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平成15年(行ケ)第147号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成15年8月7日
判    決
原      告    シャープ株式会社
訴訟代理人弁護士    永 島 孝 明
同    伊 藤 晴 國
同    山 本 光太郎
訴訟代理人弁理士    中 尾 俊 輔
同    伊 藤 高 英
同    磯 田 志 郎
被      告    ベンクジャパン株式会社
訴訟代理人弁護士    高 橋 隆 二
同    櫻 井 彰 人
訴訟代理人弁理士    高 野 昌 俊
主    文
1 特許庁が無効2002-35360号事件について平成15年3月31
日にした審決中,「特許第2823993号の請求項1,3に係る発明についての
特許を無効とする。」との部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
1 原告の請求
(1)主文1項と同旨。
(2)訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実
(1)特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「液晶表示装置」とする特許第2823993号の特
許(平成4年8月3日出願,平成10年9月4日設定登録,以下「本件特許」とい
う。請求項の数は3である。)の特許権者である。
被告は,平成14年8月29日,本件特許を請求項1ないし3のすべてに関
して無効にすることについて審判を請求した。
 特許庁は,この請求を無効2002-35360号事件として審理し,その
結果,平成15年3月31日,「特許第2823993号の請求項1,3に係る発
明についての特許を無効とする。特許第2823993号の請求項2に係る発明に
ついての審判請求は,成り立たない。」との審決をし,審決の謄本を同年4月10
日に原告に送達した。
(2)審決の理由
審決の理由は,要するに,請求項1及び3に係る発明は,先願の発明と同一
であり,特許法29条の2第1項の規定に該当する,したがって,本件特許は,請
求項1及び3につき,この規定に違反して登録されたものである,とするものであ
る。
(3)訂正審判の確定
  原告は,本訴係属中の平成15年4月23日,本件特許の出願の願書に添付
された明細書の訂正をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正2
003-39078号事件として審理し,その結果,平成15年6月30日に訂正
(以下「本件訂正」という。)をすることを認める旨の審決(以下「本件訂正審
決」という。)をし,これが確定した。
3 本件訂正前の本件特許の特許請求の範囲
「【請求項1】液晶表示素子を照明する後方照明装置と,少なくとも該後方
照明装置を保持する保持筺体とを備え,前記後方照明装置は,液晶表示素子の後方
に配された導光板と,該導光板の端部に配された光源と,該光源を保持する光源保
持体とを備えた液晶表示装置において,前記光源は,前記光源保持体に一体的に保
持され,該光源保持体は,前記光源の長手方向に可動するスライド機構によって,
前記保持筺体に対して着脱自在とされたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】前記光源保持体に,前記光源の電力供給用配線の保持機構が設
けられたことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】前記光源保持体は,前記光源からの発散光を前記導光板へ向け
て反射する反射体であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶表示装
置。」
4 本件訂正後の本件特許の特許請求の範囲(下線部が本件訂正による訂正箇所で
ある。なお,請求項2については,明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正が
なされた。)
「【請求項1】液晶表示素子を照明する後方照明装置と,少なくとも該後方
照明装置を保持する保持筺体とを備え,前記後方照明装置は,液晶表示素子の後方
に配された導光板と,該導光板の端部に配された光源と,該光源を保持する光源保
持体とを備えた液晶表示装置において,前記光源は,前記光源保持体に一体的に保
持され,該光源保持体は,前記光源の長手方向に可動するスライド機構によって,
前記保持筺体および前記導光板に対して着脱自在とされたことを特徴とする液晶表
示装置。」
【請求項2】液晶表示素子を照明する後方照明装置と,少なくとも該後方照
明装置を保持する保持筺体とを備え,前記後方照明装置は,液晶表示素子の後方に
配された導光板と,該導光板の端部に配された光源と,該光源を保持する光源保持
体とを備えた液晶表示装置において,前記光源は,前記光源保持体に一体的に保持
され,該光源保持体は,前記光源の長手方向に可動するスライド機構によって,前
記保持筺体に対して着脱自在とされ,前記光源保持体に,前記光源の電力供給用配
線の保持機構が設けられたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】前記光源保持体は,前記光源からの発散光を前記導光板へ向け
て反射する反射体であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶表示装
置。」
5 当裁判所の判断
上記当事者間に争いのない事実によれば,本件訂正前の本件特許の特許請求の
範囲の請求項1及び3の記載に基づき,その発明を認定し,これを前提に,特許法
29条の2第1項の規定に違反して登録された特許であることを理由に,請求項1
及び3につき本件特許を無効とした審決の取消しを求める訴訟の係属中に,当該特
許に係る特許請求の範囲(請求項1及び3)の減縮を含む訂正の審判が請求され,
特許庁は,これを認める本件訂正審決をし,これが確定したということができる。
審決は,これにより,結果として,請求項1及び3について判断の対象となる
べき発明の要旨の認定を誤ったことになり,この誤りが審決の結論に影響を及ぼす
ことは明らかである。したがって,審決は,上記請求項のいずれについても取消し
を免れない。
6 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負
担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟
法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
裁判長裁判官  山  下  和  明
裁判官  設  樂  隆  一
裁判官  阿  部  正  幸

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