的不正手段があれば前記不作為と相俟つ
て脱税犯を構成することは勿論であるから、それ等の事実につき取調をする必要が
ある。要するに原判決は法律の解釈を誤り事実を誤認した違法があり、本論旨もま
た理由がある。
 而して以上の事実誤認は何れも判決に影響すること明らかであるから、爾余の控
訴趣意に対する判断を省略し刑事訴訟法第三百九十七条第四百条本文にしたがい主
文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 谷本寛 裁判官 竹下利之右衛門 裁判官 二階信一)

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