弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人松永東同名尾良孝の上告趣意は結局単なる訴訟法違反の主張で
あつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Bの弁護人会田惣七の上告趣意第一点は、単なる訴訟法違反の主張であり、
同第三点は、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。同第
二点は、違憲をいうが所論被告人並びに相被告人は、いずれも、昭和二一年七月三
日の各第一回予審訊問において本件起訴事実を自白し、同第二回訊問における所論
供述は、結局これと同趣旨の供述をしたものであること記録上明白であるから、該
供述は、当裁判所大法廷屡次の判例の趣旨に照し、自白と勾留との間に因果関係の
ないこと明らかであつて、不当に長く拘留された後の自白といえない。それ故、所
論は、採用できない。
 同被告人の弁護人伊能幹一、同小林直人の上告趣意第一点は、判例違反をいうが、
所論判例は、本件に適切でない。そして、本件では、被告人に対する第一審の第一
回乃至第三回公判調書中の供述記載を証拠としたもので、第一審第一回公判におい
ては、予審終結決定を被告人に読み聞かせ且つ同決定書の要旨を解示して証拠調を
したこと記録上明白であるから、所論の違法も認められない。同第二点は、量刑の
非難で、刑訴四〇五条に当らない。
 そして、記録を調べても、本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められ
ない。
 よつて刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見で主文
のとおり判決する。
  昭和二九年一月二一日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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